沼津 カジノ店廃墟
バ「ガメゴも死んだ、次のプレイヤーを選ばねば」
ガドル「クワガタを倒すのは、この俺だ」
ガドルは威厳のある声色で述べる
グ「はたして、誰がダグバへの挑戦権をえるのか…見物です」
その時、部屋にフィンガースナップが鳴り響く
?「なら、俺が行く」
急に声が聞こえたかと思うと、黒髪の若い男が部屋に入って来た
細身で不気味な風貌をしている
ガドラ「ジャラジか、お前みたいな奴が、クウガに勝てるのか?」
ジャラジは鼻で笑い、口を開く
ジ「確かに力じゃ君達に勝てないよ、でも知恵なら…あるよ」
自分の頭を指さしながら自信気な表情を浮かべる
バ「…いいだろう、行ってこい、ジャラジ」
ジャラジはニヤリと笑って踵を返し、部屋から立ち去った
放課後 帰り道
曜「そう言えば、この間来てた男の子、悠介君の知り合い?」
悠「あぁ、東京にいた頃の親友だよ」
曜「話したかったな〜昔のお話とかも聞きたかったし!もう帰っちゃうなんて勿体ないね」
悠「あいつも…自分の行くべき道を見つけたんだ」
悠介は遠い目をする
曜「なんだかよくわかんないけど、仲直りできてよかったね!」
悠「ありがとう、俺も頑張んなきゃな〜」
曜は悠介の腕をグイッと掴む
曜「もちろん!一緒に、頑張ろうね!」
悠「おう!」
これからどんな事があっても、みんなと一緒なら…大丈夫だよな!
バス 十千万前駅
私と梨子ちゃんはバスから降り、互いに手を振り合う
千「ばいばい〜梨子ちゃん!」
梨「うん、また明日ね!」
日も傾き、真っ赤な夕日に照らさせる
ふと立ち止まり、海の方を見た
千「やっぱり、綺麗だな〜」
生まれた時からこの街で暮らしていて、何度も見ている夕日
情熱的に染まる太陽はいつ見ても色褪せることなく、私の心をいつも勇気ずけてくれてくれた
この光を見る度に、まだまだ頑張れるというエネルギーを貰っているかの様に感じる
感慨に浸り、さぁ家に帰ろうとした時、横からフィンガースナップと共に声がした
?「いい景色だ、でも、君の方が何倍も美しい」
低い男の声だった
振り向くとそこには、黒い服に身を包んだ男
ジ「なぜ彼は、君じゃなくて他の人を選んだって思わないか?」
千「あなた…だれ?それに彼って誰の事を言ってるの?」
新手のストーカーか?そんな考えが頭をよぎる
ジ「自分の心に聞いてみなよ、君は一緒に行動している彼の事が好きだったはずだ」
千「もしかして悠介君のこと…?でも悠介君は曜ちゃんと…確かにいいなとは思ったけど、私は2人を邪魔したくない」
男は私に近づき、囁くように呟く
ジ「自分に嘘をつくのは辞めなよ?君は本能的に彼を愛していたはずだ、それは彼も同じだとは思わないかい?」
男の声は私の心に訴えかけているようだった
そのうち、ある感情が芽生え始める
私は確かに、悠介君の事が好きだった
優しくて正義感の強い彼を愛していた
それは彼も同じだったかもしれない…
でも…!
男は、まるで私の心の中を見透かしているかのように言った
ジ「憎いと思わないか?君から彼を奪った人物を」
私の心が揺らぎ始める
ジ「奪われたのなら、奪い返せばいい」
その時、私の心の中で何かが壊れた気がした
そうだ、奪えばいいんだ
彼の感情を私に向けさせ、私しか愛せないようにすればいい
だって、彼もそれを望んでいるはずだから
悠介君、待っててね、私が今すぐ奪い返してあげるから
心の中が黒い感情に支配され、ドス黒い何かが流れ出してくるのを感じる
彼は、私の物だ
千歌はそのまま家に入って行く
彼女の目は色を失っており、不気味な雰囲気を醸し出していた
ジャラジはその様子を見て不敵に笑い、その場から立ち去る
ジ「苦しむがいい、クウガ…!」
ホテルオハラ 桟橋前
日は傾き、太陽も顔を完全に隠しつつある
辺りが闇に包まれ、ちょっぴり寂しい気分になった
鞠「もう完全に秋ね…」
潮風も肌寒く感じ、急いで家に入ろうと思った
その時、後ろからフィンガースナップと共に男の声が聞こえる
ジ「寒いな、君の心は…どうなんだい?」
ハッとして振り返ると、黒い服に身を包んだ男
鞠「あなた…だれ?」
男は答えない
ジ「君、今のままで幸せなのかい?」
鞠「何言ってるの?そんなの…」
ジ「そうじゃないよね、本当は彼の事が欲しくて欲しくて堪らない、違うかい?」
彼…悠介のこと?
鞠「そう思った事はあるけど、悠介は曜といるの、それが悠介のため」
ジ「じゃあ、その子を消してしまえばいい、そうすれば彼は君の物…」
駄目、そんな事したら…
男は鞠莉に近づき、囁くように言った
ジ「奪われたのなら、奪い返せばいい」
その時、私の中でピキっと音がする
それまで留めていた感情が溢れ出し、私の心を支配していく
ドス黒い感情は留まることを知らない
鞠「悠介…私はあなたを、手に入れる」
鞠莉の目は色を失い、焦点が定まっていない
男はその様子を満足そうに眺め、やがて立ち去った
ジ「次は…」
次の日 バス停前
今日もいつもの様にバス停で曜を待っている
昨日遅くまで起きていたせいか、強い眠気に襲われている
なんで寝不足かって?実は…
昨日の夜を思い出そうとした時、曜の声がした
曜「悠介君〜おはヨーソロー!」
悠「おはよ〜」
力なく返事をする
曜「元気ないね、どうしたの?」
悠「実はな、昨日ずっと千歌と電話してたんだ、それで寝るの遅くなっちまってな」
曜「え、千歌ちゃんと?」
あからさまに不機嫌そうな顔をする
悠「何もやましい事はないぞ、それに千歌は俺たちの事を応援してくれてるじゃないか」
曜「うん、そうだよね」
千歌ちゃんが…どうしたんだろ
そんな事を考えていると、バスが来たようだ
いつもの様に一番後ろの席に腰を下ろす
かなり眠たかったのか、悠介君は直ぐに寝てしまった
彼の頭は必然的に私の肩に乗り、気持ち良さそうに寝息をたてている
曜「やっぱり悠介君、あったかいや…」
朝からドキドキが止まらない私だった
しばらくバスに揺られ、やがて千歌ちゃんと梨子ちゃんが乗ってきた
千「曜ちゃんおはよー!」
梨「おはよー」
曜「おはよー!」
千「あれ?悠介君どうしたの?」
曜「うん、ちょっと疲れてるみたい」
横を見ると、悠介君は目を覚ましていた
悠「すっかり寝ちゃってたな、おはよう千歌、梨子」
千「おはよっ!!」
梨「おはよー!」
心無しか千歌ちゃんの声が普段より大きい様に感じる
気のせいか…
しかし、おかしな事はまだあった
いつもなら悠介君から少し離れて座る千歌ちゃんが、かなり密着する形で彼の横にどっかり座ったのだ
悠「千歌…なんか近くないか?」
千「え?そんな事ないよ〜」
笑顔で答える、しかし心の底から笑っている様には見えない
何か、禍々しい思いを感じる
曜「千歌ちゃん、どうしたんだろ…」
私の心配と裏腹に、彼女は不気味な程に笑っていた
浦の星学院 屋上
悠「…おかしい」
俺はスポーツドリンクを作りながら、今日あった出来事を振り返る
最初の異変は朝のバス
千歌が俺の横にどっかり座り、必要以上に密着してきた
いつもなら気を使ってくれているのか少し離れているのだが、今日に関しては明らかに違った
そしてもう1つ
鞠莉さんが練習中にも関わらず、俺から離れようとしないのだ
確かにいつも手助けをしてもらってはいるが、あまりにもしつこく着いてくるので流石に奇妙に思う
悠「昨日はそんな事なかったのに…変だな」
まぁ彼女らも年頃の女子だし、他人に甘えたい時もあるだろう
それがたまたま俺だっただけだ
そう自分の中で答えを作り、スポーツドリンクを持ってメンバーの元へと戻る
悠「おまたせードリンクどうぞ〜」
千「わーい!ありがとう!」
千歌が飛んでくる
千「いつもありがとうね!大好きだよ」
そう言って俺の腕に抱き着いてくる
鞠「千歌っち、悠介が困ってるでしょ、離れなさい」
次の瞬間、千歌の目の色が無くなった
千「なんで?鞠莉ちゃんになんの権限があるの?私と悠介君の仲を邪魔しないで」
鞠「なんですって?」
鞠莉さんの目の色が無くなり、怒りの形相になる
悠「ちょっと、どうしたんだ二人とも!」
慌てて止めに入るが、二人は睨み合ったままだ
鞠「悠介は黙ってて、あなたは私の物よ」
色を失った目で俺を見る
ダ「ちょっと二人ともどうしたのです?」
ダイヤさんが間に入り、何とか収まった
ダ「今日はここまでにしましょう、二人とも頭を冷やしなさい」
千歌と鞠莉さんは、まだ睨み合ったままだった
バスから降り、いつもの駅に降り立つ
悠介はかなり疲れた顔をしている
悠「はぁ〜」
心配そうに曜が覗き込む
曜「大丈夫?具合悪い?」
悠「大丈夫だ、ちょっと疲れてるだけだよ」
そう言いながらため息をつく
悠「千歌も鞠莉さんもどうしたんだ?普段はあんなにくっついて来ないのに…」
俺の言葉を聞くなり曜は考え込み、1つの結論を出した
曜「う〜ん、はっきりした事はわからない、でも、これだけは言える、あれは私が知ってる二人じゃない」
友達の勘、とでも言うのだろうか
曜の目に迷いの色はなかった
その時、二人並んで歩く悠介と曜の背中を見つめている男がいる
ジ「ゲームは始まったばかりだ、苦しめ、クウガ…!」
二人を見つめる男の目には、狂気じみた意志が満ちていた
そして手を高らかに上げ、フィンガースナップを鳴らした
ジ「ゲームスタート、争奪戦の始まりだ」
針鼠種 怪人 ジャラジ
人間態は黒髪で短髪の青年。右耳にのみイヤリングを付けており、いつも触っている。怪人態は頭から白い棘が延び、体は黒一色、性格は低劣惨忍で命を玩具の様に弄ぶ。首飾りを短い針にして投げて戦う。力はさほどないが、高い知識を持ってる。