最近暑いですね!
熱中症にお気をつけください!
今回はとても重要な話です!
では、どうぞ〜!
浦の星学院 理事長室
机の上のパソコンに、現在の浦の星学院入学希望者の人数が表示されている
果南、鞠莉、ダイヤの3人はその数字を深刻な顔で見つめる
だから「57人?」
鞠「そう、今日現在、入学希望者は57人」
ダ「そうですか…」
果「あんまり増えてない…か…鞠莉のお父さんが言ってた期限まで、あと1ヶ月もないよね」
鞠「そう、ラブライブの地区予選が開催される日の夜、それまでに100人を突破しなければ、今度こそ、あとはNothingです…」
果「つまり、次の地区予選が…」
鞠莉は椅子から立ち上がり、窓の方を見る
鞠「Yes. last chance…」
ダ「そこにかけるしか…ないということですね…」
果「正念場…だね」
果南は拳を強く握りしめた
ホテルオハラ前 桟橋
漆黒に染まる海を、月明かりが青白く照らす
果南は開けた場所から海を見つめていた
風で彼女の長い髪が靡く
彼女の手元には、1冊のノートが握られている
それを複雑な表情で見つめ、ノートを握る手に力をこめた
鞠「やっぱりそれしかないかもね!」
振り向くと、そこには鞠莉とダイヤ
ダ「ですわね!」
鞠「懐かしい、まだ持ってたんだ、それ」
そう言いながらノートを見る
果「まさか、やるとか言うんじゃないよね?」
鞠「まさか、やらないなんて言わないよね?状況は分かってるでしょ?今はそれに、かけるしかない」
ダ「今回は私も鞠莉さんに賛成ですわ、学校の存続のためにやれる事は全てやる、それが生徒会長としての義務だと思っていますので」
凛とした表情で話す2人を、果南は複雑な表情で見つめる
果「でも、できるものじゃない、これはできないこと…」
鞠「そんなことはない、あの頃ももう少しだった、もう少しで…」
果「でもできなかった、それ所か、鞠莉の足まで…」
鞠「あの怪我は私がいけなかったの、果南に追いつきたいって、頑張りすぎたせいで…」
ダ「それに今は9人、私達だけではありませんわ」
果「ダメ…ダメだよ、届かないものに手を伸ばそうとして、そのせいで誰かを傷つけて、それを千歌達に押し付けるなんて…」
果南の目から涙が零れる
果「こんなの!」
次の瞬間、持っていたノートを海に向かって投げ捨てる
ノートは中を舞い、海面に消えていく…
その時、鞠莉が海に飛び込み、ノートに手を伸ばした
果「鞠莉!」
鞠莉はひょっこりと顔を出し、笑顔で手を振る
ダイヤに助けられながら、陸へと上がる
鞠「否定しないで、あの頃のことを、私にとっては大切な思い出、だからこそ、やり遂げたい、あの時夢見た私達のAqoursを完成させたい!」
彼女の瞳は、覚悟を決めたかのように凛々しく輝いていた
十千万旅館 千歌の部屋
お風呂上がりで髪の毛がしっとりと濡れている
私はベットに寝転がりながら聖良さんと電話をしていた
地区大会は会場とネット投票で順位が決まる
という事は…
千「ネット投票があるとはいえ、生徒数が多い方が有利…」
聖「ええ、それだけはどうにもなりません、だから、圧倒的なパフォーマンスで生徒数のハンデを逆転するしかない…」
千「ですよね…でも、圧倒的って…」
聖「それは、うまさだけではないと思います、今の出演者の多くは先輩達に引けを取らない歌とダンスのレベルにある、ですが、肩を並べたとは誰も思っていません、ラブライブが始まって、その人気を形作った先駆者達の輝き、決して、手の届かない光…」
千「手の、届かない光…」
千歌は自分の手を見つめ、何かを掴むかのように握りしめた
浦の星学院 屋上
善「ん?Aqoursらしさ?」
千歌の唐突な質問に、戸惑うメンバー
千「うん、私達の輝きってなんだろう、それを見つけることが大切なんだって分かったのに、まだ言葉にできない…形にしてない…だから、形にしたい!」
ダ「このタイミングでこんな話が千歌さんから出るなんて、運命ですわ!あれ、話しますわね」
ダイヤは果南の方をむく
果「えっ、でもあれは!」
千「何それ?」
ダ「2年前、私達3人がラブライブ決勝に進むために作ったフォーメーションがありますの」
千「そんなのがあるんだ!教えて!」
果「それをやろうとして、鞠莉は足を痛めた、それに…みんなの負担も大きいの、今そこまでしてやる意味があるの?」
千「なんで?」
千歌は果南の手を掴む
千「果南ちゃん、今そこまでしなくていつするの?約束したよね?精一杯足掻こうよ!ラブライブはすぐそこなんだよ?今こそ足掻いて、やれる事は全部やりたいんだよ!」
果「でも、これはセンターを努める人の負担が大きいの…あの時のは私だったけど…千歌にそれができるの?」
手を振りほどこうとした果南を、千歌はとめた
千「大丈夫、やるよ?私」
果「千歌…」
ダ「決まりですわね、あのノートを渡しましょ、果南さん」
鞠「今のAqoursをBreak throughするためには、越えなきゃいけないwallがありマース!」
ダ「今がその時かもしれませんわ!」
果南は少し渋りながらも、千歌にノートを渡す
果「言っとくけど、危ないと思ったら、大会を棄権してでも千歌を止めるからね」
千歌は大きく頷き、果南からノートを受け取った
帰り道
真っ赤な夕陽が、辺りを紅蓮に染める
とても情熱的に見えた
曜「千歌ちゃん、大丈夫かな…」
曜は俯き、心配そうな表情になる
悠「あの果南さんも出来なかった演技…なんだよな…」
一般的に見ても、平均よりもかなり上のレベルに位置する果南さん
そんな人でさえクリアできなかったなんてな…
悠「でも、俺達はサポートするしかない、だって、やるのは千歌なんだから、あいつがやりやすいように出来ることはなんでもするさ」
曜「うん、そうだね!頑張らなくっちゃ」
俺達は見つめ合い、笑いあう
お互いに照れくさくしていたが、とても幸せそうだった
その時、鈍器を叩きつけるような音が鳴り響いた…
振り向くと、そこには…あの時の大男が立っていた
ガ「久しぶりだな、クウガ」
ガドラはニヤリと笑う
曜「あれは、あの時の…」
悠介は曜の前に立ち、身構える
悠「なんのようだ!」
ガ「待てよ、今日は戦いに来たんじゃない、お前と約束をしに来たんだよ」
悠「約束だと?」
ガ「あぁ、俺の目的はただ一つ、お前を殺す事だ、奇襲でもすればそんなこと簡単だが、フェアじゃねぇ、そこでだ」
ガドラの口元が妖しく歪む
ガ「俺と、決闘しろ!」
悠「決闘…」
ガドラの強さは圧倒的だ、俺が勝てるのか…
曜「悠介君…」
曜が此方を心配そうに見つめる
そうだ、俺は負ける訳にはいかない
曜達の輝きを守る、そう心に誓ったんだ!
決心の表情を浮かべ、ガドラを睨みつける
悠「いいだろう、受けて立つ!」
ガ「1週間後、千本浜で待っている、楽しみにしてるぜ」
そう言い残し、ガドラは去っていった
浦の星学院 体育館
千「いきまーす!」
そう言って手を大きく上げる
勢いよく走り出し、マットに向かって…
バランスを崩し、顔からマットに倒れ込んだ
千「だ、大丈夫、大丈夫…」
彼女の顔には、無数の傷と絆創膏がある
千「もう1回!」
梨「少し休もう?5日もこんな調子じゃ、体壊しちゃうよ?」
千「ううん、もうちょっとで、掴めそうで…」
曜「地区大会まで、あと2週間なんだよ?ここで無理して怪我したら…」
千「うん、分かってる、でも、やってみたいんだ!私ね、1番最初にここで歌った時思ったの、皆がいたのに何も出来なかったって…ラブライブ地区大会の時も、この間の予備予選の時も、皆が一緒だったから、頑張れた、学校の皆にも、街の人達にも助けて貰って、だから!1つくらい恩返ししたい、怪我しないように気をつけるから、もう少しやらせて!」
そう言って、また走り始める
悠「千歌…」
十千万前 砂浜
千「いったぁ…」
尻餅をつき、顔を顰める
曜「大丈夫〜?」
千「平気だよ〜」
練習する千歌を曜、悠介、梨子、果南の4人はひっくり返されたボートに腰掛けながら見つめる
梨「気持ちは分かるんだけど、やっぱり心配…」
果「じゃ、2人で止めたら?私が言うより、2人が言った方が千歌、聞くと思うよ?」
曜と梨子は考えるように唸った
果「いやなの?」
梨「言ったじゃない、気持ちは分かるって」
悠「それに、あんなに頑張ってる千歌を止めるなんて、根気がないとダメだな」
果「それもそうだね…」
果南はふぅっとため息をはく
梨「千歌ちゃん、普通怪獣だったんです」
果「怪獣?」
梨「普通怪獣チカチー、なんでも普通で、いつも輝いている光を遠くから眺めてて…本当はすごい力があるのに」
曜「自分は普通だって、いつも1歩引いて…」
梨「だから、自分の力で何とかしたいって思ってる、ただ見ているんじゃなくて…自分の手で」
山々に消えていく太陽
その情熱的な光を掴むかのように、千歌は手を伸ばした
その時、果南が立ち上がり千歌の元へと向かう
果「千歌」
千「果南…ちゃん」
太陽は完全に沈み、輝きが失われて辺りを闇に包んでいく
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