刀使ノ兄弟   作:腰痛持ち

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切り所を見失っていたらやたら長くなってしまいました。



15話 兄の争奪戦&アフタースクールバトル

ある日の放課後、勇刀の通う高校の校門前に色々な色の制服を着た女子生徒達がいた

その集団に周囲の視線が集中していた

 

「ここがユウユウの通っているハイスクールデスカ?」

「あぁ真庭のオバサンからの資料にはそう書いてあるな」

「でもやっぱり急に会いに行ったら迷惑じゃないかしら?」

「大丈夫…勇刀は優しいから、許してくれる」

「なぁ~アタシまで来る必要あったのか?」

「?呼吹は勇刀に稽古つけてもらいたくないの?」

「アタシは強くなって荒魂ちゃんと楽しくやれればいいんだよ」

「なら問題はナッシングデース!ユウユウに鍛えられれば、今よりももっと強くなれますヨ!」

「はぁ~ならしかたねーな、付き合ってやるよ」

「うん、ありがとう呼吹」

「しかしまさかこんな大所帯になるとは思いませんでした」

「あぁ、これには少し驚きだがそれに見合うだけの成果を得られるのは確かだ」

「えっと本当に大丈夫だったんですか?私達衛藤さんのお兄さんとはそこまで親しくないのに」

「まぁ勇刀の事だからちゃんと頼めば行けるだろ」

「では早くいきましょ、ここにいると人の目を集めてしまいますから」

 

そう言って集団は校舎内に入って行った

 

美濃関での出張稽古も終わり

また高校生としての放課後を過ごしていた

 

「なぁなぁ勇刀~今日どっか寄ってこうぜ~」

「ん~そうだなぁ~今日はなんか嫌な予感がするからこのまま直帰するわ」

「そっか~なら仕方ないな~俺も遊び過ぎて今月ピンチだし、家で大人しくゲームでもするわ~」

 

そんな他愛ない話をしていると騒がしい集団が勇刀の教室へ近づいてきていた

 

「おい、本当にこっちであってるんだろーな?」

「紗南センセーに貰った資料には1-3組と書いてありましたから間違いありまセン!」

「確かにあのおばさんは、人を馬車馬のように働かせてこき使う最悪なオバサンだが、こういう情報に限って嘘はつかないから安心しろ」

「それは信頼していると言えるのかしら?」

「まぁ信頼や信用の形は人それぞれだからな、薫がそれで良いなら良いんじゃないか?」

「少し違う気もしますが、この際置いておきましょう」

「あっ皆さんあの教室じゃないですか?」

「よし、行けエレン、お前が切り込み隊長だ」

「了解デス!ユウユウお久しぶりデース!」

 

騒がしい集団が扉の前で立ち止まると扉が開かれた

そこには顔見知りと折神家で知り合った刀使達がいた

 

「エレン!薫!姫和ちゃん!沙耶香ちゃん!瀬戸内さん!清香ちゃん!木寅!フッキー!

お前等なんでここに!?」

「ユウユウ会いたかったデーース!」

「おうふぅっ!エレン急に抱きつくのは止めなさいよ」

「むぅ、積極的な女の子は嫌いデスカ?」

「いいや?でも時と場所は考えて欲しいかな?」

 

勇刀の言葉でエレンは改めて周囲を見渡すと、呆れている用に苦笑いする仲間と突然現れた金髪巨乳美少女に抱きつかれた勇刀を見て、呆然といている勇刀のクラスメイト達がいたので渋々離れることにした

 

「んでこの大所帯で何しに来たんだ?」

「勇刀に、お願いがあってきた…」

 

沙耶香が勇刀の手を握って上目使いで勇刀を見た

 

「でもここだと少し話しにくいから別のところに案内してくれないかしら?」

「ん~それじゃぁ食堂でいいか、この時間なら人も居ないだろうし」

 

後に勇刀はこの判断が誤りだと言うことを思い知ることになる

勇刀は全員に自販機で飲み物を奢り大きな丸いテーブルを囲んで席に着いた

 

「沙耶香ちゃん?」

「なに?」

「いやなに?じゃなくて、何で俺の膝の上に座ってるの?」

「勇刀は嫌?」

 

沙耶香は勇刀の足の上にちょこんと座っており

他のメンバーもなぜそこ?

という顔をしていた

 

「まぁ沙耶香ちゃん軽いから良いんだけどさ」

「うん、ありがとう…」

「いや良いのかよ!?」

「まぁこれが勇刀だからな」

「んで本題は何だ?」

 

突っ込みを入れる呼吹を薫が宥める

そして勇刀に買ってもらった紙パックのジュースを飲み始めると

同時に本題に入る

 

「ユウユウは関東に派遣されていないので知らないかもしれませんガ、

最近美濃関の刀使達の動きが格段によくなっているんデス」

「ふむふむ」

「それだけならまだ良いんデス、強くなるのは良い事デスからでも問題はその後ナンですよ」

「何かあったのか?」

「なぜこの短期間で強くなれたのか聞いた…そうしたら」

「美濃関の生徒達に聞いて見てもいつもはぐらかされんだ」

 

美濃関生徒

 

MAさんの証言

「わわ私はわたしでがががががんばってるだけだから!誰にも教わってないから!」

 

KEさんの証言

「べ別にとと特別な事なんてししししてないよ~~~~おにい「可奈美それ以上は駄目!!」

 

「こんな具合だな」

「ホントにアイツ等何してんだ?」

「そこで私達は一つの真実に辿り着きましタ!美濃関は秘密裏に優秀な指導者を外部から

招きいれたのだと!」

「いやもう可奈美が答え言ってるよね」

「そしてその優秀な指導者とはズバリ!ユウユウ貴方デース!」

「いやそうだけど、どうしたエレン?なんかキャラがふわふわしてるぞ?疲れてるのか?」

 

ガタっと立ち上がって探偵が犯人を的中させた時の様に勇刀を指したエレンを座らせる

 

「やはりそうだったか、大方勇刀さんを自分達だけの物にしたかったんだろう、主に可奈美の考えそうなことだ」

「あのブラコンなら当然考えるよな、んで勇刀はどのくらいのペースで美濃関に行ってるんだ?」

「基本的に毎週、土曜日と日曜日一泊二日で稽古つけに行ってるけど」

「はぁっ!?お前そんなに行ってんのかよ!?」

「それなら、あの成長スピードにも納得がいくな、毎週勇刀さんの稽古を受けて強くならない方がおかしい」

「美濃関はまぁまぁ近いし、稽古つけに行くようになったのも美濃関の子達が学長に直談判しに行って、学長の許可が下りたからだしな」

 

「確かに羽島学長としても許可を出さない理由はありませんね、実績は十分そして生徒達からの信頼も篤い、こんな人材はそうそう居ませんからね」

「問題はその人材を美濃関が独占しているということナンデスヨ!衛藤勇刀は伍箇伝の共有財産であると言う事デス!」

「は?」

 

突拍子もない宣言に口をぽかーんと開けてい固まっていた

 

「言われてみればエレンさんの言うことにも一理あるわね」

「確かに力の差が開きすぎると迅速な作戦遂行に支障を来す可能性がありますね」

「私も…もっと強くなりたい」

「いや、そう言われてもな」

 

確かにミルヤの言っている事は勇刀も理解できる、部隊内で力の差があり過ぎると部隊の運用効率が下がってしまうというのは有名な話だ、故に現状美濃関だけが実力的に突出している状況を、他の四校を底上げして差を縮めようと言うのは至極当然の事だった

しかし勇刀的には女子高である鎌府と長船に行くのはどうしても気が引けていた

沙耶香とエレンの事だから、日程的にも美濃関と同じ物を要求してくるだろうというのは火を見るよりも明らかだった

 

「ユウユウお願いデス!長船にも稽古をつけに来て下サイ!」

「勇刀…鎌府にも、来て…」

「学長達は何て言ってるんだ?鎌府と長船なんて今特に大変だろ?高津学長は行方知れずだし、真庭学長も本部長代理で殆ど鎌倉だし」

「ウチは何の問題も無いってよ、むしろ指導は勇刀に一任するそうだ」

「真庭学長から伝言も預かっているわ、【衛藤兄へ、是非ともウチの連中を扱いてやってくれ、確かに女子高である長船へ宿泊で稽古をつけに来るのは気が進まないだろうが、当然対策はとるし其方からも何かあれば遠慮なく言ってもらって構わない、宜しく頼む】真庭学長からの伝言はこれで終わり、そして私からもお願い、私も強くなってもっとたくさんの人や仲間を、護れる様になりたいの!」

 

この様に刀使達の熱い思いを目の当たりにしていた時、その様子を傍から見ていた生徒達には

 

「くぅ~~!勇刀ばっかあんなに可愛い子達に囲まれやがって~~!」

「ナニあれ?修羅場?」

「えっ?衛藤君あんな可愛い子達に言い寄られてるの?」

「あれって伍箇伝の子達じゃね?御刀持ってるし」

「それにしてもホント可愛い子ばっかじゃねぇか」

「なー、流石我が校1のモテ男、その影響が他校のそれも刀使っつー国家公務員を養成する所にまで及ぶとは、恐るべし」

「いいなぁ、俺もあんな可愛い子達に言い寄られてみてぇ」

「あんたには一生無理よ」

「くぅぅぅぅぅ!!」

「悔しかったらもっと自分磨きな」

 

(それにしてもアイツ等、コソコソしやがって変な噂が流れたらどうしてくれんだよ)

 

こうして大挙して押し寄せた野次馬達が食堂の入り口から勇刀達を見つめていた事にもしっかりと気付いていた

 

 

(このまま長引くとどんな尾ひれが着くか解ったもんじゃねーな)

「は~解ったよ、女の子にこれだけ頼まれて頭下げられて、その思いに応えないってのは男としては最低だからな」

その言葉を聞いて少し間をおいて

「ユウユウありがとうございマーす!!大好きでーース!」

「勇刀…ありがとう…」

「ちょっ!?待て待てストップストップ!こんなところで抱き着いてくるなって!少しは周りを気にしろって!」

 

まず感情が表に出やすいエレンが沙耶香を巻き込むように勇刀に抱きつき椅子ごと後ろに倒れ、沙耶香も勇刀にそのまま抱きついた

 

「おいお前達、少しは場を弁えろ!」

「十条さんの言うとおりよ、二人とも少し落ち着いて!」

 

「ったく、騒がしい奴等だな」

「エレンは何時もの事だから慣れてるけどな」

「しかし糸見沙耶香があのような行動をとるとは予想外です」

「どうしてですか?」

「聞いていた情報にはあのような事をする様な人物では無いと思っていたので」

「まぁ実際オレもビックリしたわ、あの任務をこなす以外に興味を示さなかった沙耶香があんなことするなんてな、でもそれだけ勇刀の事を信頼してんだよ」

「へぇ~、まぁアタシは強くなれれば何でも良いんだけどな」

 

抱き着いて離れようとしない二人を常識人枠の二人が引き離そうと動きだし

それ以外の事の成り行きを見守っていた薫達は奢ってもらったジュースを飲みながら静観していた

そんな放課後の平和な時間が過ぎていくと誰もが思っていた

 

「っ!?」

「ワォ!?いきなりどうしたんですか?」

「…勇刀?」

押し倒されている状態からいきなり上体が起き上がった勇刀に驚いたエレンと沙耶香が問い掛けるが勇刀は天井を凝視していた

「来る…」

「来る?一体何が…っ!?」

勇刀が言葉を呟き校庭の方を向いた瞬間、刀使達の持っているスペクトラムファインダーが一斉に荒魂の出現を知らせるアラーム音を発した

そして校庭からは部活中だった生徒達の悲鳴が聞こえてきた

「なっなんだ!?」

「おぉい!あれって荒魂じゃねーのか!?」

「嘘だろ!?なんでこんな所に!」

 

「落ち着けぇえええええええええええ!!!!」

 

食堂に居た生徒達はいきなりの事に混乱していたが勇刀の

声で静まり返った

 

「一旦落ち着け!ここには俺達(刀使)が居る!慌てず落ち着いて教職員の指示にしたがって避難しろ!幸い校門はグラウンドとは反対方向だから安全に外に出られる!」

 

「勇刀さん!被害が出る前に速く行こう!」

「言われなくても!って御刀!」

「それなら心配すんな、もうじき来る」

「ねねーー!」

「おぉっ!?ねねが持ってきてくれたのか!サンキュー!後で何か食いもんでも奢ってやるよ!」

「私達も行くぞ!」

そう言ってねねから御刀を受け取り外へ出て行き、姫和達もその後に続いた

 

(今、彼はスペクトラムファインダーよりも速く荒魂の出現を察知していたような…気のせい、でしょう)

 

ミルヤも思考はそこそこに勇刀達の後を追った

 

グラウンドでは荒魂が現れた事でパニック状態になっていた

 

生徒達は逃げ惑い、部活の指導をしていた教員達は生徒を必死に逃がそうと大声で指示を飛ばしていたがグラウンドに現れた荒魂の叫び声で全てが無意味になっていた

 

「オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!」

「ひっ!きぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

 

そして一人の生徒が荒魂に押しつぶされようとしたその時

 

「よぉ、大丈夫か?」

「……えっ?衛藤君…」

「もう大丈夫だ…俺達が来た!!」

 

生徒が眼を開けた先には身の丈ほどの大刀で荒魂の鋭い牙を受け止めている勇刀が居た

 

「動けるなら速く安全な所へ走れ!それが無理なら!!おぉおおおおおお!!!」

 

勇刀は受け止めた牙を御刀で押し返し荒魂を押し退けた

 

「そこに居ろ、俺より後ろには絶対通さない!」

「うん!うん!!」

「よし!全員準備は良いか!」

 

「「「「「「「「はいっ!!!!!おうっ!!!」」」」」」」

 

「総員!抜刀!!写シ!!!」

 

荒魂を囲むように立つ刀使達が刀を抜き写シを張る

 

「戦闘開始!!」

 

その声と同時に一斉に行動を始める

 

「おっ先ぃーーー!」

 

案の定七之里呼吹が一足先に荒魂へ突っ込んで行った

 

「七之里呼吹!また!」

「あれがアイツのスタイルだ、好きにやらせてやれ」

「しかし!それでは連携が!」

「今は俺が居る安心しろ、アイツがヘマしても俺がカバーしてやれる、それに学校が戦場になってる時点で短期決戦しか考えてねぇよ、お前もだろ?木寅」

「はい、では問題児はお任せします。」

「おう任せろ、とっとと終わらせて帰ろうや」

 

そして二人もそれぞれのポジションに着き

 

「それじゃぁ作戦はここに来る途中に伝えたとおりだ!攻撃手は俺とフッキー!撹乱は姫和ちゃんと沙耶香ちゃん! エレンと瀬戸内さんと木寅と清香ちゃんは二人一組で荒魂がグラウンドから出ない様に牽制だ、止めは薫だ!しっかり準備しとけよ!」

 

「「「「「「「「了解!!!」」」」」」」」

 

そこからの行動は早かった

 

「やっぱりお前と組むと好きに暴れられるからサイコーだぜ!!」

「俺以外だとこうはいかねーもんな!今は好きに暴れて良いぜ!」

「ははっ!やっぱりお前は最高だぜ!アイシテルぜ!勇刀!!」

「「「「「「「!?!?!?!?!?!?」」」」」」

 

呼吹の大胆カミングアウトに一瞬戦慄するも、いつも通りの言動に近い物である為

気のせいだとして頭の隅に追いやった、自分がやるべき事を完璧にこなす為に

 

「そういうのは本当に大切な時の為に取っときな!でも、悪かないなっ!」

「さぁどんどん行くぜぇ!!」

 

「行くぞ!荒魂を好きに行動させるな!」

「わかりました!」

 

「エレンさん私達も行きましょう!」

「ハイ!お仕事の時間デス」

 

「沙耶香、私達も行くぞ」

「うん、頑張って勇刀に誉めてもらう…」

 

その後荒魂を追い詰めようとするが

 

「くっ!この荒魂予想以上に硬いわね!」

「やっぱり頭以外も結構な硬度があるらしいな、薫気合い入れて打ち込まないと長引くぞ!」

「は~マジか~、楽に終わると思ってたんだけどな~」

「よーし、んじゃ真庭学長には薫はやる気がありませんでしたって俺が報告しとくは、あ~ぁそんな報告が上がったら真庭学長怒って薫に無茶な任務やらせるんだろうな~~」

「ひぃっ!ヤメロ!そんなことされたら、任務でなく直に殺される!」

「じゃぁやる気出せ!んで終わったら俺んちで飯にしようぜ!薫の好きなもの作ってやるよ」

 

「なん…だと?」

「ユウユウの」

「家で」

「ご飯」

 

勇刀の言葉に反応したのは薫だけではなかった

 

(これは散々可奈美に自慢されてきた勇刀さんの手料理を食べる絶好のチャンス!)

(しかも上手く行けば、そのまま勇刀の家に泊まって仕事を正当な理由で休める!)

(フフフ!残念でしたねカナミン!そして美濃関の皆サン!ユウユウの手料理は私達が美味しくいただきマース!)

(勇刀のご飯…楽しみ…その為にもこの荒魂を)

 

((((即刻片付ける!!!!))))

 

一部の刀使達の心が1つになった瞬間だった

 

 

同時刻 鎌倉、鎌府女学院 女子寮

 

「はっ!!誰かがお兄ちゃんの手料理を食べようとしてる!!!」

 

 

場所は戻り、勇刀達は突如動きのよくなったメンバーを軸に攻撃していた

軸になっているメンバーの動きは凄まじく鬼気迫るオーラを発していた

 

「オラァ!ひよよん!もっと気合い入れろ!でないと勇刀の飯食うのが遅くなるだろ!」

「わかっている!お前こそ準備は出来ているんだろうな!」

「いつでも来いオラ!ひよよんは自分の胸が成長したときの準備でもしてろ!」

「しょうちしたきさまはきる!!」

「二人とも!お決まりの喧嘩をしている場合ではアリマセン!」

「そう、すぐに、迅速に、これを、処理する」

 

4人は喧嘩をしながらも確実に自分の仕事をこなしていた

もはやこの4人だけで良いのではないかと言うほどの働きだった

 

「あの4人は急にどうしたのですか?彼が食事の話をした途端に今までの3倍以上の動きを見せていますが」

「たぶん衛藤さんのお兄さんの手料理が凄く美味しいからだと思います」

「そうなの?清香ちゃん」

「はい、私もほのちゃんからお話だけしか聞いていないので詳しくはわからないんですけど」

「そうなのですね、では私達も早く加勢しましょう、ノロの回収部隊が来る頃には良い時間でしょうから」

 

そして調査隊の3人も加わり

 

「薫!!叩き斬れ!!」

「任せろ!!キィエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!!」

 

薫の渾身の猿叫と共に荒魂はノロとなり崩れ落ちた

 

「ふぅ」

「ナイス薫、んじゃノロの回収部隊呼ぶから、不用意に人が近づかないように封鎖しといて、先生達には俺からも伝えとくから」

「解ったここは任せてくれ」

 

 

勇刀はスペクトラムファインダーで特別祭祀機動隊にノロ回収部隊を要請し、そのまま生徒と共に避難していた教師に状況の説明をして生徒達をグラウンドに近づけない様に周知させて、今日はこのまま全生徒を下校させるように指示を出した

 

そしてグラウンドに戻りながら今日の夕飯の献立を考えていた

 

「今日の夕飯どうすっかな~、とりあえずアイツ等にリクエスト聞いて買い物行くか」

「よぉ回収部隊の方はどうだった?」

「あぁ、護衛の刀使とこっちに向かってる、30分位で着くってよ」

「回収部隊に護衛の刀使を着けると言う事は、ノロの強奪犯を警戒しての事でしょう」

「あぁ、この前、真庭本部長から連絡のあった奴か、フードの刀使、容姿も目的も思想も一切不明で神出鬼没、まぁ今回に限っては出てこないだろ、そいつにまともな判断力があればな」

「そうだと良いですね」

 

「おーーーい!!勇刀―――――!!」

「あっ!?お前ら何してんだ!全校生徒は即時下校って言われただろ!」

 

仕事の話をしていると研吾達が駆け寄って来た

 

「心配だったからつい」

「勇刀のクラスメイトか?」

「俺の友達だよ、つーかお前等何しに来た」

「勇刀の同僚である可愛い刀使さん達を拝みにkブフェッ!!」

「下心丸出しかよ!」

「マーマー、オトモダチもユウユウを心配して来てくれたんですから、少し位大目に見てあげまショウ」

「そうだけど、そういうわけにもいかねーだろ、ん?どうした研吾?」

「………」

 

勇刀は先程からエレンの方を見て固まっている研吾に話しかけるが反応が無かったが次の瞬間

 

「そ、それは制服と言う名の凶器ですね!お嬢さーーーーーーん!!」

「寝てろ!」

「グヘッ!!キュウ~~~~~~………」

「わりぃ晴季、この変態の事頼むわ」

「あぁ、任せろ」

 

エレンの胸に飛び込もうとした研吾の首に手刀を叩き込み気絶させ、一番体格の良い晴季に任せた

 

「OH!なんだかねねみたいな人でしたネ~」

「悪いなエレン、驚いただろ?」

「何んとも無いですヨ、ユウユウが何もしなくても、私一人で対処出来ましたカラ」

「それでもだ、いくら御刀を持っていると言ったって刀使だって言ったって、皆は女の子だ、それは何があろうと変わらないんだよ」

「ユウユウ…」

「だからこの力を手に入れた時に、俺は護ると決めた物がある」

「まさか勇刀さん、貴方が護ろうとしているのは」

「俺は荒魂から一般の人達だけじゃない、刀使の皆も護る、それが俺の護ると決めた物だ、だから安心しろ、俺の眼が黒い内は、俺の目の前じゃ誰も死なせない」

 

その決意は言葉に乗り、その場に居てそれを聞いた者全ての心に響いた

しかし、その決意には盲点もあった

「でも、それじゃぁ…誰が勇刀を、護ってくれるの?」

「あ~…」

「沙耶香の言う通りだ、勇刀さんは何時も私達刀使の事を一番に考えて護ってくれる、しかし貴方にもしもの事があったら」

 

沙耶香と姫和の言葉に勇刀は明後日の方向を見ながら頭を掻いて言葉を濁す

まさか自分の心配をされるとは思わなかったと言った反応だった

それでもすぐに持ち直してこう続けた

 

「ん~、じゃぁその時は皆にお願いしようかな、だから俺が安心して皆に任せられるように強くなってくれ」

「おいおい、勇刀に認められるようになるって、どんだけ強くならないといけないんだ」

「私達も頑張って強くならいとね!」

「頑張りましょうね十条さん!」

「あぁ!今度こそ確実にタギツヒメを」

 

口々に自分達の想いを言葉にする彼女達を見た勇刀の顔は自然と緩んでいた

これから成長し強く大きい翼を持つ雛鳥達の羽ばたきを楽しみにしているようだった

 

そこへ予定よりも速くノロの回収部隊が到着し、ノロを回収している最中の事だった

 

「は~~、これが終わればオレ達の仕事は終わりだな」

「最後まで気を抜くな、まだ襲撃犯が来ないとも限らないんだぞ」

「流石にそれは無いだろ、今までは護衛が手薄だったから襲撃してきたんだろうが、今回は六刃将隊長で折神紫と同等クラスの最強刀使と目される勇刀が居るんだ、そこに態々襲撃なんてして来ないだろ」

「そうですね、そうだといいですね」

「でも逆にそういう油断を突いて来るかもしれませんヨ!」

「おいエレン物騒な事言うなよ!フラグが立っちまったらどうすんだ!」

「強ちありえないとは断言できません。警戒は行って然るべきですよ、益子薫」

「そうね、これだけの戦力が居てノロの強奪を防げなかった時のほうが深刻だものね」

「まぁそうやって話してる内に回収作業も終わりそうだし、もう大丈夫だろ…っ!!」

 

その時、学校のフェンスの向こう側から黒い影が勇刀に襲い掛かった

しかし向けられた刃を御刀で受け止め相手を弾き飛ばす事で距離を取った

 

「おぉっと!あぶねぇ!まさかホントに来やがるとはな!」

「勇刀さん!!」

「お前等は周辺警戒!!襲撃犯がコイツだけとは限らないからな!木寅指揮は任せた!」

「了解!調査隊は生徒達の保護!その他は回収部隊のガードにまわれ!」

「「「「「「「了解!!!」」」」」」」

 

ミルヤの的確な指示の下それぞれが行動し勇刀が存分に戦えるようにスペースを確保すると勇刀は襲撃犯に鋭い眼光と殺気をぶつける

 

「一つ聞きてぇんだけどよ、何でこのタイミングで実行した、回収した後に襲撃してノロを奪う方がよっぽど安全だったじゃねーか?」

「………」

「だんまりかよっ!!」

「っ……!」

「せぇいっ!!」

 

襲撃犯は勇刀の御刀を回避するのが精一杯といった様子だった

現に回避が間に合わずガードを余儀なくされた時は数メートルは吹き飛ばされていた

 

(剣を合わせた時の感覚からしてこいつが刀使ではない事は確かだ、でもこんなところで悠長に分析しながら戦ってられねぇよな)

 

勇刀は周囲を見渡し状況を確認する、自らの通う学校が戦場となり、いつもであれば部活動に励む生徒達の声で活気づいている頃のはずだが学校は静まり返りただ金属同士がぶつかり合う音が響いているだけだった、そして音の発生源を険しい顔で見守る刀使達と怯えた様子でただ立ち尽くしているクラスメイト達、その様子を見た勇刀にはすぐにでも襲撃犯を叩き斬るという選択肢しか無くなった

 

「悪いな、ここは悠長に戦っていて良い場所じゃねぇんだ」

勇刀は切先を襲撃犯に向け威圧する

「っ!!」

「はぁっ!!」

「クッ!!」

 

勇刀は敵が怯んだ一瞬の隙を見逃さずに斬りかかり

袈裟切りで振り下ろしたが敵は寸での所で半歩下がる事で致命傷を避けたが、それでも浅くは無い傷を負った

 

「グッ!!……潮時か」

「逃げた!?」

「逃がすか!」

「待て追うな!」

 

勇刀は追おうとする姫和とミルヤに待ったをかける

 

「しかし奴は貴方との戦いで消耗している!今が絶好のチャンスなのですよ!」

「それを何故追うなと!」

「奴にはそう浅くは無い傷を負わせた、当分の間はノロの強奪なんて出来やしない」

「なら尚更奴を斬るべきです!」

「木寅ミルヤッ!!!!」

「っ!!」

 

ミルヤは急に大声で呼ばれ一瞬身体を強張らせた

勇刀はミルヤに近づき手を伸ばす

 

「っ~~~~~~っ!?ひょふほ、はひほふふんへふは!」

「そんな怖い顔すんなよ、綺麗な顔が台無しだぞ?」

「ふぇえ!?」

 

勇刀はミルヤのほっぺを摘まみ、捏ね繰り回していた

 

「一回落ち着け、俺達はもう当初の目的を果たしてるんだ、その上に素性も能力も未知数な敵を追いかける必要はない、今俺達がするべき事はそうじゃないんだ」

「ぷわぁ!では今私達がやるべき事とは…」

「それは……」

 

勇刀はミルヤのほっぺから手を離して笑顔で宣言する

 

「この荒魂の残骸をとっとと片付けて飯を食う事だ!!!!」

「「「「「「えっ?」」」」」」」

 

その場に居た全員が素っ頓狂な声を出してしまった

がそんな事もお構いなしに晴れやかな笑顔で笑いながら姫和にも近づく

姫和の頭を撫でながら、目線を合わせてしっかりと眼をあわせる

 

「俺達は今回、偶然アイツに遭遇しただけで本来の仕事は荒魂を祓い、ノロを回収し荒魂に対抗できない人達を護る事だ、今日の俺達の成果は荒魂を祓って、ノロも回収して、襲撃犯は撃退してって最高の出来じゃん、襲撃犯への対処はまた別件だ」

「それは、そうだが……ふわぁ!」

 

姫和はまだ納得が出来ない様子で俯いていたが勇刀に頬を引っ張られ顔を上げさせられた

 

「だーかーら、今回は奴と戦う時じゃ無かったってだけだ!これから先でその時が来れば否が応でもアイツと向き合わなきゃいけない時が来る、だから余計な物まで背負い込むな、特に姫和ちゃんは」

「ほほへほれほ!?」

「和人から聞いたよ、柊の血を継ぐ姫和ちゃんの家の宿命も、最初っからそんな重い物を背負ってるのにまた新しく背負い込む事なんて無いんだよ」

 

姫和は勇刀の優しい言葉に思わず、黙ってしまう

 

「………」

「姫和ちゃんが居なくなったら可奈美は勿論俺だって悲しいし、それはエレンや薫や沙耶香ちゃん、調査隊の皆だって同じだ、それに一番悲しむのは唯一の肉親である和人だ」

「そへへほ、わはひわ…」

「姫和ちゃんには、俺達がそんなに頼りなく見えるか?」

「っ!そんな事は無いです!勇刀さん達はっ兄さんはっ凄く頼もしいです!でもこれは私が独りで……それが柊の宿命ですから」

 

姫和は思わず頬を摘まんでいる勇刀の手を掴んで離し力強く手を握る

握っている姫和の手は心なしか小さく震えていた

 

「そんな今にも泣き出しそうな眼で言われても説得力なんて無いぞ、姫和ちゃんは何でもかんでも背負って立てるほど頑丈じゃないんだよ、それは人間である限り誰でも一緒だ、俺も折神紫もな、だから分けろ、俺の肩にも和人の肩にもちょっとずつ乗っけてちょっとずつ立てば良い、姫和ちゃんは独りなんかじゃないんだから」

 

周囲を見渡すと仲間達が居た、全員が頼もしく見えた、その事が姫和の心に余裕を生んだ

その時姫和はどこか身体が軽くなるのを感じた、この人とならどんな事でも成し遂げられるとそう感じさせる程だった

 

「おーい、ノロの回収終わったとさ~~」

「おっ!ならさっさと買い出しして帰るか!何作るかは買い物しながら決めよう!」

「なあなあ!プリン買って帰ろうぜ!食後のデザートに!」

「あ~そう言えば家の冷蔵庫に、この間試しに作ったプリンがあったな」

「お前、デザートも作れんのかよ!?本当に男か!?」

「なんだ?フッキー?そんなに疑うなら食ってみるか?」

「アタシはプリンにはうるさいぜ!」

 

そう言ってワイワイと歩き出す仲間達の背中を見ながら姫和は微笑んでいた

そして自分も仲間達の輪に加わる為に後を追う

 

「勇刀さん!チョコミントアイスはありますか?」

「ん~~流石にそれは無いから帰りに買って帰るか!」

「良いんですか!ありがとうございます!」

「いいよ」

 

「おーい!勇刀!俺達も飯食いに言って良いか?」

「えー、俺は良いけど皆は?」

「私は全然オッケーデース!」

「オレも構わんぞ」

という具合に特に反対意見も出なかった為、研吾達も参加する事になった、

「んで~?今日は何作るんだ?」

「それを買い出し中に考えんだよ、お前らも何か案出せ」

 

この後勇刀の家での食事会は始まった

 

続く

 




文字数にして11399文字という現時点での最長記録を樹立してしまいました。
次は衛藤家での食事回です。
お楽しみに
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