「さぁ~て、今日は何作ろうかな~」
「なぁ買い物は何処でするんだ?スーパーか?」
「ん~それでも良いんだけど俺は何時も商店街の八百屋さんとかで買ってるな」
俺は研吾達には先に帰って荷物を置いてくる様に言っておき、俺はエレン達と買い物をしていた
「しかし先程から凄いですね」
「おう、衛藤のボウズ!おめぇさん、そんな別嬪さん大勢引き連れて羨ましいねぇ!」
「おいおい、おっちゃん、そんなに鼻の下伸ばしてるとまたばっちゃんに叱られるぞ」
「ははは!そいつは勘弁だな!」
「あっ!勇刀の兄ちゃん!今度剣術教えてくれよ!」
「暇があればな、ちゃんと自主練しとけよ」
「「「「オッス!!!!」」」」
商店街に入ってから勇刀は老若男女問わず、あらゆる人に話しかけられていた
それは買い物をしているときも変わらなかった
「あらあら勇刀ちゃん、今日は可奈美ちゃんと一緒じゃないのね?」
「可奈美は今寮生活になったからねぇ~」
「でも今日は随分と大人数なのね」
「あぁ俺の新しい友達で刀使さん、なんだぜ」
「あらあらそうなの~、いつもお世話になってます、刀使さん達が居てくれるおかげで平和に過ごせてるわ」
八百屋のお婆ちゃん、のんびりしたしゃべり方とお礼に
皆は照れくさそうに、少しぎこちない返答をしてしまっていた
「そうだわ勇刀ちゃん、今日はこれをサービスしてあげるわね」
そういうと勇刀の持っていた袋にリンゴを数個入れてくれた
「本当に良いの?」
「良いのよ、勇刀ちゃんはこの町自慢の刀使さんだからね」
「ありがとばあちゃん、また買い物に来るよ」
「えぇ待ってるわね」
その次に寄った肉屋さんでは
「おぉ!衛藤さんとこの!さっきは家の娘を助けてもらったみたいで!本当にありがとう!!お前からもちゃんとお礼しなさい!」
「あっあのえっと…あの時は助けてくれて…その、ありがとうございました」
「あぁ!ここ君の家だったのか!さっきは間に合ってよかったよ、怪我は大丈夫?」
「は、はい転んだ時に出来た擦り傷とかだけで、大した物はありません」
お店の奥から出てきたのは先程荒魂に襲われそうになっていた女子生徒だった
腕などに絆創膏やガーゼ等を貼ってはいるが元気そうにしていた
「そっかなら良かった、傷も痕が残らない様に治ると良いね」
「はっはい、そのえっと……」
女子生徒は顔を赤くしてスススと父親の後ろに隠れてしまった
「ははは、悪いねぇこの子は昔から男の子には人見知りが激しくてねぇ、んで今日は何をお求めで?」
「今日はハンバーグにしようと思ってるんだけど、良い肉はある?」
「おぉ!あるぜぇ!とっておきのがな、娘を助けてくれた礼だ、コイツを持ってってくれ!」
「デケェ!なんだこの肉の塊!!」
「おうよ!斬り分けて丸ごと焼いてローストビーフにしても良し!厚切りにしてステーキにしても良しの最高級牛肉だ!好きなように料理して食べてくんな!」
店主が出して来たのは巨大な肉塊だった、それも見るからに高級そうな
それを目の前にした勇刀達は一瞬言葉を失っていた
「おっちゃんありがとう!コイツはオレ達が責任もって美味しくいただくぞ!!」
「あぁ!そうしてやってくれ!これ食って精つけてくれ!衛藤さんとこの子なら上手く料理してくれっから安心しな!」
「いやいやいや!いくらなんでもこんな高そうな肉タダでもらえるわけないでしょ!?てか薫、お前も勝手に話を進めんな!」
「バカヤロウ!この厚意を勇刀は無碍にするっていうのか!オレにはそんなこと出来ないぞ!」
「そうだぜ、こういうのは素直に受け取っておくもんだ、コイツは人生の先輩からのお節介だ、それともウチの娘を貰ってくれるかい?」
「っ!ちょっとお父さん!」
娘は顔を真っ赤しにポカポカと父の背中を叩き抗議し、父親はハッハッハッハッハ!と
豪快にあっけらかんと笑っていた
勇刀は手を額に宛てて呆れたというようなポーズをしていた
「んで?どっちを持ってく?」
「肉に決まってんだろ!自分の娘と肉を同列で扱うな!アンタ其れでも親か!?」
「おいおい、見縊ってもらっちゃ困るぜボウズ!お前さんにだからこんな事言えるんだぜ、うちの娘を託せるのはここらじゃお前さんしかいねぇんだ」
「ごめんなさい!ごめんなさい!父が変な事ばかり!」
「なんかすげえ豪快なオヤジだな」
「えぇ…少し驚きました」
「おっ?なんだ?後ろにもまた偉い別嬪さん達がいるじゃねぇか!モテモテだねぇこの色男!」
「もーお父さんいい加減にしてよーーー!!」
この直後余りの騒がしさに店の奥から出てきた奥さんに親父さんは叱られ
大人しくなり、娘にも数週間口をきいてもらえなかったそうな
そして他の買い物も済ませ帰路の途中
「あ~~マジでどっと疲れた……」
「お疲れ様です、勇刀さん」
「ありがとう姫和ちゃん、悪いね荷物持って貰っちゃって」
「ご馳走になるんですから、これ位させて下さい。どうせなら料理のお手伝いもします。」
「ありがとう、将来姫和ちゃんは良いお嫁さんになるよ」
「およめっ!…さん……私が、勇刀さんの…およめ…さん」
「あれ?姫和ちゃん?」
「それじゃぁオレ達はコインロッカーに預けてた荷物取りに行くから、夕飯の準備は頼んだ」
「あっあぁ荷物は任せたぞ薫」
「私達は先に料理の準備を進めちゃうわね」
「ハイ!お願いしマース!」
勇刀と姫和と知恵以外のメンバーはコインロッカーに預けた自分達の荷物を回収するために駅に向かった、勇刀は沙耶香の端末に家の位置情報を送っておき、道に迷う事がない様にしておいた
そして帰宅すると家の前では既に研吾達が集合していた
「おかえりー!待ってたぜ―!」
「待たせたな、お前等は適当に寛いでてくれ、俺達はすぐ飯作るから」
研吾達を招き入れ一旦自室に戻ってカバンを置き、ブレザーだけをハンガーにかけ、またリビングに戻る
「ここが勇刀さんと可奈美の家」
「なんだか至って普通の家ね」
「まぁ、親父がどんな仕事をしてるか解らないってのを除けば、普通の家庭だからな、じゃぁ二人とも手伝って」
「解りました!」
「任せて!」
「勇刀――俺達も何か手伝うか~~?」
「じゃぁテーブルにクロスかけといて、それ以外はまた後で頼むわ」
「よぉし!任せろ!!」
研吾達はリビングにある大きなテーブルにクロスをかけちょっとした掃除を始めた
「さて、んじゃまずサラダから作るか」
「そうね、手早く作れる物から用意しちゃいましょうか」
姫和と智恵は手分けして大きなボウル水を張りキャベツとレタスを適当な大きさに千切り入れ取り出し水気を切りお皿に盛り、その上から戻したワカメやニンジン、玉葱をスライスし、それらを均等に混ぜ合わせて大きめの皿二枚に盛り付け
勇刀は魚屋で買ったサーモンやマグロの赤身といった魚の切り身を、刺身よりも薄めにスライスし、先に皿に盛ってあったサラダの上に乗せる
「ドレッシングは取り分けた後でお好みでかけて貰おう、さて次は肉だな」
勇刀は肉屋で受け取った
肉の塊を丸ごと半分に切り片方を密封出来る袋に入れその中に肉が浸るぐらいコーラを注ぎ始めた
「これで後は1時間位冷蔵庫で寝かせて置こう」
「お肉を軟らかくする方法はいくつかあるけれど、コーラに漬けるのは初めてみたわ」
「私もです。家ではヨーグルトや牛乳によく漬けていました。」
「まぁこういうのは手に入れやすい物を使うのが一番良いんだよ、それこそ自分が扱いやすい物をな、さーて次は何作ろうかな」
「そう言えば、さっき切り分けたもう半分のお肉はどうするんですか?」
次の料理に取り掛かる準備をしていた勇刀に姫和が聞くと
準備を進めながら答える
「可奈美の分だよ、アイツだって荒魂から沢山の人達を護る為に頑張ってるのに久しぶりに帰って来て、何もない何て寂しいじゃん」
「でもいつ帰って来るかなんて、確実にはわからないんじゃ」
「いや2日以内には必ず帰って来る、確実にだ」
二人が見た勇刀の横顔は確信を持って、可奈美が帰って来る事を信じて疑わないという表情をしていた、
「やっぱり勇刀君もお兄さんなのね衛藤さんの事は何でもお見通しね」
「伊達に長い事可奈美の兄やってないよ、さーて食べ盛りが多いからな、じゃんじゃん作るか」
「そうね!材料を余らせちゃうのも勿体無いものね!」
そうして3人は色々な料理を作って行く、この時の3人の手際の良さは目を見張る物があり、その様子を見ていた研吾達は「この3人なら店を出せるのでは」と其々の脳裏をよぎった
そうさせるほどに料理の腕前が同年代の誰よりも秀でていたという何よりの証明だった
ピンポーーン
「おっ来たか、二人ともここ任せて良いか?」
「はい、大丈夫です」
「あと、もう少しで終わるから後は私達でやっておくわね」
勇刀はキッチンを二人に任せて玄関へ向かい、ドアを開けると
「ユウユウ!おじゃましマース!」
門の前にはエレン達、荷物回収組が居た、ほぼ全員が違う学校の制服を着ているので物凄く目立つ集団だった
勇刀は門を開きエレン達を家に招き入れる
「駅からここまで迷わなかったか?」
「大丈夫、勇刀が家までの地図をくれたから、真っ直ぐ来れた」
「そうか、なら良かった荷物はリビングの隅にでも置いといてくれ、食事の準備も出来てるから」
リビングに入るとテーブルには所狭しと料理が置かれていた
「おぉーー!こりゃすげぇな!」
「これ程の料理をたった3人、しかもこの短時間で用意するとは、凄いですね」
「まぁ手伝ってくれた二人の手際が良かったからな、んじゃエレン達は手を洗って来な、洗面所は向こうだから」
「了解デス!」
料理の多さに薫とミルヤも驚いていた
そして手洗いの指示を出し、自身もキッチンで手を洗い配膳や盛り付けの手伝いをする
そして
「え~~それでは皆様!本日はお集まりいただき誠にありがとうございます!乾杯の挨拶は僭越ながら私、朝井研吾が務めさせていただきます!」
何故かジュースの入ったグラスを持ち、乾杯の音頭を取ろうとしている研吾が居た
「なぁ良いのか?アレ」
「…まぁ、そのなんだ……やらせてやってくれ」
「研吾さんがウザくてゴメンね~~」
「ソコォ!他人の悪口を本人の前で堂々と言うなぁ!!」
「研吾…早くしてくれ、早く食べたい」
「解ったよ!えぇ~~今日の出会いを祝して乾杯!!」
「「「「「「かんぱ~~~~~~い!!」」」」」」」
こうして衛藤家での宴会が始まった
「おぉっ!この出汁巻き卵うめぇ!」
「この唐揚げもカリッカリでめちゃくちゃ美味い!!」
「ん~~~っ!また料理上手くなったな勇刀!」
「そりゃ毎日料理してたら嫌でも上手くなるだろうよ、食事は大事だからな」
「うん、私…勇刀の料理好き、心が温かくなる、舞衣のクッキーと同じ位好き」
「そっかそっか、それは光栄だね、沙耶香ちゃんは普段どんな物食べてるの?」
この質問によって鎌府が勇刀の怒りを買うことになるとは誰も思っていなかった
「え?携行栄養保存食とか…」
「……は?」
「サーヤそれは本当ですか?」
「うん、高津学長達が開発した、最新の栄養食って言ってた…ダメだった?」
「だけどあれだけだと食った気しねぇんだよな~」
「そりゃそうだろう、しかし鎌府は大丈夫なのか?」
「大丈夫な訳ないだろ、鎌府には今度俺が直接話しとく、沙耶香ちゃん今日は好きなだけ食べて良いよ!」
「うん沢山食べる、いただきます」
沙耶香は美味しそうに料理を可愛らしく咀嚼する
そんな沙耶香を見て勇刀は溜め息をつく
そこへエレンが隣に座る
「ユウユウ、鎌府の事はどうするつもりデスカ?」
「今すぐにどうこうする気はないけど近い内に話しはするよ、エレンも何かあったらすぐに言えよ?力になってやれるかもしれないから」
勇刀はエレンの頭を撫でエレンもそれを受け入れる
「ユウユウは本当に優しいデスネ」
「そうでもねーよ、んじゃそろそろ薫お待ちかねの物ができた頃かな?」
「ん?」
「ちょっと待ってろ」
勇刀はキッチンに向かい炊飯器を開けそこから密閉された袋に入った肉の塊を薫に見せた
「そっそれは!肉屋のおっちゃんがくれた肉!!」
「薫の分は丼にしてやる、それ以外のは新しくサラダに乗せて出すから葉っぱで巻いて食うなりして好きに食べて良いぜ」
「勇刀…お前は神か……」
「よせやい照れるだろ!んじゃちょっと待ってな」
勇刀はキッチンに戻り作業を始めた
そして改めて部屋の中を見渡してみるとある事に気付いた
「先程から気になっていたのですが、彼ほどの剣の腕があれば色々な大会で優秀な成績を納めていると思ったのですが、賞状やトロフィーと言った物は無いのですね」
ミルヤの言う通りリビングを見渡してみても賞状やトロフィーといった物が見当たらなかった
確かに勇刀程の実力があれば国内で開催される出場可能な大会では常に上位は愚か優勝さえ確実だろう、しかしその証明となるものは一つも無かった
「あー、勇刀はそういうのに全然興味無いらしいから」
「興味が無い?」
祝がなんとも無しに話始めた
「それはどういう事なんでしょうか?」
「勇刀は競い合う為に強くなったわけじゃないんだって」
「あー、勇刀なら言いそうだな、絶対可奈美を護るためだって感じだろ?」
「せいかーい、ほんとに何処でも変わらないんだね勇刀は、研吾さんはどうなんです?僕達の中で一番付き合い長いよね?」
「んぁ?そうだなぁ…でも一番アイツが変わったのは、やっぱり勇刀と可奈美ちゃんのお母さんが亡くなってからかな」
人生の転機は人に様々な影響を与える、ポジティブな影響またはネガティブな影響、しかしそれは与えられるだけであり
その与えられた物をどう処理し変化するかは与えられた本人に全て委ねられる
その場に居た全員が研吾から発せられる次の言葉を待つ、この場に居る誰よりも彼の事を昔から知っている人物だと言う事を理解している、そして今までの口ぶりから理解した
「俺は昔の勇刀の方が心から笑ってたと思うな、勇刀ってお母さんの事大好きだったんだよ、お母さんといる時はいつもべったりですっごいニコニコしてて幸せそうだった、でもお母さんを亡くして直ぐの頃は全く笑わなくなっちまったんだ」
「笑わなくなった?」
「流石にショックだったんだよ、まだ小学生だったし少しの間学校も休みがちにもなってたし、その頃から親父さんが家を空ける事が多くなってな、殆ど可奈美ちゃんと二人暮らしみたいになっちまってたんだ」
「そうですよね…そうなっちゃいますよね。そんなに大好きだったお母さんを亡くしてしまったら」
「それにお父さんまで…」
「それ以降、勇刀は大切な人を護るって事に固執し始めてアイツは、少しずつ変わって行っちまった、そんな時にあの事件が起きた」
「事件?」
大切な者を護る、それが勇刀の初期衝動、力の源泉、そしてそれを彼が認識する事になる事件があった
「あぁ、勇刀が休みがちだった頃からだんだんと学校に来るようになって、一部の奴等が勇刀と可奈美ちゃんにちょっかいを出す様になったんだ、それがだんだんエスカレートして行って最終的に集団によるいじめにまで発展したんだ」
「…聞きたくはないのだけど、それで終わるわけじゃないのよね?」
「モチロン!アイツは可奈美ちゃんを虐めてた上級生の男子を返り討ちにして、その事を聞きつけたそいつの中学生だった兄貴が連れてきた友達連中10~20人を竹刀と木刀の二振りだけで全員をボッコボコのフルボッコにしちまったんだよ!まだ小学生だった男の子一人で」
「お~お~、衛藤勇刀最強伝説の幕開けだな」
その時の事は今でも地元住民と学校関係者の間で語り継がれているという
その後は周囲からの証言と研吾が現場に連れてきた大人達からの証言で非は勇刀と可奈美を虐めていた側にあるとして、件の上級生とその兄は他所に転校し、暴行に関与した兄の同級生達にも同様の処罰が下された。
と言うのも今回の事に関与した加害者達は以前より黒い噂が絶えず上がっており
この事件をきっかけに次々と隠蔽されていた悪事が芋づる式に発覚した為に重い処罰が下されたのだそうだ
「まぁ勿論勇刀にも何かしら罰があるって話だったんだけど、商店街の大人達が挙って勇刀に味方してくれたお陰で勇刀は無罪放免でお咎め無しってなったんだ」
(大切な家族を護る為に立ち向かったあの子が何故罰を受けなきゃいけないんだ!)
(本当に罰し省みるべきはこんな事態になるまで何も出来なかった俺達大人だろう!)
(もっと人との接し方・関わり方を教えてあげるべきだろう!頭を良くするだけが学校の役割じゃないよ!アンタ達学校だけじゃ無理だって言うんならアタシ達も手伝うよ!)
「それからは勇刀達に絡んでくる奴等も居なくなって、徐々に笑顔も増えて行って今に至ると言うう感じかね」
「ユウユウにそんな過去があったなんて、知りませんデシタ」
「これ以上話すと勇刀に怒られちまうから、終わり!それよりも飯食おうぜ!」
「おーい肉の準備で来たぞ~~!」
「おっ!待ってたぜ勇刀!オレのローストビーフ丼!!」
「そんなに焦るな薫!別に逃げやしねぇよ!薫以外はこっちな」
丁度いいタイミングで勇刀が料理を持って戻って来た為、勇刀の昔話は終わった
そして薫は勇刀御手製のローストビーフ丼を味わい尽くし、他のメンバーもまた目の前の料理に舌鼓を打っていた
そんな時間もあっという間に過ぎお開きの時間になった
「じゃぁ気をつけて帰れよ」
「んじゃ勇刀!ご馳走様!」
「また、機会があったら頼む」
「刀使の人達と沢山御話が出来て楽しかったよ、また遊びに来てね」
「それじゃぁ、勇刀君!お邪魔しました!今度は私の手料理ご馳走するね!」
勇刀は門の前で4人を見送り家に戻ると
ご飯のお礼と言う事でエレン達が後片付けをしてくれていた
「悪いな後片付けしてもらって」
「この位させてください。それでなくても勇刀さんにはお世話になっているんですから」
「うん、勇刀にはいつも貰ってばかりだから…少しはお返ししたい、から」
「そっか、なら御言葉に甘えようかな」
勇刀は綺麗になったリビングでソファーに腰掛け部屋を見渡していると、視界にエレン達が持ってきた荷物が入った
各々が持ってきたキャリーバックは大きめで遠征に行く時などに使用する物のようだった
ここで勇刀の脳裏にある可能性が過った
「なぁ、お前等…そう言えば今日どうすんの?」
その言葉を聞いた瞬間に全員の動きが止まる
「???………っ!お前等もしかして…」
「ゆっユウユウ!?」
その挙動を見て何かを感じ取った勇刀は近くにいたエレンに後ろから近づき抱き締めた
「なぁ…エレン」
「なっなんデスカ?そんな耳元で囁かれると、くすぐったいデ~ス」
「皆、今日この後どうするつもりなんだ?」
「えっ…と、その」
「ん~~~?歯切れが悪いな?いつもの勢いはどうした?」
勇刀はエレンの耳元で甘く囁きエレンはくすぐったそうに身を捩るが一層強く抱き締める
「えっと、そのデスネ…んっ、ユウユウにお願いがっ」
「なんだ?」
「私達、今日…泊まるっ所が、無くてデスネ…それで、その」
「はぁ~~~、全員一旦集合!」
勇刀は全員を呼び戻す
抱き締めから解放された後もしばらくの間エレンの顔は赤いままだった
「さーて、お前等どういう事か説明してもらおうか?」
「勇刀にお願いをしに行くことだけ考えてて、その後の事を考えるのを忘れてた…」
「はい、私も瀬戸内智恵も失念していました。お恥ずかしい」
いつもは冷静なメンバーも今日に限ってはどこか抜けていたようだった
そしてこのあとの事に関しては勇刀に対する打算が9割を占めていた
それも、勇刀の性格を知っているがゆえだったのだが
「はぁ、ちゃんと後先考えなさいよ全く……今日は客間に泊まってけ」
「すみません、勇刀さんに甘えきってしまって…」
「そう思うならちゃんと事前に相談しろよ、とりあえず何組かに別れて風呂入ってこい、もう沸いてる頃だろうから」
「勇刀は、いつ入るの?…」
「俺は皆が入り終わった後で入るよ、その方がのんびり出来るからな、あっ課題やんなきゃ」
学校から出されていた課題の事を思いだし、自室に戻ってプリントと筆記用具を持ち降りてきて
問題を解き始める
「そういえば、皆は勉強の方は大丈夫なのか?可奈美は試験の度に電話で泣き付いてきてたけど」
「勉強の方も疎かにはしていません。しかし今までよりもそちらに割ける時間が減っているのは事実です」
「まぁそうだろうな、あ~この問題作ったの沖先生だな、ホントこういう引っ掛け好きだよなぁ、研吾辺りがまんまと引っ掛かってそうだな」
雑談をしながらも問題を解くペースは変わらずに進めていく
ペンは止まること無く紙面を滑るように走り続けた
「そういえば私も課題が出されていたんだった」
「私も、宿題…やらなきゃ」
「おーおー、折角の休みなのにひよよんも沙耶香もよくやるなぁ」
「ホントだぜ、アタシ等は荒魂を倒せればそれで良いんだから勉強なんて重要じゃねーだろ」
「薫、そういえばセンセーから課題を出されていませんでしたカ?」
「呼吹も…宿題が出されてたはず」
姫和と沙耶香も自分の鞄から教科書とプリントと筆記用具を取りだして勉強を始めた
それを見ていた薫と呼吹はだらけきった声をあげる
「おぉい!嫌なこと思い出させんなよ!折角忘れてたのに!そもそも課題に手を出す時間がないのはあのオバサンの人使いが荒いのがそもそもの原因なんだぞ!」
「アタシは別に勉強なんて必要最低限出来れば良いんだよ!」
「勉強できて損は無いし無駄に説教されたくないだろ?解らないなら教えてやるから課題持ってこい」
「ちくしょう、まさかこんな事になるとは思わなかった」
「ホントだぜ、はぁ~」
「それじゃぁ私達は先にお風呂頂いちゃうわね、上がったら私達もお勉強手伝うから」
「そうですね、そうしましょうそれではお先に失礼します」
「それじゃぁ薫!fightデース!」
薫と呼吹は渋々自身の鞄から勉強道具を出して机に広げると、大人しく問題を解き始める
それを見て智恵とミルヤとエレンが先に風呂へ向かった
「いよーし今日の分の課題終わり!」
「はぁ!?もうかよ!?」
「いくらなんでも早すぎだろ!」
「毎日コツコツやるから一日の量はこの位で済むんだよ、その方が楽だぞ」
「ねぇ、勇刀、ここ教えて…」
「私もここが解らないんですが」
「良いよ順番にな、さぁここからは先生モードに突入だ、ふっきーと薫も解らないところがあったらすぐ言えよ」
こうして一足先に今日のノルマを達成した勇刀は教える側にまわり、それぞれの疑問に答えていく
時には逆に質問をしながら、時には結論から遡りながら色々な方法で問題の見方と解き方、答えの導きだし方を教えていく、こうして勉強会は進んでいく
場所は変わり浴室で入浴中の3人、は浴室の広さに驚いていた
「しかしこれは一般家庭の浴室とは思えない広さですね」
「そうね、これにはちょっと驚きね」
「しかしこれだけ広ければ3人で湯船に浸かってもリラックスできマスネ!」
「私が先に身体と頭を洗っちゃうわね」
「ん゛ん゛~~~~っ!はぁ~気持ちいいデスネ~~……」
「えぇ、やはり一番風呂というのは良い物ですね」
3人はシャワーで身体を流し、智恵が先に身体を洗い他の二人が湯船に浸かる
湯船も広く身長170㎝のエレンとミルヤが同時に入ってもまだ余裕があった
「しかし衛藤勇刀の心の広さは凄まじいですね、突然8人の大人数で押しかけても快く迎え入れてくれただけでなく、食事や宿泊まで面倒を見てくれるとは思いませんでした。」
「ユウユウは優しすぎるんデス、昔の話を聞いて確信しました。誰かの為に自分が傷つく事を厭わない」
「そうね、自分を犠牲にしても大切なものを護る、これは優しさではなく自己犠牲ね」
「私は彼に自分を犠牲になんてして欲しくはありまセン、でも…」
「力が劣り護られる側の自分が何を言っても説得力がないだから強くなる、そうすれば彼が自分を犠牲にする必要は無くなるからというわけですか」
エレンが語ったのは勇刀の優しさへの不安だった
彼女の口調からはいつもの溌剌とした声は無くなり、自分の無力さを嘆いているようだった
同校に所属する智恵はそんなエレンの様子を見て彼女が言いたい事を理解し、ミルヤも知恵同様に考えを理解する
二人の言葉にエレンは小さく頷く
「ユウユウにはもっと私達を頼ってほしいんデス、一歩後ろに控えているんじゃなくてユウユウの隣に立って一緒に戦いたいんデス」
「そうですね、それが可能になれば今よりも一層効率的に荒魂を討伐できるようになるでしょう」
「そうね、その為にはちゃんと強くならなきゃね!」
その後は世間話で盛り上がりながら時間が過ぎていった
「お風呂頂きマシタ~~!」
「おう、次は薫とふっきーと沙耶香ちゃん入っておいで」
「お前ら長々と風呂入りすぎなんだよ!」
「あぁ~、やっと解放される…」
「あぁよく頑張ったな、薫」
「ちょっ撫でんなって!」
「頑張ったからご褒美だよ」
「同い年の女子を子供扱いすんなよ!」
「悪い悪い、可奈美に勉強教えてたときはいつも撫でてたからつい癖で!」
「ん?沙耶香ちゃんどうした?」
勇刀は無意識の内に薫の頭を撫でていた、
その事に薫が顔を赤くしてじゃれているところに沙耶香が勇刀に向けて頭を向けていた
「私も…頑張った、だからご褒美ちょうだい…」
「よしよし、よく頑張ったね」
「うん…ありがとう」
沙耶香は撫でられている時、気持ち良さそうに目を細めて受け入れていた
その様子は端から見ていると兄に甘える妹の様に見えていた
この光景を可奈美が見ていたとしたら大変な事になっていただろう
「おーい沙耶香そろそろ風呂いくぞ~」
「うん、今行く、勇刀ありがとう…」
「あぁ、ゆっくりしておいで」
そして3人が風呂に入っている間に残りのメンバーで客間に布団を敷いておき、手早く就寝出来る様にしておく
そして最後の姫和と清香が風呂に入り終えて就寝すると思われていた
がエレンが「舞草の里でサーヤにしていたみたいに私の髪をも梳かして欲しいデース」
と言い出し、それに沙耶香が乗りせがんでいると姫和も「私の髪も…良いでしょうか?」と恥ずかしそうに言い出し薫も「おぉーならオレのも頼む、毎日毎日めんどくせーんだよ」と丸投げした
勇刀も早く寝たかった事もあり、「じゃぁ希望者は並べ~」と指示を出し並ばせると
しれっと調査隊のミルヤと智恵も加わっていた
そこにはあえて突っ込まずに確りと丁寧に扱っていき、その日は終わった
料理のテーマとかを混ぜるとレシピとかを調べたりすると、色々な料理が見れて楽しいですね。
それから誰かに甘える沙耶香ちゃんが妄想しててかなり可愛かったです!
自分で想像しながら書きましたけどかなりいいですね!