刀使ノ兄弟   作:腰痛持ち

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どうも!
予約投稿したと思っていたら出来てなかったあほの作者です!

おまたせしましてすみません!

前書きもそこそこに本編どうぞ!


24話 勉強部屋

 ったく、こんな奴に主導権を握られてるなんざいい加減ウンザリだぜ

 自分の力もろくに扱えねえ、そんなんだから刀折られんだよ

 

誰だお前

 

 あぁ?命の恩人に向かって何様だ?

 

お前に助けられた覚えは無いんだが?

 

 そうかよ、ならとっとと帰れ呼ばれてんぞ

 

 

この言葉を聞いたん瞬間、俺の意識はどこともわからない白い場所から真っ暗闇のただ中に落ちていった

 

「おはよーございま~~~す。衛藤サン、起きてくださーい、朝ですよ~~~~」

「……ここは」

 

勇刀が眼を覚ました場所は開けた洞窟の様な場所で天井は高く10m以上はあった

壁際には上へ上がるための梯子が壁に打ち付けられていた

そして目の前にはヘラヘラと笑っている謎の下駄帽子、手には細い杖を持っていた

 

「えっとどちら様?それからここは…」

「おぉっと!そういえば自己紹介がまだだったっすねぇ、アタシは浦原喜助、浦原商店ってしがない駄菓子屋の店主やってます。以後お見知りおきを、そんでここはアタシの店の地下にある通称 勉強部屋っす」

「えっとご丁寧にどうも、俺は…」

「えぇ知ってますよ、衛藤勇刀サン、美奈都サンと一刀サンの息子さんですよね」

「どうして俺のことを」

「そりゃ君のお父さんとは古い付き合いですからね、それじゃぁ時間もあまり無いので早速始めましょう」

「始めるって何を…」

「修行です。君の御刀「斬魄刀(ざんぱくとう)」を元に戻し、刀剣解放を会得する為の」

 

 

 

場所は移り、平城学館学長室

そこには勇刀を除いた六刃将と伍箇伝各校から派遣された刀使達が集まっていた

遠方にいる他校の学長及び折神紫、折神朱音は画面越しで参加していた

 

「まず自己紹介からだな、俺は衛藤一刀、勇刀と可奈美の父親だ」

『久しいな黒崎、いや今は衛藤と呼んだ方が良いか?』

「どっちでもお前の好きにしろよ紫、朱音ちゃんも呼ぶんなら好きな方で呼んでくれてかまわねぇぜ」

『はい、では私は一刀さんと呼ばせて頂きますね。』

 

「紫様と朱音様を呼び捨てにしてる…」

「何なんだ、あのオヤジ?」

「みんな仲良しなんだね~」

 

自分達の上司達を気軽に呼び捨てにして打ち解けている、人物を見て困惑している

 

「それで一刀君?今日は何しに来たんや?まさか勇刀君を連れ出すだけが目的とちゃうやろ?」

「まぁ、まず端的に言うならお前らがこれから立ち向かう荒魂についてだ」

「アイツについて、何か知っているんですか?」

「あぁお前らよりかは情報はある、確かお前も勇刀達と一緒にアイツと接触したんだったな、えーっと」

「十条和人です。」

「あぁ篝ちゃんの子か、まぁお前は実際に対峙したから感じたと思うが奴から何を感じた?」

「…あまり上手く言い表せませんが、底の見えない暗い穴を覗き込んでいる様な気分でした。目の前に居るだけが全てでは無いような感覚が」

 

一刀は和人の言葉を聞き「そうか」と呟いて暫く思案して再び口を開いた

 

「お前の感覚は間違っちゃいねぇよ、お前達が戦ったのはリョウメンスクナノカミと言われる大荒魂だ」

「あれが、大荒魂…タギツヒメと同格…」

「いや、下手したらアイツより格上だ、なにせお前たちが戦ったスクナは本体じゃないからな、お前達が戦ったのはスクナが現世の情報を集めるために残した端末、様はラジコン?みたいなもんだ」

「では、本体は何処にいるんデスか?」

「幽世だ。本体は60m級二面四腕の巨躯の大鬼だからな、そんな奴がホイホイ現世に来れるか、いや来てたまるか」

 

あまりのスケールの大きさに全員が言葉を失った、それは学長達も例外ではなかった

 

「ではアイツはまだまだ強くなると?」

「あぁ、おそらく今回は現世に散らばるノロを吸収しただけだろうが幽世からも力を補給しだしたら厄介だぞ」

「そんな荒魂に、私達本当に勝てるんでしょうか?」

 

清香のついつい出てしまう弱気な発言が周囲に伝播する

それを機敏に感じ取った一刀が間髪入れずに喝を入れる

 

「勝つんだよ、その為に俺が来た。これからお前等を徹底的に鍛える、それがここに来た目的の二つ目だ」

「鍛えるのは良いんですが、一刀さんはどの位の力量をお持ちなんですか?生憎勇刀君からはお父さんの話は一度も聞いたことがなくて」

「その事なら心配せんでもえぇよ、この人強いで、全盛期の学長達と紫ちゃんが束でかかっても傷一つ付けられんかったんやから」

「家族揃ってチートかよ、衛藤家の遺伝子はどうなってんだ?」

「ちょっと勇仁君!」

「いや~照れるぜ!」

「えぇ…」

「一刀君誰も誉めとらんよ…んじゃ場所はここの道場使ってもらってえぇよ」

「助かるぜいろはさん、んじゃ30分後に稽古着に着替えて全員道場に集合!解散!!」

 

 

場所は移り勉強部屋

そこでは黒板の前で正座して講義を受けている勇刀の姿があった

 

「まぁここまでが刀剣解放の主な手順っす。何か質問は?」

「えっと、俺恐らく御刀の人格ってのには会ってると思います。一度も名前が聞こえたことは無いんですけど」

「ふむ、なら刃禅をしても意味は無さそうっスね、分りました。ならやる事は一つ、アタシと一対一の殺し合いをしましょう。」

「えっ?…っ!!」

 

勇刀は殺気を感じその場から飛び退くと先程までいた場所には大きな切れ目が入っていた

確りと受け身をとり浦原を凝視する

 

「おぉ~流石っすね、あの不意打ちを完璧に避けるとは」

「冗談じゃなくてマジみたいっすね…」

「えぇ、貴方には強くなってもらわないといけませんから」

「くそったれ!」

 

浦原は自身の杖から細い刀を引き出し、勇刀も背負った鞘から折れた御刀を抜く

両者はジリジリと距離を測り構える

 

「っ!」

「はぁっ!!!」

 

剣と剣がぶつかり視線が交わる、この日勉強部屋には長時間剣戟の音が響き続けた

 

 

 

 

「お前ら刀剣開放の修行もいいけどな、剣技を磨けよ!剣技あっての刀剣開放だと自覚しろ!!」

「っせぇなオラッ!!!」

「元から力があんだから、闇雲に振り回すな!脳筋小僧!!同じこと勇刀に言われなかったか!」

「あ~、言われてたよね、相模湾防衛戦の時に」

「喧しいわ!!」

「お前もだぞ、頭も回るし小回りも効くんだ仲間のサポートに回り過ぎずに自分がメインで攻めることも考えろ!」

「うっ」

 

一刀と二対一での立ち合いで勇仁と綾人は同時に痛いところを突かれ、片や逆上し片や落ち込んでいた

そんな二人を他所に新たな挑戦者が現れた

 

「次は俺達だ」

「行くよ!おじさん!」

「おっしゃこい!!」

 

今度は和人と海翔が挑む

海翔は和人の背中を踏み台にしたり、和人は海翔を目くらましに利用したりと

二人は互いの体格差を利用してトリッキーに一刀を攻めていく

 

「ちぃっ!良い連携するじゃねぇか!おぉっ!?冷てぇ!!」

「氷輪丸!!」

「はぁっ!!」

「まだまだぁ!!」

「ちっ」

「うわぁ~~~!!!」

 

海翔が柄頭から伸びている鎖の先に三日月型の重りを一刀の腕に巻きつけそれごと凍らせた

そこへ和人が追撃をしかけるが凍っていない手に持っていた御刀で防がれ

強引に凍った腕を振り回し海翔を投げ飛ばして氷を砕いた

 

「お前らの連携はそれなりだったが要所要所がまだ甘い、凍らせるなら武器を持ってる手であるべきだし、動きが制限された敵だからと言って真正面から攻めるな、相手の行動を制限している事の優位性を無駄にせず攻めろ、それ以外の攻撃はそこそこだったな」

 

和人と海翔の総評は前の二人よりは好評だったものの、一刀としてはまだまだ物足りないといった様子だった

 

「勇刀の戦闘力は血筋からきてるのか」

「どうだろうな俺はアイツとは剣を交えた事なんてねーから、専ら勇刀と可奈美を鍛えてたのは美奈都だし、美奈都が亡くなってからは自己流と飛天御剣流での稽古だったからな」

 

一刀は昔を懐かしむように語る

そしてどこか悔やむような表情でもあった

 

「へぇ~~、勇刀お兄ちゃんすご~い」

「俺としちゃお前らには頑張って欲しいんだわ、勇刀の為にも」

 

一刀の言葉には先程同様後悔があった

それはとても深い物のように感じられた

がそんなこともお構い無しに勇仁が切り込む

 

「どいうこった?」

「お前らも知ってるだろうが、アイツは年下や同い年は勿論、年上の大人にさえほぼ負けたことはない、アイツを負かすことが出来る人間はごく一部に限られる」

「そうですね、彼の強さは常軌を逸していると言ってもいいでしょう。ですがだからこそ憧れる、そんな彼の隣で戦えたらと、彼だけに負担を強いるわけにはいきませんから」

「それもあるが、そうじゃねぇ」

「どう言うことですか?」

「勇刀に何かあった時、アイツを止められるのはお前たちだけだからだ」

「アンタはこれから勇刀に起こるであろう事が予想できているのか?」

 

和人の質問に一刀は思考する

伝えるべきか、濁すべきか

 

「複数の可能性は想定してある、だからその時の為にお前らには強くなってもらわなくちゃいけないんだ」

「ん~?どう言うことかな?綾人お兄ちゃん?」

「さぁ?僕にもさっぱり、だけど僕らのやるべき事は明確だよね、姉さん」

「Yes!ワタシ達だけどもスクナを倒せるようになりまショウ!」

「そうだね!姉さん立ち合いに付き合ってもらっていい?」

「welcomeデスヨ!mybrother!」

 

綾人はエレンと共に打ち合いを始めた

それをみて他の面々も自分達の課題に向き合い始める

 

「無闇に振り回すなってどうすりゃいいんだよ、当たれば一撃で倒せるんだからそれで良いじゃねぇか」

「はぁ~、仕方ない愚弟のために一肌脱いでやるか」

「んだよ、姉貴」

 

普段使わない頭を使って空回りしている勇仁をみかねて薫が助け船を出す

 

「勇仁、勇刀も勇刀の親父も思い切り振るなって言ってるわけじゃない、ただ相手との駆け引きの中でタイミングを見計らって思い切り振れってことだ」

「駆け引きぃ?なんでそんな面倒なことしなきゃなんねーんだよ」

「じゃぁお前、ただ振り回すだけでちょこまかと動き回る海翔や綾人に当てられるのか?」

「うっ…」

 

勇仁は薫の例えに言葉をつまらせる

確かに二人の戦いかたには似通っている部分がある

 

海翔は持ち前の速度と小さい身体を使って相手の懐に潜り込む戦法

綾人は独自のステップを加えた特殊な迅移とフェイントを使い敵を翻弄し的確に相手の急所を突く戦法を得意としていた

どちらも速度に重きを置いた戦い方で動作の大きい力任せの戦い方では不利だという事は理解できたようだった

 

「確かにわりと無理ゲーだ」

「そんなお前に同じパワーファイターの姉であるオレが指導してやる」

「仕方ねぇな、指導されてやるよ」

「我が弟ながら太々しいなぁ、親の顔が見たい」

 

勇仁は戦法の糸口を掴むために姉を師事し、稽古を始める

それぞれがより高みに至るために力を尽くしていく

 

「………」

 

しかしそれを遠くから眺めている少女がいた、可奈美だった

 可奈美は御刀を持ってはいるものの稽古の様子を眺めているだけで参加しようとはせず、ただ見つめているだけで、すぐに走り去ってしまった。

 

「ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!ハッ!」

 

可奈美は森の中を目的にも決めずに、涙を流しながら我武者羅に走っていた

 

「はぁはぁはぁ………ああああああああああ!!!!!!」

 

そして立ち止まったと思いきや、突如叫びながら千鳥を鞘から抜き周囲にある木々を切り裂き始めた

 可奈美の表情は怒りに染まっていた

 

「何やら騒がしいと思い来てみれば、これは只事ではござらんな、そこのお嬢さん落ち着くでござるよ」

「はぁ、はぁ、はぁ…誰ですか?こんなところで何をしているんですか?」

 

そんな彼女に声をかける男がいた

男は和装に笠を被っており、表情を伺うことは出来なかった

可奈美はこんな山奥で突如現れた男を警戒し構える、しかし男はそんなことはお構い無しと言うような素振りだ

 

「うむ、拙者の弟子がこの近くの病院に運び込まれたと報せが来たので向かっている途中でござる。ここには偶さか近くで休んで居た時に自然の物ではない音を聞きつけて来たでござる。」

「こんな山の中を一人で、ですか?」

「拙者山暮らしが長く、世俗に疎いゆえこうするしかないのでござるよ。」

「変わってますね。でも凄いですねこんな山の中をずっと一人で…私にはとても真似できないです。」

「拙者も山暮らしを始めたときは苦労したでござる。要は慣れでござる。お主も一暴れしてお疲れのご様子、一息つこう」

「…はい」

 

男はそう言いながら近くにあった可奈美が切った木に腰かけて自分の隣に座るよう可奈美を誘う

 あれ?なんで私今断らなかったんだろう?初めて会う人なのになんだか不思議と安心する

 

可奈美は男の提案を無意識にすんなりと受けたことに内心驚いていたが男から感じる安心感に、可奈美の警戒心は解れていた

 

「あの…」

「ん?なんでござるか?」

「貴方はさっきずっと一人でここまでやって来たって言ってましたけど、途中寂しかったり怖かったりしないんですか?」

 

可奈美は思っていることを聞いてみた

会ったばかりで名前も知らないが聞かずにはいられなかった、今まで自分が強大な敵に立ち向かってこれたのは兄であり目標でもある衛藤勇刀が心の支えだったからだ

 しかしその支えを失くし、今自分はかつて無いほどに精神的ダメージを受け日常生活さえままならなくなっている

 この男が心の支えもなく、拠り所もなく、何故たった一人で何日も山の中を一人で歩くことが出来るのか、その答えを可奈美は知りたかった

 

「ん~そうでござるなぁ、拙者は物心ついた時から独りの天涯孤独、信ずるものは己と磨き上げた力だけでござった、そこから更に信じられる友が増え拙者の心を支えてくれている、故に夜の森であろうと臆する事無く歩みを止める事無くいられるのでござる。」

「………」

「察するに先程の荒れようは心の寄る辺を失くした不安からでござるか?」

「っ!?どうして…解ったんですか?」

「勘でござる。改めて見たところお主は刀使さんでござるな、拙者で良ければ話ぐらい聞くでござるよ?」

「…私には兄がいるんです。強くて優しくて料理も上手な自慢のお兄ちゃんが…でもお兄ちゃんが死んじゃうかもしれない大怪我をしたんです。」

 

男の言葉を聞き可奈美はポツポツと話し始める、各所を伏せながら語る彼女の口調は当然の事ながら暗く時折言葉に詰まりながらという聞き手にとっては辛い状況だったが、男はただ適度に相槌を入れて聞き続けた

 

「お兄ちゃんは私達を護るためにっ、必死にたたかっくれてたのに!わたしはっお兄ちゃんの足を引っ張るだけで!なにも出来なかったんです!私にもっと力があれば!私がもっと強かったら!あんな大怪我しなくて済んだのに!」

 

男は可奈美の叫びを聞き、微笑んだ

その微笑みの意味を知る者は男以外に居なかった

おもむろに男は可奈美の頭に手を置き優しく語りかけた

 

「お主は、もう自分がやるべき事を解っているでござるよ。」

「えっ…」

 

可奈美は驚いて男を見ると彼女は男の微笑みに見とれていた

 

「今お主が自分で言っていたでござる。自分にもっと力があったら、自分がもっと強かったらと、この言葉はこれから自分がやるべき事を見据えていなければ出てこないでござる。」

「………」

「この後お主がどの様な選択をするか、拙者には皆目検討もつかぬが、なーに!何も心配することはござらんよ。」

「どうして、解るんですか?」

「勘でござる。ささっ!こんなところで油を売っている暇はないでござるよ!鍛練あるのみ!」

「あぅわぁ!」

 

男は可奈美の頭をわしゃわしゃと荒っぽく撫で背中を押して立たせた

 

「まずは思い切り今まで遅れていた分を取り戻す事でござるな、先程の剣の振り方を見るに少し間が空いているように思うでござるがどうかな?」

「はい…お兄ちゃんが倒れてから暫く御刀を振ってなくて」

「なら、まずは御刀を振り込むことでござるな!なーにその気になれば人間不可能は無いでござる。」

「…はい!ありがとうございます!それとすみません。会ったばかりなのに私の話に付き合わせてしまって」

「なんの事は無いでござる。半ば拙者が促したようなものでござるからな、それでは拙者はもう行くでござるよ、向かう場所が変わったでござるからな」

「あの!」

「ん?」

 

可奈美は立ち去ろうとする男を呼び止める

男も振り返り可奈美を見た

 

「私、衛藤可奈美って言います!貴方のお名前を教えてください!」

「…名乗るほどの者ではござらんが、抜刀斎とこの名で通っているでござる。」

「抜刀斎さん…ありがとうございます!」

 

可奈美は男が見えなくなるまで礼を続けた

そして足音が聞こえなくなると「よしっ!」と道場に走っていった

 

道場

 

「可奈美ちゃん、大丈夫かな…」

「舞衣、可奈美が心配?」

「うん、可奈美ちゃんがあんなに塞ぎ混んでるところなんて初めて見たから…」

 

道場では休憩中に舞衣達が可奈美を心配して話していた

 

「確かに一番辛いのは可奈美だろうな、でも立ち直って貰わねーと困る」

「そうですね、でもきっとカナミンなら大丈夫デース!」

「あぁ、可奈美なら必ず乗り越えるさ、そうでなければ困る」

 

「お父さん!!!!」

 

その時道場の扉が音を立てて勢い良く開き、肩で息をしている可奈美が立っていた

そして可奈美はそのまま一刀に歩み寄り彼を見上げた

その場の全員の視線が父娘に集中した

 

 

「お父さん、私と立ち合って…」

「…解った」

 

二人は適当な間合いを開け、構える

 

「力強い良い瞳だ、今までの体たらくが嘘みたいだな」

「全力で行くよ…セイッ!!」

「剣のキレ、動きのキレ申し分なし!だが!!」

「うぐぅっ!!」

「動きが単調すぎる!そんなんじゃカウンターの餌食だぞ!」

 

可奈美は攻めに徹するあまり動きを読まれ反撃を食らい吹き飛ばされたが即座に態勢を立て直す

 

 しかし、可奈美に何があった?今回の出来事は可奈美一人で乗り越えるには荷が勝ちすぎていた

 だから俺は可奈美の友達に任せようと干渉せずにいたが、皆の様子を見るに何かをしていたわけでもなさそうだ

 

一刀が周囲を見渡すと全員が可奈美の動きに目を見開いていた、その表情からは驚きが見て取れた

それを察知した一刀は可奈美に問いかける

 

「今まで塞ぎ込んでた奴の動きじゃねーぞ、何があった?」

「ある人に背中を押してもらったから、初めて会った人だけど、私の話を聞いて私がやるべきことを示してくれたの」

「へぇどんな人だった?親として一言礼を言いたいんだけどな?」

「名前は教えてくれなかったけど通り名は教えてくれたよ、その人は自分のことを抜刀斎って言ってた」

「は?」

「さぁ!どんどん行くよ!お父さん!!」

「いやちょっ!まっ!」

 

一刀は可奈美の言った名を聞いて驚愕していたが静止を聞かず全力で斬りかかって来る娘と剣を合わせる事に手を取られて

その後は剣戟が続いてしまった。

 

打ち合いが終わると可奈美は気絶するように眠ってしまったため一刀は話を聞くことは出来なかった

しかしその寝顔は安らかだった

 

 

 

「いやー!本当によく食べますねぇ」

「美味いんだからしょうがないじゃないっすか!後で漬物の漬け方とか聞いていいですか?」

「それはアタシと一緒に住んでる方が漬けた物です。後で来ると思いますからその時にでも聞いてみてください。さぁおかわりもまだありますからドンドン食べてください!」

「はい!!」

 

勇刀は勉強部屋で食事をしていた、修行の日々はまだまだ続く

 

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