刀使ノ兄弟   作:腰痛持ち

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後編だぁ!
そしてここまで長くかかってしまったっ!!
不甲斐なし!!


29話 Shout My Name 後編

普段は静寂に包まれ、穏やかな時が流れているはずだった

しかし、今は轟々と炎が燃え上がり、氷雪が吹き荒れ、刃が舞い踊り、轟音と叫び声が木霊していた

 

「オオオオッ!!」

 

「きゃああああっ!!」

 

「清香ぁっ!」

 

「くっ!六角さんをカバーして!勇仁君!和人君!敵の注意を引き付けて!」

 

リョウメンスクナノカミ討伐戦は熾烈を極めていた、無尽蔵の行動力で間断無く戦闘を続けられる能力を有していた

それに対して討伐隊メンバーは常に極限まで集中力を高め、尚且つ一撃も直撃を受けてはならないというプレッシャーも相まって

体力面と精神面での消耗が激しかった

 

(これじゃジリ貧だ、皆動きが鈍って来てる、何か何か手を打たないと!)

 

尊は現状とメンバーの状況を分析すると、

余裕のあるメンバーの方が少ない状況まで追い込まれていた

 

「柳瀬尊、この状況をどうみますか?」

 

「最悪一歩手前と言ったところでしょうか」

 

「最悪の場合、君達だけでも離脱させます。最後は僕等だけで奴を刺し違えてでも倒します。」

 

「しかしそれではっ!」

 

「オォ、悠長ナコトダ、俺ト対峙シテ、オ話トハナァ!!」

 

「危ない!!」

 

尊は振り下ろされるスクナの拳からギリギリミルヤを抱き上げて上空へ回避した

 

「くっ!すみません。」

 

「いいえ、間に合って良かった」

 

「おい!尊!上だ!!」

 

「えっ?」

 

「逃ゲ切レタ、ト思ウタカ?」

 

「ぐあっ!!」

 

尊は逃げ切ったと思ったスクナに更に上を取られ、地面に叩きつけられたがミルヤは身を挺して地面との衝突から護ったが

立ち上がる事が出来なくなっていた

 

「ぐっ…うっ…」

 

「柳瀬尊!しっかり!」

 

「兄さん!」

 

「クソがっ!!」

 

「オソイ!!」

 

「ぐっ!!」

 

「きゃぁっ!」

 

「氷輪丸!!皆!今のうちに!!」

 

「海翔君ありがとう!!」

 

海翔は振り下ろされる寸前だった拳を凍らせて拘束し、その隙きに倒れている仲間を助けだした

 

「海翔君…ありがとう」

 

「中々ニ楽シマセテクレルデハナイカ」

 

「このバケモンが……もとからバケモンだったわ」

 

「ボケてる場合じゃないでしょ!!真面目にやってよ!」

 

「俺はいつでも大真面目だっての!!」

 

「二人共ふざけてる場合じゃありませんヨ!!」

 

(駄目だ、皆の消耗が激しくなってきてる、このままじゃジリ貧だ!)

 

尊は極度の消耗で正常な判断ができなくなっている仲間をみて

体中に走る痛みに耐えながら必死に頭を回していた

 

(考えろ!考えろ!頭を回せ!相手も無傷じゃない!倒せないまでも撃退さえできれば)

 

「フム、貴様モシヤ私ヲ撃退デキレバ等ト思ッテイルノデハアルマイナ?」

 

「っ!!」

 

「ンだとコラぁ!舐めてんじゃねぇぞ!」

 

「何ヲ言ウ、ソノ判断ハ何モ間違ッテハオラン、ソレガ不可能ダトイウ事ヲ除ケバナ」

 

「何を…言っている…」

 

「イツ『コレガ私ノ全開ダト』言ッタ?」

 

その言葉にその場にいた全員が凍りついた、

そしてその言葉と同時にスクナが唸り声を上げると、巨大だった体躯が更に巨大に膨れ上がった、その大きさは今までとは比較にならない程巨大だった

 

「何…これ」

 

「こんなの勝ってこないよ…」

 

「これまでか………」

 

「…………」

 

「コノ一撃デ終イダ、中々ニ楽シメタゾ刀使共ヨ」

 

総ての刀使達が絶望し数人が御刀を手から滑り落とした

 

そしてスクナの拳が振り下ろされようとした時

 

ヒュ〜〜〜〜〜〜〜〜!!

 

ッバァン!!!

 

「ゴバァッ!?!?!?」

 

花火のような音と炸裂音と同時にスクナが吹き飛ばされた

あまりに唐突な出来事に、その場にいた全員が口を開けて呆然としていると

烟る視界の先に人影があった

 

「ふぅ、間一髪ギリギリセーフだったな」

 

その影から聞こえた声にその場にいた全員が目を見開いて驚愕した

 

「悪い遅くなった」

 

煙が晴れた場所に立っていたのは衛藤勇刀その人だった

彼は優しい笑顔を自分達に向けて、スクナとの間に立ちはだかっていた

 

「お兄…ちゃん?」

 

「おう、心配かけてゴメンな可奈美」

 

「う~…」

 

可奈美は安心したのか、その場にへたりこんでしまった

他の面々もどこか安心したような表情をしていた

 

「皆大丈夫そうでよ「エトウユウトオオ!!」うるさっ」

 

「待チワビタゾ!サァ!思ウ存分死合オウゾ!!」

 

「なんだよお前テンションたけーな、俺は別に長々とやりあう気はねぇよ」

 

勇刀は歩きながら背負っている御刀の柄を握り駆け出すと次の瞬間にはスクナの後ろにいた

 

「ッ!!」

 

「速攻で終わらせる」

 

そして勇刀が着地した瞬間、スクナの腕の肘から先が切り落とされていた、それも折れたままの御刀によって

 

(斬ラレタト言ウノカ?私ガ折ッタアノ鈍二?)

 

「よぉ、良いのかよ?呆けたままで、本当に終わらせちまうぞ?」

 

「ッ!!タカガ一度腕ヲ切リ落トシタ程度デ図二乗ルナヨ!!衛藤勇刀!!」

 

自身の腕を切り落とされた事に動揺を隠せず立ち尽くしていると、勇刀に煽られると即座に勇刀に向き直り右腕を再生し、殴りかかるがそれを頤とも容易く回避し的確に反撃しダメージを与えていた

 

「凄い、折れた御刀であんなに…」

 

「勇刀さんに一体何が」

 

「見て!勇刀さんの御刀が!!」

 

「フハハハ!!遂二砕ケタナ!コレデ終イダ!!」

 

スクナと互角のやり取りをしていた勇刀だったが突如御刀が柄を残して砕けてしまった。

それを見てスクナは勝利を確信し腕を振り上げた、しかし勇刀はそれを見ても柄を見つめて身動き一つとろうとはしていなかった

 

(負ける気がしない、恐怖もない、柄だけでもアイツを斬れる気がする、けどそれじゃぁ違うもんな、俺はアンタと二人で戦うんだ)

 

勇刀は咄嗟に居合の構えをとり

 

 そうだ前を見ろ、敵は一人、私達は二人、何を恐れる事がある、今のお前になら聞こえるはずだ

 退けば老いるぞ、臆せば死ぬぞ!叫べ!!我が名は!!!

 

「斬月!!!」

 

叫ぶと同時に柄を振り抜いた瞬間、光の奔流がスクナを押し戻し後退させた

 

「グオオオオッ!……!?」

 

そしてスクナの目に写ったのは、柄は無くただ布が巻かれ鍔も無い刀と言うにはあまりにも剥き出しで無骨な大刀を担いだ勇刀だった

 

(ナンダアレハ、アレガ、アンナ物ガ斬魄刀ダト?アレハマルデ…ッ!?)

 

スクナが勇刀の斬魄刀[斬月]を見て思考を巡らせている時、突如勇刀から莫大な神力が噴出した

 

「悪いな、見ての通り初めて扱う力なんだ、だから手加減出来ねぇぞ!!」

 

「良イダロウ!!ソノ一撃、真正面カラ打チ砕イテクレル!!」

 

勇刀は高々と振り上げた斬月を渾身の力で振り下ろすと、解放時に放った物とは比べ物にならない程の巨大な光が、大地を抉りスクナさえも飲み込んだ

 

そして跡に残ったのは縦に切り裂かれたスクナとスクナと共に割られた山だったものだけだった

 

「まさか、山まで斬れるとは…流石に予想外だわ」

 

「ソレハコチラノ台詞ダ、誠末恐ロシイ奴ヨ」

 

「っ!?まだ動けんのかよ!?」

 

「安心シロ、サシモノ私デモココマデ気持チ良ク両断サレレバ、風前ノ灯ダ、ジキニコノ身体モ崩レ落チテ、消滅スルダロウ」

 

その言葉通り、スクナは消え行く意識を何とか維持し勇刀と会話していた

 

「そうか、で?何か用か?」

 

「用ト言ウ程ノ事デハナイガ、次相対スル事アレバ手加減ハセヌ、覚悟シテオケ」

 

「上等だ、返り討ちにしてやるよ、鬼神リョウメンスクナノカミ」

 

「楽シミニシテイルゾ、器ノ子、衛藤勇刀」

 

身体が全て崩れ落ちると同時に勇刀も意識を手放し前のめりに倒れた、その顔は晴れやかな笑顔だった

 




勇刀が介抱されているのを浦原達は離れた木陰の中から見守っていた

「いやぁ~準備してきた物全部無駄になっちゃいましたねぇ」

「そうですな、しかし封印であればいつかまた同じ事態が起こっていたかと、それを今回で終らせる事が出来たのは僥倖でしたな、店長」

「そうっすね、しかし衛藤サン、貴方は本当に恐ろしい子供だ、一振で地形さえ変えてしまう程の斬撃とは」

浦原の目の前には勇刀の斬撃によって出来上がった谷が広がっていた

「さぁーて後の事は管理局に任せて僕等は帰りましょうか、貴方はどうします?もし良ければ送って行きますよ。
緋村サン」

「いやぁ助かるでござるよ、喜助」

「いえいえ、困った時はお互い様ッスから、でどうでした?愛弟子の成長は?」

「拙者の想像以上でござる、まさか一振でここまでとは、これを自在に扱えるようになった時の勇刀と飛天御剣流が今から楽しみでござるよ」

「そうっすね、それじゃさっさと行きましょう、帰ったらまずご飯ッスね」

そう言って浦原達は森の中へ消えて行った
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