陣地の守衛に残された尊と勇仁と綾人はテントの中で椅子に座って待機していた
「はぁ守衛とは言われたけど襲撃犯が此処を襲いに来る事なんか絶対ないよねぇ」
「だな、勇刀の奴それを解った上で俺達を残したんだ」
「まぁ勇刀君にも何か考えや気になる事があったのでしょう、それにS装備の件もありますから、どちらかと言うと僕等が残されたのはS装備の事でしょうね」
「S装備ってあれだよな?荒魂殲滅用の強襲装備」
「えぇ、折神家管理の元で開発・運用されている代物がなぜ折神家の預かり知らぬ所で使用されているのかそしてそんな物が何故荒魂の居ないこんな山中に射出されたのか疑問は尽きませんが勇刀君は何かを感じたのでしょう」
尊達がテントの中で寛いでいると外が俄かに騒がしくなった
「騒がしいですね何かあったのでしょうか?」
「ちょっと聞いて来ますね」
綾人はテントの外に出て見張りの隊員に声をかける
「すみません、騒がしいようですけど何があったんですか?」
「あぁ六刃将の、つい今しがた長船の刀使が投降してきたんですよ。その為周囲に仲間が潜んでいる可能性があるとみて捜索隊を組織している所です。」
「ありがとうございます。それでその刀使は今どこに?」
「今は我々監視の下、Eテントにて拘留中です。」
「そうですか、御忙しい所ありがとうございます。」
「いいえ!これも職務の内ですので!」
隊員の敬礼に敬礼で答え長船の刀使が捕らえられているテントへ向かった
「長船の刀使ってどんな人だろう、どれどれ~?………っ!?」
綾人はテントの一部に開けらた窓からこっそり中の様子を覗いたときその目に映ったのは綾人に取ってまさかの人物だった
「姉さんっ」
綾人はハッと大きな声を出してしまった口を抑えて窓の下にしゃがみ込んだ
「何で姉さんがこんな所に?そもそも御前試合が終わったらバカンスして帰るって言ってたのに……もしかしたら勇仁君の御姉さんも!」
綾人はその場からすぐさま自分達のテントに戻った
「勇仁君大変だよ!!」
「うぉおぅ!?どっどうしたんだよ?」
テントに駆け込んできた綾人に椅子で寛いでいた勇仁は驚いて後ろに倒れた
「今警備の人に長船の刀使が投降してきたって聞いて見て来たんだけど、その刀使が…姉さんだったんだ」
「はぁ!?お前の姉ちゃんが!?」
「うん!もしかしたらだけどあの所属不明のS装備はもしかしたら姉さん達が使ったのかも知れない」
「勇刀の読みは当たってたって事か……でも確認されてるS装備は2つだろ?一つはお前の姉ちゃんだとしてもう…一つ…はっ」
「もう一つは……恐らく」
「姉貴っ……そうだよな、お前の姉ちゃんと一番仲が良いのはウチの姉貴だもんなっ、クソッタレ!俺は外で姉貴を探す!お前は自分の姉を監視しとけ!」
「でも尊さんには何て言えば!?」
「んなもん機動隊の支援とでもいっときゃ良いだろ!俺はもう行くぞ!」
「ちょっと勇仁君!」
「どうしたんですか?!」
勇仁が飛び出して行ったのと入れ違いになる様に尊が戻ってきた
「あっえっと今機動隊の人から周囲の捜索を手伝ってくれって言われて」
「その割には焦っていたみたいですが…」
「隊員の人も急いでたみたいだったのでっ」
「そうですか、まぁ何もしないよりは良いでしょう」
「じっ実は僕も投降してきた長船の刀使の監視をお願いされててっ!Eテントに行かなくちゃいけないので此処はお願いします!何かあれば連絡して下さーーーい!」
「はっはい、気をつけて……」
尊は走って行く綾人を茫然と見送る事しかできず立ち尽くしていた
「僕が少しテントを空けていた間に一体何が……」
「くそったれ!なんだってあの、何時も怠けて本当に大事な事以外サボるのが信条の姉貴がこんな所に居やがる!」
勇仁は姉を探す為に森を駆けていた
その胸中は穏やかではなく大時化の海の様だった
その時周囲に突然蝶の様な荒魂が飛来した
「くっ!荒魂!?こんな時に何だってんだ!!クソがっ!!」
勇仁は荒魂たちが集まっている場所へ向かった
「フゥ、何んとか脱出できましタ、後はこれをグランパに届ければ!」
「何を誰に届けるの?」
「っ!何者デース!?」
「僕だよ、姉さん……」
「なっ!?アヤト!?何故貴方が!」
「お前には俺のペットが世話になったな、その借り返させてもらうぞ」
「出来るでしょうか?貴女に」
「キエェエエエエエエエエエ!!!!!」
自身の身の丈をはるかに超える大刀を軽々扱う少女の振り下ろしが夜見に目がけて襲いかかる
「おぉおおおおおおお!!!!!」
ガギィンと鉄と鉄がぶつかり合う音が響いた、その発生源は夜見から少し離れた場所だった
そこでは勇仁が大刀の刃を受け止めていた
「なんだお前!(コイツ俺の渾身の振り下ろしを受け止めやがった!?)」
「コイツの相手は俺に任せてもらう、アンタは戻れウチの副隊長一人じゃまだあの規模の指揮を執るのは無理だろ」
「そうですね、そうさせていただきます」
「テメェ!逃げるのか!」
「お前の相手は俺だ!!」
「ぐっ!離せ!!」
勇仁は拠点へ戻る夜見を見届けてから目の前の少女をその場から遠ざける様に押し出して行った
「落ちつけよっ!俺だ!」
「っ!勇仁!?何でお前がこんな所に!そもそもその力は何だよ!」
勇仁は森の中にある小さな開けた場所で少女を離すとフードを取った
「いっぺんに聞くなよ!俺が説明下手ってのは姉貴が良く知ってんだろ!益子薫!」
「そうだった!ウチの愚弟は超絶不器用な男だった!」
「うるせぇ!姉貴も似たようなもんだろうが!」
「答えてください!アヤト!なぜ貴方がこんな所に!」
「姉さんこそこんな所で何してるの?御前試合が終わったらバカンスして帰ってくる事になっていたでしょ?」
綾人は脱走した姉を待ち伏せして対峙していた
綾人はだんまりを決め込む姉を見て意を決した瞳を向ける
「今の僕は折神紫直属の部隊、六刃将の一人だ、もし今の姉さんがあの人に仇なす存在なら見過ごすわけにはいかない、古波蔵エレン」
「……嘘ですよね?ウソだと言って下さい!!貴方がそんな嘘を言うはずがない!」
「残念だけど本当だよ、で今の僕の仕事はあの場所の防衛、そこから人を逃がすわけにはいかない」
綾人は腰から自らの脇差しの御刀を抜き、切っ先をエレンに向ける
「っ!!」
エレンも自らの御刀を抜き構える
「そんなわけで俺は今じゃ、折神紫の部下だ、どうだ?かなりの大出世だろ?」
「馬鹿言うんじゃねぇ!何が大出世だ!アイツが何者なのかも知らないでそんな事言うんじゃねぇ!!」
勇仁はケラケラと笑いながら姉の薫に言うと怒りの表情で返して来た
「はっ!知ってるさ折神紫は荒魂なんだろ?それも普通の荒魂と別次元の強さの」
「そこまで知ってるなら何で!」
「俺達六刃将の御刀は特別でな、荒魂の気配や刀使の持つ御刀の神気や気配を感知出来る、それで解っちまったんだアイツの中に居る荒魂はただの大荒魂じゃないってな……綾人の方も話はついたみたいだぜ」
「綾人!?エレンの弟も折神紫の部下になったのか!?」
「あぁそういうわけだから、」
勇仁は薫に切りかかろうとした時
『稼働中の全親衛隊員及び六刃将に通達』
突然折神家から支給されている端末から折神紫の声がスピーカーモードで流された
「海翔、和人止まれっ!折神紫からの一斉通信?」
『現在神奈川県相模湾の一部で大規模な荒魂の集団の反応を捕捉した』
「「「「「「「「!!!!!!」」」」」」」」
『現在鎌府の刀使達と機動部隊が現場に防衛線を敷いている、親衛隊と六刃将は遂行中の任務を全て破棄し至急現場へ急行せよ』
襲撃犯と対峙していた親衛隊の二人は通信を聞いて苦虫を噛み潰したような顔をしていた
「くっ!目標を目の前に捉えておきながらっ」
「真希さん!紫様の御命令です!ここでこの二人に構っていたら民間人に多くの被害者が出ますわ!」
「これまでか!退くぞ、寿々花!ヘリの準備をさせて置け!」
『心配には及びませんよ、獅堂一席!御二人と此方の捜索班が戻ってくる頃には、準備も終わっています!』
「手際が良いですわね、六刃将の副隊長さんは」
『なるべく早く戻って来てください』
「言われるまでも無い!行くぞ寿々花!」
二人は写シを張ったまま飛び去って行った
「荒魂の出現に助けられるのは刀使として気に入らないがこの隙に離脱するぞ!」
「うっうん!」
(今の電話の声、聞いたことがある様な……)
「可奈美!早くしろ置いて行くぞ!」
「あぁ!待ってよ姫和ちゃん!」
十条姫和と衛藤可奈美はその場を後にして森の中に消えて行った
「なんだか大変な事が起きるみたいだね」
「アヤトは行かないのですカ?なら私と一緒に!」
「それは無理、姉さんは姉さんのやるべき事をやって、僕は今の僕にできる事をするから、それじゃぁまたね」
「アヤト……今度会った時は必ずアヤトを連れ戻しマス!」
エレンは綾人が飛んで行った方を向きながら森に消えて行った
「あ~ぁなんだよ、折角気ぃ利かせようとしてたのに」
「おい、お前の上司からの呼びだしだろ?早く言った方がいいんじゃないのか?」
「ねねっ!」
「言われんでもそうするわ!ったくじゃぁな姉貴、ねねも姉貴の事頼んだぞ、上手くやれよ…また今度な」
「ねねねっ!」
「おう、お前もな、下手打って死ぬんじゃないぞ」
「うるせぇよ」
そう言い残し勇仁は拠点へ戻って行った
「まさかこんな事になるとはな、早く俺達も拠点に戻ろう、その途中で獅堂達とも合流できるかもしれない」
「あぁ!」
「はーい!」
勇刀達は結局、獅堂達に合流する事は出来ずにそのまま拠点へと戻って行った
その途中獅堂真希と此花寿々花と合流した
「よぉ、間に合わなくて悪かったな」
「あぁ、その事は気にしていない、広範囲に展開し過ぎた僕等の落ち度だ、君達が気に病む必要は無いよ」
「そう言ってもらえるとありがたいね、でどうだった?俺と和人の妹は?」
「強かったよ…でも今度は負けない、次こそは勝つ!」
可奈美の強さを、その身を持って体感した真希と寿々花は、一瞬目を伏せるが直ぐに顔をあげて決意に満ちた瞳で前を見ていた
「真希さんの言う通りですわ、親衛隊が負けっぱなしというのは示しがつきませんもの!」
「お姉ちゃん達頑張れ~~!」
「なんだか複雑だな……」
「そんな事より今は相模湾の荒魂の集団ですわ」
「あぁ、今までこんな事は起こった事は無かったんだ、どれだけの被害になるか…」
「なら速く行くしかねぇよな、ちょっと失礼するよ御二人さん!」
「は?」
「え?」
勇刀は二人を脇に抱えると
「喋ると舌噛むぞ!!」
いつも以上に力を込めて地面を蹴るとミサイルの様な速度で飛んで行った
「うわぁあああああああああああああああ!!!!!」
「きゃぁあああああああああああああああ!!!!!」
悲鳴をあげて飛んで行く親衛隊を見て残された二人は静かに手を合わせた
「さて、俺達も行くか」
「そうだね、和人兄ちゃん」
二人も勇刀同様地面を蹴り飛んで行った
その頃拠点ではヘリの準備も完了し親衛隊と六刃将で別のヘリで待機していた
ヘリは羽を回し続けいつでも飛び立てる状態だった
「アイツ等まだ戻ってこねぇのかよ!」
「しょうがないでしょ!隊長達の捜索範囲かなり広いんだから!戻ってくるのにどうしたって時間がかかるんだから!」
「勇刀君達と親衛隊の御二人が戻ったらすぐ出発します!」
「ヘリのレーダーに高速で接近する物体を感知!数は3!」
「来た!」
レーダーに映った影はヘリの傍に着地もとい着弾した
「ただいまぁ!」
「やっと戻ってきたか!親衛隊はそっちのヘリだとさ!……その二人どうした?」
「えっ?あぁ最高速で飛んできたから少しビックリしたみたいで」
勇仁は勇刀が脇に抱えている伸びている真希と寿々花をみて驚いていた
「はぁ…全く勇刀は、女性をそんな風に抱えるなんて失礼ですよ」
「全くだ…」
「レディの扱いはもっと慎重かつ丁寧にして欲しいですわね…」
「悪い悪い次があったら気をつけるよ」
勇刀が二人を親衛隊のヘリに乗せて勇刀も六刃将のヘリに乗り込んだ
「出して下さい!」
「了解!!」
全員乗り込んだのを確認した尊がパイロットに発進の指示を出すとプロペラの回転数が急上昇し飛び立っていった
ヘリに乗り込むと内部にあるモニターに折神紫が映し出されブリーフィングが始まった
『それでは現状を説明する、数時間前相模湾湾内の海中に無数の荒魂と思われる反応が検知された、その反応は増大し非常事態警報の発令となった、現在周辺住民の避難が急ピッチで進められている、並行して幹線道路及び鉄道路線の封鎖も行っているが荒魂の出現までに完了できる見込みは薄い』
「最低限、殲滅戦ではなく防衛戦になる事も覚悟しなければなりませんね」
『そうだ、現場には既に鎌府の刀使達が防衛ラインを構築し荒魂を待ち構えている、諸君には現場に到着次第戦線に参加してもらう、初任務がとんでもない事になってしまったがお前達ならこの戦い必ずや勝利を掴めるだろう、健闘を祈る』
「「「「「「了解」」」」」」
『六刃将共々活躍を期待している、お前達の力存分に振るうといい』
「畏まりました。」
「しかしただの捕り物がこんな事になるなんて思いもしませんでしたわ」
「あぁそうだな、それに場所が20年前の大厄災と同じ場所とは嫌な巡り合わせだ」
「そうですね……」
そして一行を乗せたヘリは現場上空に到着した
上空から見下ろすともう戦闘は始まっており荒魂が上陸しようとするのを鎌府の刀使達が水際で食い止めていた
「何だよもう始まってんじゃねーか!」
「少し遅かった様ですね」
「ねぇねぇ速く行った方が良くない?」
「あぁ、このままでは何時突破されるか解らないぞ」
「その前に配置はどうするの?」
「戦場は左右に細長く展開されてるから一か所に戦力を集中させても意味は無い、なら中央に俺と尊そして右翼に海翔と和人!そして左翼に勇仁と綾人が展開、それぞれ周囲の刀使のチームをサポートしつつ戦え!」
簡潔な配置と作戦内容を伝えると再びヘリ内部のモニターに折神紫が映し出された
『衛藤勇刀、聞こえるか』
「何でしょうか?」
『この戦いはお前達の初お披露目だ、派手に暴れてくれて構わん、お前達の存在と力を存分に示せ』
「了解!……別に全て俺達で倒してしまっても良いでしょ?」
『ふっ、やれるものならやって見せろ』
「全員聞いたな!上司からの許可も下りた!あそこに居る荒魂!全部狩り尽くすぞ!!」
「おうよ!!」
「はい!」
「うん!」
「あぁ!」
「了解!」
「行くぞ!六刃将出撃!!」
六刃将はそれぞれの持ち場に降下して行った
そのころ親衛隊は
「六刃将は出撃したか、なら僕達も行こう下で結芽も待っているだろう」
「えぇ、参りましょうか」
「準備は……万端」
「親衛隊!行くぞ!」
親衛隊もヘリから飛び降り戦場へと舞い降りた
防衛線では鎌府の刀使達が物量差で押され始めていた
「っ…数が多すぎる……このままじゃ」
「うだうだ言ってねぇで手ぇ動かせ!これだけの荒魂ちゃんを狩れる機会なんて早々無ぇぞ!とかいつもなら言うんだけど今回ばっかしはちとやべぇな、流石のアタシでもこりゃキツイぜ」
「前方!大型種来ます!!」
「何時の間にこんなでけぇのが!?沙耶香下がれ!!」
「っダメ、間に合わない……」
目の前まで迫った大型の荒魂の拳に沙耶香は己の死を感じ取った
「おおおおおおおおおおお!!!らぁっ!!!!」
しかし空から聞こえた叫びと共に目の前に何かが落ち荒魂が切り裂かれた
「ふぅ、間に合って良かった大丈夫か?」
「此処からは僕等も加勢します」
「男の人の、声…」
「アンタら、何者だ?」
「俺か?俺は折神紫直属部隊【六刃将】隊長、コールサインはユウだ」
「僕は副隊長のミコトです」
勇刀は尻餅をついている沙耶香と呼ばれた刀使に手を差し伸べて立たせる
「六刃将各員に命じる!目の前の荒魂を…狩り尽くせぇええええええええええええ!!!!」
6人の黒衣を纏った荒魂を狩る者が躍動する、押し込まれていた戦線は瞬く間に押し戻されて行った
「凄い…たった6人であの数の荒魂を圧倒してる……」
「チクショウ!このままじゃアタシの分の荒魂ちゃんまで全部食われちまう!!アタシ達も行くぞ!!」
「うんっ」
そこへ士気を取り戻した鎌府の刀使達が加わり戦況は一変してしまった。
その様子を指揮所で見ていた鎌府学長、高津雪那は驚きを隠せないでいた
「何だ、あの6人は…何だあの圧倒的なまでの力は、私が育て上げて来た鎌府の刀使達が…沙耶香が助けられるなんてっ」
そこへ折神紫から通信が入る
「紫様っ!あの者たちは一体何なのですか!なぜ我等鎌府にお任せいただけないのですか!?」
『鎌府だけでは手に余ると私が判断し差し向けた、心配するな奴等は強い、あの程度の荒魂など軽く蹴散らすさ』
「そうではなく!何故我ら鎌府に全てをお任せ頂けないのですか!?我等の力をもってすればこの程度の事態など容易く!」
『その割には苦戦していた様だが?あまり過信が過ぎると痛い目を見るぞ』
「っ!……はい、申し訳ありません」
『現場の刀使達には六刃将と連携を取りつつ作戦を遂行させろ』
「…畏まりましたっ……クソっ!!」
高津雪那は通信が切れた後ヒステリックに叫び拳を机に叩きつけた
その時防衛線では激しい戦闘が繰り広げられていた
「このまま防衛線を押し上げる!着いて来れるか!?」
「大丈夫……」
「まだまだっ行けるぜっ!!」
「フードの刀使は俺の傍を離れるな!目をつけてねぇと何しでかすか解らん!」
「アタシを問題児扱いするなぁー!」
「凄い…彼女の問題点をもう見抜いてる」
「おい!…うぐっ」
沙耶香の容赦ない説明に突っ込みを入れるフードの刀使は少しふらついた
「言わんこっちゃない!沙耶香って呼ばれてたよな?」
「うん…なに?」
「今から俺とミコトを先頭に区画を分ける!俺達が最前線を押し上げる!沙耶香は俺の後ろで俺達が討ち洩らした荒魂を処理しろ!その後ろにガス欠寸前のフードそしてそれをサポートする刀使に分ける!そうすればフードは休みながらでも荒魂と戦えるだろ?」
勇刀は荒魂を切り伏せながら作戦を説明するがフードの刀使は納得していなかった
「アタシは後詰めなんか嫌だね!あと他人のお零れの荒魂ちゃんを狩るのも御免だ!アタシはアタシのやりたいように荒魂を狩る!!せやぁっ!!」
フードの刀使は額に汗を浮かべながら荒魂の群れに突っ込んで行った
「あっおい!くそっ!作戦修正!俺とフードとで前線を支える!沙耶香と尊は俺達の後方にて戦闘!その他はその後方で二人のサポートだ!おいこら!待てフード!!」
「はぁ彼女にはもう少し協調性と言う物を持って欲しいですね」
勇刀はフードの刀使を追い尊は沙耶香と共に荒魂の処理に向かった
「おおおおおおおおおおらぁあああああああああ!!!」
「……ねぇあれってホントに人間なの?私には化け物が化け物相手に暴れ回ってるようにしか見えないんだけど」
「激しく同意」
「はげど」
「それな」
別の部隊の鎌府の刀使達の前では荒魂が宙を舞い吹き飛ばされていた、雄叫びと共に
「こんなんじゃ準備運動にもなりゃしねぇぞ!!もっと骨のある荒魂はいねぇのか!?」
勇仁は自慢の剛腕と力任せの剣で荒魂を相手取っていた
そこへ大型の荒魂が3体現れる
「へっ!少しは楽しめそうじゃねぇか!!」
「おらぁっ!!」
拳を振り下ろして来た荒魂に勇仁は突きを放ち、拳を弾いてよろけている隙に荒魂の頭を鷲掴みにし地面に叩きつける
「まだだぞオラァ!!」
叩きつけた荒魂をそのまま持ち上げ2体目と3体目の荒魂に投げつけると
「キェエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」
姉と同じ声を上げ其々を一刀にて斬り伏せた
「はっ!この程度かよ、つまんねぇな、次行くぞ次!!」
「やばたにえん」
「「「「「それな」」」」」
荒魂を小石の様にブン投げる人間を見て鎌府の刀使達の語彙力は大幅に落ちた
「勇仁君あんなに派手に暴れ回って体力持つのかな?まぁスタミナ切れを起こしてる所観た事無いから大丈夫か」
綾人は他の刀使達と陣を組んで戦っていた
「貴方が六刃将のお一人ですか?」
「そうだよ、取り敢えずこの辺の荒魂があっちの派手に暴れてる方に引き寄せられてるからやるべき事は一つだよね」
「これ以上向こうへ行く前に1体でも多くの荒魂を倒す、ですか?」
「その通り、そうすれば向こうの負担も減るし、荒魂の注意が向こうに向いてるから僕等も荒魂を狩り易い、win-winってやつかな?さーて頑張ろうか!」
「「「「「「はいっ!!」」」」」」
「僕が突っ込むから援護宜しく!」
「了解!」
綾人は荒魂の群れに飛び込むと短い御刀でバッタバッタと荒魂を切り裂いて行く
そして討ち洩らした荒魂を鎌府の刀使達が処理して行く即席にしては上出来のコンビネーションで荒魂を祓って行く
「よいしょっと!そっち行ったよ!」
「はい!はぁああああああああ!!!!」
「うん!Good Kill!さぁどんどん行くよ!!」
綾人のサポートしている刀使達のチームは連携がドンドン良くなっていった
それは綾人が刀使達を上手く誘導しサポートしていたからだ
それは刀使達も感じていた
(あれ?なんだかいつもより戦いやすい?)
(荒魂の方から私達の懐に飛び込んできてる)
(多分あの人が私達を上手く誘導してくれてるんだ)
(こんな人が一席以外に甘んじているなんて六刃将の一席って一体…)
「さぁ!後少しだ!頑張ろう!!」
「「「「「「はいっ!!!」」」」」」
「向こうは随分と騒がしいな、海翔お前は誰を探しているんだ?」
「ん?お姉ちゃんが鎌府の刀使だから居るかな―と思って探してるんだ」
「そうか、家族を探すのは良いがやるべき事を見失うなよ」
「はーーい!じゃぁ行ってくるね!」
「あぁ確りな……さて始めるか」
和人は持ち場に走って行く海翔を見届け自分の御刀を抜くと手近にいた刀使の小隊に加勢した
「はぁっ!!この辺りを抑えているのは貴方達か?」
「はいっ!そうです!」
小隊長の刀使の返事を聞くと和人は頷き荒魂に向かって構え直す
「暫し加勢する、まだ戦えるか?」
「はい!まだ行けます!!」
「よし、なら俺達で防衛線を押し上げる!俺達の後ろにはまだ民間人が残っているみっともない所は見せられないぞ!」
「「「「「はいっ!!」」」」」
和人達は目の前の荒魂の大群に飛び込んで行った
(ブリーフィングでは荒魂が出現した経緯については不明だと言われたが、現場が20年前の大厄災の近辺である所を見ると違和感は拭えない、やはり母さんに宛てられた手紙は真実なのか?)
「きゃぁっ!!」
「っ!?クソっ!!」
和人は荒魂の攻撃に耐えきれず吹き飛ばされた刀使に駆け寄り素早く荒魂を切り捨てる
「全員聞け!間違っても俺から離れ過ぎるな!死なない事が第一だ!生きて入れば万事どうにでもなる!!死ぬな!無様に足掻いても這いずり回っても生きろ!!」
和人は荒魂に囲まれている全員に聞こえる様に声を張り上げる、願わくばこの戦場に居る全員に届くように
「へっ!言うじゃねぇか和人パイセン!」
「もう少し大人しい人だと思ってたけどあんなに大きな声でるんだ、すご」
「良い事を言ってくれますね、和人君」
「案外熱い奴なんだな和人って、こっちも乗って来ちまった!」
他の4人が和人の声に影響されて士気を上げている時、それを同じ右翼で聞いていた海翔は仕留めた荒魂の残骸の上で座りながら聞いていた
「ん~~和人お兄ちゃん凄いな~、僕も頑張らなくっちゃ!ねぇー!お姉ちゃん達だいじょーぶ?」
「はぁっはぁっはぁっ!」
「何なのよあの子!現れたと思ったら10体以上いた荒魂を一瞬で倒すなんて…」
海人は残骸の下で肩で息をしている刀使達に声をかけるが息絶え絶えで返事をする余裕は無かった
「も~~だらしないなぁ、僕のお姉ちゃんならこの位全然大丈夫なのに~~よっと!」
海人は残骸から降りて収めていた御刀を抜くと
「それじゃぁ僕は先に行ってるから、お姉ちゃん達は休んでていいよ!それじゃぁね!」
海人はご機嫌な足取りで荒魂の群れに一人で斬り込んで行った
「あははは!!それそれぇ!!」
その様はまさに舞うが如く、閃く刃は確実に荒魂を切り捨てる
そして幾ばくかの時が過ぎ荒魂の数が見るからに減って来ていた
「荒魂の数が減ってきたな」
「えぇ、そろそろ終わりとみて良いでしょうけど、感じますか?」
「あぁ海の方からヤバそうなのが一つ近づいてきてる」
「おっ?また新手が来るのか?へへっ…やっぱり荒魂、退治はこうでないとなっ」
「お前はもう喋るな、立ってるので精一杯の癖しやがって」
勇刀達は中央の最前線で荒魂を迎え撃っていた
傍らには立っているので精一杯のフードが居た
「取り敢えず一旦退いてこのフードを救護部隊に任せよう、確実に限界だ」
「アタシはっまだやれるってのっ!」
「痩せ我慢も程々にしないと取り返しのつかない事になりますよ。
では速く退きましょう、手遅れになる前に」
「よし!じゃぁしっかり掴まってろよ」
「ちょっ!?何してんだよ離せよ!」
「喋ったら舌噛むからな!」
勇刀はフードを抱き上げて全速力で後方にいる沙耶香達の所まで戻った
「沙耶香!!」
「っ!ユウ…どうしたの?」
「直ぐにコイツを連れて最終防衛ラインまで下がれ、デカイのが来る」
「幸いその反応が最後の様ですから、それがここに到着するまでに他の雑魚を片付けます。君達は最終防衛ラインにまで来た荒魂を処理して下さい」
「任務了解……二人とも気をつけて…」
沙耶香は頷くと部隊員と共にフードの腕を確りロックして引きずって行った
「……おかしい」
「何がおかしいんですか?糸見さん」
「呼吹が何も言わない、いつもの彼女ならもっと騒ぐはず」
「確かに六刃将のお二人に連れてこられた時から大人しいですね」
「「あっ……」」
「キュ~~~~……」
二人がフードの刀使、七之里呼吹を見ると目を回して気絶していた、顔も真っ赤だった
「「気絶してる……楽だしまぁ良いか」」
二人はそのまま最終防衛ラインまで後退して行った
他の六刃将もサポートしていた部隊を同じ様に下がらせて残りを処理していた
「さてとこの辺の荒魂は片付いたな」
「えぇ、両翼共に片付いたようですね今此方に向かってきています」
勇刀と尊の元へ最初に現れたのは親衛隊だった
「衛藤勇刀!」
「おう、獅堂と此花、皐月と誰だ?」
「彼女は親衛隊の燕結芽ですわ」
「初めまして!おにーさん達が六刃将っていう人達?」
「あぁ、俺は六刃将隊長の衛藤勇刀だ、宜しくな燕」
「私の事は結芽でいいよ、勇刀おにーさん!」
「そうか、改めて宜しくな結芽」
勇刀が結芽と話している時尊は獅堂、此花と皐月と話していた
「それじゃぁ取り敢えず現れていた荒魂は全て倒しきったんですね」
「あぁ、中々手古摺らされたけどね、流石の僕達も少し疲れたよ」
「お疲れの所申し訳ないんですが、まだ来るようなんです」
「まだ来るんですの!?あれ程の荒魂たちを退けた後だと言うのに」
「鎌府の刀使達も疲労していますし、一番近くの美濃関に応援を要請しても確実に間に合いません」
皐月の冷静な分析に獅堂と此花が頷く
「俺達はまだまだやれるぜ!!」
「勇仁君は何時も元気だね」
「こちらはまだまだ戦える、鎌府の刀使達にはこれ以上無理をさせるべきではない此処から先は」
「僕達だけでじゅーぶんだよ!大きいのが1匹だけだし!」
各所に散っていた六刃将達が戻ってきた
「はぁ、皆はこう言っていますが、隊長は如何ですか?」
「ん?まぁぶっちゃけ、俺達六刃将に親衛隊の4人の計10人が居るんだ、これだけの仲間が居て何を恐れる事があるって話しだよ」
「ではここで迎え撃つと言う事だね?」
「おう!ここでぶっ潰す!」
獅堂の確認に気持ちいい笑顔で拳を突き出す
「んじゃさっさと片付けようぜ!」
「そうだね、サクッとやっちゃおう」
「これ以上住民の皆さんに不安を与え続けるわけには行きませんから」
「あぁ、早々にケリをつけるぞ」
「がんばるぞー!」
「偶にはこういうのも悪くは無いかな」
「そうですわね、柄にもなく高揚してしまいますわ」
「これもあのお方の御ために」
「おにーさん、おねーさん達には負けないからね!」
他の九人も拳を合わせて円になる、全員の表情は穏やかで柔らかい笑みが零れていた、
そこへ突如海面から水柱が立ち上り巨大な荒魂が現れた
「さぁ行くぞ!!」
10人が一斉に荒魂に斬りかかった
巨大な荒魂を前にして勇仁が興奮を抑えられない様に声を出した
「コイツはまたデケェのが出て来たな!」
「今度は勇仁君でも殴り飛ばしたりは出来ないんじゃない?」
「はっ!俺を舐めんなよ!コイツも殴り飛ばしてやるよ!」
「あまり一人で突っ込まないで下さいね!」
「俺はこういう奴とやりたかったんだ!!」
勇仁の奴、興奮し過ぎてるな、どうにかして鎮めないと何しでかすか解ったもんじゃねーな
「おい勇仁!取り敢えず、お前アイツを一発ぶん殴ってこい!!」
「ちょっ!勇刀君!?」
「それは彼を負傷させに行く様なものです!命令の撤回を!」
「構うな!行け勇仁!!」
尊と寿々花の抗議に勇刀は耳を貸さずに勇仁へ指示を飛ばす
「へっ!少しだけお前が上司で良かったよ!!ドラァッ!!!!」
最初こそ拮抗していたが次第に勇仁が押され始める
「はぁっ!!」
そこへ勇刀が荒魂の腕を斬り落とす
「はぁっ!はぁっ!はぁっ!」
腕を斬り落とされた荒魂は数歩後ずさり傷口を抑える傷口からはノロが溢れだしていた
「よぉ、少しは落ち着いたか?」
「っ!お前っ」
「興奮するなとはいわねーよ、けど戦場での鉄則は、心はホットに頭はクールにだ、地の力は俺達の中では断トツなんだから、あんまりぶんぶん振り回しても宝の持ち腐れだぞ」
「………」
何も勇刀はやけくそで勇仁に指示を出したわけではなかった、極度の興奮状態になり明らかに正常な判断が出来ていないと判断したからだ
「だからあんな無茶苦茶な指示を…」
「勇刀君……」
「さぁこっからだぞ!勇仁!お前にはガンガン攻めてもらうからな!覚悟しとけよ!」
「っ!!…あぁ任せとけよ勇刀!!何だろうとぶっ飛ばしてやる!」
二人は拳をぶつけ合うと荒魂に向かって駆けだして行く、それに続く様に他のメンバーも行動を開始する
「アイツの攻撃は勇仁が弾け!それで出来た隙を俺達で突いて行く!
「任せろ!!いっくぜっ!!……なんだ、これ…」
いつの間にか勇仁以外の全ての物から色が消えさりモノクロの世界が広がっていた、そして時が止まったかのように全てが停止していた
そして目の前の海の中から何かが階段を上がる様に現れた
「何だ……お前」
《我はお前の刃、お前は我の誇り、お前の望みの為我は力を与えよう》
「何のことだ!お前は一体何なんだよ!荒魂か!?」
《我の名はお前の魂と共にある、さぁ轟かせてみよ、我の名を!》
この時勇仁は自身の身体から力が溢れるのを感じた、その力は体中を駆け廻りそして頭に名前が浮かび、それと同時に世界に色が戻り、時が流れ始める
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
勇仁は絶叫と共に天高く跳び剣を振り上げる
「全員!攻撃準備!!隙を逃すなよ!」
「いいや!俺とコイツで終わらせる!!」
勇仁は上段に構えた御刀をその名を叫び振り下ろす
「轟け!
すると勇仁の御刀とは別の巨大な刀が現れ荒魂を切り裂いた
その一振りで海が割れた、その現象がどれ程の衝撃かを物語っていた
その衝撃的な光景に勇刀達は茫然とするしかなかった
「はぁ~~~~~、これから宜しくな、天譴」
勇仁は名を知った御刀[
勇刀達の戦闘回でした。
やはり戦闘描写は難しいですね、これからも上手く書けるように頑張らねば!
そしてある意味読者の方の期待を裏切る形になってしまいましたがご了承ください。
アニメ通りに進んでもなんだかなぁと思っていた節はあったので、この様な形にさせていただきました。
それではまた次回!