刀使ノ兄弟   作:腰痛持ち

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7話 兄 、再会そして修行

舞衣ちゃんと再会してから一夜明けて俺達は局長室に呼ばれていた

「お前達に舞草の拠点を捜索してもらいたい」

「確か反折神紫派の組織でしたよね」

「あぁここの所何やら動き出している様でな、お前達にはその拠点を捜索してもらいたい」

俺は紫から資料の書類に目を通す

「大体の目星は付いてるんだな」

「あぁその書類に記したエリアの海岸線だ、そこを虱潰しに探してもらう」

「りょーかい、んじゃ行ってきますわ」

そう言い残して俺達は局長室を出て、その足でヘリポートに赴き指定されたエリアへ向かった

「勇刀君昨日はよく眠れましたか?」

「あぁ、途中から合流した結芽と打ち合っていい感じで疲れて爆睡だったわ」

「結芽ちゃんと戦ったの!?どうだった!?強かった!?」

「あぁあの実力で四席って言うのには驚いたけど何か理由があるんだろうと思ったよ」

「へぇじゃぁ今度僕とも戦ってもらおうっと!」

ヘリの中では他愛の無い会話をしながら暇を潰していた、するとパイロットから目的地上空に到着したと言われたが着陸できるスペースが確保できない為、ある程度の高さまで高度を下げそこから写シを張り単身降下して行った

「さーて行こうか」

「行こうかって何処行く気だよ?これから探すんだろ?」

「まぁ取り敢えず行って見て、違ったらそこからバラけて探せばいいだろ、んじゃ着いて来い」

俺達は目的地へと向かった、そこには集落の様な物があり御社も確認できた

そして長船の刀使達もちらほらと見受けられた

俺達はその集落を見渡せる山の木の上にいた

「どうやら、当たりだったようだが、これからどうするんだ?隊長」

「取り敢えず妹に説教しに行くぞ、タイミング良く舞草のボスもご一緒だ」

「なんでそんな事が解るの?」

「ん?御刀の神気と刀使の霊気を探ったんだ、お前らも集中したら出来るぞ」

「あっ!ホントだ!お姉ちゃんもいる!」

「この感じ、姫和っ」

勇仁と綾人も探ったらしく俯いていた、あそこに居て欲しくないって思うのは当然だろうな

「てな訳で突撃訪問と洒落込もうか!」

俺達は木から飛び降り可奈美達の霊気を感じた離れに向かった

 

俺達が向かった離れでは折神朱音と白髪の爺さんそしてスーツの上に法被を着た長船女学園の真庭学長が可奈美達に話をしていた

「そう言えば昔、お兄ちゃんと一緒にお母さんのお墓参りに行った時、お兄ちゃんが言ってたんですけど」

『可奈美は、毎日母さんと剣の稽古をしていて何か感じた事はあるか?』

『ん~~特にないかなぁ、お母さんは剣の稽古しててもお母さんだったし、でも私が上手に出来るとお母さんの目がすっごくキラキラしてね!そこからあっという間に1本取られちゃうんだぁ!』

『そうなんだ』

『でも何でそんな事聞くの?』

『俺は時々、母さんから母さんとは違う何かを感じたんだ、冷たくて怖いけどなんだか凄く懐かしい物を……』

 

 

「美奈都先輩から…それはお前の兄から詳しく話を聞きたい物だな」

「確かに興味深い話ですね、彼女のご子息であるなら何かに気付いていても不思議ではありません」

「君のお兄さんは今どこに居るんだい?」

「可奈美ちゃんのお兄さんなら、先日沙耶香ちゃんを探している時に鎌倉でお会いしました」

「お兄ちゃんまだ鎌倉に居たんだ」

「鎌倉か此方からは手を出しずらい場所だな、さてどうしたものか」

 

「その事なら心配ご無用!!何故って!!」

「「「「「「「!?!?!??!?!?」」」」」」

「俺達が来た!!!!」

突然離れの障子が開くとそこには六刃将が勢ぞろいしていた

「なっ!?六刃将!?何故ここが!」

「最悪なシチュエーションだね!」

いきなりの出現に可奈美達は御刀を構えた

「はいはい、別にドンパチしに来たわけじゃないから物騒な物は下げろ」

臨戦態勢をとる可奈美達を前にしても冷静さを損なうことなく冷静な対応をする

「折神紫の部下であるお前達の言葉など信用出来るわけがないだろう、舞草の拠点を潰しに来たのか!」

「だからちげーっつうの!」

「では何が目的なのですか?」

声を荒げて否定する勇刀に朱音が問う

「愚妹への説教だよ」

「だって俺さっきまで話に出てた兄だから」

「「お兄ちゃん!?/勇刀さん!?」」

フードをとって素顔を晒すと約二名から驚きの声が上がった

「お兄ちゃん……おにいちゃーーん!!」

可奈美は抑えきれなくなったのか勇刀に抱きついた

そして緩みきった笑顔で頬ずりをしていた

「おぉっと!?よしよし元気だったか可奈美」

「待て可奈美!ソイツが何をしに来たと言っていたのか憶えていないのか!?」

「えっ?ぐまいに説教だっけ?ねぇ舞衣ちゃんぐまいってどういう意味?」

「えぇっと…自分の妹をへりくだる時に使う言葉で」

「へぇじゃぁお兄ちゃんが言うってことは私の事なんだね!……え?愚妹に説教って事は、私叱られるの!?」

「今更かよ!?お前の妹大丈夫なのか?」

「ホントだよ、こんなんで嫁の貰い手どころか彼氏が出来るのかすら心配だ」

「だから私にはお兄ちゃんがいるから彼氏なんかいらないの!私はお兄ちゃんと結婚するの!」

「お前まだそんな事言ってんの!?いい加減にしとけって」

「嫌っ!カナはお兄ちゃんのお嫁さんになるの!良いよって言ってくれたよね!?」

「お前良く覚えてるな、そんな昔の事!?」

「だってカナ、お兄ちゃんの事大好きだもん!」

「……じゃぁその大好きな兄貴に心配かけるんじゃねぇよ、バ可奈美っ」

勇刀が可奈美を強く抱きしめると可奈美も久しぶりに感じる兄の暖かさに不安から解き放たれ自然と涙が溢れていた

「少し見ない間に顔つきが少し変わりましたね、舞衣」

「っ!?尊兄さん!まさか兄さんまでっ」

「えぇ、でも御刀を手に入れた事以外は何も変わっていませんから安心して下さい」

「そうですね、安心しました……」

舞衣は優しく微笑み自分の頭を優しく撫でてくれる温かい手を感じ目を細めていた

しかし微笑ましい雰囲気ではない所があった

「姫和……」

「私を裏切ったのか…何でっどうしてっ!!」

「違う!俺の話を聞いてくれ!俺はお前を裏切ったわけじゃない!」

「うるさい!!お前の話なんか聞きたくない!!兄さんだけは私の味方で居てくれると信じていたのに!!こんなっ!こんなの!!」

「落ち着け姫和!俺はっ!」

「黙れ!!お前はもう!私の家族なんかじゃない!!私の敵だ!!折神紫諸共、殺してやる!!」

姫和は御刀を抜いたと同時に写シを張り、迅移で和人に迫り突き刺そうとしたが

一瞬の内に二人の間に勇刀が入り込み、小烏丸の切っ先を右手の指で摘まんで止め姫和が次に何かをする前に、今度は投げ飛ばし畳に抑えつけた

「………」

あまりに唐突な出来事に姫和は勿論、周囲に居た人物全員が唖然としていた

「言い忘れていたが俺は目の前で仲間が殺されるのを止められない程、弱くは無いぞ」

「っ!!」

抑えつけられている姫和は勇刀の殺気をその身に受けて震えていた

「お前の兄は、何よりもまずお前の身を案じていた、天城峠でお前の下に辿り着けなかった事を悔んでも居た、そんな兄貴が妹を裏切るわけないだろ」

勇刀は姫和の上から退き解放した

「姫和すまなかった、お前が苦しんでいる時に傍に居てやれずに、俺はお前の無事を祈る事しか出来なかった」

「兄さんっ…私、ごめんなさい!ごめんなさい!!」

「俺は大丈夫だ…妹の癇癪を受け止めるのも兄の仕事だからな」

和人は泣きじゃくる姫和を抱きしめて優しく頭を撫でる

 

「ねぇお兄ちゃん、あの子どうしたんだろう?」

「海翔?……」

可奈美が縁側にて体育座りで丸くなっている海翔を見つけた

「どうした海翔?」

勇刀は海翔の隣に座り話しかけると

「お姉ちゃんに嫌われた……」

「はい?」

「どういうこと?」

海翔は勇刀達に話した内容はこうだった

姉と再会できたことが嬉しく抱きつこうとした時、沙耶香は「嫌」と言って避けられ追い打ちとばかりに「近寄らないで……」と言われたらしい

「僕、お姉ちゃんに嫌われる様なことしちゃったのかな…ぼく、ただお姉ちゃんに褒めてもらいたかっただけなのに…」

海翔は顔を伏せてギュっと小さくなる

「はぁ、しょうがねぇな」

そう言って勇刀は舞衣と一緒に居る沙耶香に声をかける

「防衛線以来だね、沙耶香ちゃん」

「うん…まさか可奈美のお兄さんだったなんて……」

「俺も驚いたよ、沙耶香ちゃんが海翔のお姉ちゃんだったなんて」

「私は…お姉ちゃんなんかじゃ、ない」

「少しお話しない?」

「解った……」

「ゴメンね舞衣ちゃん、沙耶香ちゃん借りるよ?」

「はい、じゃあ私皆の所に居るから」

舞衣と離れ二人は縁側に腰を下ろす

「改めて可奈美の兄兼六刃将隊長の衛藤勇刀だ、よろしく」

「鎌府女学院中等部1年糸見沙耶香…よろしく」

二人は握手を交わし話始める

「沙耶香ちゃんは、海翔の事をどう思ってるの?」

「あの子は、天才…私と違って」

「天才?」

「そう…昔から私と同じ習い事をやって全部私を置いて上手くなる……その度に私は海翔と両親以外の人から比べられた」

あぁそういう事かと勇刀は納得していた

沙耶香は本心で海翔を嫌っている訳ではなかった、ただ姉である自分より弟である海翔の方が優れていた事、そしてその才能に劣等感を感じていた

そこに追い打ちをかける様に周囲の人間からの比較、正直兄弟が居たらそうなってしまってもおかしくは無いが、海翔の才能が著しく常軌を逸している為、重症化したんだろうと勇刀は感じた

「その後かな?沙耶香ちゃんが御刀に選ばれたのは」

「そう、これで私は海翔と対等になれると思ったのに……」

「何の因果か弟が自分と同じか、それ以上の力を持ってしまい、また置いて行かれるんじゃないか、追い越されてしまうんじゃないか…と」

沙耶香は頷き肯定する

「海翔は天才なんかじゃないよ」

「そんなはずないっ、あの子は特別…」

「沙耶香ちゃん手見せて」

「どうして?」

「いいから」

沙耶香は渋々勇刀に掌を見せるとまだ小さな手を握り確かめる様に触れる

「うん、豆のある良い剣士の手だ、毎日確りと素振りをしないとこうはならないよ」

「それがなに?こんなの普通…」

「普通沙耶香ちゃんと同い年でこんな手の子はそうそう居ないよ、それだけ沙耶香ちゃんが努力してるってこと」

「………」

「沙耶香ちゃんは努力の天才だ」

「っ!!私、が?」

「あぁ、沙耶香ちゃんの手を見れば解るよ、毎日の努力が今に繋がっている何よりの証明だ」

「勇刀…私強くなりたい…今よりももっと強く」

勇刀は沙耶香の手を優しく自分の手で包み、優しくでも確りと沙耶香に言うとそれに応える様に彼女も強い意志の籠った瞳で勇刀と眼を合わせた

「あぁ、君は強い、そしてもっともっと強くなれる…と言うわけでだ、お前ら俺が稽古つけてやろうか?」

その言葉に約一名が飛び付く

「ホント!?お兄ちゃん!?」

「あぁ、決戦前のパワーアップイベントだと思え、一日でも早く今より強くなってもらわないと困るからな」

「それはどうしてだい?急ぐ必要は無いと思うのだが」

「恐らく折神紫は俺達以外にもこの場所を探している筈だ、だが見つけるのには早くても5日は掛かるはずだ、よって3日でお前らを鍛える」

「3日!?いくらなんでも短すぎると思います!」

「お前らが今相手取ってるのは現役最強の刀使、折神紫だ、そんな奴が時間を与えてくれると思うなよ、あと5日後には折神家へ奇襲な」

「はぁ!?どんだけ詰め込むつもりだよ!?」

「そうでもしなきゃ間にあわなねぇんだよ!折神紫にとりついている荒魂が完全に復活してしまう前に斬るしかない、それが出来なければ20年前の再現、いやあの時以上の被害が出る、どれだけの命が犠牲になるか解らない」

「確かに衛藤さんの言うことにも一理あります。このまま手をこまねいている程、姉も愚鈍ではありません」

「そしてそれに伴いこちらの主戦力のパワーアップを図り、その後折神家へ奇襲と言う事か、しかしその奇襲に君達も加わってくれるのが手っ取り早いと思うんだが?」

「そうだよ!お兄ちゃん達が居ればもっと簡単に!」

「悪いがそれは出来ない」

「それは何故だ?」

「タギツヒメ討伐成功後、刀剣類管理局と特別祭祀機動隊は必ず混乱するだろう、その時の為に俺達は準備しなきゃいけない事がたくさんあるんだよ」

「というと?」

「僕等六刃将は、先日刀剣類管理局及び特別祭祀機動隊とは独立した部隊になりました。その際管理局局長に不測の事態が起きた場合、一時的にではありますが管理局局長の権限と特祭隊の指揮権がそのまま六神将の隊長である、勇刀君に降りてくることになっているんです」

「ということは、私達がタギツヒメを斬り折神紫が動けなくなった場合、私達の上司はユウユウになると言う事デスカ!?」

「まぁあくまで一時的にだけどな、その後の事は追々考えるさ、んじゃ明日から早速稽古始めるからとっとと寝て明日に備えろよ、じゃぁな」

「お待ちください」

「はい?」

「皆さんさえ宜しければ泊って行って下さって結構ですよ、御家族の方とも積もる話もあるでしょうし」

「いや別にそこまでしても「いやったーーー!お兄ちゃん一緒に寝よう!」解ったから!静かにしろ!」

可奈美は恐ろしい早さで朱音の話に食い付き勇刀に抱きつく

「可奈美…勇刀の事になると迅移より速い」

こうして六刃将も可奈美達と同じ場所に泊る事が決定した

この後可奈美が勇刀と一緒に風呂に入りたがるがそれはまた別のお話で

 




ここに師匠勇刀爆誕!
次話からは勇刀師匠が指導を頑張ります!
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