GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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新種の名前、一つ頂きました!ひゃっほう!




 第3話(2) とにもかくにも災難続きのルーキーは災難

「さて。各員、結果を報告してくれ」

 

「だから、操縦担当が困るっつうの」

 

 

 

 

 

全員無事に合流地点まで辿り着き、隊長がヘリを呼んだところで、今回の任務はこれにて終了という空気になった。

 

そこで、操縦士が小耳に挟んでも問題ない程度の内容で、感想のような簡易報告が行われる事になる。

 

これは、操縦士の存在を完全に失念した隊長の意向に沿うように、ハヤが提案したものである。

 

「こっちはねー、お魚パラダイス(てん○く)だったよー」

 

魚を食べるとお腹が膨らむし、腹持ちもいいのさ電脳世界のモンスター的な意味で。

 

ちなみに、○の中に「じ」が入ると、新たな宗教観が生まれそうで生まれなさそう。

 

「さ」が入ると、赤ペン先生の正体は実は…いや、やめておこう。

 

「つ」が入ると、竜はもうほとんど関係ない冒険6の途中でエンカウントしそうで嫌だね。

 

「おい、不謹慎だぞ」

 

隊長がミミの言い回しに苦い顔をした。

 

「えー?」

 

ミミは、自分のどこに悪いところがあったのか、頭を捻って考え始める。

 

「そういや、結局オレんとこ、アラガミがいなかったぜ」

 

ハヤが思い出したように言うと、隊長は申し訳なさそうな顔をした。

 

「すまない…想定外の事態が発生したので、私が代わりに片付けておいた」

 

すると、ハヤは哀れむような顔をした。

 

「…その新種と最初にやりあう奴は、同情するぐらい可哀想な奴だな…」

 

隊長は心外そうに憤慨する。

 

「ど、どういう意味だ!」

 

その程度の脅しでは怯まず、ハヤは言葉を続けた。

 

「隊長は反則的過ぎんだよ。特にあの神機、ニーズヘッグだっけか?あんな破天荒な戦い方、誰が真似出来るってんだよ」

 

さすがに、ハヤの言い分に一理あるのか、隊長はぐぬぬ顔で反論を飲み込んだ。

 

「いやー、ハヤもどうかと思うよー?」

 

ところが、頭を捻っていた筈のミミから、不意打ち射撃が飛んだ。

 

「はあ?どこが………」

 

ハヤは、続きを言う事が出来なかった。

 

「ねー?神機とかー、戦い方とかー、この部隊からして特殊なんだから、言い出したらきりないよー」

 

ミミに諭され、ハヤもぐぬぬ顔で反論を飲み込んだ。

 

「じゃー、話戻そっかー」

 

試作機を使っているミミが言うと、並々ならない説得力があり、それにより全員がミミの意見に同意したようだった。

 

「…そう言やあ、合流地点に向かう途中、ヴァジュラがいたぜ」

 

素直に話を戻したハヤの話に、隊長はまたもや申し訳なさそうな顔をする。

 

「…すまない。私が取り逃がしてしまった奴だ」

 

すると、ミミとハヤは隊長を呆然と眺めた。

 

「…嘘だろ…」

 

「…敵前逃亡は重罪とか言う、隊長がー…?」

 

言っていた。

 

ところで、今さらだが、ルーキーが空気と化していた。

 

(…僕、投げられて、墜落して、気絶して、止め刺しただけだ…)

 

「ルーキーちゃんは何かあるー?」

 

何とか話を振られまいと、ステルスフィールドを張っていたルーキーだったが、普通に話を振られる。

 

ステルスフィールドとはいったい…うごごごご…

 

「え…えっと……」

 

その時、ルーキーの頭に謎のキーワードが浮かんできた。

 

…謎のゴッドイーター。

 

「………謎の、ゴッドイーターがいました」

 

ルーキーの放った言葉に、全員の間に緊張が走った。

 

「…それはいつだ?」

 

隊長の声から、柔和な雰囲気が消える。

 

その事に驚き、ルーキーは少し口ごもってしまう。

 

「え…っと…隊長が眠って少し経ったくらいの…夕日が沈みかけた頃…です…」

 

緊張の糸が一本、緩んだ。

 

「どんな人だったー…?」

 

心なしか目つきが変わっているミミが、慎重に尋ねてくる。

 

「…ひ、左腕に剣形態、右腕に銃形態の神機を持った人、です」

 

「ありえねえ…!腕輪付きにんな芸当、出来る訳が…!」

 

真っ先に、ハヤが真っ向からの否定に入った。

 

しかし、隊長はそれを止めると、今後の行動に対する建設的な意見を述べる。

 

「ハヤ、少し落ち着け。ルーキーがゴッドイーターに見えたからと言って、腕輪付きとは限らない。それに、”二つの神機を同時に使役するゴッドイーター”という事なら、特定するのは容易だ」

 

そして、その意見に付け加えるように、ミミも意見を述べた。

 

「…もしかすると、反乱分子の手先かもねー。ゴッドイーターに関する技術を流して、よその機関で独自に研究する連中がいない訳じゃないしねー」

 

どうやら重大な話に発展してしまったらしく、ルーキーはわたわたと、端の方で三人の作戦会議を聞いている事しか出来なかった。

 

「!…ちっ…操縦担当がいるんだっけな。この話の続きは、帰ってからにしようぜ」

 

つい話にのめり込み過ぎて、簡易報告の目的を見失っていた事に気付いたハヤが、話の中断を申し出た。

 

それには全員同意したようで、簡易報告はここで終わった。

 

 

 

「…すみません、皆さん…僕が余計な事を言い出した所為で、こんな大事に…」

 

もう少しで本部に辿り着くというところで、ルーキーはあれきり黙ってしまった全員に謝罪した。

 

それは、来た時と打って変わって重苦しい空気になってしまった事に、責任の一端を感じたからなのかもしれない。

 

しかし、その言葉は隊長の言葉で存在意義を無くした。

 

「…謝るのは私の方だよ。それに、君は私の代わりに例のゴッドイーターを見付けてくれていたんだ。褒められこそすれ、責められるような事を君はしていない」

 

ルーキーは、隊長の穏やかな表情に驚き、ミミに視線を移した。

 

「そうだよー、ルーキーちゃん。お手柄だよー」

 

その視線の意味を察したのか、ミミはいつも通りの気の抜ける声で、隊長の言葉に賛同していた。

 

ミミの言葉に後押しされ、ルーキーの視線が勇気を振り絞ってハヤに向けられる。

 

「………ちっ…オレは褒めやしねえぜ。てめえはやる事やっただけだ」

 

そんなハヤに、悪戯っぽい笑みを浮かべたミミが呟く。

 

「ハヤー、それ褒めてるよー」

 

「いちいち、うっせえんだよ!くそ…!」

 

ハヤとミミの掛け合いに、重苦しかった空気が軽くなっていく。

 

(…皆さん…ありがとうございます……)

 

そんな、来る時よりも明るい雰囲気の中、ルーキーは声には出さないまま、”部隊の仲間”に向けて感謝の気持ちを抱いたのだった。

 

ゆっくりと、ヘリが降下を始めた。





自殺、ダメ、出来るだけ。

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