もう一つ頂きました!ひゃっほう!
「うわわっ!何ですかこれ?!」
「きゃははっ!びっくりしたー?びっくりしたー?」
ヘリが隠されたヘリポートに着陸すると、巨大なエレベーターが作動し、駆動音を控えめに抑えながら降下していく。
そして、カモフラージュの為の地面が左右から出てきて、ヘリポートが降下した事による穴を塞ぐという仕組みである。
天井の穴が完全に塞がれると、第零部隊の帰還を祝福するかのように通路がライトアップされ、その通路の先には、専属のサポーター達が総出で出迎えをしていた。
まるで、一種のパレードのような、凱旋じみた派手さである。
エレベーターの降下が止まり、安全確認をした操縦士から合図が出ると、隊員達は欠ける事なくヘリから降りた。
そのまま通路に歩を進め、一人一人順番に手摺を掴む。
すると、手摺を掴んだ腕に突然、どこからともなく現れた機械が張り付いた。
ルーキーは跳ね上がる勢いで驚くと、待ってましたと言わんばかりにミミが笑いだした。
「安心してくれ。ただの簡易検査だ。ここから入る場合、身体に異常がないか、盗聴器などの機器が付けられていないか、それらをチェックするんだ」
「チェックするんだー」
(…チェックするんだぁ…)
ルーキーは、ほっとしたように肩を落とすと、特に何も考える間もなく、通路の終わりに辿り着いた。
隊長、ハヤ、ミミの順で、各専属のサポーターに迎えられると、他のサポーター達は唯一人を除いて、中に入っていく。
サポーター達は口々に、「ナナ様はお部屋でお休みかしら?」や、「ルル様、クク様と、お楽しみ…ゾクゾク…ハァハァ…」など、「クク様、今日も包帯をご所望なのか…やれやれ…」といった事を話していた。
二番目どうした。
ルーキーは、サポーター達の後ろ姿を見送ると、手持ち無沙汰な様子で残っている一人のサポーターと目が合った。
その瞬間、警報が鳴り響いた。
「何だ!?」
「???」
その警報は、ルーキーの腕に張り付いたままの機械から発せられていた。
「…え」
ルーキーの腕に張り付いたままの機械は、ルーキーから神機を奪い取ると、自動ドアの向こうに行ってしまう。
「…た、隊長…これって…?」
助けを求めるような目でルーキーは隊長を見るが、隊長は手を差し伸べるような真似はしなかった。
「…規則だ。悪いが、私にはどうしようもない」
隊長がそう告げると、三人と何やら話していたサポーター達が、瞬きする暇もなくルーキーに組み付いた。
「っ!!??」
そのまま、床にうつ伏せになるように組み伏せられ、驚きと焦りのあまり、ルーキーは何も言えなくなる。
「危険度Aエラーを確認しました。これより、緊急検査を行います」
聞き慣れない用語を言い放つと、サポーター達はルーキーの右腕を伸ばして固定し、上半身の服を容赦なく破いて脱がせた。
「!これは…」
「っ??っ???」
ルーキーの右腕にあった黒い痣は、右腕から肘、肩を経由し、背中まで広がっていた。
まるで、オラクル細胞の侵喰を受けているような、そんな様子だった。
その事に驚きを隠せなかった隊長は、ルーキーの前でしゃがみ込み、ルーキーの顎を乱暴に持ち上げた。
「何故、早く言わなかった!!!!」
ルーキーを真っ直ぐと見据えた隊長の目には、怒りや動揺や焦りなどの感情が渦巻いていた。
「た…隊長…?…何が、どういう事ですか…?」
状況を飲み込めていないルーキーの反応に、隊長の腕に込められた力が抜け、隊長は床を睨みつけながら苦しげに呟いた。
「…君はっ……君には…!…”アラガミ化”の兆候が出ているんだ…っ!!」
(…そっか…あれはつまり、そういう事だったんだ…)
ルーキーは、アラガミ化についての話を聞かされ、妙に納得していた。
――アラガミ化。
人間がオラクル細胞に侵喰される事で起こる、アラガミへの変異現象。
それはゴッドイーターも例外ではなく、ゴッドイーターの場合は偏食因子の過多過少によって起こると言われている。
勿論この情報は公式発表ではなく、第零部隊だからこそ知る事が出来る情報だった。
「…ゴッドイーターになる事が出来る人間というのは、生まれながらにして、オラクル細胞とそれを制御する為の偏食因子を、遺伝子の一部に宿した人間なんだ…それが神機との適合率を決定し、選定される基準となる…」
隊長の言葉が、ルーキーの脳裏を巡る。
「…我々、第零部隊の隊員は、その中でも特別な偏食因子を宿している…それは、偏食を調節出来るという、まるでアラガミのコアのような役割を果たす偏食因子だ…つまり…」
ルーキーは、泣きそうな顔をして話してくれた隊長を思い出す。
「…我々は、ゴッドイーターなどと呼ばれる存在ではないんだよ…アラガミとしての部分を色濃く宿し、偶然ヒトとして生まれただけの、憎むべき人類の敵なんだ…」
そうだった。
そういう事だった。
その理由は、アラガミとしての性質を抑える為だった。
謎のゴッドイーターに接近されたルーキーが、完全なアラガミになろうとしていた事が証拠だった。
そういった事態を防ぐ為に、こうして可能な限り隔離されていたのである。
(…やっぱり、隊長の徒歩に追いつけなかったのも、着地が上手くいかなかったのも、アラガミ化の兆候の所為だったのかなぁ…)
本来であれば、腕輪を装着する事によってそれを人為的に抑え、安定させてから配属される筈だったのだが、ルーキーの場合はそれが行われなかった。
それが、この状況を生んだ要因の一つだった。
ルーキーは、全身を完全に拘束され、誰もいない、何もない部屋にいた。
(…本当に、今日は色々と…人生最悪の日、なんだね…)
これから一ヶ月の間、ルーキーはこの部屋で、この状態で過ごす事になる。
アラガミ化が収まれば原隊復帰となり、完全にアラガミ化すると所属部隊の隊長に処分される。
つまり、もし完全にアラガミ化してしまうと、隊長によって処刑される事になるのだ。
(…あはは……今日は、色々と特別な日になって…色々な事があったなぁ…)
ルーキーは呑気にそんな事を思うと、真っ黒に染まっていく右腕を眺めた。
(…災難…だなぁ……)
こうして、とても急な事に、急展開で、一ヶ月の時が流れた。
発売日が迫っているので、それまでにある程度の話まで進めておきたい…
これでも実はスローペースですが、急展開過ぎて面白くなかったら、遠慮なくそう言ってください。