GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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 第3話(4) とにもかくにも災難続きのルーキーは災難

「……………ミミ…さん……?」

 

「久しぶりー、ルーキーちゃん」

 

 

 

 

 

全身に広がった黒い痣が、完全にルーキーを飲み込むまで、あと少しといったところだった。

 

右腕はほぼアラララガミ化…いや、アラガミ化しており、没収された筈のルーキーの神機が、右腕に無数に生えていた。

 

「お腹、減ってないー?」

 

そんな中、誰も立ち入りを許可されていない筈の部屋に、ミミは現れた。

 

「…お腹…ですか……空いて…ません……」

 

ルーキーの返答に満足そうに頷くと、ミミはその場に座り込む。

 

「あれから、そろそろ一ヶ月経つねー」

 

ルーキーは、何も答えない。

 

「実はねー、わたしもここに来る前、アラガミ化しちゃったんだー」

 

ぴくっと、ルーキーの顔が上がる。

 

「それで、同期の仲間に処分されちゃった…えへへ…」

 

どこか他人事のような、そんな風にミミは言う。

 

「わたしのいた支部はねー、船の支部なんだー。フェンリル戦船支部って呼ばれてたよ」

 

聞き慣れない言葉に、ルーキーは微かに首を傾げる。

 

「簡単に言うとー、ゴッドイーターとアラガミの実験をする為の支部。まだ公にはされてないけど、新しい偏食因子を使って、アラガミをそこに集めて実験してたんだ」

 

新しい偏食因子に興味があるのか、ルーキーは首を傾げた。

 

どこぞの不思議なダンジョンを彷彿とさせる仕草に、ミミは思わず笑ってしまう。

 

「…えっとねー、偏食因子って食べ物の好き嫌いみたいな奴なんだけど、普通の方が嫌いの方で、新しい方が好きの方なんだー」

 

なるほどと、ルーキーは微かに頷く。

 

「当時は知らなかったんだけどー、わたしも実験体の一人だったんだ。新しい刀身になる予定の槍の神機だよー、すごいでしょー?」

 

槍の神機については知っていたので、ルーキーは特に反応しなかった。

 

「あれー…もしかして誰かに聞いてた?もー…」

 

自慢したかったのか、ミミは残念そうに肩を竦めた。

 

「…わたしねー、同期の仲間より早く部隊長になって、とっても優秀だったんだー。でも、アラガミ化が起きてねー…一緒の部隊だったその同期の仲間に、胸刺されちゃって……二人とも、すっごく泣いてたんだー…」

 

ミミは俯き、ルーキーに声だけを向ける。

 

「…ゴッドイーターのミツミは死んじゃったけど、第零部隊のミミは生きてる…でも、この先はないんだよねー…」

 

ルーキーに背中を向け、部屋のドアを開けながらミミは言った。

 

「ミミは何もしてあげられないけど、ルーキーちゃんの事、応援してるよー。だから……隊長に、ミツミの仲間と同じ思い、させないであげて欲しいなー…なーんて」

 

ドアは、閉まった。

 

 

 

 

 

「…おい、生きてるか?」

 

最終日の朝、ルーキーは何者かにドア越しに声を掛けられた。

 

「………?」

 

既にルーキーの顔の半分はアララギ化…いや、アラガミ化しており、もはや声を発する事すら難しかった。

 

「…ん?死んでるか?なら、丁度いいか。例の奴が見付かったぜ。それで、隊長がお前の仇討ちに行くってよ。良かったな」

 

突然そんな声が聞こえると、ルーキーは例の奴というのは、謎のゴッドイーターの事だと気付いた。

 

そうすると、仇討ちというのは、ルーキーがアラガミ化した事に対するものだろう。

 

(…どうせ、もう声も出せないのに…誰が、何で、僕にそんな事を……?)

 

ルーキーは、聞いた事もない声に、心底不思議に思った。

 

まるで、何か特別な事を知っているかのような、そんな口ぶりだったからだ。

 

「…アラガミの群れ…着地失敗……あとは、自分で考えな。じゃあな」

 

声の持ち主は、足音もなく、ただそこにいるという気配だけが消えた。

 

ますます、ルーキーは不思議に思う。

 

あの場には他に誰かがいたのかと、ルーキーはそんな風にも考える。

 

(…アラガミの群れ…着地失敗……そのあと…?)

 

しかし、いるとすれば謎のゴッドイーターくらいのもので、それ以外には誰も思い出せない。

 

考えられるとすれば、ハヤとミミだが、その二人は合流地点で長々と待っていたという。

 

実は他の隊員がいたのかとも思うが、サポーター達の会話からすると、その線は薄い。

 

(…もしかして、誰が見てたかっていうのは、重要じゃない…?)

 

既にアラガミ化してしまっているルーキーに、他のゴッドイーターが接触してようがしてまいが、その結果は変わらない。

 

その結論に辿り着いたルーキーは、誰がではなく何がという点に着目する。

 

(…あのあと、目が覚めて…神機を見て…白昼夢のようなものを……あ…!)

 

そこで、ルーキーは思いだした。

 

まるで最悪の結末のような、あの凄惨な光景を思い出す事が出来た。

 

(…そうだ。あれを見て、隊長に起こされたんだ…!)

 

すると、先ほどの声の主が誰なのかは分からないが、何を知っているのかは分かった。

 

ルーキーが見た、あの光景を知っているのだ。

 

光景というか、イメージとでも言うのか、ルーキーが見た最悪の結末というイメージを知っているのだ。

 

(…さっきの声は、それを知らせるために…?…いや、今はそれどころじゃない…!)

 

ルーキーは、何とかして隊長を止めなければと思う。

 

しかし、どうすればいいのか分からない。

 

どうすれば、誰かに気付いて貰えるのか分からない。

 

(…ああああ…っ!!!!!取り敢えず叫んでやれっ…!!!!)

 

早くしなければと、ルーキーはありったけの息を吸い込む。

 

「――――――――――――――っっっっっ!!!!!!!!!!!」

 

ルーキーは、声にならない声で、ありったけの叫び声を上げた。

 

それがもはや、咆哮に他ならない何かだったと知りつつも。




駆け足です。

あと、新種の名前の募集、今日までです。

というのは、既に過去となった。

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