GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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 第1話(2) フェンリル本部に配属されたルーキーは災難

「ようこそ。フェンリル本部直属部隊特別諜報部、通称”第零部隊”へ」

 

「…あ、はい…」

 

 

 

 

 

彼が目を覚ますと、現在の状況もよく分からないまま、そんな事を言われる。

 

(…カッコイイ人だなぁ……まさか、ここが世に聞くヴァルハラ?……って、それじゃあ僕死んでるよ…)

 

そして、あまりに幻想的な容姿と柔和な表情を目撃してしまった所為で、彼は今いる場所を死後の世界と勘違いしてしまった。

 

「…え?あの、僕、クビになったんじゃ?」

 

彼は白昼夢でも見ていたのかと思い、またそうであって欲しいと願い、目の前の女性に尋ねた。

 

「あぁ、そうだ。ここは、その名称通り特殊な部隊だ。簡単に言うと、暗部だよ」

 

「あ、暗部…ですか?」

 

が、どうやら3分の1も伝わっていない様だった。

 

彼の期待する言葉とは些か方向が異なる返答を受け、彼は困惑する。

 

その事を知ってか知らずにか、女性は話を続ける。

 

「そうだ。適合率がどうのとか、演習成績がこうのとか、そういう謳い文句で入れる部隊とは違うのさ」

 

「は、はぁ…」

 

クビにされた僕に何の関係が…と、少しいじけた様に思いながら、彼はもう一度尋ねてみる事にする。

 

「そ、それじゃあ、僕はクビになった訳じゃないって事ですか?」

 

彼は今後の事を考えると、その一点がとても重要な意味を持ってくると主張しているのだが、

 

「ん?…う~ん……正確には、私を含めて全員死んだ事になっているから、クビというのは比喩みたいなものなんだ」

 

果たしてその答えは、何やら心穏やかでいられないようなものだった。

 

「………え?」

 

思わず、彼は目を見開いて女性の唇の動きを事細かに観察し、何を言わんとしているのかを理解しようとした。

 

そして、ゆっくりと、実際にはそれほど時間が掛かった訳ではなかったが、女性の唇が動き、その続きをはっきりと口にした。

 

「君は居住区の防衛に向かい、謎のアラガミと交戦。その後、死亡した。という扱いになっているという事さ」

 

「え…ええええええ???」

 

彼は、驚いた。

 

(…それじゃあ、本当に…)

 

ただただひたすらに、驚いた。

 

(…ヴァルハラじゃないか……)

 

「本部に配属されたら給料がいいよ」と聞いて必死に頑張った挙句、配属されたその日にクビにされ、その上死んだ事にされたのである。

 

彼はもう、驚く事しか出来なかった。

 

人生最悪の日。

 

その言葉がいよいよ真実味を帯びてきて、彼の頭の中は人生終わったよカラー一色に染まりつつあった。

 

――その時、青い顔で沈んでいる彼の様子を見兼ねた女性が、彼を絶望の淵から掬い上げようと…していたかどうかは定かでないが、彼に救いの手を差し伸べる一言を放つ。

 

「ふふふっ…安心してくれ。この部隊に支払われる報酬は、余所の倍だぞ。倍」

 

「……本、当ですか!?」

 

喰いついた、ら痛そうだから、がしっと掴んだ。

 

つくづく単純な奴である。

 

予想以上の掴みに、逆に女性の方が驚きながらも、女性は彼の疑問に笑顔で首肯を返した。

 

「あぁ、私に二言はない」

 

その言葉に彼は考えを改め、今日のような特別な日を、人生最悪な日と称した事を深く反省した。

 

その反省の深さたるや、もはや頭が下がり過ぎてその場に寝そべってしまうほどだった。

 

「では、これから宜しく頼むぞ」

 

「はい!よろしくお願いします!!」

 

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