脳と両手が悲鳴を上げているが、クズにそんな事を言う権利はない!!
リプトンのミルクティーでも飲んでろ!!
と、罵ってやって下さい…
「………訓練…止めるか……」
「助けてハヤえもーーんっ!!」
オペレーターから衝撃の宣告を受けた後、ミミはしばらく放心していた。
何故か?
まさか、任務の場所が自分が以前いた支部だとは、思いもよらなかったからだった。
しかし、もう既に任務の内容を確認してしまい、本部に通知もされてある。
しかも困った事に、隊長は多忙で連絡が取れず、ナナはいつも通り寝ているのか連絡が取れず、ルルとククは散歩の為に連絡が取れず、代役を立てようにも立てられない状況にあった。
いや、それには語弊がある。
代役を立てる事は可能ではあるのだが、よりにもよって、残っているのはハヤだった。
常日頃から粗暴な言動を繰り返し、偶に空気にもなる忙しいハヤだった。
(…別に嫌いではないんだけどー………ねー……)
どちかと言えば大嫌いみたいな心境の中、ミミは覚悟を決めなければならないようだった。
(…ハヤに断られたら一日二日待って隊長に頼むか、それでも駄目だったら、行くしかない…!)
ミミは気合いを入れ、ハヤを探す事にする。
まず、ハヤがいつもぶらぶらしているところから探そうとするのだが、ミミは重大なミスを犯した。
(…ハヤ、いつもどこにいるんだろー…?)
そもそも、知らなかった。
他の隊員がいるところは大体分かるのだが、ハヤだけはどうしても分からなかった。
というか、皆ほぼ確実に自室にいるのである。
(…んー…隊長…?…)
そう言えばと、ミミは記憶を掘り返していくと、隊長いるところにハヤありと言うほど、隊長の近くをうろちょろしているハヤの姿を掘り出せた。
ミミのハヤに対するイメージは、掘り出し物が高すぎていらな…買えない、光の力シリーズのショップみたいな存在だろうか。
必要だけど…必要なんだけど…ぶっちゃけ、
「よーし、隊長の部屋に行ってみようー!」
「…申し訳ありません、ミミ様…エイン様が誰も部屋に入れるな、と…」
失敗した。
「うえーん…!じゃあ、ハヤ見なかったー…?」
どうやら本当に多忙らしい隊長を、代役を引き受けてくれそうな第一候補から除外すると、ミミはハヤの目撃情報から探す事にする。
「ハヤ様、ですか…そう言えば、少し前にエイン様の部屋まで来て、どうやらエイン様のご機嫌を損ねてしまったらしく、酷く落ち込まれて下の階へ行かれてましたよ。エイン様は高貴なお方ですから、あのような粗雑で野蛮な輩の相手をなさる訳が、ととと…」
すると、案外はやく目撃情報を得る事が出来た。
その代わり、余計な情報まで得る羽目になってしまったが。
(…隊長のサポーター、ハヤの事が嫌いなんだねー…ハヤ、かわいそー…)
とにかく、有益な情報を得る事が出来た為、ミミは下の階…訓練場に移動する事にする。
「…ルル…!…!く、苦しい…!…背中っ…痛いっ…!…」
「…うふふふふ…!!これはいかがです…?お兄様、これは…?これはぁ…?!…もっとそのお顔を、私だけに、お見せになってぇ…!!…」
何かおかしな声が聞こえたような気がしたが、きっと仲の良い兄妹が散歩でもしているのだろう。
ミミは何も聞かなかった事にして、改めて下の階に移動する事にした。
「…他当たれ、バーカ…」
第一声がそれだった。
イラっとしたミミは、取り敢えず話だけでも聞いて貰おうと、触ると柔らかそうな手の平で、ハヤの頬を引っぱたいた。
いい音が響く。
うん、とてもいい音だ。
「…っな、何しやがる…!!」
どうやら、ハヤを怒らせてしまったらしく、仕方がないのでミミはもう一度引っぱたく。
いい音がまた響く。
ガハラ、ガハマ、ガマタ……ガマタ?カエルか何か?
「…っ…ミミ、てめえ…っ!」
怒りが収まらない様子のハヤに、ミミが再び手の平をかますポーズを取ると、ハヤはびくっと身構えた。
「…ぷっ」
その少し情けないハヤの姿に、ミミはバカと呼ばれた事への
ミミは矛を収めたと思ったら、いつの間にか槍を取り出していた…な…何を言っているのかわからねーと思うが。
「きゃははー!ハヤって訓練とかするんだー!意外ー!」
そんな事を言いながら、ミミはハヤの頭上を飛び回っている、的の一つ一つに素早く狙いを付けると、跳んだ。
「しかも、ほんとに落ち込んでるー!」
一気に、十数個の的を踏み台にしながら貫いていく。
その姿はまるで、キューから突き放たれたキューボールのようだった。
「…ちっ…見せ付けやがって…」
止めに、球を描くように周囲を薙ぎ払うと、残った的を全て叩き落とし、綺麗に砂の上に着地した。
「あー、面白かったー」
子どものように笑うミミに何を思ったのか、ハヤはしょうがねえなと深く溜め息を吐いた。
「…要件は何だよ、さっさと言いやがれってんだ」
「…おら、これでも被ってろ」
ハヤはミミに深い帽子を被せると、自分はマフラーを首に巻いた。
「…前、見えないよー?」
必要最低限の事情を聞いたハヤは、渋々ながらミミの頼みを聞いてやる事にしたのだった。
「そっちのが好都合だろうが」
ハヤはミミの頭をぽんぽん叩くと、文句を言われる前にオペレーターのところへ向かう。
「うー…帰ったら、隊長に言いつけてやるー…」
それを聞き逃したのかそうでないのか、ハヤはさっさと登録を済ませてしまう。
「ああくそ…酒飲む予定だったのが子守りかよ、ついてねえな」
オペレーターは、そんなハヤの文句を聞いて笑った。
「そんな事言って、ハヤさん楽しそうですよ~?」
途端に、ハヤの顔がものすごい形相になる。
「…てめえ、適当ぶっこいてんじゃ…!」
あはは怖ーいと、オペレーターに適当にあしらわれ、ハヤは怒りを向ける矛先を失った。
「………途中にアラガミが出てきたら…そいつをバラして……くそが……」
そうして二人は、各々色々な思惑を抱えながら、フェンリル戦船支部へと飛び立った。
さーせんした…!