GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

22 / 46

オスプレイってすごいですね…最高時速とか、ヘリとは思えない…
航続距離もおかしいし、本当にヘリなのか疑うレベルです。




 第2話(4) ルーキーのいない第零部隊の一ヶ月・中編

「…ハヤ、見えたよ…」

 

「…あれか…でけえな、やっぱ」

 

 

 

 

 

二人の眼下に現れたのは、小さな島かと見紛うほど巨大な、船とは似ても似つかない船のようなものだった。

 

上空から見ると、船の外縁部分に当たる箇所を”アラガミ装甲”が楕円形に成していて、水上と恐らく水中からのアラガミの侵入を防いでいる。

 

――アラガミ装甲。

 

アラガミからの侵喰に耐性を持つ装甲の事を指し、各支部の防壁や各居住区の防壁、神機の盾にもこれが使われている。

 

その内側には、外側と同じ高さの海水と、空母から切り取ってきたような甲板が12箇所あり、その中心には、取って付けたような船要素が超弩級に使われていた。

 

ただ、船として波をかき分けながら進む役割を担っているのは、専ら外縁部分のようで、内側にある甲板や戦艦じみた建造物は、それに合わせて動いているだけの付属物に過ぎないようだった。

 

「…あの戦艦部分にフェンリル関係者が入ってて、船底部分に航行に必要な機構が全て詰め込まれてるんだー」

 

視覚情報だけで把握出来ない情報を、ミミはぺらぺらと説明していく。

 

「ただ、アーコロジーとしては失敗作で、他の支部で補給を受けないと存続できない事から、民間人は収容されてないんだー。だから、ほとんどフェンリルの実験施設みたいな扱いになるのかなー?」

 

予想以上に詳しい事をミミが説明していたので、ハヤはまさかと思って尋ねる。

 

「…お前、ここ調べた事あるのかよ」

 

すると、案の定というか当然のようにミミは頷いた。

 

「あるに決まってるよー…元々ここにいたんだし」

 

ミミは深い溜め息を吐くと、説明を再開した。

 

「この支部が実験施設として成立している理由として、本部から隠れて研究している、あるもののお陰なんだー。多分、それがこの任務の目標だと思う」

 

あるもの、とミミはぼかす。

 

その理由は、もはや言わずもがなだった。

 

「…こちら、本部より派遣された情報監査官の一団である。フェンリル戦船支部、応答せよ」

 

戦艦部分の甲板に作業員らしき人物が現れ、旗を振り始める。

 

「……こちら、フェンリル戦船支部。本部より通達は受けている。誘導に従い、着艦されたし」

 

こうして、ロマンヘリは格好よく降下を始めた。

 

 

 

 

 

「…私が本部より派遣された情報監査官の…ミハイル・ヤンフォードだ。本部から既に通達済みかとは思うが、これより支部内の監査を行わせて貰う。前もって忠告させて貰うが、監査の邪魔だけはしないでくれたまえ。余計な事まで調べられたくはないだろう?…以上だ」

 

そう言って眼鏡を中指で押し上げると、がちがちの軍服に身を包んだハヤは、整列した部隊員達の前に立っている副支部長らしき人物に、支部内を案内するように要求する。

 

「…あ、あの…ところで、このお嬢さんはどういったお役目で…?」

 

頭がすっぽりと埋まるほどの、大きな帽子を被ったミミに、その場にいた全員の視線が集まる。

 

「…私の小間使いだが、歩き回られて何か不都合な事があるとでも?それは是非、お聞かせ願いたいものだ」

 

副支部長らしき人物を一睨みで黙らせると、ハヤはさっさと支部内の監査へと向かった。

 

(…ハヤ、怖ーい…)

 

せっかく整列していた部隊員達も、それに伴って流れ解散となり、ミミは今からどうしようかと考える。

 

すると、

 

「ねえ、アナタ手持ち無沙汰って感じね?監査が終わるまでやることないなら、一杯付き合ってくれない?」

 

と、ミミからは顔の見えない女性に話しかけられた。

 

(…?この声…)

 

「おいおい、お前部隊長だろーがよ!部下に知名度全取りされてるからって、サボりはよくねーぜ?」

 

二人の声に、ミミは聞き覚えがあった。

 

「…何?部下より影うっすいの、アンタの方でしょ?笑わせないでくれる~?」

 

急に口論を始めた二人に見られないように、ミミは一瞬だけ帽子をずらすと、素早く帽子を被り直した。

 

(…嘘…まさか、早速見つかるって…)

 

がしっと腕を掴まれ、ミミははっと我に返る。

 

「アンタなんか医務室で一年くらい寝てればいいのよっ!!さ、行きましょっ!」

 

しかし、ものすごい勢いで引っ張られ、ミミはあれよあれよと連れて行かれてしまった。

 

「ふざけんじゃねー!!…くそ、アヤノのヤロー…!」

 

 

 

 

 

女性の自室らしい部屋に連れ込まれると、ミミは女性から何かを握らされる。

 

「はい、ホットいちごミルク。アナタ未成年っぽいし、さすがにビールは不味いだろうから、それで勘弁して!」

 

そのまま、クッションを置いた椅子に座らされる。

 

「…アナタも大変ねー。こんな寒いとこに、あんな頭堅そうな奴に連れて来られて、同情するわ~」

 

ビールのタブを外し、女性はそれを一気にあおる。

 

「んぐっんぐっ……プッハ!…あー、休日ビールは最高ねー……ん?アナタもほら、飲んで飲んで!」

 

女性に急かされ、仕方なくミミもタブを外そうとする。

 

「んー!……んんー!」

 

外れない。

 

そんなミミの様子を見て、女性がミミから缶をひょいっと摘み上げると、さくっとタブを外し、ミミに返す。

 

「ん!…んぐんぐ…プッハ!ほらぁ、飲んでいいよ~?」

 

ところが、ミミは帽子の所為で手元がよく見えず、缶を受け取り損ねた。

 

「あっ!?」

 

 

 

「…もぉ~…次は気を付けてよ~?ってゆうか…」

 

クッションを洗濯へ持って行って、椅子を拭くと、女性はミミの帽子をがっしりと掴んだ。

 

「…え?ちょっと…!」

 

「室内では、帽子を脱ぎなっさーいっ!!」

 

そして、ミミの帽子を遥か上方へ放り投げると、女性の目とミミの目が合う。

 

「待……って……?」

 

ぽとりと、帽子が床に落ちた。

 

二人の目の前には、ミミにとっても女性にとっても、二年振りの再会となる顔があった。

 

「…っ!!アナタ…!!」

 

その次の瞬間、女性は目に涙を浮かべると、ミミに抱き付いた。

 

「……かわいいーーっ!!!」

 

(…ええー…?)

 

予想の斜め上の反応をされ、ミミは少しショックを受ける。

 

「ってゆうかー、わたしの親友にそっくりだ~!!」

 

女性に頬をぺたぺたむにむにされながら、ミミは何とも言えない気分を味わう。

 

(…そっかー…あの頃はビールの配給、なかったんだっけー…)

 

この人アルコール入るとこんな事になるのかーなどと、そんな事を思いながら、ミミは女性からのほっぺたぺたむにに甘んじていると、女性が泣いている事に気付いた。

 

「っ!………ど、どうしたのー…?」

 

女性はミミの膝に顔を埋めると、ミミの腰に手を回して完全にロックする。

 

「…ごめんね……!」

 

(…罠っ?!!)

 

と、ミミは素早く身構えたが、別に誰かが部屋に入ってくる訳でも、女性が襲い掛かってくる訳でもなかった。

 

「…ごめんね…ミツミ…っ…ごめん…ごめんね…ミツミぃ…っ…ミツミぃ…っ!…目を、開けてよぉ…っ…!…ミツミぃっ…!!…いやあぁぁぁっ…!…」

 

 

 

 

 

「…………………ごめんね、アヤノ…カイ…」

 

 

 

 

 

「……あれ…ごめんね~…寝ちゃってたわ~…」

 

女性の頭を膝の上に載せたまま、ミミは少しだけ零し損ねたホットいちごミルクを飲み干すと、帽子を深く被って女性が起きるのを待った。

 

「…ううーん…何か、懐かしい夢見ちゃった…変な寝言とか、言ってなかった…?」

 

ミミは無言で頷く。

 

「そう…そっか………あ!ごめんね!重かったでしょ!?」

 

ミミは無言で首を振る。

 

女性は立ち上がると、思い出したように大声を出した。

 

「あっ!!やばい、任務の時間だ!ごめんねー、こんな時間まで付き合わせちゃって…!」

 

ミミはゆっくり首を振ると、

 

「…いちごミルク………ありがとー…」

 

口元だけいつもの、悪戯っぽい笑顔を浮かべた。





ハヤの本名は、別にミハイル・ヤンフォードではないです。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。