GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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.5にする必要はなかったかも…




 第3.5話 単独でロシアへと向かう隊長と謎の邂逅

「…では、行ってくる…」

 

「行ってらっしゃ~い!」

 

 

 

 

 

ロシア支部の北に、再びアラガミの群れが出現したという事で、隊長は本部の東までヘリで移動する事になった。

 

その後は、いつぞやのミミのように、徒歩でロシアの地を歩き回る事となる。

 

しかし、ありがたい事に今は春である。

 

であるから、突然吹雪いたり、それにより視界が不明瞭になったりする事はない。

 

筈だった。

 

「…いつもの格好で助かったな…」

 

それは、異常気象とでも言うのか、もしくはW印のロボットでも暴れているのか、数日かけて隊長がロシアへと足を踏み入れた時には、辺り一面に雪が降り注いでいた。

 

隊長は特に気にした風もなく、さくさくと音を立てながらアラガミの群れを目指す。

 

「………」

 

そんな隊長の顔には、いつもの穏やかさは微塵もなく、視線は足元へと向いていた。

 

深い溜め息を吐く。

 

何故、隊長がロシアに来たのかというと、確認の為だった。

 

ナナの話に出てきたゴッドイーター達は、戦船支部の支部長が拘束を解かれた日から、捜索を止めた。

 

そうすると、その捜索は戦船支部の支部長に関係するものだった、という可能性が高い。

 

それに加えて、ある男に着せられた嫌疑に、アラガミの群れを招き入れたというものがあった。

 

ルーキーとの任務中に、実際にアラガミの群れに遭遇し、ルーキーが謎のゴッドイーターを目撃していた事に、隊長はこういう疑問を持った。

 

(…あの男に掛けられた嫌疑は、実は濡れ衣でも何でもなく、本当にアラガミの群れを引き寄せていたのでは…?)

 

つまり、あの男イコール謎のゴッドイーターなのでは、という事である。

 

だがそこで、一つの矛盾が生じる。

 

その男は、既に処刑されているのだから、死んでいる筈である。

 

すると、謎のゴッドイーターは、偶然その場に現れただけで、その男とは無関係という事になる。

 

しかし、そうすると一つ気になる点が残る。

 

アラガミを引き寄せるゴッドイーターは、実在するのかという事である。

 

戦船支部の実験報告書から、アラガミを引き寄せる偏食因子はある事が分かっているのだから、あり得そうな話ではある。

 

それを確認する為に、序でに謎のゴッドイーターの正体を確認する為に、隊長はロシアに来ていた。

 

また、その目的とは別に、隊長の淡い期待も含まれていた。

 

偶然そのゴッドイーターに会う事ができ、偶然そのゴッドイーターがアラガミ化の治し方を知っていて、偶然その方法を教えて貰えるかもしれないという、まさに奇跡と言わざるを得ないような、そんな期待。

 

もはや、ルーキーの件に関して隊長に縋れるものというのは、そんな幻想じみた、可能性とも言えないようなものだった。

 

しばらく何も考えずに歩いていると、隊長は降り積もった雪に、真新しい足跡が付いているのを見つけた。

 

(…ロシア支部のゴッドイーター達が、アラガミの群れを討伐に来ているのか…?)

 

あり得ない話ではなかった。

 

隊長の現在地からロシア支部まで相当な距離があるとは言っても、アラガミの群れを放置しておくというのは、あまり得策ではないだろう。

 

そして、それは的を射ていたようで、隊長が歩を進めるごとに、ゴッドイーター達のものであろう足跡が増えてきた。

 

(…という事は、この辺りでアラガミと交戦しているのか…?)

 

そう思い、隊長は顔を上げて周囲を見渡すが、季節外れの雪は思いの外、視界の妨げに一役買っていた。

 

すると、神機によるものだろう銃声が、少しずつ聞こえてき始めた。

 

どうやら、隊長から少し離れた地点に、ゴッドイーター達とアラガミの群れがいるらしい。

 

(…さすがに、見つかるのは不味いな…)

 

季節外れの雪に紛れるように移動し、隊長は様子を窺えるような場所を探すと、都合よく残っていた民家の廃墟を潰したような建物に隠れた。

 

(…よく見えないな……この雪さえどうにかなれば……)

 

そんな都合のいい様に行く訳はないかと、隊長が諦めかけたその時、一際大きな銃声が響き、雪が止んだ。

 

タイミングとしては、劇的な幕引きといった感じである。

 

「…っ!!?」

 

雪が止み、次いで雲の切れ目から光が降り注ぎ、今までカーテンのように遮られていた視界が広がった。

 

そこには、アラガミの死骸と、ゴッドイーターの死体と、あまりの光景に立ち尽くすゴッドイーターと、

 

「まさか……あれが…?」

 

左腕に剣形態の神機、右腕に銃形態の神機を持った、謎のゴッドイーターが立っていた。

 

 

 

 

 

「…あ……あああ……」

 

そこかしこに転がっている、仲間の死体に驚きを隠せない様子のゴッドイーターは、一歩、また一歩と後ずさりながら、持っていた神機を落とした。

 

「…?……何だ、これ…?…俺が、やったのか…?」

 

謎のゴッドイーターは、今気付いたかのように周囲を見渡すと、自分の服にべったりと付着した血に気付く。

 

すると、男の両腕の神機が、哀れなゴッドイーターへと向けられた。

 

隊長は、走り出す。

 

「止めろっ!!!」

 

神機を取り出し、今にも襲いかからんとしている男の神機に向かって、突き出す。

 

男の神機は隊長の神機に弾かれ、目標を見失ったようだった。

 

突然の隊長の介入に我を取り戻したゴッドイーターは、慌てて神機を拾うと逃げ出した。

 

それを横目で見届けると、隊長は改めて謎のゴッドイーターへと視線を向けた。

 

(…処刑されたという例の男は、旧型遠距離式のアサルトだったらしいが……)

 

目の前の男が持っている神機は、左腕に長剣、右腕にアサルトのようだ。

 

新型という訳でもなく、旧型という訳でもない。

 

どちらかというと、旧型を両手に持っているという感じだ。

 

(…謎のゴッドイーター…確かに、これは謎という言葉以外では表現しようがない…)

 

一人のゴッドイーターに扱える神機は一つという、世の中の常識とでも言える大前提を、根本から覆してしまっているゴッドイーター。

 

それが、隊長の目の前に実在していた。

 

「…お前が例の…コノエ曹長か?」

 

隊長は油断なく神機を構えたまま、男に名前を尋ねた。

 

すると、男はそれをどう受け取ったのか、隊長に銃身を向けると、迷いなく撃った。

 

「くっ!質問に答えろ…!!」

 

撃ち出された弾丸は一瞬で隊長の頬を掠めると、霧散する。

 

「…早く逃げろ…!!どこの誰だか知らんけど、あいつを逃がしてくれた事は感謝してんだ…!」

 

男は神機をかたかたと震わせながら、隊長から銃身を逸らそうとしていた。

 

「お前…!」

 

「早くしろよ!!腹が減って仕方ねぇんだよっ!!!」

 

どうやら神機の制御をほとんど失っているようで、男は隊長目掛けて連射を始めた。

 

高速で飛んでくるそれを神機で弾きながら、隊長は男から距離を取る。

 

40m程距離を取ると、男の神機の射程から外れたのか、男の神機は射撃を止めた。

 

「あああああああぁぁぁっっっ!!!!???」

 

そして、男は足元から黒いオーラのようなものを周囲に広げていくと、半径30m程の範囲を黒いオーラで飲み込んだ。

 

 

 

 

 

「消えた…?」

 

男の周囲に散らばっていたアラガミの死骸と、ゴッドイーターの死体が、消えていた。

 

「…はー……はー……」

 

消えていないものは、男と男の神機と男の服だけだった。

 

ゴッドイーター達の神機も、腕輪も残っていない。

 

男は、その場に座り込んだ。

 

「…俺が……その、コノエだよ……」

 

疲れたように肩を上下させながら、男は確かにそう言った。

 

「…やはり……生きていたのか」

 

隊長は、念のため距離を空けたまま話す。

 

「…お前に頼みがある。もし、知っていたらでいい。アラガミ化について、お前は何か知っているか?」

 

男は、言おうか言うまいか、しばらく考えると、

 

「…フェンリル戦船支部、第33実験室、部屋のパスワードは0035、情報管理端末、管理者パスワードはhsds3327…まぁ、変更されてなかったら…な」

 

と言って、立ち去った。

 

その後ろ姿を呆然と見送り、我に返った隊長は慌ててメモを取る。

 

二度、三度とメモを見直し、隊長は最後の希望を握り締めると、本部への帰路に着いた。





ハイ・スピード・デビル・スマイル・ミミ参上!

何となく思い付いただけです。
他意はないです。

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