さて、飛ばし飛ばし駆け足でここまで来ましたが、結構リタイアした人もいるんですかね?
まぁ、時間と余裕がある時にでも読んで下さい。
別に、読まないといけない訳ではないですし…
「…少し痛いが、我慢してくれ…!」
「―――?」
やっとの事で戻ってきた隊長は、倒れたまま動かないそれを目にして、少し動揺してしまうが、素早く書類を取り出した。
その書類は、フェンリル戦船支部の支部長から感謝の気持ちとして、フェンリルの長を通じて隊長に届けられたものだった。
それの必要な箇所だけを読むと、隊長は神機を取り出した。
隊長の神機がそれの体に突き刺さり、ぐちぐちと体内を突き破りながら這い回る。
すると、何か固いものに当たったような手応えを感じ、隊長はそれの体に触れた。
「これがコアか…ふふふっ…見つけたぞ、ルーキー…!」
隊長は、神機を介して、それのコアを自分とを接続する。
「うぐっ!?……ふ…喜べ、ルーキー…!…私との、逢引の時間だ…!」
そうして、隊長の目の前が真っ白になった。
「…ここは……」
隊長は、何もない白い空間に横たわっていた。
周囲を見渡すが、見渡す限り何もない。
ただ、白いという事が分かるだけの空間。
透明な床が、隊長の身動きに合わせて波紋を広げ、そこに床がある事を示してくれている。
「…これが、アラガミ化したゴッドイーターの、コアの内部なのか…」
まるで、完全に開かれた空間のようで、神機を使わずとも接続が可能だったのではと、隊長に思わせるほどだった。
そんな何もない空間に、ルーキーが座り込んでいた。
腕輪も神機もない、ゴッドイーターになる前のような、ルーキーがいた。
「…ない…何もない……僕は…何のために……」
ぶつぶつと何事かを呟きながら、ルーキーは床を見つめている。
「…どこにいるの……姉さん……僕は……どうしてここにいるの……」
すると、徐々にルーキーの足元から黒いオーラが広がっていく。
「分からない…分からない…僕は何……何だっけ……!!」
その広がりとともに、ルーキーの体が真っ黒に染まっていく。
「…タイチョウを、タスケナキャ……誰だっけ……タスケナキャ……!」
瞬く間にアラガミ化した姿へと変貌を遂げると、ルーキーは隊長を見つけた。
「………ミツケタ…!!!」
見つめた。
「…ルーキー、私は無事だぞ。そして、無事でないのは君の方だ」
両足がそれぞれ順逆の二つに分かれ、右腕には無数の神機を生やし、左腕には触手のように蠢く五本の黒い何かを生やした、何かが立っていた。
顔の上半分が仮面で覆われ、鉄パイプ大の捻れた角を生やし、仮面の隙間から覗いた真っ赤な左目が、隊長を見つめた。
それの口元が、狂喜に歪んだ。
「―――――――っっ!!!!」
咆哮する。
とても喜んでいるかのように、嬉しそうに口元を歪ませながら、それは咆哮した。
「…しばらく見ない内に、大きくなったものだが……さて、今からお前を喰らい、ルーキーを取り返すとするか」
それに何一つ怯む事なく、隊長は神機を突き出した。
隊長の神機が、それの右脚に迫る。
右脚に神機が突き刺さる瞬間、それは大きく跳躍して回避し、右腕を隊長に向けた。
「―――っ!!」
無数の神機が一斉に、銃口に似合わない極大のレーザーを放つ。
「!?」
拡散弾の様に放たれたレーザーを、隊長は神機を引き戻しながら素早いステップで避けた。
そこに、レーザーを目眩ましにしたそれが、着地で生じたバネ作用を使って跳ぶように突進してきた。
それの左腕が振り下ろされ、五本の触手が順に隊長を狙って叩きつけられる。
「くっ!!」
隊長は、体を無理矢理捻りながら神機で一本一本受け流すと、そのまま上へ跳んだ。
直後、隊長が立っていた場所にそれの右腕が突っ込まれる。
隊長の視線とそれの視線が、すれ違いざまに交差した。
そして、隊長の神機がそれの左腕に絡みついた。
神機を縮め、その勢いで素早く着地する。
「弾けろっ!!」
その序でとばかりに、神機が爆炎を噴き上げた。
「――――――っっ!!!??」
触手が焼け焦げ、それにより触手の動きが悪くなった。
その背中を蹴飛ばし、空中で体勢を整えると、隊長はそれの背中に神機を突き出す。
「っ!」
しかし、背中に突き刺さる前に触手が神機に巻き付き、隊長もろとも神機を引っ張られる。
「が、はっっ!!??」
強烈という言葉では足りないほどの左エルボーが、隊長の胴体に叩き込まれた。
「…ぐっ、弾けろ…!!」
神機がぎりぎりと音を立てながら爆炎を噴き上げ、隊長の神機は触手の拘束から逃れる。
そのまま、ふらつきながら大ジャンプで距離を取ると、隊長は口から血を吐いた。
「どうやら…げほっ!げほっ!…相性が、悪いようだな…」
振り返ったそれは、右腕を突き出して隊長に狙いを付ける。
「ふっ!!」
隊長が素早くステップ動作に入ると、同時にそれの右腕の神機が弾丸を撃ち出し始めた。
「―――っ!!!」
全神機で一斉に撃つのではなく、一本ずつコンマゼロ数秒ずつずらしながら、擬似的に連射する。
それは、スナイパーでは実現できないアサルト顔負けの連射力と、アサルトでは実現できないスナイパー顔負けの火力を併せ持っていた。
どこぞのヴァルキュリアを彷彿とさせる、一方的不利な状況に、隊長は距離を取って戦う事を諦めた。
弾幕がパワーどころかゲームオーバーの域に達している圧倒的物量の弾丸の雨を、ルナティックな反射神経と足捌きで避けつつ、隊長は徐々に距離を詰めていった。
すみません、続きます。