GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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自分の失敗を他人の所為にするのは、大体よくない。

皆も、昼間の内に銀行に行くのを忘れていたからって、閉まりそうだから急げと人を急かすような、そんな迷惑な人間にならないようにするといいですよ。

前回が途中だったのはその所為(ブーメラン)。




 第4話(3) ミミの決意と隊長の奇跡とルーキーの生死と

「…はーっ…はーっ…」

 

「―――っ…!!!」

 

 

 

 

 

弾丸の暴風雨を前に無傷とはいかなかったものの、神機を移動目的に使った立体機動的高速移動でそれとの間合いを詰めると、隊長は左腕の袖を捲り上げた。

 

これは、捕喰を行う前にする隊長の癖である。

 

間合いの近さから射撃を止め、近接に移ろうとしたそれの一瞬の隙を突き、隊長の神機がそれの顔面に迫った。

 

しかし、隊長の神機は易々と触手に巻き付かれてしまう。

 

そこに、チェックメイトとばかりにそれの右腕が隊長の頭に向けられ、無数の神機が拡散レーザーを放つところだった。

 

「両腕を使ったな…!」

 

その直前に、恐竜の尻尾かと思うほどの力で、神機が隊長の体を触手の方に振り回した。

 

拡散レーザーは、明後日の方向に放たれる。

 

そして、神機を手放さないように握り込んだ隊長が、それの背後を回って右腕に着地した。

 

「喰らいつけ…!」

 

着地と同時に左手に現れた異形の顎が、それの神機ごと右腕に喰らい付く。

 

「そして、弾けろ…!」

 

触手に掴まれた箇所から、それの左腕と背中に密着した隊長の神機が振動し、爆炎を噴き上げた。

 

両腕と背中を同時に攻撃され、それはさすがに怯んだ。

 

さらに、三度目の爆炎を受けてようやく触手が使い物にならなくなったのか、焼け焦げてぼろぼろに崩れ落ちる。

 

「これは、硬いな…!」

 

それを見届けて、隊長は左腕をぐりぐりと捻るように動かす。

 

がりがりと、岩石か何かを削っているような音を立てながら、異形の顎はそれに牙を立てる。

 

そこに畳み掛けるように、隊長は引き戻した神機を容赦なく突き立てた。

 

それは、右腕を激しく振って隊長を振り落とそうとするが、二箇所から支えを得ている隊長はびくともしなかった。

 

「―――――っっっ!!!!?」

 

すると、それは両脚を沈み込ませるように体重を乗せると、一気に飛んだ。

 

「っ!?」

 

そのまま右腕を振り上げ、後ろから落下する。

 

さすがに、床に叩き付けられるのは願い下げな隊長は、仕方なく顎と牙を収めて飛び退いた。

 

直後、右腕を叩き付けるように床を強打し、それは床に血を塗り付ける。

 

「…はー……そろそろ、私にも影響が出てくる頃か……仕方ない」

 

難なく着地した隊長は、コア接続によるタイムリミットが近い事を感じ取ると、神機を床に突き刺した。

 

「予想以上に苦戦してしまったが…まぁいい。これでチェックメイトだ」

 

それが起き上がると同時に、隊長は左腕で神機を掴んだ。

 

「――――っっっ!!!!!?」

 

その瞬間、隊長の左腕に黒い痣のようなものが浮かび上がり、それは神機までも黒い模様で覆っていく。

 

「喰らい尽くせ…!!」

 

隊長の神機が、それへと襲い掛かった。

 

胴体へと迫ってきた隊長の神機から逃れようと、それは跳んで逃げようとするが、全く間に合わずに貫かれる。

 

今までの伸びる速度とは、段違いの速さだった。

 

そのまま、裁縫でもしているかのように、胴体から左脚、右脚、右腕、顔面まで貫いていく。

 

そして、そこからぐるぐると蛇がとぐろを巻くように巻き付いていき、身動きが出来なくなるように締め上げた。

 

今までの長さとも、桁違いの長さだった。

 

「うぐっ……止めだ…!」

 

そうして、それは神機からの侵喰を受けながら、真っ黒い爆炎に包まれて、喰われた。

 

 

 

 

 

「…僕は……誰…?」

 

真っ白い空間に、ルーキーは呟く。

 

「…君は、我々の仲間。ルーキーだ」

 

隊長は、ルーキーの隣に座り込んで、そう言った。

 

「…僕は、どこにいるの…?」

 

真っ白い空間で、ルーキーは呟く。

 

「…我々の部隊。第零部隊だ」

 

隊長は、ルーキーの隣で柔和な笑みを浮かべながら、そう言った。

 

「…そっか…そうだっけ…そうだったっけ…」

 

ルーキーは、真っ白い空間を見上げた。

 

「…あぁ、そうだ」

 

隊長も、真っ白い空間を見上げた。

 

「…さて、私はそろそろ行くとしよう」

 

唐突に隊長は立ち上がると、ルーキーに背を向けて歩き始めた。

 

「…先に行って、待っているぞ…」

 

残されたルーキーは、その寂しそうな背中を見つめて、微かに左手を伸ばしていた。

 

 

 

 

 

数日後。

 

医務室で検査を受けた隊長は、その結果に満足そうに頷いた。

 

「…随分と嬉しそうな顔をするのね?」

 

その様子に、まるで珍しいものでも見るような、好奇の視線を向けるドクターは、どことなく笑顔で隊長に言った。

 

「…っうるさいな。私にだって、女としての矜持くらいはある。それだけだ」

 

その言葉に、意外だというニュアンスを感じ取った隊長は、少し不機嫌そうにそう返した。

 

「あら、そう?貴女は、あまりそういう事に関心がないのかと思っていたわ」

 

それを聞いて、隊長はますます不機嫌そうにそっぽを向き、拗ねる。

 

「…そうだな。私は飾り気も可愛げもないからな。ミミやルルやナナと比べても、一目瞭然だろうからな。男みたいで悪かったな、ふん」

 

すると、ドクターはそんな隊長の横顔を見て、思わず噴き出した。

 

「くすくすくすっ…!本当に、可愛いらしい性格してるわね、貴女。思わず、いじめるとどんな反応をするのか、観察したくなってしまうわ」

 

そう言って、ドクターはくすくすと笑う。

 

「むっ……お前は、嫌いだ。私にだって、気にしている事の一つや二つ、あるんだぞ?馬鹿者め…」

 

隊長は少し悲しそうな表情をすると、俯いた。

 

「あら、ごめんなさい。でも、仕方ないのよ。エインったら、普段はいつも堅物みたいな雰囲気なのに、突然可愛い事を言ったり、したりするのよ?我慢するのにすごく苦労しているんだから、こんな時くらい許して頂戴」

 

ドクターは隊長の気を宥めようとするが、隊長は俯いたまま顔を上げない。

 

「…もう…貴女の事が好きで言っているだけよ。それとも、貴女は隊員の愛情表現に文句をつけるほど、心の狭い隊長なのかしら?それは残念だわ。世の中、様々な愛情表現が跋扈しているというのに、それが貴女の感性に合わないからと言って、その人の全てに蓋をして否定するのね…貴女がそんな冷たい隊長だとは思わなかったわ…」

 

と、隊長が何も言わないのをいい事に、ドクターは好き勝手に独り言を捲くし立てていく。

 

「っ……ずるいぞ…そんな言い方をされたら、私が悪者みたいじゃないか…」

 

隊長がそう言って申し訳なさそうな顔をすると、ドクターはすごく嬉しそうな顔をした。

 

「うふふ、冗談よ。やっぱり、私は貴女の事好きよ。すごく可愛いもの。そういう事で、貴女の誕生日でも祝おうと思うんだけど、誕生日はいつかしら?」

 

何の脈絡もなく、ドクターはそう言った。

 

「……悪いが…そんな気分には、なれない…」

 

しかし、隊長はそう返すと、沈んだ顔のまま顔を上げた。

 

「…大丈夫よ。貴女は出来る事をしたわ。後は私に任せておいて、偶には息抜きしなさいな、隊長さん?」

 

それを笑顔で受け止めると、ドクターは隊長の胸に手を伸ばす。

 

が、払い落とされる。

 

「…つれないわね。サイズアップ記念のつもりだったのに…」

 

「やっぱりお前は嫌いだ!」

 

隊長は、顔を赤くしながらドクターを指差して、声を大にしてそう言った。





ルーキーは、一応生存という方向で落ち着きました。

次は、多分新しい章だと思います。

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