GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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いわゆる日常パートです。
日常?




第3章
 第1話(1) ドキッ!女だらけのアラガミ討伐は数の暴力


「そういう事だ」

 

「…お兄様……」

 

 

 

 

 

その日、なんとも珍しい事に、本部から緊急任務の要請が舞い込んで来ていた。

 

これは非常に珍しい事で、三ヶ月に一回あるかないかという頻度なのである。

 

どのくらい珍しいのかを簡単な例で説明すると、アストラルライザーの属性値60%をドロップするくらい珍しい事だった。

 

それなんて無理ゲー?

 

そんな虹レアな任務内容をオペレーターに教えて貰うと、隊長は眉を顰めて質問をした。

 

「…それは、何故だ?」

 

オペレーターは、ですよねーと呟きながら端末を操作し、その質問に答えられるだけの理由を探し出す。

 

「あ、ありました…!…えっと…エインちゃんがどうせ咎めるだろうから、前もって制限を付けておいた…だ、そうです!」

 

失敗していた。

 

何やらのっぴきならない理由がある事は分かったが、肝心のそれが何かは分からなかった。

 

しかもそれは、隊長に関係がある事らしい。

 

「…という事は…その制限を付けたのは、あの方か……全く、公的文書を何だと思っているんだ」

 

隊長は腕を組んで悩ましげに溜め息を吐くと、後ろで待機していた隊員の内二名を手招きし、すっぱりと告げた。

 

「お前達は来るな」

 

快刀乱麻を断つが如き、白黒はっきりした隊長の言葉に、ハヤは俯き、ククはぐっと拳を握り込んだ。

 

これの意味するところは、男子禁制(あとまわし)と同義だった。

 

「それでは皆さん、俺は先に失礼させて貰います」

 

すると、ルルの寂しげな視線を振り切るように、ククは眼鏡を光らせながら下の階へ行ってしまった。

 

「…ちっ…オレも部屋に戻るか」

 

久々の任務がと呟いて、ハヤも下の階へと行こうとし、失敗する。

 

「…さて、詳しい事は作戦会議室で話す。皆、移動だ」

 

ククがさっさとエレベーターに乗って行ってしまった為、ハヤはしばらくの間、男一人で女四人に囲まれる羽目になっていた。

 

 

 

 

 

「…という事で、今回我々が相手にするアラガミは、ここから北西を移動中という事だ。ただ、本部の部隊が任務で出撃中の為、我々の出撃は明日になる」

 

と、隊長が作戦の概要を説明した後、ミミとルルとナナは隊長の部屋に来ていた。

 

「…でだ。何故、私の部屋まで来ているんだ…?」

 

隊長が疑問の声を上げるが、それをスルーしてナナとミミは楽しそうに言う。

 

「ナナの、ファッションチェック~!」

 

「わーい!」

 

それに、隊長は呆れたように溜め息を吐いて返した。

 

「…私服に着替えても、いいか?」

 

意外とやる気だった。

 

「あの…私はどうしたらいいんですの?」

 

何となくついて来ていたルルは、所在なげに立っていると、ナナに手を引かれた。

 

「じゃあ~、ルルから~!」

 

部屋の奥に引っ込んで、普段着から部屋着に着替え始めた隊長は一先ず置いておいて、ナナはルルのファッションチェックを始めた。

 

ルルはどうしていいか分からずに、取り敢えず、ククや隊長に褒められた事もある長くて綺麗なブロンドの髪を、グローブをはめた手に絡めて緩やかに靡かせた。

 

一瞬遅れて、ルルが普段使っているのであろうシャンプーの香りが、二人の間に漂う。

 

「…お、オトナの香りだー…!」

 

ミミはルルを尊敬の眼差しで見上げ、ナナは上機嫌でルルの着ている服の生地を触って確かめる。

 

「これ、香水~?」

 

ルルは少し恥ずかしそうにしながら、ナナのボケにツッコミを入れた。

 

「…香水なんて、そもそも作られてませんわよ」

 

そうこうしている内に、ナナは満足そうに頷いていた。

 

どうやら、ファッションチェックとやらが終わったらしい。

 

「ルルのふんわり青ドレスはね~、フランス貴族みたいで綺麗~。でもね~、肌触りはいいんだけど~、すごく走り辛いと思う~。いつもの服の方がいいよ~?」

 

ただの感想だった。

 

「あの服は…お兄様から頂いたものですから、外では着られませんわ」

 

それに、とルルは続ける。

 

「私の神機は近接用なのですから、わざわざ走り回らなくても、敵に近付かれるのを待てばいいんですのよ」

 

言い終わると同時に、ルルは右腕に神機を取り出した。

 

ルルの神機は、遠距離式のブラストでありながら銃口に杭のような刀身が付いており、さながら銃剣のようだった。

 

特徴的な形状をしたそれは、ブラストにしては銃口が小さめで、見ようによっては単発式ロケットランチャーにも見える。

 

俗に言う、RPGというやつに似ていた。

 

ただ、似ていないところがあるとすれば、肩にどっしりと担ぐのではなく、腰の辺りでしっかりと支えるのでもなく、右腕にずっしりと装着するところだった。

 

「んー…!久々に取り出すと、重いですわね…!」

 

ルルは重そうに神機を戻した。

 

「ルルの神機、初めて見たー!」

 

すると、ミミが目を輝かせながらルルを見つめていた。

 

「…ミミ、私の名前を呼び捨てにするのはおやめなさい。ナナやハヤと違って、ミミは私より若輩なのですわよ?」

 

ルルはその視線を真正面から受け止めると、少し不満そうにそう言った。

 

「…じゃあー、ルルルン?」

 

「そういう意味ではありませんの!」

 

ミミは、ウルルンみたいなニックネームを作り上げると、ルルの素早いツッコミに面白そうに笑う。

 

その間に、ナナはミミのワンピースをめくったり、めくった先に現れたホットパンツにがっかりしたりしていた。

 

ミミのミディアムな銀髪が、頭の左右で揺れる。

 

「わ!ナナのえっちー!」

 

ナナにめくられていたワンピースの裾を押さえると、ミミは恥ずかしそうにナナの方を見た。

 

「この前はサイドテールだったね~。あと、ホットパンツ寒そう~」

 

しかし、ナナは特に悪いとも思っていないようで、ファッションチェックとは名ばかりの感想を述べる。

 

というか、ホットパンツなのに寒そうとは、これいかに。

 

「うー…ナナ、一人だけ軍服着てて、ずるいー…!」

 

ふわふわとした笑顔を浮かべながら、何の事~?とすっとぼけるナナに、ミミは唸った。

 

横だけ首元まで届いている短めな桃髪が、ナナが笑うたびに揺れる。

 

「…確かに。と言っても、ナナは普段は寝巻きなんだが」

 

そんな二人のやり取りを、少し離れてルルが見ているという状況の中、部屋着に着替えた隊長が姿を現した。

 

すらっとした長身に、紫のハイネックに白のパンツをはいた、まさに部屋着といった格好である。

 

「ふふふっ…!」

 

真打登場、刮目せよ!とでも言いたげに不敵な笑みを浮かべると、隊長はマントでもはためかせるように右腕を仰々しく広げた。

 

緩やかな風が、四人の間を通り抜ける。

 

「かっこいい、けどー……隊長って、髪長かったんだー…」

 

それに合わせて、ショートで下向きにとげとげした緑髪と、普段はコートと服に隠れている背中で縛られた細長い髪が、隊長に何とも言えないイメージを与えていた。

 

「妙ですわね…見ようによっては、男性にも見えますわ」

 

ルルの言葉に少しダメージを受けた隊長は、これでもかと言いたげに、両腕でサイズアップしたとドクターに言われた双丘を強調する。

 

「隊長~、違うよ~。そういう事じゃないよ~」

 

「………」

 

しかし、最後の希望であるナナにそう言われ、心底落ち込んだ隊長はいじけてベッドに座り込んでしまった。

 

「…男装しなくてもいいのに~…」

 

隊長は、男装の麗人というキャラを獲得してしまった。





こういう時、絵が描けたらいいなぁと、つくづく思います。

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