GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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オリジナルアラガミの名前、誰からも来ませんね…

まぁ、オリジナルなのに名前を考えてない自分が悪いんですけど…




 第1話(4) ドキッ!女だらけのアラガミ討伐は数の暴力

「うわ~、厄介なアラガミだね~」

 

「私達はさしずめ、舞台の演者といったところですわね…」

 

 

 

 

 

コクーンメイデンの柱から放たれる迎撃射撃を突破し、この巨大なアラガミの胴体なのか何なのか分からないステージ上へと上がると、二人は柱からの射撃が止んだ事に気付いた。

 

どうやら、だだっ広いステージの中心に吊り下げられた女を誤射しない為にか、ステージ上にいると撃ってこないらしい。

 

二人は、休憩がてら落ち着いてステージを見渡す。

 

離れて見ていた時の目測と違いなく、円形のステージの半径は20mより少し大きい程度で、地面から天井までの距離は10mに届くか届かないかくらいだった。

 

高さだけでも、ウロヴォロスと比肩するほどの巨大さである。

 

そんな巨大なアラガミの体の上に、二人は乗っているのだった。

 

ところで、アラガミの上に乗るというのは、二人にとっては初めての経験だった。

 

靴を介して伝わってくる感触は、柔らかい訳でもなく、かといって鋼のように硬い訳でもない。

 

恐らく、形状の基となった物体の材質をそのまま再現しているようで、このメリーゴーランドというか舞台のようなアラガミのステージの感触は、木材を加工したもののようだった。

 

そして、これも恐らくではあるが、感触が柔らかいからといって、神機で簡単に貫けるという訳でもないようだった。

 

それを証明するように、ルルが興味深げにステージに神機の刀身部分を叩き付けると、ルルの予想に反した鋭い音が響き、それと同時に神機は弾かれてしまう。

 

「~~~っ!!」

 

右腕に走った痺れるような衝撃に耐え切れず、ルルは涙目になった。

 

「いや~、さすがに無理でしょ~」

 

そんなルルの一部始終を見て、ナナは面白そうに笑った。

 

「…う…うるさい、ですわ…!こんなに硬いとは…ううう…!」

 

遠距離式の神機であるにもかかわらず、なまじ杭状の刀身が付いている所為で、普段から直接攻撃をあまり行わないルルの右腕は、慣れもしない凄まじい反動に耐えかねたのだった。

 

そんな二人に気付いたのか、ステージの中心に吊り下がっているメロン…ではなく、被虐性癖持ちのような破廉恥な格好をした女は、威嚇するように声を上げた。

 

「――――っっ!!!!」

 

すると、それに呼応するように天井からするすると、まるで人形劇の操り人形であるかのように、人型の何かが下りてくる。

 

身の丈大の剣のような武器を持った人形と、身の丈大の銃のような武器を持った人形の二体が、二人の前に立ち塞がった。

 

「まさか、これは…!」

 

ルルとナナは素早く戦闘態勢へと移行すると、その二体を注視する。

 

「そのまさか、みたいだよ~…!」

 

その二体の姿は、まるでゴッドイーターのようだった。

 

 

 

 

 

「おりゃ~!」

 

ナナの放った弾丸が、ルル目掛けて振り下ろされていた近接人形の剣に命中し、大幅に軌道の逸れた剣をルルは辛うじて避ける事に成功する。

 

「本当にっ!…妬ましい才能ですわね、ナナ!!」

 

そのまま、近接人形のボディに神機の一撃を叩き込むと、ボディを貫通するように勢い良く刀身が突き出した。

 

直後に、零距離で放たれた爆炎が、近接人形を包み込む。

 

カカッとバックステップ。

 

「そうかな~?」

 

遠距離人形と苛烈な銃撃戦を繰り広げながら、ナナは何でもなさそうにそんな事を言った。

 

圧倒的弾幕を繰り出してくる遠距離人形の銃撃を掻い潜り、文字通り百発百中の弾丸を連射する。

 

その合間に、ナナは近接人形の行動に対して、妨害や牽制を行っていた。

 

例えば、今のようなである。

 

とても人間業とは思えない状況判断・処理能力に、正確無比な射撃能力。

 

それが、新型神機を有しながら第零部隊へと配属された、ナナの能力だった。

 

いわゆる、天才である。

 

「…ふん、まぁいいですわ」

 

それに対してルルは、遠距離式でありながら敵の懐へ飛び込み、杭状の刀身による打撃からの零距離射撃を叩き込むという、リスキーな戦い方をする。

 

というより、そういう戦い方しか出来ないのだが。

 

その代わり、ルルの神機は遠距離式の神機らしからぬ破壊力を発揮する。

 

高度な戦闘経験と、それに裏付けされた確かな実力が、ルルの無謀としか思えない戦い方を可能としていた。

 

いわゆる、努力家である。

 

そんな二人の連携は、二体のゴッドイーター人形を打倒するのに十分な水準を達成していた。

 

「それにしても、ミミは一体どこで油を売っていますの…!?帰ったらお仕置きですわ…!!」

 

ルルは近接人形の剣を刀身で受け止め、がら空きの胴体を怒りに任せて蹴り飛ばす。

 

続けて、体勢の崩れた人形の懐へ飛び込み刀身を叩き込むと、爆破。

 

そこへ、ナナの放った弾丸が飛来し、近接人形の頭に的確に命中した。

 

転倒する。

 

「止めですわっ!!!」

 

近接人形に刀身を叩き込み、透かさず爆破爆破爆破爆破。

 

ルルの無慈悲な攻撃が、近接人形を襲った。

 

その様子を横目で見ながら、ナナは遠距離人形を自分に引き付けるように移動する。

 

その際に、間違ってもルルに注意が向かないように、弾丸を適度に撃って牽制しておく。

 

すると、遠距離人形は機械的に、ナナに向けて弾丸とレーザーの雨を降り注がせた。

 

「残念だったね~。ルル~!今だよ~!」

 

まるでイリュージョンのように銃形態をしまって、素早く剣形態を取り出すと、ナナは手の中に現れた独特なシルエットの短剣を構える。

 

それと同時に、近接人形をばらばらに吹き飛ばしたルルが、遠距離人形に背後から襲い掛かる。

 

迫りくる弾丸とレーザーを、ナナは人間離れどころかゴッドイーター離れした技巧で弾き、回避していく。

 

そうして、ナナの周辺を雨が通り過ぎた頃には、ばらばらになった遠距離人形と近接人形がステージに転がっていた。

 

「…あれで無傷なんて、どうかしてますわね」

 

人形を排除し終わったルルは、平然と立っているナナを見て、呆れたように呟く。

 

「確かに、ぴんぴんしてるね~」

 

ナナはそう言って面白そうに笑うと、ぽつんと鉄格子の中で吊り下がっている女へと視線を移した。

 

 

 

 

 

「…つまり、君は私にとって部下で、私は君にとって隊長だという事かな?」

 

ある程度の落ち着きを取り戻したミミは、未だ記憶の戻らない隊長に簡単な説明を行ったところだった。

 

それを変に否定する事もなく、隊長はミミの話を最後まで聞き終えると、一番重要だと思う箇所の確認を取る。

 

「うん、そうなの…早く行かないと、ナナ達が危ないの…!」

 

隊長は、俄には信じがたいと言いたげな表情で考え込むと、ミミの話を信じるだけの証拠や根拠を集めるべく、ミミにいくつか質問をする事にする。

 

「…君の言う事は、きっと嘘ではないんだろう。だが、それは私の記憶にはない事だ。だから、それを信じる為に、私の質問に答えて欲しい。いいかな?」

 

「う、うん!」

 

ミミは珍しく真剣な面持ちになると、隊長からの質問を待った。

 

「まず、君の名前を教えて欲しい」

 

「ミミは、ミミだよ!」

 

隊長には聞き覚えのない名前だが、どうやら本当に聞きたい事ではない様子だった。

 

質問を続ける。

 

「次に、君は私の部下だと言ったが、何と言う組織に所属しているのかを教えて欲しい」

 

「えっと、フェンリル本部直属部隊特別諜報部第零部隊、だよ!」

 

それは、公にはされていない筈の部隊名であり、この時点で隊長は、自身が記憶喪失である事実を認める事にした。

 

だが、それだけでミミの言う事全てを信用する気はなかった。

 

何故なら、それで自分が記憶の一部を失っている事の証明は出来ても、目の前の少女が部隊の一員だという証明がなされた訳ではないからである。

 

それに、仮に何年か分の記憶を失っているとして、その何年か分後の世の中…つまり現在では、部隊の存在が公に明かされている可能性もあるからである。

 

それらを表には出さずに、隊長は質問を続ける。

 

「…では、君がその部隊に所属している証拠を見せて欲しい」

 

「えっ!?しょ、証拠、証拠……う、腕輪なしで、神機が使えるよ!」

 

突然の証拠提示に驚いたミミは、思わず左手から槍の神機を取り出した。

 

それを見て、隊長は第零部隊の特殊性を鑑み、それが第零部隊の隊員だという事を証明する証拠たり得るものだと見なす事にする。

 

だが、隊長はそこで質問を止めなかった。

 

「…隊長は………私が隊長だと言うなら…前の隊長は今、どうしているか教えてくれるか…?」

 

そして、一番知りたかった事はこれなんだと、隊長は恐る恐る口を開く。

 

「…前の隊長?それって、隊長にも隊長がいたって事ー…?」

 

しかし、ミミの口から返ってきたのは、何という事はない疑問。

 

つまり、知らないという事だった。

 

事実、ミミは隊長以外の隊長を知らず、ましてやそれを知る術もなかった。

 

それが分かると、隊長はあまり納得は出来ていなかったが、取り敢えずミミの言う事を信じる事に決めた。

 

「…そうか……ありがとう……」

 

消え入りそうな感謝の言葉に加えて、君を試すような真似をしてすまないと謝罪の言葉を述べると、隊長は誤魔化すように笑顔を浮かべる。

 

そんな隊長の笑顔にまんまと誤魔化されてしまったミミは、とうとう疑問に対する返答を貰っていない事に気付かなかった。

 

隊長は、巧みに話を切り替える。

 

「さて、残りの話は後で聞くとして……ナナ、という人が待っているんだろう?私は場所が分からない。君に案内を頼んでも、いいかな?」

 

ミミを頼りにするような隊長の言葉に、ミミはぱあっと顔を輝かせた。

 

「う、うん!ミミに任せて、隊長ー!…確か、こっちだよー!!」

 

そうして、珍しく張り切るミミに先導されて、隊長はルルとナナの元へと向かったのだった。

 

 

 

 

 

「あ…あり得ませんわ…っ…一体、どれだけ相手をすれば、済むんですの…っ?」

 

どれだけ吹き飛ばしても、どれだけ撒き散らしても、まるで際限など最初からないかのように、人形は天井から降りてくる。

 

既に30近い数の人形を倒しているにもかかわらず、その生産ペースは衰える事を知らないようだった。

 

「はぁ~…うぅ~…喉、渇いたよ~…」

 

古来よりあらゆる局面で用いられてきた、シンプルかつ脅威的な戦法…人海戦術。

 

その最大の欠点であり、最大の利点でもある物量は、それこそ際限なく二人の体力とペースを奪っていっていた。

 

それは、言い換えれば、二人の弱点が露見しつつあるという事でもあった。

 

Q、それは何か?

 

A、体力不足である。

 

普段からベッドに潜り込んで寝続けているナナに、毎日毎日ククと部屋に籠っているルル。

 

二人の体力のなさは、普段から訓練や任務に精を出している隊長とハヤはおろか、最年少のミミとすら比べられないほどだった。

 

というのは嘘である。

 

本当の弱点は、二人の卓越した器用さだった。

 

それはどういう事なのか、取り敢えず結論から言うと、コンビを組む相手を間違っているのである。

 

一見すると、二人は連携の取れたいいコンビのように思えるが、その実、互いに互いの足を引っ張り合っていた。

 

もっと言えば、互いに息を合わせようとするあまり、本来の戦い方が出来なくなっているのだった。

 

そもそも、この二人が一緒に行動すること自体が珍しいのである。

 

そんな二人が、ある日突然コンビを組んで、まるで双子のように息ぴったりな連携を繰り出せる訳はない。

 

そういう風に見えているだけ、というより、そういう風に見せているだけなのだった。

 

つまり、演技であり、芝居である。

 

その所為で、ルルは的確な回避を、ナナは攻撃のチャンスを、自分達で潰していた。

 

「っ?!」

 

そして、それは遂に致命的失敗(ファンブル)を招き寄せてしまった。

 

攻撃を欲張ったルルに近接人形の剣が振り下ろされ、それに気を取られたナナに遠距離人形の弾丸が放たれる。

 

「きゃっ!!?」

 

「わっ!!?」

 

咄嗟に神機で直接剣を受けたルルは、衝撃を受け止め切れずに弾き飛ばされた。

 

ナナも咄嗟に銃形態で弾丸を防いでしまい、迫り来る後続の弾丸に対処出来なくなる。

 

「あうっ…!!…っ!あぐっ!??」

 

ステージに転がったルルに追い打ちを掛けようと、近接人形はルルの腹部を踏み付けて固定し、剣を振り上げる。

 

「ルルっ!!!!」

 

次々と飛来する弾丸を防ぐ事に手一杯のナナは、それを見てらしくもない声を上げる。

 

絶体絶命の危機が、鮮血の結末が、二人の目前に迫っていた。

 

そんな二人の絶望に応えるように、無慈悲な剣は静かに振り下ろされた。




クリスマスプレゼント~!!

…いや、何でもないです…

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