GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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ちょっと遅れました。

あと、日常パートと言ったな。
あれは嘘だ。




 第2話(1) 第零部隊に忍び寄る崩壊へのカウントダウン

「…な、何の用だよ?」

 

「いやいや、特に用って程じゃない。ハヤはその後、どうなったのかと思って、な?」

 

 

 

 

 

「うらあ!!!吹き飛べや!!!」

 

ハヤの掛け声と共に振り下ろされた大剣の神機は、ハヤ目掛けて飛来してきた的を砂糖菓子か何かのように砕くと、刀身の半分以上を床に減り込ませ、床に敷き詰められた特殊な砂を遥か上方にまで吹き上げさせた。

 

そして、柄を凄まじい勢いで蹴り上げるハヤの脚に引き上げられるように、砂を撒き散らしながら床から飛び出して的を砕き捨てると、そのまま縦に回転しながら宙を舞う。

 

それが落下を始めて床に突き刺さる瞬間、回転を続ける神機の柄はハヤの手にしっかりと握り込まれ、落下の勢いを力技で強引に横方向に変換された。

 

そのあまりに乱暴な取り扱いに、ハヤの神機は悲鳴を上げるように唸り出すと、直後に見えない壁のようなものに叩き付けられる。

 

唸りが一瞬揺らぐが、すぐにただの唸りに戻り、神機はそのまま振り抜かれる。

 

そうして、残る的を残さないように薙ぎ払うと、ハヤはアラガミの一撃を受けたような抉れ方をした床を、少し満足げに眺めた。

 

そんなハヤの背後から、砕き損なった的がハヤ目掛けて体当たりを仕掛けてくる。

 

「…ちっ!」

 

運よくそれに気が付いたハヤは、それと同時に的と自分の間に割り込んで来た影にも気付いた。

 

そして、それが禍々しいような神々しいような、よく分からない盾だという事が分かると、ハヤは二つ以上の意味で舌打ちをした。

 

「…油断大敵って言葉、知ってるかぁ?」

 

投擲した盾によって的が打ち落とされた事を見届けると、その持ち主はにやにやとハヤの方を見た。

 

「うぜえ!」

 

その持ち主の顔は、蹴り上げられた砂にまみれた。

 

「ぶわっ!?」

 

ぺっぺっと、口に入ったらしい砂を取り除くククの光景に、どこかで見覚えがあるなと思ったハヤは、それと一緒に嫌な事を思い出してしまい、それ以上思い出す事を止めた。

 

「…オレに何か用かよ?」

 

「他に言う事があるだろ!!」

 

取り敢えずと、何事もなかったようにククに話し掛けると、既に先読みされていたような速度で、ハヤはツッコミを受けた。

 

それが少し、ハヤの癇に障る。

 

「…神機、落としてるぜ?」

 

「あぁ、ありが…違う!俺が言いたいのはそういう事じゃない!」

 

それならと、落ちている盾を指差して、ハヤは親切心に溢れた心で指摘してやるが、それも途中でツッコミに変わる。

 

それは少し、ハヤとしては面白かった。

 

よって、もう少し話を続けてみる事にする。

 

「オレが拾ってやろうか?」

 

「断る」

 

が、腹が立ったので止めた。

 

 

 

 

 

それにしてもと、ククはハヤの髪形を凝視する。

 

「…オールバックは、生え際の後退を促進するらしいな」

 

ハヤの前髪だけ掻き上げられた髪形をオールバックと呼ぶのは、少し不適切な気がしないではないが、ククにとっては、ただ単に記憶の片隅から豆知識として、そんな事を思い出しただけなのかも知れなかった。

 

「…てめえ、ケンカ売ってんのか?」

 

ハヤの髪は、金色というか黄色というか、無理に髪を染めたような色をしている。

 

そして事実、ハヤは定期的に髪を染めていた。

 

その為、髪が少し痛んでいて、その所為で立っているのだった。

 

「いやいや、そんな事をどこかで聞いたなって思っただけだ」

 

ククは青黒い髪を微かに揺らすと、生え際が後退したハヤの頭を思い浮かべたのか、少し笑っていた。

 

「…じゃあ、何で笑ってやがる?」

 

恐そうで冷たそうなハヤの顔が、ククの顔を睨む。

 

「ハヤも、人の事言えないくらいにはヘタレだと思って?」

 

それを、ハヤとは反対に、優しそうで爽やかそうなククの顔が受け流す。

 

「…てめえにだけは言われたかねえよ、メガネ眼鏡!」

 

「へ…メガネ眼鏡!?メガネ眼鏡ってなんだよ?!ヘタレ眼鏡じゃないのかよっ!!」

 

素早く的確なツッコミを入れたヘタレ眼鏡は、少し満足げに頷いた。

 

「ところで、だ。オレのその後ってのは、何の事だよ?」

 

長い長い前置きを経て、ようやく冒頭の会話を回収したハヤは、話の流れから大体の予想はついているものの、一応尋ねてみる事にする。

 

「ん?勿論、ハヤは隊長に相手にされなくなったのかどうかって事だ」

 

予想通り過ぎて癇に障ったハヤは、もう一度砂を蹴り上げた。

 

「ぶわっ!?」

 

それをやってしまってから、それが返事になってしまった事にハヤは気が付く。

 

「ちっ…これでも一応、話くらいはしてるっての」

 

と、手遅れ気味に付け加えるが、ククは口の中に入った砂を取り除くのに夢中だった。

 

「ぺっぺっ!…任務と新入りの話以外では?」

 

「………」

 

そんな事はなかった。

 

ハヤは、隊長のバースデイパーティの時でさえ会話をしていない事を思い出しそうになり、寸前で思い止まる。

 

「…ハヤェ……」

 

そして、かなりうざい呼び方をされたので、ハヤは少し気が紛れた。

 

「うぜえ」

 

ハヤは前を開けたジャケットを翻すと、神機を片付けて訓練場を後にした。

 

訓練場に一人残されたククは、仕方なく盾の神機を拾うと訓練に励む事にした。

 

 

 

 

 

「あの……ドクターさんは、隊長と付き合いが長かったりするんですか?」

 

ドクターが書類に目を通している間、ずっと寝ているだけで退屈だったのか、唐突にルーキーはそんな質問をした。

 

ドクターの動きが一瞬止まり、ルーキーに視線が向けられるが、すぐに手元の書類へと戻される。

 

しかし、書類を捲る手は止まったままだった。

 

「…どうしてそう思うのかしら?」

 

その事に気付いているのかいないのか、ドクターは平然を装って返事を返す。

 

分かりやすい人である。

 

「えっと…今朝の会話、聞いていたので……」

 

ルーキーがそう言うと、ドクターは片手で書類を持ったまま、もう片方の手で頭を抱えてしまった。

 

心なしか、先ほどまでと一変して、顔色が優れないように見える。

 

「……どうしよう…どうしよう…どうしよう……」

 

そして、心ここにあらずといった様子で、たわ言のようにぶつぶつと同じ言葉を繰り返し呟き始めた。

 

ところで、裏無しだと心無しとも書いて、深く考えない、うっかりしているという意味になる。

 

つまり、ドクターは裏無しだった。

 

○ートレスの面白い動きは、ここから来ているのかも知れない。

 

そして、ドクターは表無しでもあった。

 

裏で色々と手を回し、策を巡らせているのである。

 

まるで、どこぞの政治家である。

 

これらを合わせると、「ドクターは裏表のない素敵な人です」となる。

 

いや、そのりくつはおかしい。

 

閑話休題。

 

「あの…聞いちゃいけない話だったんでしょうか…?」

 

「うん…そうよ……」

 

ドクターのあまりの変わりように、ルーキーはピラミッド型の立体パズルが現実に存在しているような気分になるが、それほど重要な話だったのかと都合のいいように解釈した。

 

当のドクターはと言うと、この世の終わりみたいな顔をした後、苦渋の選択をするような表情で冷や汗を流し、意を決したようにルーキーの方を見る。

 

どうやら、何かしらの覚悟を決めたらしい。

 

「……ルーキー、貴方に頼みたい事があるのよ。聞いて貰えるかしら?」

 

ドクターは一先ずそう切り出すと、ルーキーの注意を引き付ける。

 

「は、はい。何でしょう?」

 

そして、少し躊躇いながらこう言った。

 

「エインについて色々教えてあげるわ。その代わり、今日の事は秘密にして欲しいの。どうかしら?」





あまりに名前がこないので、頑張ってイメージ絵でも描いてみようかと思う今日この頃。

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