TRPGのシナリオ作りに手こずった為、ちょっとクオリティーダウン気味…
絵はまた今度…
「…えっ!?隊長って、落ちこぼれだったんですか?!」
「…うん、あのね?エインの名誉の為にも、言葉は選ぶべきよ?」
ドクターは、隊長について知っている事を、数時間かけて、ルーキーに話して聞かせた。
その合間に、ところどころ面白かった話や可笑しかったエピソードなどを挟みつつ、隊長という人柄を立体的に表現していく。
「あぁそうそう!あの子ったら面白くてね。コッペパンを見て、これはパンじゃない!って言ったのよ。え?と思って話を聞いてみると、中身を切り抜いたものしか見た事がなかったんですって!」
初めて会った時は身長が140cm程度だったとか、今では考えられないほど目が死んでいたとか、よくよく考えるとあまり笑えない話を話していく。
「そう言えば、あの子って好き嫌いが多くてね。細長いものと牛乳、あと魚介類が駄目なのよ。何でなのかしら?」
と、こんな調子でドクターは、年の功とでも言うべき何かを発揮して話を続けた。
そんな年でもないのに、である。
そんな中、隊長の面白可笑しいエピソードから、ようやく隊長の真面目な話へとシフトした。
「エインはね……ぶれがあるというか、振れ幅の大きい子だったわ」
長文注意。
「まぁ、第零部隊に入って来たくらいだから、才能があるのは確かよ。けれど、それを遺憾なく発揮する事は滅多になかったの。…不安定……そうね、不安定な子だったわ。ここに来る前、よっぽど酷い経験をしていたんでしょうね。最初の内は、私どころか隊長にさえ牙を剥いていたくらいだったもの。それに、使っている神機も特殊だものね。本当に、あの子の牙を収めるのには手を焼いたものだわ……って、また私は迂闊な事を…!………ええ、そうよ。私も第零部隊の隊員よ。元、のね」
頭に思い付いた事をそのまま口に出しているのかと思うほど、ドクターはぺらぺらと流暢に言葉を繋げていく。
身長140cmの隊長…いい事を思い付いた。
通報。
という流れを一度やってみたかった。
「へぇ~…そうだったんですね……」
ルーキーは、ドクターは元第零部隊の隊員だろうと予想していたのか、特に驚く事もなく聞いていた。
「それでも、あの子は何とか部隊長クラス程度の実力を十分に発揮していたわ。ただ…貴方も知っている通り、その程度では第零部隊の隊員は務まらないのよ……そして、事件は起こったわ。ちょうど私と隊長が任務でいない時に、緊急任務が入ったの。あの子は任務を受けて、私達も遅れて任務を受けた………その結果、私は引退……隊長は、行方不明になったわ……」
ルーキーの喉が鳴った。
「…相手が悪かった…って、言うのかしらね……あれ以来、あの子は自分を責めるようになってしまったわ。神機も、すっかり変わってしまって……けれど、悪い事ばかりではなかったわ。あの子は隊長になり、強く……ええ、強くなったわ。でも……あの子の心は、あの頃のまま、今も変わっていないのよ……」
話は終わったようだった。
ドクターは席を立つと、
「少し、風に当たってくるわね…」
と、地下施設内にいるにも関わらず、そんな事を言った。
「…目標地点、視認した」
本部の周囲を囲む居住区を、さらに囲む森の中。
しばらく前にロマンヘリに滑走路を提供した、土の色が微かに周囲と異なる場所を見ながら、影は呟いた。
「…ここに、奴等がいるのか…?」
別の影が呟く。
「…情報は確かだ。始めるぞ」
その影は、懐から小包のようなものを取り出すと、地面の上にそれを並べていく。
「…網に掛かってはいないか?」
心配症なのか、影は念に念を押して尋ねる。
「…アンタ、気にし過ぎよ。つか、アタシらの部隊の名前、覚えてない訳?」
また別の影が、心配症の影を指差して言う。
「…ナンバーアウト。つまり、頭数に入ってないのよ、アタシら。つか、レーダーなんかに引っ掛かるヘマしないっての」
準備が整ったらしい影の方を見ながら、心配症の影はスイッチを取り出した。
小包のようなものから離れて、十分な距離を取る。
他二人と、その他大勢の位置を確認すると、影は数を数え始める。
「10、9、8、7…6…5…4……」
カウントダウン。
カウントダウンの開始点は、様々だ。
1分のものがあれば、3分のものもある。
最近は4分のものや5分のものが多い気がする。
また、24時間の時があれば、果ては10年20年の時もある。
しかし、これらは結局は同じ地点に落ち着くのである。
それは、0。
全ての数の始まりだとか、全ての数の終わりだとか、そんな些末な事はどうでもよく、とにかく影にとってそれは、恨み嫉みの対象でしかなかった。
つまり、第零部隊。
世界最高であり、世界最強である部隊。
対して、世界最低であり、世界最弱である部隊。
つまり、
「……0…!」
そして、カウントはゼロになり、全ての始まりと全ての終わりが動き出した。
崩壊が、始まる。
「きゃあっ!?」
突然の爆発と、エレベーターから上がって来た黒づくめの謎の覆面集団に驚いたオペレーターは、任務を受けに来ていた関係で目の前にいたハヤをカウンターに引き摺り込むと、カウンター下の警報装置を押した。
すると、施設内に緊急事態を告げる二回目の警報が鳴らされ、カウンター前に対ゴッドイーター用の、完全防備シャッターが降りる。
「…いきなり、何しやがるっ!」
突然カウンターに引き摺り込まれ、シャッターで閉じ込められたハヤは、これにはご立腹だった。
オペレーターに向かって抗議の声を上げる。
「各員へ通達!侵入者発見!直ちに迎撃せよ!非戦闘員は、安全域に退避!これは訓練ではない!繰り返す、これは訓練ではない!!」
しかし、その抗議の声は、真剣な眼差しで指示を飛ばすオペレーターの耳には届いていないようだった。
「………ちっ」
思わず、女の子の前でつい悪ぶってしまった悪ガキみたいな、そんな対応をハヤはしてしまう。
「…ご無事ですか?ハヤ様」
そんな二人の背後に、ナナのサポーターがどこからともなく現れた。
その手には、包丁とリンゴが握られている。
「…菓子作りはよそでやりやがれ」
リンゴには薬品が振り掛けられている事が多いので、虫食いのないものは出来るだけ皮を剥いて食べるようにした方がいいらしいですよ。
という意味を含んだ、ご親切にどうもと言いたくなるような視線で、ナナのサポーターはハヤに頷いて見せると、本当にいなくなってしまった。
ごとんと、上の方でリンゴを落としてしまったような音が聞こえたが、きっと気の所為だろう。
「…まだ皮を剥いていませんので、ご心配には及びません」
気の所為ではなかった。
そんな心配はしてねえよと言いたげに、ハヤは天井に視線を送ると、手持ち無沙汰と言った感じでカウンターに腰掛ける。
「…はあ…どうしようもねえな…」
びくっと、今さら何かに気付いたようにハヤから距離を取ると、オペレーターは怯えるうさぎのような涙目でハヤを見る。
「………」
思わず、両腕を振り上げて襲い掛かるポーズでも取ってやろうかとハヤは考えるが、それは止めておいた。
「…本当に、どうしようもねえな…」
予想通りの結果というものが、ハヤにとってこの上なく嫌いなものだったからだ。
BF3買いました!
BF4が出た影響で、ものすごく安かったです!
やったね!