GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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今さらですが、GE2の体験版やってます。
…序盤まるごとって、ただの本編じゃないですかぁ…!

ところで、エミールが階段から落ちるところは、思わず吹きました。




 第3話(1) 半壊状態の第零部隊に訪れる新たな始まり

「ひでえ有り様だぜ、全くよお…」

 

「…こっちも、ねー…」

 

 

 

 

 

任務を失敗して帰還した隊長達は、明らかに異常な状況に慌ててヘリから降りると、爆破されたような痕跡の残る地面を調べるようにしゃがみ込んでいたハヤに気付いた。

 

「ハヤー、何なのこれー…?」

 

そして、ミミの困惑したような声に振り返ったハヤは、隊長に担がれている血塗れのルルと、ミミに肩を借りているぼろぼろのナナに気付いた。

 

「…それはこっちのセリフだっての…」

 

ミミの困惑した声に、ハヤまで困惑しそうになるが、直前にククの件があったハヤは、何とか優先順位を見失わないように頭を働かせられた。

 

「…ちっ、次から次へと………床がぶっ壊れてんだ。誘導してやるから、さっさとついてこい」

 

ハヤはぶっきらぼうにそう言うと、爆破によって開いている大穴に飛び込んだ。

 

第零部隊の施設は、侵入者達のお陰で半壊状態に陥っていた。

 

特に最後の大爆発が深刻で、二階の広間は作戦会議室どころか床も天井も崩壊し、三階の隊員の自室は全て瓦礫の下、一階の広間の床もほとんどが崩落している。

 

辛うじて無事だったのは、三階の食堂とそれより下の階層、そして一階の医務室、工房くらいのものだった。

 

死傷者は作業員数名で、重傷者および軽傷者は多数という、大損害が生じていた。

 

それらを、怪我人を集めている四、五階へと移動がてら、ハヤは隊長達に報告した。

 

「…でも、何で下の階なのー?」

 

三階から下の階は、利便性と使用頻度の関係からエレベーターがなく、隊員しか利用しない事から必要もなく、一行は階段を降りる。

 

「怪我人担いでエレベーターのワイヤーよじ登るってか?それとも、わざわざ壁登りでもやんのか?」

 

「…やんないねー…」

 

そうして、ミミの素朴な疑問を一蹴しながら、ハヤ達は四階の訓練場へと辿り着いた。

 

そこには、訓練場を埋めつくさんばかりの負傷者と、その間を走り回るサポーター達の姿があった。

 

すると、その内の一人が隊長達の姿に気付いて、駆け足で近寄ってくる。

 

「ああ、エイン様!この度は申し訳ございません!!私どもがいながら、このような体たらくを晒してしまいました!!どのような罰であろうとも、謹んでお受けさせて頂く所存でございます…!!」

 

それは、隊長のサポーターだった。

 

深々と頭を下げ、今にも自害しかねない鬼気迫る雰囲気を放つサポーターに、隊長が何かを言い出そうとするが、それを遮るようにミミが口を開いた。

 

「い、今はそれどころじゃないよーっ!早くルルを助けてあげてっ!」

 

そして、血塗れのまま動かないルルを指差す。

 

「…ルル様…!この大怪我で、よく帰還されました…!直ちに応急処置を始めさせて頂きます!!…誰か、手を貸して!!」

 

隊長のサポーターは、他のサポーターを呼ぶと、ルルをその場にゆっくりと寝かせる。

 

「申し訳ありませんが、ナナ様には少しお待ち頂いてもよろしいでしょうか?」

 

ミミに肩を借りて辛うじて歩ける程度のナナは、その場に腰を下ろすと疲れたように呟いた。

 

「…のど、渇いた~……」

 

「……誰か、こいつのサポーター呼んでやれよ…」

 

空気が少し和んだ。

 

そこで、少し緊張がほぐれたのか、ミミが何かに気付いたように声を上げた。

 

「…あれー?ドクターはここにいないのー?」

 

そのミミの疑問は、至極当然の疑問だった。

 

サポーター達が応急手当に奔走しているにもかかわらず、ドクターの姿がそこになかったのである。

 

すると、そのミミの声に申し訳なさそうにハヤが応えた。

 

「…ククの野郎を治療中だ」

 

空気が固まった。

 

 

 

 

 

手当の邪魔になるだろうと、ルルとナナを四階に残して三階に移動すると、ハヤは分かる範囲で話をした。

 

「…オレがシャッターから出た時には、全部終わった後だったって訳だ」

 

終わった。

 

「…ハヤもよく分かってないんじゃん…」

 

身構えて損したと呟きながら、ミミはハヤの方を見る。

 

「ちっ…そう言うお前はどうだったんだよ。隊長も、さっきからずっと黙ってねえで、何かあるだろ?」

 

分かり切っていた返事をミミから受け取ると、ハヤは少し不機嫌そうにミミと隊長に話を振った。

 

すると、ミミの顔があからさまに青くなる。

 

「…おい、ミミ…何か言えねえ事でもあんのかよ?」

 

ハヤの指摘通り、ミミには言えない事があった。

 

というより、非常に言いにくい事があった。

 

しかも、二つ。

 

一つは、ルルとナナから別行動を取る事になった後、色々あって合流が遅れ、二人を負傷させてしまった結果、アラガミを討伐できずに撤退してきたという事。

 

そしてもう一つは、合流が遅れる事となった原因の事。

 

「ナナナ、ナニモナイヨー?」

 

何とか誤魔化そうとするミミの隣で隊長は咳払いをすると、二人の注意を引く。

 

「…ミミ、誤魔化すのはよくない。私から話そう。すまないが、落ち着いて聞いて欲しい」

 

隊長のその言葉に、ミミは慌てるような表情に、ハヤは怪訝な表情になる。

 

そんな二人の視線を受けながら、隊長は少し間を取ってから告白する事にする。

 

「…実は私は、記憶喪失らしい」

 

またもや、空気が固まった。

 

が、ハヤはすぐにミミの方へ向き直ると、鬼の形相でミミを睨んだ。

 

「…おい、てめえ…隊長に何吹き込みやがった……!!」

 

「ち、違うよー!本当なんだよー!!」

 

どうやら新手の笑えない冗談だと思ったらしく、その原因がミミであるとも思ったらしく、ハヤはミミを迷いなく攻撃しようとする。

 

それを止める為か、隊長はハヤに聞こえるようにこう言った。

 

「信じろ。これは命令だ」

 

ここまで言われれば、ハヤも隊長の言葉を信じる気になったのか、普段の隊長の雰囲気からは感じられない違和感の方を信じる気になったのか、ハヤは隊長の方に振り返った。

 

「……てめえ、名前は?」

 

そして、今にも斬りかかりそうな殺気に満ちた視線で隊長を睨み付ける。

 

「ふふふっ…私はシオンだ。信じてくれてありがとう、ハヤ」

 

それだけ聞くと、ハヤは二人に背を向けて調査に戻って行った。

 

「…ハヤ……」

 

その背中を、ミミは申し訳なさそうに見つめていた。




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