九月中に投稿しようと思っていたのに、いつの間にかこんな時節に…
今更感がどうにも拭えないですが、3…じゃなくて、レイジバーストが発表されましたね。
というか、されてしまいましたね。
…もうこれ未完でいいんじゃないだろうか…
「ちっ……こんなザコの為に、わざわざ来てやったってのかよ…ありえねえ」
「ハヤさん…?」
鋭い眼光が睨む。
遥か下方を浮遊する、巨大なステージ。
あれほど巨大なものであれば、もっと遠くからでも見つけられそうなものだが、いよいよ眼下に迫った今この時まで、この巨大なアラガミらしきステージは、影一つでさえ目視を許さなかった。
擬態、という奴なのかもしれない。
しかし、所々に木々が残ってはいるものの、アラガミが通った道を示すかのように、大地は醜く喰い荒されて踏み均されている。
これでは、擬態など何の意味も為さないだろう。
風景の一部として溶け込めるからこそ、擬態に意味があるのだ。
であれば、全く溶け込めそうもない巨体で浮遊して、まるで周囲に自分の存在を大々的にアピールしているようなアレは、一体どのような手段を用いて姿を消していたのだろうか。
その事に頭を悩ませていると、ハヤの視線はより一層鋭くなるのだった。
「ちっ…ごちゃごちゃ考えんのは性に合わねえ………出るぜ…!!」
跳ぶ。
ヘリの高度は未だ下がり切ってはいなく、したがって、ルーキーと操縦士は一様に驚いたのだが、もはやハヤにとって、そんな事は些末な事でしかなかった。
ハヤの鍛え抜かれた上半身が、張り付いたインナーで露になる。
腕だけ通して前を閉めていないジャケットが、マントのように翻る。
そして、ハヤは両腕をゆっくりと持ち上げ、寸分たりとも誤りようのない神機の感触を確かめるように握り込むと、まるで両手から生えるように現れた神機を、上段に構えた。
振り下ろす。
すると、宙で空振りした神機に引っ張られ、その勢いを全身の筋肉を使って強引に維持し、ハヤは一瞬で体を一回転させた。
大剣の刃が、黒く鈍く輝きを放ち始める。
その輝きは、オラクル細胞が活性化している時に現れる現象だった。
脈動。
大剣の切っ先から刀身と空間を蝕むように、オラクル細胞が活性化し、侵喰し、第二の刃を形成していく。
これが、第零部隊で戦ってきたハヤだけが使える、唯一無二のチャージクラッシュ。
高水準の運動エネルギーを神機に蓄え、それを雷管のようにしてオラクル細胞にぶつける事で、急激にオラクル細胞を活性化させるという、オラクル細胞を爆薬か何かと勘違いしている離れ業である。
そして、チャージクラッシュの最大の弱点である溜めの遅さを、完膚なきまでに克服した一つの完成形でもある。
その至高の一撃は、何の変哲もない地表へと惜しみなく叩き込まれた。
想像を絶する衝撃が、大地を震わせる。
割れ、砕け、沈み込んで尚、大地はその衝撃を受け止め切れず、周囲に裂け目をばら撒いた。
そうして、ようやく衝撃を分散し切れたのかと思ったのも束の間、地面の中に叩き込まれて行き場を無くした衝撃が、逆流する。
大地が噴き上がった。
それは、陸の津波のように地表に襲い掛かると、砂埃を巻き上げながら、大地を喰い荒らしてしまった。
汚れっちまった一陣の風が吹きすぎる。
頭や服に掛かった砂を払い落としながら、地面に刺さった大剣を抜き取ると、着地に成功したハヤは小さく溜め息を吐いた。
「…合わねえが……後先は、よく考えるんだったな…」
その言葉は、勢いで飛び降りてしまった事に対して向けたのか、それとも、今ので敵に存在をアピールしてしまった事に対して向けたのか、どちらにせよ、ハヤ一番乗り!である事に変わりはないようだった。
鋭い眼光が睨む。
僅か前方を浮遊する、巨大なステージ。
あれほど巨大なものであれば、随伴するアラガミの一つや二つは居そうなものだが、いよいよ眼前に捉えた今この時でさえ、この巨大なステージらしきアラガミは、ステージである自身以外の存在を許さなかった。
「こいつ…ナナの報告と、姿が違いやがる…!」
つまり、そのアラガミの姿は、円盤だった。
一撃。
たったの一撃で、円盤というには厚みのあり過ぎる円盤はバランスを失い、地面に突き刺さった。
それきり、その円盤は身動きを完全に放棄したようで、壊れた機械のように黒い煙を上げていた。
オラクル細胞が結合を失い、霧散しているのである。
そのうち、オラクル細胞が霧散する事によって、周囲を強固に固められていたコアがその姿を現した。
黒濁とした水晶を連想させるそれは、まるで細胞が腐り果てていくかのように蒸発すると、黒い泥濘だけを残して消失していく。
その一部始終を、ハヤは見送った。
すると、二足ほど遅れて降りて来たルーキーが、ハヤの後ろまで駆けて来た。
「ハヤさん…!」
しかし、ハヤはルーキーの脇を回れ右で抜けると、大きく溜め息を吐く。
「…帰るぞ。納得はいかねえが、任務は完了だ」
そして、ヘリに向かって大きく手を振り、回収の合図を送った。
これが、第零部隊におけるルールだった。
新種のアラガミを討伐した場合、コアの回収を行わない。
それは、今回のような緊急時においても適用されるらしく、ハヤは早々とヘリの降下地点へと足を進めていた。
そんなハヤの後ろ姿を見てから、ルーキーは何かに気付いた風でもなく、既に残骸さえ残っていないだろう円盤の方へと、偶然振り向いた。
ぽつんと、穴が空いている。
一概に穴と言っても、クレーターに代表されるような半球状の穴ではなく、動物が掘り進めたような円柱状の穴だった。
大きさにして、直径一米程だろうか。
円盤が墜落した際に空いた穴だとすれば、これ程不自然なものはなかった。
そして、その不自然さは、ルーキーに危機感を抱かせるのに十分な圧力を放っていた。
「ハヤさんっ!!!」
そうとなれば、ルーキーの声に力が入るのも仕方のない事で、その声に異常性を感じ取ったハヤが直ぐさま振り返る事は、当然の帰結と言えた。
「っ!?」
一瞬。
まるで、最初からこの瞬間を狙っていたかのように、地面が消失した。
そこには、大口を開けた深い暗闇が、二人を飲み込もうと待ち構えていた。
為す術はなかった。
もし、今この場に隊長がいたならば、少しは抵抗の余地があったのかも知れない。
しかし、伸ばした手の先すら見えなくなった今となっては、それは子供の駄々のようなものなのだろう。
後には、穿たれた巨大な穴と、遠ざかって行く風切音だけが残された。
「…そんな下らない芝居で、私を騙せるとは思わない事ね」
そんなドクターの言葉を思い出し、隊長は静かに目を覚ました。
(……私は、何て事をしてしまったのだろう…)
そして、取り返しの付かない事をやってしまったという罪悪感に、隊長の胸中は締め付けられていた。
最初は、些細な悪戯のつもりだったのである。
ミミを少しからかってやろうと、どうせすぐに気が付くだろうと、そう思っていたのだ。
というのも、着地に失敗して目を覚ました時、大体の状況は把握出来ていた。
そして、ナナとルルが先行して接敵している事も分かっていた。
だからこそ、あの二人なら大丈夫だろうと、とんでもない思い違いをしてしまったのだった。
どうかしていたのである。
その後の事は想像に難くなく、あれよあれよと引き返せない事態へと転がってしまい、現在に至っていた。
ふと、包帯の巻かれた腕に気が付き、それが更に隊長の罪悪感に拍車を掛けた。
(…私の、所為だ…私の、下らない冗談の所為で…)
ふと、苦しそうに呻く声に気が付き、それが更に隊長の罪悪感に拍車を掛けた。
(…私が、皆を危険に晒したんだ……私が……私が……!!)
ふと、この世のものとは思えない声に気が付き、それが隊長の耳に囁き掛けた。
「…私が、エイン様を手当しました…!」
と思いきや、いつの間にか隊長の目の前に、隊長の見知った顔があった。
「わ!?」
隊長のサポーターである。
「こほん…なかなかお目覚めにならなかったものですから、少しばかり興奮してしまいました」
恥ずかしいところをお見せしましたと、咳払いをして気を取り直すと、隊長のサポーターは普段通りの姿勢を保った。
それは、隊長にとって有り難く、そして、心苦しいものに違いなかった。
「…いや、構わない。それより、余計な手間を掛けさせてしまった。済まない…」
それを知られまいと、隊長は勢い良く体を起こすと、周囲の様子を見渡した。
しかし、目当ての人物を見つける事が出来ず、仕方なくサポーターに尋ねる事にする。
「ところで…ハヤは、どこにいるか分かるか?」
ハヤは恐らく、隊長の嘘に真っ先に気付いたであろう人物であり、隊長のサポーターに良く思われていないであろう人物である。
後者の理由から嫌そうな顔をされるのかと思い、恐る恐るサポーターの表情を窺うが、隊長の目に映ったサポーターの表情は、隊長の予想したそれとは全く異なるものだった。
「…ハヤ様は…」
そして、即座に理解した。
返答を聞くまでもなかった。
隊長の背筋を冷たい予感が伝い下り、それは現実のものとなっていた。
「…ルーキー様と共に出撃されたきり、行方が分からなくなっています…」
負の連鎖とは、きっとこのような事を言うのだと、理解した。
少しだけ意見を取り入れてみました。
でも、後半がぐだぐだになっている気がします。
あと、お久しぶりです。半年ぶりですね。