GOD EATER ~狼の追跡者~   作:黒槍

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 第2話(3) 新人なのに実戦に投入されるルーキーは災難

「うーんとねー…ミミもよく分からないんだけどー、腕輪ってリミッター?みたいなものなんだってー」

 

「…それで、どうして神機を持っていかなくても大丈夫なんですか?」

 

 

 

 

 

目的地に着くまでまだ時間があるらしく、ルーキーは隊長に任務の内容を尋ねた。

 

しかし、まだ思い違いで得意げに胸を張った事を引き摺っているようで、隊長は不機嫌そうに「着いてから話す」と言い、詳細を話そうとはしなかった。

 

そう言われてしまうと仕方がないので、神機を持っていない事について尋ねると、隊長の代わりにミミが答えた。

 

「えっとねー…ここじゃ、あんまり詳しい事は言えないんだけどー。普通は、腕輪に抑えられてる機能って言うの?があってー、それを使うんだー」

 

どうやら、その辺りの細々とした内容が、第零部隊にだけ許された特権というものらしかった。

 

そして、それは操縦士には許されていない類の内容でもあるらしい。

 

「そ、そんなものがあったんですね……ち、ちなみに、それを使うと、どうなるんですか?」

 

まるで、探偵に推理の続きを促すかのような、知的好奇心の衝動的産物によって、二人の物理的距離と心理的距離が縮まる。

 

「それはねー…」

 

ミミは意味ありげに間を置くと、ルーキーの耳に口を近付け、こそばゆくなるような声で囁く。

 

「…帰ってからの…お楽しみだよ…?」

 

ふっと、ルーキーの耳に息を吹きかけると、ミミは悪戯っぽい笑みを浮かべて笑った。

 

「うわひゃあっ!!な、何するんですかぁ!」

 

ルーキーは、耳を押えてミミに抗議しようとすると、ミミは危うくヘリから落ちかねない位置に立っていた。

 

「ごめんねー、ルーキーちゃん。ミミはここで降りないとだからー」

 

ルーキーは気付いていなかったが、ヘリはいつの間にか高度を下げており、地上まで30m程度といった位置を飛行していた。

 

「お、降りるって!ヘリ、まだ着陸してませんよ!」

 

ルーキーは慌てて隊長の方を見るが、隊長はミミに手を振って見送っていた。

 

いつも通りの光景、という事らしい。

 

「じゃー、行ってきまーす」

 

ミミはパラシュートも何も装着せずに、その体躯を空へと投げ出した。

 

「み、ミミさーんっ!?」

 

本当に飛び降りてしまったミミに驚いたルーキーは、落ちないように恐る恐る下を覗き込む。

 

ところが、ヘリが高度を上げてしまった為に見えにくくなり、荒廃した大地や廃墟、薙ぎ倒された木々、高速で動く点と、ルーキーはミミの姿を捉える事は出来なかった。

 

「ふふふっ…忙しい奴だな、君は」

 

ルーキーの慌てようを見ている内に、少し恥ずかしさが引いてきたのか、隊長が調子を取り戻しつつあった。

 

「一応教えておくが、ミミはああ見えて恐ろしく強いぞ。何せ、近い将来に新しく導入を予定されている神機の使い手だからな」

 

新しい神機と聞いて、ルーキーの興味がそっちに移る。

 

「新しい神機!?」

 

単純な奴である。

 

「あぁ、そうだ。既存の刀身とは違う新しい神機、”槍の神機”だ」

 

「槍…スピアですね!」

 

きらきらと、まるで子どものように目を輝かせると、見た事も聞いた事もない神機に夢を膨らませ、ルーキーは話の続きを聞きたそうにする。

 

「勿論、ただの槍とは違うぞ。第零部隊最速のミミ独自のカスタマイズを受けた、正真正銘最速の槍……”ブラストスピア”だ!」

 

その気持ちを汲み取った隊長の絶妙な溜めが、臨界点を超えたルーキーの心を沸かせた。

 

「す、すごいです!強そうです!!見てみたいです!!!」

 

そんなルーキーの喰いつき具合に、隊長も徐々にのってきたらしく、隊長の目まできらきらと輝き始める。

 

「ふふふっ!しかも、それだけではない!!この槍の真骨頂は、文字通り最速でアラガミを仕留めるところにあるんだ!!!」

 

妙にヒートアップしている二人に、ハヤはドン引きしながら距離を取った。

 

「…テンションたけえよ。操縦担当が困ってんじゃねえか、って聞いてねえしよ…」

 

ルーキーと隊長の白熱したやり取りは、その後しばらく続けられた。

 

 

 

「…では、ハヤはここから西、私とルーキーは南西だ。前もって決めていた通り、合流地点はここだ。全員揃えば、私が帰りのヘリを呼ぶ」

 

ヘリから降り立った後、隊長はいつものように指示を出す。

 

さっきまでのテンションの高さは、一体どこへ行ってしまったというのか。

 

「了解」

 

それだけ言うと、ハヤは目的地に向けて走り始めた。

 

「我々も行こうか」

 

それを全く意に介さず、隊長はルーキーを促す。

 

「は、はい」

 

ルーキーの返事に頷くと、隊長はすたすたと歩き始めた。

 

(…は、速い…!)

 

まるでスリップストリーム下にあるような速度で、隊長はぐんぐんルーキーとの距離を離していく。

 

「ルーキー。本部配属で第零部隊の隊員と言っても、君はまだ新人だ。アラガミとの戦闘は荷が重いだろう」

 

それでいて平然と、ルーキーと会話を始めようとしている。

 

「そこで、今回のところは取り敢えず、私の指示を仰ぐだけでいい。勿論、無茶な注文をするつもりはない。安心してくれ」

 

ルーキーからの返事がない事に疑問を抱いていないのか、隊長はどんどん話を進めていく。

 

「とは言っても、ただ指示に従ってサポートに徹するだけでは、君の訓練になるとは思えない。そこで、一度アラガミと一対一で戦闘してみるのもいい手だと思う」

 

そして、話が終わったと思しきところで、ようやく隊長は背後を振り返った。

 

「君はどう思う?………」

 

隊長の背後を、一陣の風が吹き抜けた。

 

「隊長ー…!待ってくださーい…!」

 

遥か遠くに、ルーキーはいた。

 

その事に少なからずショックを受けたらしい隊長は、狼狽えながらルーキーに向けて叫んだ。

 

「そ、そんなに距離を取るなんて…!君は、私の事が嫌いだったのかー!!!」

 

「突然何を言い出すんですかー…!!」

 

この人も相当な自由人だと、ルーキーは思った。





眠くてぐだってしまった…

後半が面白くないと感じたのなら、その感覚は正しいです。

ちなみに後半とは、「ブラストスピアだ!」から後の事です。
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