ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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第一章 旧校舎のディアボロス
桐生 戦兎


「良いか戦兎。科学と言うのは誰かを幸せにしたい。誰かの役に立てたい。そんな思いから発展していったものだ。しかしそれとは裏腹に時には人の命も奪う。だがそれは科学が悪なんじゃない。それを使う人の心が問題なんだ」

 

小さい頃……父がそう言ったのを覚えている。どんなに危険な兵器もそれを使う人次第なんだと……だが人間は弱い生き物だ。強い力を手にした時、本人も知らず知らずのうちに傲慢になり、驕っていく。もしかしたら人間には科学を使いこなすことなんて出来ないのかもなと……だから約束したんだ。

 

自分が証明して見せるって。

 

科学を正しいことに使って見せるって。いつも父が言っていたように強い力は……科学は愛と平和のために使うものだって証明するって。

 

そう言った父は少し驚いたような顔をしたが優しく頭をなでてくれて……そして、

 

「お前がそんな素敵なヒーローになれることを楽しみにしてるよ」

 

そう言ってくれたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい戦兎!起きろよ!」

「ん?」

 

懐かしい夢を見ていた時、突然の声に戦兎と呼ばれた少年は目を覚ました。

 

寝ぼけた頭で周りを見渡すといつも通う学校の教室だ。そう言えば昼の後の5限目から眠くて寝てたんだった……

 

「ったく……いつまで寝てんだよ。もう放課後だぞ?」

「なんだ龍誠か……」

 

なんだってなんだよ……そう龍誠と呼ばれた少年は呟くと、戦兎を行こうぜと促す。

 

「今日はどこか寄っていくか?」

「やっぱゲーセンだろ。今日こそは勝たせてもらうぜ」

「お前みたいな攻撃ばっかで回避も防御もしないバカなんぞ百回やっても負けねぇよ」

 

そう返しながら戦兎は席から立ち上がる。そして、

 

「誰がバカだ!バカの前に筋肉をつけろ筋肉を!」

「突っ込むとこそこかよ……」

 

と、戦兎は大きなため息を吐いたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し自己紹介をさせてもらおう。彼は自称未来の天才物理学者、桐生戦兎。

 

理数に若干片寄っているが天才的な頭脳と恵まれた容姿、更に身体能力を持った17才の高校生。少しばかりナルシストで口が悪いのを除けば一見普通の高校生だ。

 

現在は、駒王学園に小学校の頃からの幼馴染で、今現在向かいの筐体で格ゲーのキャラを動かしている万丈 龍誠と一緒に通っている。

 

しかし今日も無事快勝出来そうだ。龍誠は基本的に攻撃しかしてこないので、防御して攻撃の合間合間に反撃というのを繰り返せば楽に勝てる。

 

まぁ毎日こんなことの繰り返しだ。だがそれで良い。毎日が平和なのは良いことだと思う。

 

変わり映えしなくたって、龍誠と遊んで家に帰ったら妹と一緒に母さんの手料理を食べて寝て起きたら学校に……それはきっととても大切なことだ。

 

だがこの時の戦兎達は知らなかった。それを壊す異常がすぐそばに来ていることを……

 

「はい勝ち!」

「くそぉおおおお!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また敗けかよぉ……」

「ま、お前のサル並の知能にしては頑張ってたと思うけどな」

「あんだと!?」

 

ガルル!と威嚇する龍誠に思わず笑いを漏らしながら戦兎は口を開く。

 

「今日もうちで食べてくんだろ?」

「おう!んで今日はおばさん何にするって?」

 

とあっという間に機嫌を治した。いやはや単純なやつである。等と思いつつ戦兎は、

 

「母さん今日は給料日だからな。龍誠も連れていくって行ったら豪勢にやろうって言ってたよ」

「と言うことは……」

 

龍誠はシリアスな口調で言い、戦兎はあぁ……間違いなくと言いながらニヤリと笑う。

 

『夜は焼き肉っしょー!』

 

ヤッホー!とテンションを上げながら、打ち合わせしたわけでもないのに見事にハモり合いながらスキップしかねない勢いで、日が暮れ始めてすっかり人通りもなくなった道を二人は足を早める。すると、

 

「た、助けてください!」

『ん?』

 

二人の元に路地から一人の男性が飛び出してきた。腕から血を流し、肩で息をしながら龍誠の足の抱きついた男性はそのままズルズルと脱力していき倒れてしまう。怪我もしてるしまさかと慌てて二人は確認すると、どうやら気絶しているようだ。

 

「誰だこの人」

「さぁ?」

 

と二人が話しているところに……

 

「へいへーい。そこの坊っちゃんたち。その男こちらにプリーズ」

『は?』

 

男性が出てきた路地から現れたのは、白髪が特徴の神父?みたいな服の男だ。

 

だが、戦兎と龍誠は心臓が早鐘を打つのを自覚していた。なぜならその男が手にしているもの……それは何かライトセイバーみたいな感じの物はともかく、もう片方の手ににあるものが問題で、あれは拳銃だ。素人でも分かる。エアガンじゃない。あれは本物だと本能が告げている。

 

「悪いけど怪しい人の言う事は聞くなって教えられてきたんでね……」

 

すると、戦兎は突然おちゃらけたような演技をしながら龍誠にそっと目配せをして……

 

「この!」

 

戦兎は素早く胸ポケットに入れていたシャーペンをダーツの要領で神父風の男に投げつける。

 

「うぉっと!」

 

だがそれを男は首を傾けて避けた。中々反射神経と冷静な動きだがその隙で十分だ。

 

「走れ龍誠!」

「おうよ!」

 

戦兎の言葉に待ってましたと言わんばかりに、龍誠は気絶した男性を片手で担ぎ上げると背を向けて全力疾走し、戦兎もそれを追いかける。

 

「てめ!」

 

それを神父風の男は拳銃を迷わず向けて発砲!

 

パシュパシュ音をたてながらこちらに飛んでくるが狙いは甘い。全弾外れだ。

 

「アイツこの住宅のど真ん中で撃ってきたぞ!?」

「安心しろ!拳銃なんて十メートルも離れたらまず当たらない!余程運が悪くなければな!ってなんかの本で書いてあった!」

「本の受け売りかよ!」

 

何てやり取りをしながら二人は走る。が、

 

「逃がすな!」

『おう!』

 

と、どこに潜んでたんだよと突っ込みたくなる位発砲してきた奴と同じ神父の服装をしたやつらが、神父風の男と同じような武器を手に、ゾロゾロと逃げ道を塞ぎに来た。

 

「やべ!」

「こっちだ!」

 

それを見た戦兎は慌てて龍誠の手を引っ張り路地に入っていく。

 

「いやいやなんだよアイツら!数は多いし何か銃声静かだし!」

「そりゃ最近は消音器(サイレンサー)内蔵した銃もあるしな」

「成程な~って!冷静に分析してる場合じゃないだろ!」

「うるさいな!今必死にルート考えてるとこなんだから静かにしなさいよバカ!」

「誰がバカだ!筋肉をつけろ!」

 

と顔を寄せてきた龍誠の目の前を銃弾が通りすぎ、二人は慌ててちゃんと前を見て走り直す。

 

「っていうか、それでも結構騒がしいはずなのになんで周りの家の人は出ても来ないんだ!?」

「俺が聞きたいくらいだよ!」

 

と、路地におかれてたゴミを後ろに飛ばしながら戦兎は龍誠の問いに答える。そして、

 

「よし、龍誠こっちだ!」

 

ルートを決めた戦兎は龍誠に指示を出して道を曲がる。

 

「お、おいこっちだとあるのは……あぁ!そう言うことか!」

「流石にお前の頭でも理解できたみたいだな。偉いぞ!」

「バカにされてる気しかしねぇ……」

「バカにしてんだよ」

「なに!?」

 

と驚愕する龍誠を連れて戦兎は更に加速したのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……追い詰めたぜ……」

 

戦兎達を追いかけ、神父達が入ったのは既に誰も使ってない閉鎖された工場だった。結構最近まで稼働していたのでまだ中は綺麗だが、持ち主だった人が借金で夜逃げしたとかで機械なんかも全部差し押さえで無くなってしまい、中は広く感じる。

 

「手間取らせやがってよぉ……てめぇらもぶっ殺したらぁ!」

「それはどうかな?」

 

クルッと背を向けていた戦兎は振り替えると、神父風の男達の方を見る。

 

すると、その手にはレバーのようなものがついた黒と赤と金で塗られた変な機械が握られていた。

 

「あ?なんだそりゃ」

「そしてこれをこう」

 

戦兎はその機械を腹に当てると、その機械から腰に巻き付くようにベルトが出て戦兎の腰に装着される。その間に龍誠は気絶した男をそっと壁に寄り掛からせて寝かせておき、 それを確認してから戦兎は、更にポケットから二つほどウサギの模様が入った赤いボトルと戦車の模様が入った青いボトルを取り出すと……

 

「さぁ、実験を始めようか」

 

突然それをシャカシャカ振り始める。するとどうだろ。突然空中に数式がいくつも浮かび上がり流れていく。それを見た神父風の男は、

 

「うげぇ、なんだよこれ……こういうの見ると気持ち悪くなんだよぉ」

 

と、思わぬダメージを与えられたが、戦兎はそのまま赤のボトルをベルトのバックル部分の機械に戦兎から見て右に、青のボトルを左に挿す。

 

《ラビット!タンク!ベストマッチ!!!》

 

そんな音声が流れた後、戦兎は更にバックルの横についてるレバーをグルグルと回し、それと共に戦兎を囲むようにフレームが形成され、前後でアーマーが半分ずつ作られた。そして!

 

《Are you ready?》

「変身!」

 

戦兎の言葉と共にアーマーが前後から装着され、ベルトが更に音声を流す。

 

《鋼のムーンサルト!ラビット!タンク!イェーイ!!!》

 

それが終わると同時に現れたのは戦兎の姿ではなく、赤と青で作られたアーマーを着た何かだ。

 

「な、なんだてめぇは……」

 

神父風の男はそう呟くと、戦兎はアーマーの赤い部分の眼を擦り手でウサギの形を作る。

 

「俺は仮面ライダービルド。造る、形成するって意味でビルドだ。以後、お見知りおきを」

「そして俺がその相棒の「バカ」丈 龍誠!っておい!俺の名乗りに被せんな。あとバカの前に筋肉を着けろって言ってんだろ!」

 

そう言って龍誠は戦兎をビシビシ叩くが、気にせず戦兎は神父風の男達を見る。

 

「どうする?やる?」

「当たり前だ!」

 

そう叫んで飛びかかってきた男達を見て、戦兎は少しため息を吐き、

 

「んじゃ、行きますか!」

 

と飛び掛かったのだった。


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