ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

龍誠「前回兵藤 一誠に手も足も出ずに破れた俺達……」
サイラオーグ「しかも戦兎も奪われてな……」
匙「主人公なのになぁ」
ヴァーリ「今のうちに主人公の座を奪っておくか」
戦兎「おいこら!なにさらっと主人公交代しようとしてんだ!」
戦兎以外の皆『うわっ!出た!』
戦兎「俺はお化けか!」
龍誠「ってなわけでそんな98話スタートだ!」



それぞれの思い

一誠に戦兎の体が奪われてから数日。龍誠達は人間界に戻り、学園生活に戻っていた。

 

だが空気は重い。戦兎はおらず、龍誠は変身能力を失った。戦力が半減どころの話ではなく、本来であれば、リアスを筆頭に魔法使いとの契約を行わなければならないのだが、紹介用の書類を送られても皆一向に読み進められていない。

 

魔法使いとの契約は上級悪魔とその眷属にとって義務であり、とても大切なのだが、誰もが無気力状態になり始めていた。

 

度重なる敗北。そして一誠との力の差。それは確実に皆の精神力を削って行く。正直勝てるのか?そもそも倒す方法はあるのか?戦兎が命を懸けてもダメだったのに……そう考えれば考えるほど、ダメになっていく気分だ。

 

しかも今まで先頭に立って皆を引っ張っていく役割を担っていた、戦兎と龍誠。この二人が一気に戦線から抜けざるを得なくなり、それもかなり大きな影響を与えていた。

 

そんな中、

 

「フェニックスの涙の偽物?」

「あぁ」

 

最近裏のルートで、どうも偽物のフェニックスの涙が出回っているらしい。それだけでも大問題だ。リアス達も知っているが、フェニックスの涙は傷に掛ければほぼ全快するアイテム。だが現在は禍の団(カオス・ブリゲード)の件もあり、品薄が続いている。そんな中、フェニックスの涙の偽物。

 

回復自体は然程変わらないと言うので驚きだ。そしてそれが流れ始めたのとほぼ同時期に、フェニックスに連なる者達へ接触する者が現れたらしい。

 

「十中八九禍の団(カオス・ブリゲード)の奴等だろうな。現在禍の団(カオス・ブリゲード)の戦力は止まることを知らねぇ。まぁ魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)が向こうにある以上当然なんだが……」

 

本来ならもっと激しくてもおかしくない。そうアザゼルは言いつつ、

 

「兵藤 一誠は恐らく楽しんでる。俺たちを少しずつ痛め付けていくことにな。突然力を手に入れた用な奴は、それを使って他者を虐げることに快感を覚えることが多い」

「そうね……」

 

リアスは静かに頷くと、アザゼルは眉を寄せ、

 

「おいおいどうしたお前ら!何暗くなってんだ!そんなんじゃ勝てるもんにも勝てなくなるぞ!」

『はい……』

 

思った以上に重症だな。そう言ってアザゼルは頭を掻きながら、大きくため息を吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ!ふぅ!」

 

バシッ!バシッ!と龍誠達が住む、屋敷の地下にあるトレーニングルームで、サンドバッグを叩く音が響く。

 

「あ……」

「ん?」

 

背後から聞こえた呟きに、龍誠が振り替えると、そこにいたのはレイヴェルだ。

 

「トレーニング中お邪魔します」

「あぁ」

 

龍誠は握り込んでいたドラゴンフルボトルを片手で弄りながら、汗を拭き始める。

 

「それは?」

「ハザードレベルを上げるにはさ、フルボトルを使うとかあるんだけど、全然ダメなんだ。前は変身に必要なハザードレベルが足らなくても、フルボトル持つだけで力が湧いてきたんだけど今は全然。変身できるようになったのなんて、結構最近からなんだけどな」

 

何か胸に穴が開いてる気分だよ。そう言いながら、龍誠は改めてドラゴンフルボトルを手に握り、サンドバッグを叩き出す。

 

「龍誠様」

「ん?」

 

レイヴェルは不安げな声を発しながら、龍誠に声をかけると、

 

「兵藤 一誠に勝てるのでしょうか」

「どう言うことだ?」

 

突然の問い掛けに、龍誠は疑問符を浮かべると、

 

「私にはあの男に勝てる策が思い付きません。いえ、正直に言えばもう戦いたくない。会わずにいたい。そう思ってしまいます」

 

レイヴェルはそう言って、自分を抱き締めるような姿勢を取ると、

 

「俺だってそうだよ」

「え?」

「あんな化けもんと戦いたいやつなんて居ないって。でもアイツを止めないともっと酷いことになる。それに戦兎の体も返してもらわねぇとな」

 

龍誠は言いつつ、拳をサンドバッグに叩きつけ、サンドバッグを吊るす鎖が軋みをあげながら、サンドバッグを揺らす。

 

「ぜってぇ負けねぇ。だから安心しろ」

「は、はい……」

 

龍誠の言葉に、レイヴェルは少し胸がときめいたのを感じながら、頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ」

「辛そうね」

 

リアスは自室にて紅茶を飲んでいたのだが、そこにソーナが戻ってくる。今日は、これまで色々あったためソーナが泊まっていくことになっていた。

 

「そう……かもね」

 

リアスはソーナに頷きを返しつついると、ソーナはリアスの向かいの席に座った。

 

「取り敢えず兵藤 一誠の件。お姉様達も方々に手を尽くして探しているようですが、姿を見つけるには至ってないようです」

「そう」

 

リアスはソーナに返しつつ、顔を伏せる。

 

「リアス。兵藤一誠は強敵ですが、貴女まで落ち込んでいては……」

「そうじゃないのよ」

 

ソーナの言葉に、リアスは首を横に振りつつ、顔をあげると、

 

「私は戦兎があそこまでするとは思わなかった。何処かでね、戦兎は何とかするだろうって思ってた。今までだってどうにかしてくれてたからね。でもどうにもならなくて、戦兎は命を懸けて倒そうとした。それに私は気づけなかった。止めるべきだったのに、私は気付けなかった。それが悔しいのよ」

「リアス……」

 

ソーナはそんなリアスに、言葉を掛ける事が出来ず、ただ見ることしか出来なかった。


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