龍誠「兵藤一誠の新たな姿。更に俺のシルバークローズマグマと進化祭りだったな!」
戦兎「全く。兵藤一誠を倒しきれないとは……やっぱりサブキャラには荷が重かったか」
龍誠「あぁ!?それ言ったらお前なんて体乗っ取られてたじゃねぇかよ!」
戦兎「それあお前を助けるためでしょうが!」
ヴァーリ「えーそんな感じでやっていく102話スタート」
「フェーズ4……またの名を、仮面ライダーエボル、ロンギヌスフォームの誕生だぁ!」
白と黒を基調とした禍々しいフォルムへと変わった一誠は、楽しそうに笑い、地面に降りる。
「よく分からねぇがもう一回いくぞ!」
『あぁ!』
《Ready Go!》
全員が飛び上がり、同時にキックを放つ。それに合わせて他の皆も攻撃をするが、
「ふん!」
一誠は腕を横に凪ぐと、その衝撃だけで全ての攻撃を掻き消すどころか、その余った衝撃で龍誠達全員を撃墜。そのまま変身解除させられながら、地面に落下した。
「がはっ!」
地面を転がった龍誠が血を吐きながら周りを見ると、他の皆や連合達もたった一撃で壊滅的な打撃を受けていた。
「くくく、これは凄い!これこそ俺が求めていたものだ!」
一誠は楽しげに笑い、
「おい!塔城!」
「げほっ」
変身していなかった戦兎をかばうように、小猫が盾になったためボロボロになった彼女の体を揺する。
「しかしあれだな……これじゃ流石にあっさり過ぎたな」
「く……」
戦兎は小猫を横にして立ち上がろうとすると、
「せ、先輩」
「どうした?塔城?」
小猫に裾を引かれ視線をやると、小猫はビルドドライバーと、ハザードトリガーにフルフルラビットタンクボトルを渡してくる。
「む、無茶だけは……」
「あぁ」
戦兎はビルドドライバーを装着しながら走り出す。
《マックスハザードオン!ラビット&ラビット!》
「変身!」
《紅のスピーディージャンパー!ラビットラビット!ヤベーイ!ハエーイ!》
変身した戦兎は一誠に飛び掛かるが、一誠はそれを防御もせずに受けるが、微動だにしない。
「なっ!?」
「甘いなぁ戦兎。残念だがもうお前じゃ俺には勝てないんだよぉ!」
ガツッ!戦兎の顔面を殴ると、仮面が割れて中身を露出させながら後方に吹っ飛んでいき、
「ぐっ!」
「おっと、加減したがまだだめか……もっと加減をできるようにしないとな」
一誠はそう言ってゲラゲラ笑い、地面に倒れたまま、腕に力を込めて立ち上がろうとする戦兎。
すると次の瞬間、
「楽しそうだな。兵藤 一誠」
『……え?』
突如響いた声に、誰もがその方を見て、表情を凍りつかせた。そこにいたのは赤と青の……そう、仮面ライダービルドのラビットタンクフォームだ。
「何でビルドがもう一人……」
龍誠は呟くとヴァーリが、
「そう言えば京都で八坂の姫を拐った奴がビルドそっくりだった」
「てことはあいつが?でも誰なんだ……あれ?」
匙も頷き、戦兎ではないもう一人のビルドを見る。すると一誠は笑い、
「そうかそうか、お前達は分からないか」
「なに?どう言うことだ?」
サイラオーグが一誠の言葉に眉を寄せると、
「なぁ戦兎?お前は気づいてるんじゃないのか?勘づいているだろう?誰がヴァーリ達のスクラッシュドライバーを作ったのか。渡したのは俺だ。だが俺は作れない。そもそも未完成だったスクラッシュドライバーを完成させるのは、俺じゃ出来ない。ならだれか?スクラッシュドライバーを知り、そして完成させる。更に俺のライダーシステムを作れる存在。そんなのこの世界には一人しかいないよなぁ!?」
「……」
戦兎は歯を噛みしめる。そんな筈はない。そんなわけがない。だって……あの人だけは。そう戦兎は首を振り、
「そんなわけないよな?
『っ!』
皆が息を飲む。特にグレモリー眷属の皆は知っていた。戦兎の父がどんな人なのかを。戦兎にとって、全ての始まりとなった人の事を。
だがビルドは一誠の隣を通りすぎ、戦兎の前に立つと、ベルトからフルボトルを外す。そして変身が解除され、その中から出てきたのは、
「久し振りだな。戦兎」
「……何でだよ」
その男……戦兎に良く似た風貌の、桐生 忍は戦兎を見下ろし、戦兎は何度も何でだよと呟く。
「何でだよ……何で!父さんが兵藤 一誠一緒にいるんだよ!」
「決まってるだろう。兵藤 一誠とは共闘している。それだけだ」
「だからだよ!何でこいつと一緒なんだ!科学は誰かのために……ラブ&ピースのために使うんじゃないのかよ!」
「まだそんなことを言ってるのか……いい加減大人になれ戦兎。そんな子供みたいな正義感はな、なんの役にもたたない。いや、それどころか周りを不幸にする」
「~っ!」
戦兎は拳を震わせ、一気立ち上がると走り出す。
「ふざけんなぁああああああああああ!」
その間に忍はベルトにラビットとタンクのフルボトルを挿し、レバーを回す。戦兎のものとは違い、音声は鳴らないようだ。
「お前の正義は所詮私の言葉の受け売りでしかない。お前自身の正義ではない」
「それがどうした!俺が正しいと思ったんだ!綺麗だと思ったんだ!それの何が悪い!」
フルボトルバスターを振り回し、戦兎は忍を追い詰めるが、忍はそれをドリルクラッシャーを出して受け流す。
「ふん、所詮は受け売りでしかない。そんなだからお前はこの世界を守ると言いながら危険に晒してるんだ」
「晒してなんかない!」
本当か?忍はドリルクラッシャーで戦兎のフルボトルバスターと押し合いに持ち込むと、
「ならなぜ兵藤 一誠は力を得た?」
「なに?」
「兵藤 一誠がロンギヌスフォームに至れたのは、万丈 龍誠やお前の力も必要だった。お前が正義を口にし、万丈 龍誠に仮面ライダーの力を与え、お前自身も強くなっていった。そしてハザードレベルを上げ、そして兵藤 一誠の成長の切っ掛けとなった。結果論だと言うか?そうかもしれないな。だがお前の振りかざした正義が、巡り巡ってこの世界の害となった。それは事実だろう?」
「ち、違う。俺は……」
思わず戦兎が動揺した瞬間、忍は戦兎を押し返すとドリルクラッシャーで、戦兎を何度も斬る。
「お前の正義は何も救えやしない。お前というバグは、この世界に置ける
「あ、あぁ……」
戦兎は首を振りながら、頭をガシガシ掻く。
「その癖は変わらないな。いや、何も変わっていないのか。私も反省している。私の戯れ言をまさか本気にして、ライダーシステムという兵器をここまで成長させ、世界を滅ぼす道に進ませるとはな」
忍は完全に棒立ちになった戦兎を見ながら、レバーを回す。
「やはりお前は、生まれるべきでは……いや、存在するべきではなかったと言うことだ」
《Ready Go!》
「っ!」
《ボルテックフィニッシュ!》
忍のライダーキックは、戦兎に何の抵抗もなく決まり、戦兎は後方に吹き飛ばされながら変身が強制解除される。
「くそ……」
サイラオーグは悪態を吐きながらも立ち上がった。しかし、
「ははは、実の息子相手に良くやるよあの人も。まぁ良いさ。折角だし、最後に強烈なやつを見せてやる」
一誠はそう言ってレバーを回すと、ロンギヌストリガーが発光。そして、
《Ready Go!》
「終わりにしよう」
膨大なエネルギーを込められた、一誠の本気の蹴りは、サイラオーグに向かって飛ぶ。
「サイラオーグ!」
リアスが思わず叫ぶが、誰も動けない。そう思われたとき、
『させるかぁ!』
この場において唯一、後方でしかも偶然他のライダー達の影になっている場所に立っていたフウとライは、変身解除まではならず(流石にダメージがあって動くまでには時間を要したが)、身を呈してサイラオーグを庇った。
「フウ!ライ!」
『ぐ、ぐぐ……』
二人は押し返そうとするが、びくともせず少しずつ押し込まれてくる。
「何とか、サイラオーグ様だけでも」
「……いや」
フウの呟きに、ライが首を振った次の瞬間。突如フウは弾かれたような衝撃を感じ、気づくとエンジンブロスに戻ってサイラオーグの隣まで吹っ飛ばされており、前にはリモコンブロスに戻ったライが一人で抑えていた。
「ライ!」
「兄貴!約束したよな……もしやべぇやつと戦いになって、サイラオーグ様の命が危険だってなったら、どっちかだけでも生き延びて、もう一人の方まで支えるって。それが今だよ」
ライはそう言って体の歯車を回転させ、更に押し止める。
「俺バカだからさ。生き残るなら絶対兄貴の方がいい」
「何言ってるんだ!ライ!」
フウは思わず走り出しそうになるが、
「来るな!約束したじゃねぇかよ!」
「っ!」
ライの怒声に、フウは足を止め、
「サイラオーグ様……アンタには感謝してもしきれない。身寄りのない、ただの落ちぶれ悪魔だった俺や兄貴を、あんたは眷属にしてくれた」
「止めろ……止めろライ!」
サイラオーグの制止に、ライは少しだけ振り返り、
「お世話になりました。サイラオーグ様」
『っ!』
《ロンギヌスフィニッシュ!》
それと同時に爆発が起き、皆は目をつぶる。するとサイラオーグの足元にギアリモコンが転がって来たが、それ以外ライがその場にいたと言う痕跡は消し飛んでいた。
《チャオ!》
「ちっ……邪魔しやがって。どうせ僅かな延命行為。ただの無駄死にだよ」
黒煙の中から出てきたのは一誠。それを見た瞬間サイラオーグは何かが切れて、
「きさまぁあああああああ!」
サイラオーグは変身もせずに飛び掛かろうとするが、それをフウが止める。
「離せ!フウ!」
「いけません!」
「命令だ!離せ!こうなれば一子報いてやらねば!」
「聞けません!それだけは聞くわけにいきません!」
フウは泣いていた。だがそれでもサイラオーグの体を離さなかった。
「今ここであなたが死ねば、ライは……弟はそれこそ無駄死にになります!」
「っ!」
「お願いですから……英断を。ライを無駄死ににしないでください!」
フウの叫びは、サイラオーグの体を強ばらせ、冷静さを取り戻させる。そして、
「……戦線から離脱する。フウ!」
「っ!はい!」
フウはそう言って紫の銃から煙を出すと、辺り一帯を包み込み始めた。
「逃がすと思うか?」
一誠はそう言って手を翳そうとするが、
「させると……」
「思ったか!」
「はぁ!」
アザゼル、サーゼクス、ミカエルの三人同時攻撃が一誠を襲い、攻撃の出だしを遅らせることに成功。
「ちっ!邪魔ばかりしやがって」
一誠は腕を払って土煙を消し飛ばすと、既にサイラオーグ達は居らず、連合も全員転移し終えていた。
「ふん……まぁいいか。どうせいずれまた会う流れだ」
そう言いながら、一誠は変身を解除して忍の元に行く。
「ほんじゃいこうか。次の巻の舞台。ルーマニアにさ」
「あぁ、そうだな」
そう言うと空間を歪ませ、一誠と忍は、その場から消えていくのだった。