戦兎「新たな力。ジーニアスフォームにより兵藤 一誠を返り討ちにしたが……」
龍誠「つうかジーニアス強すぎじゃね?俺のクローズマグマにもなんかこうないの!?」
戦兎「そりゃ順当にクローズを進化させたクローズマグマと、兵藤 一誠を倒すためだけに作ったジーニアスじゃ、色々違ってくるでしょうが。それに単純スペックならこっちでは、お前のクローズマグマの方が若干上だぞ?」
龍誠「でもなぁ~」
戦兎「ま、頑張ってハザードレベルあげていけよってな感じの109話スタート!」
「よぅ」
「あ、先輩……」
吸血鬼領での激戦の次の日の夜。激戦の後は色々な事後処理もせねばならず、その辺りも含めてやって来たため、このリアス達の屋敷に帰ってきたのは、何だかんだでついさっき。
そして皆は各々全身の力を抜いて、平穏を享受していた。
そんな中、小猫は外の空気が吸いたくて、バルコニーに出ていたのだが、戦兎が出てきたのは正直気まずい。
「あの、失礼します」
小猫は足早にそこを去ろうとするが、それを戦兎は手を掴んで止める。
「ちょ、ちょっと待てって」
「な、何です?」
突然手を掴まれ、少し頬が熱くなる。フラれても、それでもやはり自分はこの人が好きなのだと、否が応にも自覚してしまう。
「少し話をしないか?」
「話?」
そんな戦兎からの誘いに、小猫は首を傾げながら、取り合えず話を聞くことにする。
「あぁー。そのだな。あれだ。あれあれ」
「?」
と妙に歯切れが悪い。戦兎は基本的に物事をはっきりと言う性格なので、自分から何か話題を切り出す際には、余りこのような切り出し方はしない。まぁ相手から、不意に聞かれたくないことを、突然振られたりすると結構狼狽したりするが。
そんな戦兎だが、妙にソワソワとしていた。
「もしかして私の取っといたケーキ食べました?チョコレートのやつ」
「え?あれお前のだったの?」
二人の間に木枯らしが吹く。
「食べたんですね……?」
「い、いやぁ……帰ってきたら腹減ってたもんでごめんなさい!」
ゴゴゴゴと小猫の纏うオーラが強まり、戦兎は土下座である。最近土下座をすることに抵抗がなくなったような……等と考えつつも、
「あいや、一旦それは横に置いといてだな」
「あれすごい楽しみにしてたんですけど……」
こ、今度買うから!と戦兎は小猫を宥め、咳払いしてから会話を再開。
「塔城。ちょっと話があるんだ」
「はぁ、何でしょうか?」
一体何が話したいのかと思いつつ、小猫は改めて聞く体勢になる。
「あぁ~。この前のデートの最後の話なんだけどさ」
「っ!」
ビクっと体を震わせ、小猫は視線を逸らしつつも、
「どうかしましたか?」
「いやあのさ、あれ嘘なんだよ」
は?と小猫は怪訝な目を向けると、戦兎がちょっと待てと言う。
「俺さ、兵藤 一誠を倒すため自爆覚悟だったからさ、最後くらいお前とデートして、嫌われ役になろうと思ってた」
バルコニーの柵を背もたれにし、戦兎は話を続ける。
「でも結局何だかんだで生き延びて、一応俺周りの決着もついたら、改めてお前との関係も決着着けねぇとなって」
「決着?」
話の全貌が見えず、小猫は益々困惑する中、戦兎は話を更に続ける。
「お前の嘘をついたのは、俺の未練だったからだ。俺を何だかんだ慕ってくれて、俺を好きでいてくれる。そんな大切な後輩だったからさ。だから自爆するときも、お前のことが頭をよぎった」
だから……と戦兎はそう言って、小猫の目を見ると、
「塔城 小猫さん。俺とお付き合いしてもらえませんか?」
「……」
一瞬。戦兎が何を言っているのか分からず、呆然と仕掛けたものの、
「え?私の事そういう風には見れないって……」
「それこそ嘘に決まってるだろ」
戦兎の言葉を聞いて、小猫の両目からポロポロと涙が零れ落ち、戦兎は目を見開く。
「お、おい!泣くなよ」
「だって、私をそういう風には見れないって言われて、悲しくて、でも嘘で、意味がわからなくて……」
すると戦兎は、ソッと小猫の目元を指先で拭う。
「ごめん。あのときはそれが良いと思ったんだ。でもお前を傷つけた。ごめん」
「……許しません」
小猫は戦兎の手を取ると、キッと睨み付ける。
「一緒に歩くときは手を繋いで、毎日好きだっていってくれて、キスもしてくれて……あとちゃんと名前で読んでくれるなら、まぁ許してあげないこともないですけど」
小猫の言葉に、戦兎は笑みを浮かべて頷くと、
「分かったよ。小猫」
「はい。戦兎さん」
ギュッと小猫は戦兎に抱きついてくる。それを戦兎も抱き締め返し、
「えぇと……取り敢えずじゃあ付き合うってことで良いのか?」
「言わせないでくださいよ。察してください」
と小猫は言うので、戦兎は苦笑いしてしまう。そう言うことで良いらしい。すると、
「じゃ、じゃあ約束を守ってください」
「約束?」
戦兎は意味がわからず首をかしげるが、小猫はゴニョゴニョ言いつつも、
「ゆ、許すときの条件です……」
耳まで真っ赤にして、小猫は言う。そんな姿が、堪らなく可愛いのだが、今はからかうのはやめておこう。それくらいのムードは読める。
「好きだよ。小猫」
「ん……」
戦兎は膝を折り(身長差的に立ったままだと目線が同じにならない)、小猫の肩にソッと触れてから、言葉を口にし、そのまま互いの唇を重ね合わせる。
触れさせあうだけの、簡単なキスだった。だがお互いの顔が、真っ赤になって熱を持ったのに気づく。
「お前顔真っ赤だな」
「戦兎さんこそ……それに私ははじめてなんですから」
「俺だってそうだよ」
「御姉様としてました」
「あれは医療行為だろ」
小猫は頬を膨らませ、戦兎は笑いながら小猫の頭を撫でながら、
「どうしたら機嫌直してくれる?」
「……キスをもう一回」
それくらいでよければ、と戦兎と小猫が顔を近づけあった次の瞬間。
「あ、ちょ!」
『ん?』
誰かの悲鳴と共に、ドサドサっと音を立てて何人かが折り重なって倒れた。どうやらこちらを覗き見してたらしい。
「お前ら……」
戦兎は頭を抱え、相手を見る。それは仲間達だ。
「いやぁ、あはは」
龍誠は、参ったねこりゃと笑って、
「あ、俺達行くから続きどうぞ」
「出来るか!」
と戦兎は叫ぶが、
「何耳まで赤くしてんのよ」
といってきたのは黒歌。だが彼女は次の瞬間、
「私とあんだけキスしまくったくせに」
『ぶ!』
突然の爆弾発言。それに思わず戦兎は、
「あ、あれは医療行為だっ……て?」
「そうですか」
ゴゴゴゴと、先程より空気が重くなり、小猫の目が据わっている。
「しまくった……ですか」
「ち、違うんだ小猫。誤解なんだ」
「そうですかへぇ……」
おい黒歌!どうにかしろ!と戦兎が見た頃には、既に彼女の姿はなく、それどころか他の皆も距離を取って、
『それじゃあ後はごゆっくり』
「あ!」
パタン。とバルコニーの窓を閉められ、戦兎は、小猫の方をゆっくり見る。
「お話。しましょうか」
「あ、はい」
今度は戦兎が涙を流しながら、小猫と話し合う。因みにこの件で、二人の上下関係が決まるのだが、まあそれはどうでも良いことだ。
一方その頃。
「ふざけんなよぉおおおお!」
一誠は大荒れだった。それを見ていた忍とユーグリット。そこに、
「荒れてんねぇ。イッセーキュン」
「リゼヴィムか……」
一誠は やって来た初老の男に、顔を向ける。
「今お前のからかいに冷静でいられないぞ……」
「そう言うなって、面白い異世界を見つけたんだ」
リゼヴィムは手に持った装置を押すと、天井に映像写し出す。
「なんだあの耳に変な装置を着けてる奴等は……」
「なんでもこの世界は人間とロボットが共存する世界らしい」
そしてこのロボットは名前があるらしいぜ?とリゼヴィムは言うと、
「確か名前は……そう、ヒューマギアだ」
はい。と言うわけで今回で16章は終了です。如何がでしたか?
この章ではジーニアス登場もありましたが、戦兎の集大成であり、戦兎が今までしてきたことの結果が分かる章でもありました。それはビルドで居続け、そして皆と共に生きてきた戦兎と、それを見てきた皆の戦兎への思いが明かされる章であり、例えこの世界に本来いなくても仲間達に必要とされ、そして認められた戦兎と、兵藤 一誠であり、この世界に居て良いはずの彼が逆に皆から否定される。と言うある意味で対比となっていたりもしました。
そして遂に小猫ともくっつきましたね。えぇ、二人には幸せになってほしいものです。黒歌もね。これから絡ませていきましょう。
ですが次回はオリジナルストーリー。最後に出てきた名前で何なのか分かるかもですが、まあそれはね。次回でね。と言うわけで次章【夢へ飛ぶライジングホッパー編】でお会いしましょう!