ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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人とヒューマギアが笑い会える世界を作るために戦った正義のヒーロー。仮面ライダーゼロワンこと飛電或人の最後の戦いから数ヶ月。彼の元に新たな戦いが舞い込む。

一方。それは仮面ライダービルドこと、桐生戦兎の元にも迫っていた!

これは異なる世界の仮面ライダーを巻き込んだ、最大級の戦いの物語!

「愛と平和のために!」
「人間とヒューマギアが笑える世界を作るために!」
『俺たちはこの力を使うんだ!』

戦兎「ってな感じの110話スタート」
龍誠「あ、これ前書きか」


第十六章 夢へ飛ぶライジングホッパー編
01


「あー……疲れたぁ」

 

とあるビルの一角にある社長室にて、机に突っ伏す青年が一人。

 

彼の名は飛電 或人。この飛電インテリジェンスの若き社長にして、仮面ライダーである。

 

そんな彼だが、滅亡迅雷と呼ばれるテロリストとの戦い。ZAIAとの会社をかけた戦い。そしてアークとの決戦等々、数々の戦いを乗り越えた、今は歴戦の勇士だ。

 

そんな彼だが、今や平穏な世界では仮面ライダーとしてよりも、飛電インテリジェンスの社長としての業務が中心。

 

飛電インテリジェンスは、人工知能を搭載した人形ロボ、ヒューマギアの製造や販売を行う会社で、業務はそれに関する書類の確認や、判子を押す作業が殆ど。とは言え、現在ヒューマギアの需要は上がるばかり。となればその分社長としてやることも増えていく。

 

それが意味するのは、社長である或人の疲労が増えると言うことだ。

 

そこに、

 

「社長。お客様です」

「よう社長」

 

先に入って或人に話し掛けてきたのは、社長秘書ヒューマギア・イズである。

 

自分が仮面ライダーとして戦い始めた時から、彼女には……いや、前の彼女にはお世話になり続けた。それは仮面ライダーとしてだけじゃない。社長としてもだ。

 

様々な困難を共に乗り越え、歩んできた大切な存在。それがイズだ。

 

そんな彼女だが、今は新しく生まれ変わり、改めてラーニングし直している最中である。

 

そしてその後ろからビニール袋を片手に、イズに連れられてきた男性は、不破 諌。仮面ライダーバルカンとして、或人と共に戦ってきた戦友。現在は変身できなくなっているが、今もたまにこうして顔を出しては、お土産を持ってきてくれる。

 

「今日も大変そうだな」

「そうなんだよ不破さん。最近は平和だけど、その分社長業が忙しくてさ」

 

そうぼやく或人に、不破は苦笑いを浮かべながら、袋を社長机に置く。

 

「この間助けた人から貰ってな。量が多いからお裾分けだ」

 

そう言って渡された袋を見ると、色々なお菓子が詰め込まれている。

 

「お茶を淹れてきますね」

「うん。お願い」

 

それをみたイズが一度社長室を出ると、

 

「まだラーニング中か」

「まあね。でものんびりやっていくよ」

 

不破にそう言って笑い掛けながら、或人が袋の中からお菓子を一つ取り出した時、

 

『っ!』

 

突然の爆発と同時に社長室の壁が壊れ、そこに何かが飛び込んできた。

 

「なんだ!?」

 

或人と不破がその方を見ると、そこに立っていたのは、腕に鋭利な刃が付き、牙と角が生えたまるで爬虫類と言うか、恐竜?のような姿の、化物が立っていた。

 

「ゼロワン……だな」

「なんだお前は」

 

或人と不破は警戒しながら相手を見る。自分達が戦ってきた、マギアと呼ばれる相手とは明らかに違う。

 

かなり生物的なフォルムの相手だ。

 

「我が名はザウス。お前の力を貰う!」

『っ!』

 

突如ザウスと名乗った相手は、そのまま或人達に襲い掛かり、

 

「くそ!」

 

不破が避けた後に殴りかかるが、不破の拳をものともせず、拳を受けながらも胸ぐらを掴み、そのまま壁に投げて叩きつける。

 

「不破さん!」

 

或人は不破に声を掛けつつも、ザウスを見る。

 

「とにかくやるしかないか」

 

そう或人は言うと、上着の内ポケットから黄色と黒を基調にし、赤いラインが入ったドライバーを出す。

 

《ゼロワンドライバー!》

 

そして次に黄色いバッタの絵が入った、プログライズキーと呼ばれるものを取り出すと、それのスイッチを押す。

 

《ジャンプ!》

 

音声が流れると、それをドライバーにかざす。

 

《オーソライズ!》

 

すると、壊されて空いた穴から、黄色い巨大なバッタが無理矢理入り、ザウスを体当たりで吹き飛ばすと、狭い社長室を所狭しと跳ね回り、

 

「変身!」

《プログライズ!》

 

バッタが分解されると、変身していく或人のボディに装着。そのまま変身が完了すると、

 

《飛び上がライズ!ライジングホッパー!A jump to the sky turns to a rider kick.》

 

黄色いボディが輝く仮面ライダー。仮面ライダーゼロワンへと変身した或人は、足に力を込めると一瞬でザウスとの距離を詰め、キックで外に弾き飛ばす。

 

「くっ!」

「行くぜ!」

 

外に降り立った二人は、戦闘を開始。

 

ザウスは腕についた刃で或人を狙うが、或人は身軽さとジャンプ力の高さでそれを避け、蹴りを叩き込む。そこに、

 

「或人社長!アタッシュカリバーです!」

「サンキューイズ!」

 

外に走ってきたイズが、アタッシュケースを投げ渡し、それを或人はキャッチ。すると、アタッシュケースを変形させ、剣のような形にし、ザウスを斬る。

 

「ぐっ!やはり戦い慣れてるか」

「当たり前だろ!」

《チャージライズ!》

 

或人はザウスを蹴り飛ばし、アタッシュカリバーを一度アタッシュケースに戻し、エネルギーをチャージ。

 

《フルチャージ!》

「はぁ!」

 

アタッシュカリバーを、アタッシュケースから剣に戻し、或人はアタッシュカリバーを振るう。

 

《カバンストラッシュ!》

「ぐぁあああ!」

 

斬撃をモロに喰らったザウスは、地面を転がり後ろに吹っ飛ぶ。そして或人はアタッシュカリバーを地面に突き刺し、

 

「これでトドメだ!」

《ライジングインパクト!》

 

ドライバーの横を押し、必殺技を発動。或人は飛び上がると、ザウスに向けてライダーキックを放つが、

 

「今だ!」

 

ザウスは或人に対し、手にもったエンプティフルボトルを二つ向けると、空中で突如或人の変身が解除される。

 

「いってぇ!」

 

地面に落ち、或人が悶える中、ザウスは手にある二つのフルボトルを見る。

 

そこのフルボトルには、一つにはバッタの模様が。もう一個には、ヒューマギアの耳に着いているモジュールのような模様が彫られていた。

 

「これで完成だ」

「くそ!なんで変身が!」

 

と或人はバッタのプログライズキーを押し、

 

《ジャンプ!》

「あ、あれ?」

 

そのプログライズキーをまたゼロワンドライバーにかざすが、ウンともスンとも言わない。

 

「な、なんで!?」

 

訳がわからず、或人は別のプログライズキーも試すが、どれもキー起動までは行けるが、それ移行が出来ない。

 

「ほう?まだキーの起動ができる程度の力は残ったか。流石に戦いを生き抜いただけはある。一応全て吸いきっておくか」

 

とザウスはフルボトルを手に或人に、近づこうとするが、

 

「っ!」

 

突如空から無数の矢が降り注ぎ、それを回避するザウスの炎の塊が突っ込んできた。

 

「くっ!」

 

それを何とか回避し、下がったところに、今度は銃弾が飛んで来る。

 

「滅……迅!それに刃さんまで!」

「大丈夫か?社長」

 

AIMSというバッチを着けた女性は、刃 唯阿。彼女もまた、変身能力を失っているが、仮面ライダーバルキリーとして戦った仲間である。現在は政府直轄のAIMSという組織の隊長だ。

 

その後ろには隊員と思わしき人たちも、銃を構えながらいる。

 

そして前にいる紫色の仮面ライダー。滅と言うヒューマギアが変身する仮面ライダー滅。そして赤い方が仮面ライダー迅。迅と言うヒューマギアが変身するどちらも仲間……というには少々色々あったが、大切仲間である。

 

「大丈夫?ゼロワン」

「あぁ。でもなんで……」

 

迅に心配され、或人は困惑しながら立ち上がると、

 

「突如この辺り一体に巨大なエネルギーを検知した。そしてそれと同時に飛電インテリジェンスの爆発。なにもないと思う方がおかしいだろう」

 

滅はそう言ってから、ザウスに弓型の武器・アタッシュアローを手に襲い掛かる。

 

「はぁ!」

「ちっ!」

 

ザウスはそれを腕の刃で受け止め、弾き返すと、蹴りを放つ。しかしそれを後方に跳んで避けながら、アタッシュアローを構えてチャージ。そして解放すると、矢を発射。

 

「かぁ!」

 

だがそれをザウスは、口から噴射した炎で掻き消しながら、スイッチを取り出す。そこに、

 

「む!?」

《ジャックライズ!》

 

背後から何かを当てられ、何かを吸いとられるような感覚がザウスを襲う。しかし素早く振り替えって腕を凪ぎ払うことでそれを外すが、

 

「ちっ!」

「天津社長!」

「今は社長じゃない。課長だ」

 

後ろに下がった金と黒。そして所々に銀の装飾が入った仮面ライダー。

 

或人と幾度となくぶつかり合い、現在はZAIAという会社の日本支部にある、サウザー課の課長として働く天津垓の変身する、仮面ライダーサウザーはサウザンドジャッカーを構えながら、ザウスを見る。

 

既に多勢に無勢と言ったところ。そう判断したザウスはスイッチを構え直し、

 

「これ以上の戦闘は無意味だ。撤退させて貰う」

 

そう言ってスイッチを押すと、背後の空間が歪む。

 

「逃がすな!」

 

刃の指示で、AIMSの隊員が発砲。しかしそのままザウスは消え、その場には銃痕だけが残る。すると変身を解除した滅が、

 

「飛電或人。なぜ変身して戦わなかった?」

「ち、違うって!俺だって変身してたんだけど、何か途中で解除されちゃったんだよ」

 

ゼロワンドライバーの不調かな?と或人は別のベルトである、ゼロツードライバーを出し、装着して変身しようとするが、変身ができず困惑。

 

「何でだ?」

「見たところプログライズキーに問題はない。となるとドライバーの問題か?」

 

と天津も変身を解除しながら来ると、

 

「一先ずは一度社長室で調べて見ましょう」

 

と、イズが言ってきたため、他の皆も頷き、社長室へ戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「問題はないようですね」

 

社長室へ戻ると、イズは部屋に取り付けられている機械にゼロワンドライバーと、ゼロツードライバーをセットし、検査をしたのだが、特に問題はないとのことだ。

 

「機械に問題はありません。例えるなら……」

「まるで飛電或人自身の変身能力だけがなくなったようだ……か?」

 

 

イズの続いて、滅が言うと、イズが肯定の頷きを返す。

 

「だがそんなことが可能なのか?」

「わからない。だが相手は明らかに私達の常識にはない存在だった」

 

頭に包帯を巻いた不破の言葉に、刃は答えつつ、ザウスを思い返す。あれは明らかに人間ではない。だが今まで自分達が戦ってきた、マギアとか言った部類とはまた違う。するとそれを肯定するように、

 

「唯阿の言うとおりだな」

 

と天津はそう言いながら、手元のタブレットを操作して、社長室のプロジェクターにデータを送ると、ザウスの成分データを映す。

 

「ザウスと名乗るコイツの肉体の成分データだ。だが残念だが、ゼアにも確認してもらったが、世界中どこを探しても、これと同じ成分を持つ生物はいない.強いて言えば、爬虫類に近いがそれでも違う。完全にこの世界には今までにない新種の個体だ」

「いったい何者なんだろう……」

 

天津の説明に、迅は首をかしげると、

 

「ゼアの説明によれば、彼が転移した際に、僅かに空間が歪み、近隣の監視カメラ等の映像を解析し、そこから見える景色等からも計算しました所、この世界のどこにもない風景だったそうです」

「ない?そんなわけないだろう。どっかにワープしたとして、何処かにはいるはずだ」

 

イズがゼアの計算の答えを発表すると、不破が眉を寄せた。そんな不破をイズは見ながら、

 

「はい。ですがゼアの計算によれば、もしかしたらこの者は本当にこの世界の生き物ではないかもしれないとの結果が出ています」

「どういうこと?イズ」

 

そういうと今度はイズが、プロジェクターにデータを送信。

 

「こちらは天津課長がザウスからジャックライズした際に持っていたスイッチから偶然採取できたデータです。こちらは一種の次元に穴を開ける装置のようです」

 

次元に穴?と或人と不破が首を傾げると、

 

「一種の転移装置。しかもただ転移するんじゃない。次元に穴ということは、次元そのものを行き来するための装置か!?」

「はい。ゼアもそう結論を出しています」

 

唯阿にイズは同意しつついると、

 

「でもザウスはその次元を越えてまでなにしに来たんだろう」

「恐らくですが、或人社長が変身できなくなったことに関係があるかと」

 

或人の疑問にもイズが答えた。するとイズは或人とザウスが戦う映像を出し、或人がライジングインパクトで決める瞬間の部分で止める。

 

「ザウスがこの時、何やら謎のアイテムを社長に向け、その直後に変身ができなくなりました」

『成程この……』

 

或人・不破・天津の三人が、ザウスの手にあるアイテムを見て、

 

「何か小さいペットボトル」

「何かの筒」

「フィルムケース」

『みたいな……』

 

三人は顔を見合わせ、或人はソッとイズに問う。

 

「ねぇイズ。フィルムケースってなに?」

「昔のカメラに取り付けるフィルムを入れておくためのケースです。現在は一部の写真愛好家を除き、使われることは殆どありません」

「へぇ~。携帯のカメラ機能しか使ったことないから知らなかったよ」

 

そんな二人のやり取りに、天津は若干遠い目をしつつ、

 

「と、とにかく。その装置自体は複製可能だろう?」

「はい。ゼアに頼めば、すぐにでも複製は可能です」

 

それを聞いた不破は、拳をパシッと叩き、

 

「よし!あいつを今度は捕まえてやる」

「いや、不破はここに残った方がいい」

 

やる気十分。と言った不破だが、それを天津がストップを掛けた。

 

「君は今仮面ライダーに変身が出来ない。着いていっても今回のようにやられるだけだろう」

「なら俺と迅が行こう」

 

名乗りをあげたのは滅。迅も反対するつもりはないようだ。

 

「後はゼロワンの力の事もあるから、飛電或人は行っても良い」

「だが社長も今変身できないぞ?」

 

それも考えてある。と天津は唯阿に言いながら言うと、

 

「失礼します」

 

と社長室へ入ってきたのは、中性的な見た目のヒューマギア。名は亡と言い、彼?彼女?もまた滅たちと同じく滅亡迅雷netのメンバーだったが、現在はAIMSの技術顧問として、その力を振るっている。

 

「亡?どうしたんだ?」

「刃隊長。こちらを飛電或人に届けるために」

 

と言って差し出したのは、

 

「レイドライザー!?」

 

そう。亡が差し出したのは、レイドライザーと言う、プログライズキーを使って、人間をレイダーと言う物に変化させるアイテムだった。

 

「ゼロワンドライバーの不調を疑ったときにね。万が一を考えて持ってきて貰った」

「だが現在レイドライザーは破棄されているはずだ。それがなぜ……」

「刃隊長が持っていたものです」

 

と亡は言うと、唯阿の表情がひきつった。

 

「待て亡……私は確かにレイドライザーを持ったままにしていたが、何故それをお前が持ってきている?」

「時間がなかったため隊長の部屋をハッキングで開けて取ってきました」

 

もう二度とするな……と唯阿はため息を吐きながら、レイドライザーを或人に突き出す。

 

「でも使えるんですかね?」

「ゼロワンに変身できずとも、プログライズキーは動く。となれば仮面ライダーではなく、レイダーにならなれるかもしれない。まぁ実際はやってみないことにはな……」

 

そう或人天津がやり取りをしていると、社長室に隣接している装置が鳴り、イズが行くと中から先程ザウスが使っていた装置と同じものをもって出てくる。

 

「此方です」

「分かった」

 

と或人は装置を受け取り、

 

「よし、ザウスを追い掛けよう!」

 

滅と迅も頷き、或人が装置を押すと、空間が歪み、三人にちゃっかりイズも一緒に、空間の中に飛び込んでいった。

 

「んで?俺たちはこのまま留守番か?」

 

不破は少し釈然とはしないものの、実際自分が今足手まといなのは理解しているため、天津に聞くと、

 

「いや、亡にも来て貰ったのには理由がある」

 

そう言って天津は不破と唯阿を目を見て、

 

「君たちには、もう一度仮面ライダーになって貰う」




ザウス

或人達を襲撃した謎のモンスター。

戦闘能力は高いものの、歴戦の勇士となった或人が変身する、ゼロワンでは初期フォームのライジングホッパーと互角程度。だが、これは元々力を奪うためだったため、実際はかなり手加減していた模様。とは言え流石に他のライダー達に囲まれると厳しいのか、元々の世界に撤退した。

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