ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be the oneは……

戦兎「ジオウの兵藤 一誠を追い、意識を失っていた俺だったが、そこはなぜか荒廃した駒王町だった!」
龍誠「しかしジオウの兵藤 一誠って何がしたいんだ?コメントでも色々言われてるだろ?」
戦兎「んまぁ、それはもう少し謎なんだよなぁ」
龍誠「しかもディオドラ再登場だしな」
戦兎「まぁ何気に生き残ってたからなコイツ。だからいつか再登場させたかったらしい」
龍誠「なるほどなぁ」
戦兎「と言うわけで、そんな感じでまだまだ謎が多い130話スタートだ!」


仲間達

「これで大丈夫ですね」

「サンキュー。アーシア」

 

アーシアに治療してもらい、戦兎お礼を言うが、アーシアの方は少し困惑した表情を見せ、しまったと頭を抱えた。そりゃそうだろう。

 

こっちのアーシアは、戦兎のことを知らない。

 

アーシアから見れば、実質初対面の男に親しげに来られれば、そりゃ困惑するだろう。

 

「えぇと、桐生 戦兎君で良かったかしら?」

「あ、はい。そうです」

 

リアスが向ける目はまるで他人のような……いや、実際他人だ。あっちの世界ではリアスの眷属でも、こっちに自分はいない。いない以上、少なくともこの世界では他人だ。

 

リアスだけじゃない。他の眷属も戦兎を見る目は他人を見る目で、正直かなりしんどい空間になっている。

 

「桐生 戦兎君。幾つか聞きたいことが……」

「あ、俺ちょっとトイレ行きたいんですけど!」

 

余りにもあからさまな逃亡だった。しかしリアスは目を少しパチクリさせると、

 

「トイレはここを出て右に行くと、左側に見えてくるわ」

「ありがとうございます」

 

戦兎は急いで立ち上がると扉に向かって歩き出す。すると丁度こっちの世界の小猫と黒歌が入ってきて、

 

「すいません」

「あ、ごめーん」

「いや、大丈夫です……」

 

小猫は明らかに警戒している。黒歌も一見フレンドリーだが、自分の世界で付き合いがあるから分かる。信用していない相手に対する、一種の壁なのだと。

 

「っ!」

 

そして耐えきれなくなった戦兎は、二人の間を抜けて走り出すと、それを見届けたリアスは、

 

「ねぇ一誠」

「はい」

 

声をかけられた一誠は、顔を上げてリアスを見ると、

 

「彼は、結局何者なの?今回の襲撃者の関係者……とは聞いてるけど、結局詳しいことはまだ聞いてないわ。それに実奈まで置いてきて。どういうつもりなの?」

 

リアスは一誠を見つめ、問いただす。

 

「彼の目は、まるで私達を知ってるようだった。ただ知ってるんじゃない。もっと深いところで知ってる。そんな感じだったわ。ねぇ一誠。貴方まだ私達に言ってないことがあるんじゃない?」

 

そんな彼女の問いに、一誠が立ち上がると、

 

「そうですね。まだ言ってないことは山程あります。実奈にだって言ってないことはありますしね。しかし部長。ちょっとこればっかりは貴女に説明するわけにはいかない。勿論いずれ話します。でも今は駄目なんです。ただこれだけは信じてください。俺はハッピーエンドが好きです。多少無理矢理でも、皆が笑って終われる。そんな話がね。その道中で辛い目に合わせたりもしますが、それでも最後はハッピーエンドになれるように頑張ってるつもりです」

 

そう言う一誠とリアスの視線が交わり、その場の空気が重くなるものの、リアスが大きくため息を吐き、

 

「分かったわ。貴方の好きにしなさい。でも終わったら、ちゃんと説明があるんでしょうね?」

「それは約束します」

 

ならいいわ。とリアスが言い、それを聞いてから一誠は部屋を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

しんどい、と言いながら戦兎はバルコニーに出ると、大きく溜息を吐く。

 

知ってる顔の奴らが自分を知らない顔をする。そんな光景を見るたびに、この世界で自分は一人なのだと感じる。

 

どうしようもなく孤独を感じてしまう。よく考えてみれば、今まで本当に一人だったことはなかった。

 

いつも龍誠がいたし、リアスたちと出会ってからは皆もいて、一人ぼっちだったことはない。

 

仲間達と完全に離れ離れになるのは、初めてだ。

 

「俺いつの間に寂しがり屋になってんだよ」

 

壁を背に、ズリズリと座り込んだ戦兎に、

 

「随分暗いな」

「っ!」

 

突然掛けられた言葉に、戦兎は顔をあげると、そこには一誠が立っていた。

 

「何のようだ」

「なんのって。ここは俺の家でもあるんだぜ?どこにいたって変じゃないだろ?」

 

その通りだ。と戦兎が思っていると、一誠はバルコニーのテスリに手を掛けると、

 

「酷いもんだろ?」

「……」

 

外の惨状は酷いものだった。あちこちで火の手が上がり、この屋敷以外家の原型を留めている物のほうが少ない。

 

この屋敷は、現在は認識阻害の術を掛けているため、周りからは変に思われていないが、無事なのはこの屋敷位だ。

 

「一ヶ月前だ。突然奴らは現れた。街は壊され、それの迎撃に向かった奴らも何人もやられた。俺もその中で力奪われたしな」

「……」

 

兵藤 一誠の影響。あちこち世界に進出し、こうして被害を出している。それをこうして目の当たりにすると、胸が締め付けられた。

 

自分がもっと強ければ、そう思うと頭をガシガシと掻きたくなる。すると、

 

「ま、取り敢えずこの屋敷でゆっくりしとけよ。俺達がチャチャッと解決しとくからさ」

「なに?」

 

一誠の言葉に戦兎は眉を寄せると、

 

「どちらにせよアンチビルドはアンタじゃ倒せない。それどころか、変身できないんじゃ並の転生悪魔レベルだろ?アンタは決して悪魔としては強いわけじゃない。素の戦闘能力だけなら、アンタは寧ろ弱いほうだ」

「……」

 

一誠の言葉に、間違いはない。自分でも、自身の強さはライダーシステムに依存しているのは分かっていた。

 

「だから何もしなくていい。それにこの世界じゃ誰もあんたを認めない。ビルドはこの世界じゃ街や人々を壊し尽くす最悪の存在。どれだけアンタが頑張って誰かを助けても、周りも助けられた人もアンタを認めることはない。何せビルドがもしかしたら良い人だったなんて認められないからな。街を壊され、大切な人々を奪われた人々にとって、そんな現実はあってはならない事態だ。そしたら奪われた悲しみや怒りをどうすればいい?どうにもできるわけがないよな。だから見ない。振りじゃない。本当に見えてないんだ。そんな不都合な事実は視界に入らないし認知もしない。だからアンタはこの世界じゃ存在そのものが憎悪の対象でしかないんだ。だーれもアンタの味方なんてこの世界にはいないよ。この世界の部長達だってそうさ。心の何処かでは考える。アンタの世界のせいだってな。アンタ達がちゃんとしてないから兵藤 一誠は今もこうして好き勝手にし、その仲間達がこうして他の世界に迷惑を掛けてる」

 

ドクン、と戦兎の胸に痛みが走る。

 

「ビルドは正義のヒーローなんだっけ?笑わせんなよ。アンタは、目につく範囲をちょこっと守って気分良くなってるだけだよ。結局何も出来やしない。何も守れやしない。一人ぼっちで、そこに座り込んでるのがお似合いなのさ」

「……」

 

喉が渇き、心がひび割れて行く感覚。違うと叫びたいのに、声が動かない。ひび割れた心から、何かが漏れていく。

 

いつもなら、一緒にいてくれる仲間もいない。それが戦兎の心を余計に締め付けた。

 

するとそこに悲鳴が上がる。

 

戦兎と一誠がバルコニーからその方を見ると、フランが暴れてその近くに人がいた。

 

「っ!」

 

それを見た戦兎は、バルコニーから飛び出し、

 

「変身!」

《鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!》

 

落下の間に変身すると、戦兎は地面に降りると同時に走りだした。

 

「流石。精神的に追い込まれても、助けを求める人がいれば考えるより先に体が動き出す。まさにヒーローだ」

 

一誠はそんな戦兎の背中を見ながら、ビルドが描かれたストップウォッチを取り出し、

 

「だからかな。そんな貴方だから、俺はファンになっちゃったんだろうな」

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