戦兎「異なる世界に来てしまい、一人孤独を味わう俺だったが……」
龍誠「そこに上がる悲鳴。それを聞いたとき、戦兎は走り出す」
戦兎「って感じだったけど、いやはやどうなっていくのやら」
龍誠「なんかジオウの一誠も意味深な事言ってたしなぁ」
戦兎「そんなわけでもうちょっとだけ謎が続く131話スタートだ!」
「く、来るなぁ!」
必死に走る男性。それを追うフラン。そこに、
《Ready Go!》
「ハァアアアアアア!」
《ボルテックフィニッシュ!》
フランを横からキックを叩き込んで吹き飛ばす。
「はぁ、はぁ」
荒く息をしつつ、戦兎は着地するとフランと睨み合う。
「ひっ!何でビルドがここに!?」
戦兎を見て怯えながら逃げ出す男を背に、戦兎はドリルクラッシャーを構えて走り出すが、
「くっ!」
地面に火花が散り、思わず足を止めるとフランの背後から歩いてきたのは、ユーグリットとマグダランだった。
「おやおや?ビルド一人だけですか?」
「……」
既に変身を終えいる二人は、戦兎に狙いを定めると、一気に間合いを詰めてくる。
「ちぃ!」
戦兎は二人の攻撃を避けるが、そこにフランが突進してきて体当たり。
「がっ!」
吹き飛ばされ、地面を跳ねながら転がって行き、更にユーグリットとマグダランが追ってくるが、
「変身!」
《ライダータイム!仮面ライダー!ライダー!ジオウ・ジオウ・ジオウⅡ!》
戦兎と、ユーグリットとマグダランの間に割り込んだのは、ジオウⅡに変身した一誠だった。
《ライダー!ライダー斬り!》
そして斬撃を飛ばして二人を吹き飛ばすと、
『はぁあああああああ!』
フランに襲い掛かるのは、リアス達この世界のチームグレモリーだ。
「成程。流石に流石に数が多い」
ユーグリットはそう言って指をパチンと鳴らすと、空間が歪み多数の魔獣が出てきて襲いかかる。
『はぁ!』
すると皆が魔獣の迎撃に入る中、空中から何かが飛来し、魔獣達を吹き飛ばした。
「大丈夫か!?兵藤!」
「あれは匙か?」
匙だけではない。空にはよく見知った顔のヴァーリやサイラオーグまでいる。
だがヴァーリは白く光る羽を背中から出していたり、サイラオーグの隣にはフウではなく金色の獅子がいる。
するとその面々は戦兎を見て、
「おい兵藤 一誠。何故ビルドを守ってるんだ?」
「色々あってね!」
ユーグリットとマグダランの同時攻撃を避けつつ、一誠はヴァーリに向かって叫ぶが、
《Ready Go!》
「ヤベッ!」
《エボルテックアタック!》
二人は必殺技を発動させ、一誠に向かって同時にライダーキックを放つ。
「ちっ!」
《ジオウサイキョー!覇王斬り!》
一誠は剣を操作し斬撃を飛ばすが、二人の同時攻撃に弾かれ、一誠は吹き飛ばされた。
「ガハッ!」
「クソ!」
戦兎は立ち上がって走り出そうとするが、突然全身から力が抜け、気づくと変身が解除される。
「おっと、君の相手は僕がしようじゃないか」
「ディオドラ……!」
戦兎は歯を噛みしめると、ディオドラが襲い掛かってくる。
「がはっ!」
ディオドラの拳が腹にめり込み、戦兎は胃の中身を撒き散らしながら地面を転がる。
「げほっ!うげっ!」
「くく、良い眺めだねぇ。ビルド!」
戦兎の髪を掴んで立たせると、ディオドラは戦兎の顔面にパンチを叩き込む。
「ごふっ」
「僕はねぇ。今すごく気分がいいんだ。万丈 龍誠に負け、全てを奪われた。君が彼に仮面ライダーの力を与えさえしなければ彼はタダの悪魔だった。それなら負けなかったのにさぁ。君のせいで僕はぁああああああ!」
恨みをぶつけるように、ディオドラは何度も戦兎を殴りつけ、蹴飛ばした。
「だから決めたんだ。君を殺す。君の全てを否定して殺す。そしたらきっとクローズも悲しむよねぇ?」
「っ!」
戦兎は口から血を吐きながらディオドラを睨みつけながら立ち上がる。すると、
「その為にも、まずは彼女たちを殺そうか」
「っ!」
ディオドラが手を向けたのは、魔獣の相手に気を取られているこっちの世界の小猫だ。
「させるかよ!」
戦兎は走り出すと、小猫とディオドラの間に入る。それ見たディオドラは、魔力弾を発射し、戦兎に炸裂した。
「だ、大丈夫ですか!?」
地面に血だらけで転がった戦兎に、小猫が駆け寄ると、戦兎は大丈夫だと手を向けた。
「必死だねぇ」
そんな戦兎をディオドラは笑う。
「人々から否定され、拒絶されてもなお必死に立ち上がろうとする。理解できないよ。異常だ」
「……だからどうした」
フラつきつつも、戦兎は立ち上がる。
「ある人は例えその身が異形の化け物でも、人々の自由のために戦ってた」
ゆっくりと一歩目の足を前に出した。
「正義を否定しつつ、嘲笑いながらも、それを捨てきれずもがく奴がいた」
更に一歩。力強く前に足を出す。
「戦う為に力を願い、そして夢のために飛び続ける男がいた」
戦兎は無意識にラビットフルボトルを出して握ると、前に出す足を少しずつ早くしていく。
「誰かから認められるためじゃない。褒めてもらうためじゃない。皆、必死に戦ってた。苦しくても、どんなにみっともなくても、もがいてもがいてもがきまくって戦ってた!きっと皆同じだったんだ。諦められたら、捨てられたら楽だった。でも気づくと胸の奥から熱くなって、また立ち上がっちまう。その炎が何度でも燃え上がって、俺達は叫ぶんだ!」
戦兎はそう言って走り出す。
「下らないな」
ディオドラは掌を戦兎に向け、魔力弾を連続で発射。
「ウォオオオオオオオオオオオ!」
戦兎の周りに着弾した魔力弾は、爆発を起こして土煙と爆炎で戦兎を包む。
舞い上がった石礫が戦兎の体を貫き、炎が体を焼く。強烈な爆発音は、戦兎の鼓膜を破き、閃光は視覚を奪う。
土煙を吸い込んで肺が痛み、胃から血の塊がせり上がると、口から吹き出す。
それでも止まらない。
「アァアアアアアアアアアア!」
魔力弾が直撃する。戦兎は止まらない。いや、止まれない。
胸に灯る炎は寧ろ強く燃え上がっていく。その炎が燃えがるほど、火力発電所の如く戦兎を動かすエネルギーを生み出す。
「ちっ」
するとディオドラはフルボトルジャマーを発動させ、戦兎の持つラビットフルボトルを無力化させた。
「ま、一応ね」
しかしディオドラがそう言った次の瞬間、戦兎の掌から太陽のように輝く光が溢れる。その輝きは辺りの面々が思わず目を瞑る程だ。
「俺は……」
そして戦兎は叫ぶ。胸の中で燃え上がる炎が導くままに、本能が発させたその言葉を。
「あきらめねぇえええええええええええええ!」
すると手から光を溢れさせ、戦兎の拳はディオドラに炸裂。
「あがっ!」
完全に油断していたディオドラは、苦悶の声を洩らしながら、遥か後方に吹っ飛びそのまま瓦礫に突っ込んだ。
「なんだ。今のは」
戦兎は呆然としながら手を見るが視力が低下し、ボヤけた視覚では分からない。
しかし、戦兎の手にあるラビットフルボトルは、何時もの赤色ではなく、何故か金色に変化していた。
「よく分かりませんが、厄介そうですね」
「あぁ」
それを見ていたユーグリットとマグダランは、フルボトルの変化には気づいていないものの、何かを感じ取ったらしく戦兎に襲い掛かろうとするが、
《ジオウサイキョーフィニッシュタイム!キングギリギリスラッシュ!》
『っ!』
走り出そうとした二人の前に、巨大な刀身が振り下ろされ、ストップをかけた。
「無事予定通り。待ちくたびれたぜ」
一誠は楽しそうに振り下ろした剣を肩に担ぎ、二人を睨みつける。
「さて邪魔はさせない。折角ヒーローが立ち上がったんだ。ここからはヒーローの独壇場じゃないとな」
そう言うと、一誠の手には今までのストップウォッチとは違う形状のストップウォッチがあり、そのスイッチを押すと、
《ジオウトリニティ!》
「しかし別の世界の兵藤 一誠の妹ねぇ」
「確かに似てるっちゃ似てるよな」
「しかも
ヴァーリ・匙・サイラオーグの三人は隅でコソコソ実奈を見ながら話していた。他の面々も遠巻きに実奈を見ている。
「気まずいな〜」
《仕方なかろう》
実奈とドライグもコソコソ話していたその時、
『え?』
突然皆に光が降り注ぎ、ゆっくりと体が浮き上がっていく。
「も、もしかしてこれ呼ばれた感じ!?」
《恐らくな》
すると実奈は慌てて、
「じゃ、じゃあ私達帰れるみたいなのでここで失礼させて貰います!桐生さんは必ず送り届けますので!」
と挨拶すると、龍誠はなにか思いついたような顔して、
「あれに捕まっていけば俺たちもいけんじゃね?」
『……』
一瞬の静寂の後に、龍誠達は走り出すと実奈の体に掴まり、掴まりきれない者は掴まっている者の体を掴む。
「え?ちょ!そう言うのは予想外っていうか!きゃあああああああ!」
『うわぁあああああああああ!』
皆の視界が一瞬暗転し、気づくと辺り一帯が瓦礫の山と化した地面に落ちる。
「いててて……あ!戦兎!」
腰を擦りながら、龍誠は辺りを見回すと、ボロボロの戦兎が立っていた。
「すぐに治療を!」
と着いてきたアーシアが駆け寄り、戦兎に回復の光を当てると、目や耳から全身の傷が治っていき、
「みん……な?」
仲間達の存在を確認すると、戦兎はその場にへたり込んでしまう。
「それにしても……」
周り見たリアスは、眉を寄せる。
動きを一度止めた魔獣達と、それに相対する自分と眷属などの仲間達と同じ顔の者たち。その中の自分と同じ顔の者が近づいてくると、
「えぇと、名前を聞いてもいいかしら」
「私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ」
そちらは、と戦兎の世界のリアスが聞き返すと、
「私もリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ。一つ聞きたいのだけど、そちらの桐生 戦兎君とはどういう関係で?」
「私の眷属よ。因みに駒はポーン」
なるほどね。とジオウの世界のリアスは頭を掻き、一誠をジロリと睨みつける。
「一誠!どういうことか後で説明あるんでしょうね!?」
「そりゃ全部終わったらね」
その前に、と一誠は先程のストップウォッチをベルトに装填し、
「まずはお前ら二人には一度退場願おうか」
「おや、私達二人の苦戦してた割に大口を叩くんですね」
ユーグリットの返答に、一誠は笑うと、
「あぁ、大口も叩くさ。何せ……」
《ジオウ!リアス!ミナ!》
一誠はベルトを操作しながら、ユーグリットとマグダランを見つめ、バックルを回転させた。
「ここまでも、そしてこの少し先も、俺が既に見た未来だ」
《トリニティタイム!》
「あちょ!」
「いっくぞー!」
するとジオウの世界のリアスと実奈が突然浮かび上がり、全身を鎧が覆って変形。腕時計のような形状になると一誠の両サイドにそれぞれ待機し、
《三つの力、仮面ライダージオウ!リアス!ミナ!トーリーニーティー!トリニティ!!》
何と両肩に合体した。
『は……?』
その光景に戦兎達は思わず絶句し、
「一誠!」
右肩にくっついたリアスは、怒声を発しながら抗議する。
「いつも言ってるでしょう!これを使うときは言いなさいって!いきなり使われると心の準備ができないの!これ全身の関節が無理やり外されてハメ直される感じで痛いんだから!」
「いやぁ、俺も余裕があったら言いたいんですけどねぇ」
なんてやり取りをしているのを他所に実奈は、
「よーし!取り敢えず何時もの言っちゃいますか!ってなわけで、ひれ伏せ!我が名はジオウトリニティ!王の兵藤 一誠!悪魔のリアス・グレモリー!赤龍帝の兵藤 実奈!三位一体となって物語を創出する最大の王者である!」
《相棒。いつも思うのだが、その口上いるか?》
金色のラビットフルボトル。
戦兎の叫びに呼応するようにラビットフルボトルが変化したもの。ディオドラのフルボトルジャマーの元でも戦兎に力を与え、ディオドラを殴り飛ばすなど、他にはない効果を持っている。ジオウの一誠は、これを見たときこうなるのがわかっていた上で待っていたような発言をしている。