戦兎「突然襲いかかってきた八重垣さんとリゼヴィム。彼らは案の定兵藤 一誠の仲間だったわけだが……」
龍誠「しかし八重垣さんのことあの力。やばいんだけどなんか悲しい感じだったぜ」
戦兎「それが明かされるのが今回のお話だ」
龍誠「つうわけで137話スタートだ!」
「アレは10年前の事です」
そんな言葉からトウジは始めた。
さて、先程の八重垣の襲撃から一時間ほど経ち、戦兎やあとから合流したリアス達は全員教会に集められていた。
今回の襲撃。そして八重垣とは何者なのかを含めて話すために。
「彼は元教会に所属する剣士です。優秀な人間でしてね。人格も含めて私も全幅の信頼を寄せてました。しかし十年前にこの地に赴任した際、当時駒王町を縄張りとしていた悪魔と恋に落ちてしまいました」
その言葉に皆が息を呑んだ。最近ならまだしも、十年前に悪魔と教会側の人間が恋に落ちるなど、あってはならない自体である。
「勿論私達は説得を試みました。しかし八重垣君の意思は堅く、説得が難航していた所悪魔側から接触があり、きっと二人は恋に落ちたばかりで少し暴走しているのだと、だから少し強引にでも引き離すべきだと。そう言われ力づくで引き離しに掛かりました。ですがその中両者から抵抗を受け、粛清という形で八重垣君達二人を殺しました」
どちらから始めたか分かりません。とトウジは言いながら、
「あの一件は悪魔と教会の両者が話し合い、それぞれが互いの人物の説得に当たっていました。ですがどちらも説得はできず、粛清という形を取ることにしました」
「そんなにヤバイ事だったのか……悪魔と教会の人間の恋って」
龍誠が思わずそう呟くとトウジが、
「それもありますが、八重垣君と恋に落ちた悪魔と言うのが不味かった」
不味かった?と皆で首を傾げると、
「当時接触してきたのは悪魔側で言う大王派。そしてその先頭にいたのがバアル家の初代当主でした」
『っ!』
「そんな。初代バアルはもう隠居して長いはずよ。それがわざわざ出てくるなんて……」
リアスは言いながら、一体八重垣は誰と恋したんだと思うと、
「女性の名前はクレーリア・ベリアル。現レーティングゲームチャンピオン。ディハウザー・ベリアルの従兄妹に当たる女性です」
『っ!』
名前を聞き、皆が思わず息を呑む。
「こちらとしても、チャンピオンが出てくれば無事じゃ済まない。いや、下手すれば壊滅しかねない。同時に悪魔側も転生悪魔の台頭で立場がなくなっていた中、レーティングゲームチャンピオンであり古い純血の悪魔の一族でもあるベリアル氏の従兄妹が教会の人間と恋に落ちたなんて話が公になれば、騒ぎになってたでしょう」
そんな互いの思惑も重なり、粛清は行われた。そうトウジは言った。
「そしてその後関係者は全員それぞれ報酬と地位を貰い、新たな赴任先を告げられました」
「もしかして急にイリナが引っ越したのって」
戦兎が聞くとトウジは頷いて、
「はい。それが理由です」
さて、とトウジは言いながら少し席に深く腰を掛け直し、
「これが八重垣君の真実です。本来であれば私は聖職者を名乗る資格なんてありません。血に汚れ、同僚を殺して地位と金を受け取った最低な男です」
俯きながら、トウジはそう呟くのだった。
「はぁ」
「元気なさそうだな」
テラスでため息をついていたイリナの所に、龍誠はやって来て声をかけると、イリナは振り返る。
「うん。色々驚いちゃって」
だろうな。と龍誠は隣に立つと、一緒に夜空を見上げた。
「八重垣さんのことどう思う?」
「どうって?」
イリナの質問の意図が分からず、龍誠は聞き返すと、
「八重垣さんの気持ち。分かる気がするの。本当に好きだったのに立場の違いから引き裂かれて」
「あぁ」
そう言う事かと龍誠は頷くと、
「確かにな。でも好きにさせるわけにもいかないだろ?」
「うん」
首を縦に振るイリナに迷いはない。
「私ね。パパがやった事は最低だと思ってる」
でもね。とイリナは続け、
「そうしなければ、きっと私達が危なかったと思う」
粛清も、その後の報酬も受け取らなければ、きっとその泥は別の人間がかぶり、今度はその対象は自分達に向いていた筈だ。
「私はパパに守られてた。それで許されるわけではないけど、同時にそれに文句を言う資格も私にはないんだ。出来ることは八重垣さんを向き合うことだけ」
そう言ってイリナは天使の羽と輪っかを出して、
「それがパパに守られて育ち、ミカエル様のAになった私のやることだと思うんだ」
「そうだな」
龍誠はイリナの言葉に笑みを浮かべ、
「俺もやるよ。八重垣さんを止めようぜ。あの時とは違う。悪魔も天使も今は手を取り合って一緒に戦えるんだからな」
龍誠の言葉に、イリナはうんと頷くのだった。
「ふぅ……」
一方ギャスパーは大きな息を吐く。少し苦しそうなため息は、見方によっては非常に色っぽい。そんなギャスパーに後ろからやってきた戦兎が、
「おいギャスパー。大丈夫か?」
「ぴっ!」
驚いたのか飛び上がったギャスパーは慌てて戦兎と距離を取る。
「あー。俺なんかお前になんかしたっけ?」
「い、いえ先輩は何も。問題は僕の方にあるといいますか……」
歯切れの悪いギャスパーに、戦兎は首を傾げた。
「何か兵藤 一誠も言ってたし、それが関係してるのか?」
「それは、その」
何かある。そう思いつつも、ギャスパーに思いっきり距離を取られ、
「す、すいません先輩!僕行きます!」
「あ、おい!」
そう言ってギャスパーは全速力で何処かに行ってしまった。
「あら戦兎。なんかすごい速さでギャスパーが走っていったんだけどどうかし……って戦兎!?」
するとそこにギャスパーの逃げた方から、入れ違いでやってきたのはリアスで、少し驚いたような表情を浮かべながらやってきた彼女は、
「おれ、ギャスパーになんかしましたかね?」
「ど、どうしたの急に!?」
その場にいきなり膝をついて倒れた戦兎にリアスは駆け寄りつつ、困惑するのだった。
「やっちゃった……」
ギャスパーは屋敷の自分用に与えられた一室に飛び込むと、自己嫌悪に襲われながらその場に座り込んだ。
「明日からどういう顔して戦兎先輩にあえばいいだろう……」
そう呟きながらも、取りあえず着替えようと服を脱ぎながら考える。だがいい考えは浮かばない。
「そもそもこんなこと言えないしなぁ」
ギャスパーは来ていたブラウスを脱いで行くと、胸に巻いていたサラシを外す。
するとその下には明らかに女性的な膨らみがあった。それは明らかにギャスパーにはなかった筈のもので、
(ちゃんとついてる……)
これを見ると思わず自分の股を確認してしまう。そんな行為をもう何度も繰り返していた。
「僕どうなっちゃうんだろう」
ギャスパーは備え付けのベットに腰を掛けると、そんなことを呟きつつ、大きなため息を吐いた。
ギャスパーの件。なんか気づいたら書いてたんよ。まさかスタンド攻撃!?