戦兎「八重垣の過去を聞き、それぞれ覚悟を決める中、ギャスパーの様子がなんかおかしい」
龍誠「なんかお前やったんじゃないのか?」
戦兎「まるでいつも俺がなんかしてるみたいな言い方はやめてもらおうか?」
龍誠「だってそれ以外思い付かねぇもん」
戦兎「まぁそれもそろそろ判明するからな。って感じの138話スタートだ!」
この異変が起きたのはジオウの一誠との一件が起きる少し前の事だった。
なんか胸がムズムズするなと思っていた中、どんどん胸が膨らみをもってきたのだ。
最初は気のせいかと思った。だがどんどん大きくなる胸は無視できる物ではなくなり、サラシで潰して隠すようになった。しかしそれは結構苦しく、ため息ばかり出ようになったのは余談として、
「うぅ」
廊下で呻きながらギャスパーは歩く。
自分の体を隅々まで調べて分かったことがある。それは胸だけではなく、それ以外の部分でも女性的な部位や特徴が現れ始めているということだ。だが同時に、男としての部位も残っていた。
しかし胸から始まったこの変化は日に日に加速していき、最近は隠すのも一苦労だ。何て思っていると、
「おうギャスパー。おはよう」
「は、はひ!」
朝、戦兎に会うと飛び上がってしまう。これは別に戦兎が嫌いになったわけじゃない。寧ろ逆だ。
(戦兎先輩がカッコ良すぎる!)
そう。この肉体の変化と同時に、精神もそれに引っ張られているからなのか、戦兎が異様にかっこよく見えるのだ。
見てるとドキドキする。ドキドキしてギューってしてそして……と考えた所でギャスパーはブルブルと首を振る。
これはいけない。何故なら戦兎は自分が男だと思って接している。そんな相手に自分の今の状況を伝えたら、戦兎だから嫌われはしないだろうが、それでも困らせるだろう。そんなことは出来ない。
それと同時に、未だ自分の中でどうすればいいのか分からなかった。男としての自分と徐々に大きくなりつつある女性としての自分。二つの自分が混ざり合って、グチャグチャしているのだ。
しかし、
「どうした?」
ギャスパーの髪を撫で、戦兎は声を掛けた。よくあるいつものことだったはずだが、ギャスパーにとっては違う。
頬が紅潮し、耳まで真っ赤になってしまった。そんなギャスパーに戦兎は驚き、
「おいおい。風邪か?」
「いやあの違くて」
と言いながら後退ったとき、ギャスパーは足を引っ掛けて転んだ。
「ギャスパー!」
そして戦兎はギャスパーを助けようと手を伸ばしてギャスパーを掴まえるが、無理して掴まえたためかバランスを崩し、そのままギャスパーを押し倒すような形になりそうになるが、
「くっ!」
咄嗟に体を捻った戦兎は、ギャスパーを抱き締めて自分を下にするように転んだ。
「いつつ。大丈夫か?ギャスパー……ん?」
ギャスパーを抱き締め、戦兎は何か違和感を覚えた。
何かお腹に当たる柔らかな感触。そう、例えるなら水饅頭と言うか水風船というべきか。
「なんだコレ」
戦兎は悪気なくその水饅頭の正体を知るべくそれに手を伸ばし掌で掴む。
「んっ!」
「……」
ギャスパーの口から漏れる艷やかな声に、思わず戦兎は固まり自分の手の先を見た。
その先にあったのはギャスパーの胸だ。だがそれは転んだ拍子にボタンが弾け、サラシがズレて顕になったもので、戦兎は自体が理解できず二、三度と揉んでしまう。
「ギャ、ギャスパー?」
少し自体を飲み込み、どう言う事?とギャスパーを見ると、顔を真っ赤にしたギャスパーはワナワナと体を震わせ、
「イヤァアアアアアアアアアア!」
「うぅん」
アザゼルはカチャカチャと弄っていたパソコンの手を止め、コーヒーを口に運ぶ。
「チェックメイト」
「な!ま、待ってくれ木場!」
それもう5度目だよ?とゼノヴィアに返す祐斗だが、なんだかんだ言いつつ待ってやるのだろう。いつもの光景だ。
「この服もいいわね」
「これも良いですね」
二人でファッション紙を見るリアスとアーシア。これもいつもの光景。
「おら勝ったぁ!」
「ふざけんな!」
「クソ!」
「負けたか……」
龍誠・匙・ヴァーリ・サイラオーグの四人でゲーム大会。いつもだと戦兎も参戦しているが、今は丁度席を外している。
「姫島様。こちらの茶葉は使っても宜しいですか?」
「えぇ、構いませんわ」
では失礼して。と厨房に立っていた朱乃に声を掛けてからフウは紅茶を淹れていた。
「いやぁ、豊作でしたねぇ」
「また百均巡りですか?」
「これだけ買ったら百均でも意味がない気が……」
趣味の百均巡りから帰ってきたロスヴァイセと、その買ってきた量に引くイリナと小猫。
なんてことのない日常の一コマだ。
だがこの面々にこの世界の命運が掛かってると言っても過言じゃない。兵藤 一誠は目の前の皆を巻き込むように事件を起こしている。それがハイスクールD×Dと言う話の流れだからだろう。
だが不安に思うときがある。皆にはもっと普通の生活を営む権利があったはずだ。普通の高校生として生きてて良かったはずだ。だがそれを奪われ、戦いに次ぐ戦いを強いられている。
(兵藤 一誠との戦い。早く終わらせねぇとな)
等と黄昏れていた次の瞬間、
「イヤァアアアアアアアアアア!」
『っ!』
突然響いた悲鳴に、皆が瞬時に臨戦態勢に入った。
そして部屋を飛び出すとそこには壁にめり込んだ戦兎と、その戦兎を必死に壁から引っ張り出そうとするギャスパーがいた。
「ちょっと一体何が……え?」
リアスが駆け寄ると、ギャスパーを見て固まる。思わず顔と胸を何度も視線を上下させて見て、
「ぎゃ、ギャスパー?」
「……」
ギャスパーはプルプルと体を震わせ、
「いぃいいいいいいやぁああああああ!」
「ちょっ!」
次の瞬間ギャスパーの全身から黒い靄が溢れ出す。
「て、撤退!」
リアスは走り出しながらそう叫び、皆も慌ててその場から走り出す。
その後、パニックになったギャスパーが落ち着くまで三十分ほど、皆で屋敷中を逃げ回ることになったのは余談だ。