戦兎「八重垣さんとトウジさんの因縁を聞き、覚悟を新たにする俺達だったが、ギャスパーに異変が?」
龍誠「いやぁ。お前も大変だなぁ?」
戦兎「他人事だと思って……」
龍誠「だって他人事だしな〜」
戦兎「ったく。そんなわけでギャスパーとの関係も気になる139話スタートだ!」
「それで?ギャスパーに一体何が起きたの?」
ギャスパーがパニックを起こした日の夜。皆は集まるとリアスから問うと、アザゼルは口を開いた。ギャスパーは現在別の部屋にいる。
「あーそうだな。色々検査したんだが……うん。取り敢えずだな。アイツは今男であり女ってことだ」
『……はぁ?』
訳が分からず、思わず皆で顔を見合わせる中、アザゼルは言葉を続ける。
「どういうわけだか分からんが、アイツには男女両方の特性が現れてる。まぁ生々しい話をすれば、乳もチ○コもある」
「やめろ!」
スパコン!とヴァーリが思わずアザゼルを引っぱたき、アザゼルはイッテェと悲鳴を上げつつ、
「どういう原理か分からねぇ。性別を入れ替えるなんざやりようは幾らでもあるしな。だが誰がこんなことしたかはわかる」
それは言われるまでもない。兵藤 一誠だろう。こんなふざけた真似をするのは。
「でも別にアイツがどうなろうと、俺達の仲間だろ?」
そんな中発した龍誠の言葉に、皆は頷く。しかしアザゼルは少し苦い顔をして、
「それはいいんだが少し厄介でな」
「どういうことだ?」
アザゼルの言葉に龍誠は聞き返し、他の皆も首を傾げた。
「今のギャスパーは男であり女だ。どっちの性質も持ち合わせてる。それ体だけじゃない。それに引っ張られるように心も変化してる。それがどういうことかわかるか?」
『……』
イマイチよく分からず、皆は顔を見合わせると、
「アイツの恋愛対象も変化するってことだ。そうだな……例えば今までただの同性の憧れの先輩とかな」
『あ……』
そう言われ、皆の脳裏に浮かんだのは戦兎だった。そしてアザゼルは、
「今戦兎はそれを承知の上で会いに行ってるよ」
「ギャスパー。入るぞ」
「っ!」
ギャスパーが寝ている部屋に戦兎は声をかけて入ると、ギャスパーは体を起こしながらこっちを見た。
「せ、戦兎先輩!すいませんでした!」
「いや。大丈夫だ」
アーシアに怪我は治して貰ったし、特に問題はなかったが、ギャスパーは申し訳無さそうに頭を下げている。
「あー。取り敢えずギャスパー。頭下げるのはいいから胸元隠せ」
「え?……あ!」
ギャスパーの胸元は少々乱れており、いつものようにサラシで潰していない。つまり胸の膨らみがしっかり見えていた。
慌てて布団を胸元に持ってきて隠す様子を見つつ、戦兎はため息をつく。
(完全に女の子じゃねぇか)
元々女装が似合う。そんなギャスパーが今のような状況になれば、ますます脳が混乱してきていた。
それに、アザゼルから言われたことだ。今のギャスパーは男であり女。身も心もだ。それが意味するところも。そしてそれはギャスパーも気づいたようで、
「分かってますよね?」
「あぁ」
そう言ってギャスパーに戦兎は頷くと、ギャスパーは体を向け、
「ごめんなさい」
「え?」
突然謝られ、わけがわからない思っていると、
「気持ち悪いですよね。僕なんかが戦兎先輩好きになって」
「そんなことは……」
無いって言いたい。だがそれは本心なんだろうか。ただ大事な後輩を傷つけない方便なんじゃ?そんな思いが脳裏を駆け巡る。
「ありますよ。だって僕はずっと男だったんですから。そんな僕に好きになられて、気持ち悪いに決まってる」
「そんなわけ無いだろ」
必死に言葉を絞り出す。気持ち悪いなんて思ってない。それは本当だ。
「じゃあ僕とキス出来ますか?」
「っ!」
戦兎はギャスパー言葉に息をつまらせる。
「それ以上のこともできますか?できないですよね?だって先輩にとって僕は男の後輩なんですから。きっとこれからもそうでしょう?」
「……」
違うというべきなのかもしれない。だがそれは、ギャスパーの想いを肯定するということだ。それがどういう意味なのか分からない程子供じゃない。
「だから先輩。ごめんなさい。ちゃんとこの気持ちは捨てるので、それまで待ってください。ちゃんただの先輩と後輩に戻りますから。お願いします」
そう言って深々と頭を下げるギャスパーに、戦兎は何も言えなかった。
「はぁ」
戦兎はバルコニーの縁に腕を乗せ、大きなため息をつく。
「なにため息なんか吐いてるのよ」
するとそこにやってきたのは黒歌だ。お菓子を片手に風呂上がりの姿でやってきた彼女に戦兎は、
「いやちょっと……って誤魔化してもしょうがないか。ギャスパーのことだよ」
どうすれば良いのかわからん。戦兎は素直に黒歌にボヤくと、
「そりゃそうでしょうね〜」
黒歌は何も言わずに、素直に同意してくれた。
「だって後輩の男の娘がフタナリになって好意を向けられてますってどういう状況?ってなるでしょ」
「あぁ」
良いも悪いもない。ただ困惑してる。そう戦兎が言うと黒歌は笑って、
「アンタも中々大変な恋愛関係作ってるわねぇ」
「最近龍誠のこと笑えなくなってきたなとは思ってるよ」
ハァ。と戦兎がまたため息を吐いたその時、
「戦兎!黒歌もいたのね!」
「部長?」
走ってきたリアスに、戦兎は少し驚くと、
「兵藤 一誠が出たわ!」
『っ!』
その名前に、戦兎達は一気に戦闘モードに意識を持っていくと、
「何処にですか!?」
戦兎はリアスに駆け寄り聞く。そしてリアスの口から発せられた場所は、
「天界よ」
『は?』
意味がわからず、戦兎と黒歌は顔を見合わせると、
「天界に直接、兵藤 一誠達は襲撃を掛けたのよ!」
『はぁ!?』
リアスの言葉に、驚愕の声を出すのだった。