戦兎「ギャスパーの異変に続き、何と天界に
龍誠「好き勝手やりやがって!そろそろどうにかしないとな!」
戦兎「ま、そこんとこも含めてやっていく140話スタートだ!」
「ここが天界?」
転移により天界にやってきた戦兎達だったが、目の前に広がる光景に思わずそんな言葉をつぶやく。
火が上がり、あちこちの建物が崩れている。
「既に襲撃を受けたあとだろうな。俺の記憶じゃこんな光景じゃねぇよ」
唯一天界の光景を知るアザゼルは言うと、
「兵藤 一誠達
「冥府から?ならハーデスは何をしてたわけ?」
アザゼルの説明にリアスは眉を寄せながら言うと、
「あぁ。見てなくて気づかなったってよ」
あの爺さんはこっちに嫌がらせができるんなら何でもするさ。とアザゼルは言いながら、
「お前らも知ってると思うが、天界はまず7層に分かれている。連中の目的は不明だが、7層には神の奇跡を司るシステムがあってな。そこだけは壊されるわけにはいかんそうだ。他の勢力からも応援要請はしてるが、俺達は先発隊として現在戦いが起きてる第三層に向かうぞ!」
了解!と全員は頷き、皆で走り出す。
「さて」
そんな光景を遠くから見ていたのは兵藤 一誠と、
「ほんじゃま行こうかねぇ」
ニヤニヤと笑みを浮かべるリゼヴィムだ。
「場所が分かってるのはお前だけだ。頼むぞ?」
「おうとも。しかしいいのか?戦兎にお礼参りにいかなくて」
「こっちの目的を果たしてからでも十分だ」
『変身!』
戦兎達は変身しながら飛び上がると、魔獣達に攻撃を開始する。
「ようミカエル。助けに来たぜ」
「えぇ。助かります。如何せん数が多い」
何処からともなく湧き続ける魔獣の群れに、ミカエルはため息を吐きながらアザゼルを見て、
「アザゼル。少し妙なんです」
「だな」
やはり分かりますか。とミカエルは言う。
「あぁ。今までの進行では必ず兵藤 一誠がいた」
それがいない。偶々?いや違うはずだ。今回転移する時に感じたが、妨害工作はしてあったが余りにも稚拙。まるで好きなだけ入ってこいというように感じた。
態々こんなことするとしたら、恐らく戦兎を誘ってる筈だ。だがそれなのにこの場にいないと言うのはどういうことだ?と考えていると、
「うわぁああああああ!」
誰かの悲鳴と共に、地面が隆起し爆発。その中心地にいたのは八重垣だ。
「クレーリア、クレーリア……」
既に人間だった部分は殆ど残っておらず、ブツブツとずっとクレーリアの名前を呟いていた。
「八重垣さん!もうやめて!」
その前に立ち塞がったのはイリナだ。そしてイリナを見た八重垣は、
「紫藤……の娘ぇええええええ!」
全身から触手伸ばし、剣を手に走り出す。
「こっちよ!」
するとイリナは天使の翼を出して飛び上がると、一目散に逃げ出す。
「まてぇええええ!」
それを八重垣は追って行くと、
「ここからは計画通りにね!」
「了解!」
「任せてくれ部長!」
そう言って、龍誠とゼノヴィアはイリナを追って走っていった。
これはここに来るまでに決めてたことだ。恐らく今までの行動からして八重垣はイリナを積極的に狙う。だから乱戦時にはイリナが八重垣を引き付け、その場を離れて最も連携が取れてる龍誠とゼノヴィアのトリオで八重垣の撃破か、足止めを行うというものだ。
絶対無茶はしないこと。それがリアスからの条件。
「よし」
戦兎はそれを見届けながら、ハザードトリガーを出す。
《マックスハザードオン!》
「ビルドアップ!」
《鋼鉄のブルーウォーリア!タンクタンク!ヤベーイ!ツエーイ!》
フルボトルバスターを構えつつ、戦兎は龍誠達が行った方を横目で見て、
「気をつけろよ。3人共」
「この辺りで良いかな」
少し離れた所にイリナは着地し、追ってきた八重垣に向き直る。
「ムスメェエエエエエ!」
咆哮で空気が震える中、突っ込んでくる八重垣だったが、
《極熱筋肉!クローズマグマ!アーチャチャチャチャチャ チャチャチャチャアチャー!》
クローズマグマに変身した龍誠がマグマを作り出し、八重垣の足に絡みつかせて足止めすると、
「喰らえ!」
ゼノヴィアが頭上からエクスデュランダルを振りかぶり、八重垣に斬撃の衝撃を落とすが、
「ガァ!」
八重垣も剣を振り上げ、放った衝撃をぶつけると相殺。
「まじかよ……」
龍誠が思わずつぶやく中、イリナは八重垣に叫ぶ。
「こんなことして……何になるんですか!」
歯を噛み締め、拳を握って叫び続けた。すると、
「彼女と、また会える」
そう呟きながら八重垣はイリナを見る。その目に写っていたのは悲しみと絶望の炎だ。
「もう一度彼女に会えるなら私はなんだってする。全てを蹴散らし、全てを滅ぼす。私達は理不尽に引き裂かれたんだ。それを彼女だって望んでいるはずだぁああああああ!」
八重垣は大気が震える程叫びながら、イリナに向かって走り出す。
「っ!」
それをイリナは天使の羽根を広げ、幾つもの光の輪を投げつけて攻撃。しかし八重垣は傷つく体を物ともせずに剣を振り上げ、イリナに振り下ろす。
「させ……」
「るかぁ!」
それを龍誠とゼノヴィアが弾き、押し戻すとイリナはまた叫ぶ。
「私だったら……自分の好きな人が今の貴方の様になったら悲しい。死んでも死にきれなくなる。クレーリアさんは貴方が苦しむのを望む人なの!?」
「違う!」
彼女は優しい人だった。優しくて素敵な人だ。だから望むはずが……そう言いかけ、八重垣の思考が止まる。ならなぜ自分は戦っているんだろう。
【このままでいいのか?】
脳裏に声が蘇った。
【きっと彼女は苦しんだだろうな】
【彼女はおまえといたかっただろうなぁ】
【クレーリアはお前とまた会えるのを楽しみにしてるはずだ】
だから、と必ずその声は続けてきた。
【お前達を不幸に落とした奴らも、それを守ろうとする奴らも全て滅ぼさないとな】
「あぁ……」
何かが別の考えが浮かぼうとする。だが、
「アァアアアアアアア!」
八重垣は思考を振り払うかのように全身を変異させ、巨大化すると咆哮。
違う違うと心が叫ぶ。それではまるで、今まで自分がやってきたのはクレーリアを理由にし、鬱憤を晴らしてきただけではないか。
「おいおい暴走したんじゃねぇか?」
「でも何だか悲しそう……」
龍誠とイリナは並び立ちながら会話を交わす。
「さて、どうする?」
ゼノヴィアはそう言いながらエクスデュランダルを肩に担いで聞くと、
「取り敢えずぶっ飛ばして、それからもう一度話すしかねぇだろ」
だな、とゼノヴィアは頷くと、エクスデュランダルを振り上げて、
「行け!龍誠!」
おう!と龍誠は左手にクローズマグマナックルを嵌めながらドラゴンフルボトルをセット。
「オォオオオオオオ!」
襲いかかる触手はゼノヴィアとイリナが薙ぎ払い、龍誠は飛び上がりながらナックルの拳部分を叩き、
《ボルケニックナックル!》
「オラァアアアアア!」
《アチャー!》
蒼いエネルギーとマグマを纏ったクローズナックルで、巨大化した八重垣の顔面を殴り飛ばす。
だが、
「なっ!」
地面から生えた触手が龍誠を捕まえ、一気に締め上げた。
「ぐぁああああ!」
「龍誠!」
ゼノヴィアが慌てて助けようとするが、目の前の触手が邪魔をする。
「なら纏めて!」
「待ってゼノヴィア!貴女の攻撃じゃ龍誠君も吹き飛ばしちゃうわ!」
「しかし!」
のんびりしてては龍誠が危ない。そんなのはイリナも分かってる。
(どうすれば……)
すると、
「イリナさん!」
「え?」
突如空から掛けられた声に、イリナが驚いて顔をあげると、そこにいたのは、ウェーブが掛かったブロンドの美女。
「ガブリエル様!?」
「これを!」
そう言ってガブリエルがイリナに向かって投げたのは、鞘に納められた剣だ。
「っ!」
イリナはそれを咄嗟にキャッチし、鞘から抜く。
「アァアアアアアア!」
するとそれを追うように触手が伸び、イリナを狙ってきたが、
「はぁ!」
剣の一振りから放たれた光は、触手を破壊……いや、浄化して消滅させると、その先の触手に捕まっていた龍誠を傷つけずに助ける。
「これは……」
「それは聖剣・オートクレール。シャルルマーニュに仕えたオリヴィエの使っていた物であり、アロンダイトと同一視されている聖剣です。この度ミカエル様のAであり、この先の
ガブリエルはそう言いながら何百もの光の輪を作り出し、八重垣の触手を一気に破壊。
「道は作ります!行ってください!」
『はい!』
イリナとゼノヴィアは頷いて走り出す。
「いてて……」
地面に落ちた龍誠は腰を擦りながら立ち上がると、
「よし俺も!」
走り出そうとしたところに、
「あん?」
空から何が飛来するのを見つけ、思わず足を止めるとすぐ目の前に飛来した一本の剣が突き刺さった。
「それはアスカロン!?」
剣を見たガブリエルは驚きの声をあげる。すると龍誠は、
「よく分からねぇけど使えってことだな!」
と言って柄を握った。不思議と手に馴染む感覚を感じながら、龍誠は走り出す。
次々襲いかかる触手を斬り捨て、3人は飛び上がる。すると刀身が共鳴し合うように光り輝き、まるで太陽のようだ。
『いっけぇえええええええ!』
そして3人が刀身を振り下ろすと、輝きは更に強くなり、その光は八重垣を飲み込む。
『はぁ、はぁ』
三人は着地すると荒く息をついた。しかし、
「あ!」
イリナが声を上げると、そこには人間の姿に戻った八重垣が立っている。
ボロボロになり、所々体が崩れ落ちていく。
最早生前の姿は失われつつあった。しかし、
「クレーリア、クレーリア」
ずっとうわ言のように愛する女性の名を呼びながら、その場を右往左往し始める。
「今の一撃で八重垣さんを侵食していた物はなくなったみたいだね」
「だが……」
そう。力を失えば、そこにいるのはただ正気を失い、失った女性を求めるただの廃人だった。
すると、イリナの持っていた聖剣が輝きだし、三人が驚くと、
《正臣さん》
そこに現れたのは、美しい女性だ。それを見た八重垣は、目を見開きながら歩き出し、
「クレー、リア」
手を伸ばすと女性はそれを優しく受け入れ、
《もう。終わりにしましょう》
「だめだ、まだおわってない。まだ。まだなんだ。おれがあきらめたら、だれがきみのむねんをはらすんだ!」
そんな事を言う八重垣に、クレーリアは首を横に振ると、
《私は貴方がそれで傷ついていくほうが悲しいわ》
クレーリアは言うと、八重垣を優しく抱きしめた。
《だからもうやめて、お願いだから、もう誰かを傷つけないで》
「あ、あ」
八重垣は震える手でクレーリアを抱きしめ返すと、体がゆっくりと崩壊していく。
『……』
三人はソッとその場を後にする。もう八重垣には何もできないだろう。これ以上は野暮になると思った。
「ん?」
すると龍誠の手の中にあったアスカロンが光り輝き、そのまま姿を消してしまう。
「そういえばなんでアスカロンが……」
イリナが不思議そうな顔をすると、ゼノヴィアが神妙な顔をして言った。
「恐らく戦兎だ」
一方、少し時間が巻き戻り、イリナたちが八重垣を連れて離脱した頃、戦兎たちが魔物を蹴散らしている所、
「クソ!一体何体いるんだ!」
フルボトルバスターを振り回し、戦兎が荒く息をつくと、
「戦兎先輩!危ない!」
背後から飛び掛かってくる魔獣。しかしそれは闇の塊のようなものに吹き飛ばされた。
「大丈夫ですか!?先輩!」
「あぁ、済まないギャスパー」
お互いの安全を確認すると、ハッとしたように気まずそうな顔をするギャスパー。それに吊られて戦兎も気まずそうにすると、
「おうおうお熱いねぇ」
『っ!』
その場に姿を見せたのは、兵藤 一誠だ。
「兵藤 一誠」
「ようやく会えたな。戦兎」
一誠は既に変身を終えており、戦兎はジーニアスフルボトルを取り出した。すると、
「ようギャスパー、体の具合はどうだ?」
「っ!」
一誠の言葉に、カッと血が熱くなるのを感じたギャスパーは、腕から闇の塊を作り出し、
「黙れ!」
それを一誠に発射!しかしそれは片手で弾かれ、
「いやぁ、しかし傑作だなぁ。まさか本当に女になってるとは。で?戦兎には告白したのか?ん?」
「……」
ワナワナと体を震わせ、ギャスパーは顔を真っ赤にしながら怒りを露わにする。すると戦兎はギャスパーの肩に手を置き、前に出る。
「てめぇはもう黙ってろ」
《グレート!オールイエイ!ジーニアス!イエイ!イエイ!イエイ!イエイ!Are you ready?》
「ビルドアップ」
《完全無欠のボトルヤロー!ビルドジーニアス!スゲーイ!モノスゲーイ!》
「最早ジーニアスは俺の敵じゃねぇんだよ!」
一誠はそう言って巨大なエネルギー弾を作り出すと、戦兎に向けて発射!だが、
「はぁ!」
戦兎は剣を出すとそれを両断し、更にその剣から生み出された衝撃波で一誠を吹き飛ばした。
『なっ!』
一誠だけではなく、ギャスパーも驚く中、戦兎はゆっくりと一誠を見つめる。
「なんでおまえがそれを」
そして一誠の視線の先には、