ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「兵藤 一誠の襲撃を受け、美空と妃愛を奪われた俺達に、初代バアルが接触してくる中、続いて現れたのはディハウザー・ベリアルのご両親!?」
智宏「しかも敵の親ってことで警戒してたらなんといきなり土下座&謝罪!一体これからどうなるんだー!」
あすみ「そ、そんな感じの147話スタートです!」
智宏「いよっ!今日も輝いてるー!」
戦兎「どういうテンションなんだよ」


お兄ちゃんとして

「お、落ち着かれましたか?」

「は、はい」

 

さて突然の現れたディハウザー・ベリアルのご両親に土下座されたものの、戦兎達はここでは何だからと、一旦自宅に移動し、改めて話を聞くことになった。

 

「この度は本当にとんでもないことを」

「まぁ更に言うなら桐生さんの妹さんだけじゃなくてこの和泉くんの妹であるひよりんも誘拐されたしな」

 

先輩!っと智宏は嗜めるが、詩桜は素知らぬ顔で、相手のご両親は顔面蒼白を通り越して最早形容しようのない色に変わっていた。

 

「そ、そんな。何とお詫びすればいいか」

「あぁいえいえ。ひ、一先ずですね、何故来たのかの話から」

 

話が進みそうにないので、智宏は止めつつ話を聞くと、

 

「たまたまバアル家に皆様が顔を出されてると聞き、今回息子がしたことの件でいても立ってもいられず。謝って済む問題じゃないのは分かっていますが、せめて直接謝罪をせねば」

 

と言って夫婦共々また土下座でもしそうな雰囲気だったので、慌ててみんなで止めた。

 

すると智宏が二人の前に立ち、

 

「あ、あの。つかぬことをお聞きするのですが」

「は、はいなんでも!」

 

父親の男性は顔を上げながら聞き返すと、智宏は口を開く。

 

「いえね。クレーリアさんとディハウザーさんってどんな関係だったのかなってお聞きしたくて」

 

それを聞き、戦兎達は顔を見合わせた。さっきも初代バアルに聞いていたが、なにか気になるのだろうか?

 

しかしそんな中、男性は口を開く。

 

「二人は従姉妹の関係です。ですが昔から仲がよく、まるで本当の兄妹のようでした。クレーリアがディハウザーによく懐き、ディハウザーもクレーリアを非常に大切にしておりました」

 

そう言って、父親はお茶を一口飲んで口の中を濡らした。

 

「ですがクレーリアが、当時の話では、聖職者と恋仲になりその中で殺され、ディハウザーはずっと後悔しておりました。あの時自分が間に立ててればと。その前からクレーリアから話がしたいと来ていたそうです。ですがレーティングゲームのチャンピオンとして、分刻みで予定があるあの子は、どうしても後回しにせざるを得ず、時間を取れずにいたところあの事件が起きて」

 

と言って、父親は俯いて声を詰まらせた。そして、

 

「いえ、そもそも私達のせいなんです。我が一族は歴史があるとは名ばかりで、没落の一途を辿っていました。ですがディハウザーがレーティングゲームのチャンピオンになり、一気に盛り返すのには成功しました。そうしていく内に、私達夫婦もディハウザーに頼り切ってしまったんです。あの子は責任感が強い。そうすれば必然的にあの子は、全部一人で背負ってしまうとわかり切っていたんです。ですが全て頼ってしまった。その結果、あの子が本当の妹のように大切にしていた子との、相談に乗る時間すら奪ってしまった」

 

両親二人はボロボロと泣きながら叫ぶ。

 

「それでもあの子は自分に言い聞かせてきたんです。あれは時代だった。仕方なかったんだと、ギリギリの所で踏みとどまっていた。ですが今回の一件が、全てを崩した。ですが、その前に私達が声をかけるべきだった。でも大丈夫だというあの子に甘え、たとえぶつかってでも声をかけるべきだったのに、気づけばあの子の顔色を伺うようになっていた」

 

そう言って、自分を責める二人に、戦兎達は何も言えなくなってしまう。

 

そんな中、智宏が口を開いた。

 

「そうか。だからだったんだ」

「え?」

 

その言葉に、皆が反応し、

 

「あ、すいません。突然変なこと言って。いや、ディハウザーさんの話してる姿を見てたら、懐かしくなったんですよ」

 

はぁ?と皆が思わず首を傾げる中、智宏はディハウザーの両親に歩み寄る。

 

「俺。両親がもう居ないんです。まだ俺が小学生だった頃、交通事故で突然この世を去りました。連絡を受けて、急いで病院に向かって、そこにいたのは両親の遺体の前で、立ち尽くしてる妹でした」

 

自分の顔を見るや泣き出し、胸に飛び込んで来た妹を見て、後悔した。

 

こんな小さな……と言っても一つしか違わないのだが、そんな妹を抱きしめ、どれだけ心細かったのだろうと思った。だからその時決めたのだ。例えどんなことになったとしても、必ずこの妹の側にいようと。

 

だからかもしれない。あの映像を見て、智宏が気づいたのは。

 

「それと同じだったんですよ。ディハウザーさんが。泣きたくて、恨んでて。でもそれをどうしようも出来なくて、もう自分でも何がなんだか分からなきて、あの言葉一つ一つが、助けてって言ってるような……そんな顔でした。お二人も気付いてたんじゃないですか?」

『っ!』

 

ビクッと、ディハウザーの両親は体を震わせた。きっと気付くだろう。だって家族なのだから。こうして息子のしたことのために、謝りに来るくらい息子を愛する両親なんだから。

 

「だから息子さんを助けます」

『え?』

「あんな顔されちゃったら、見捨てられないんですよ」

 

アハハと笑う智宏。だって見ないふりをしたら、あの時の妃愛を、見捨てるのと同義だと思うからだ。

 

「だからお願いします」

『っ!』

 

深々と頭を下げる智宏に、ディハウザーの両親だけではなく、他の皆も驚く。そして、

 

「必ず息子さんは助けます。だから、今度は沢山話してあげてください。別に何だっていいです。今日天気いいねとか。そんな話でもいい。偶に意見が食い違って喧嘩したっていい。でも、お願いだから話してあげてください。沢山話したいこと、あると思うんです」

 

その言葉に、ディハウザーの母はワッと泣き、父は智宏の手を取る。

 

そんなことは望んではいけないと思っていた。だがもしそれが許されるなら、

 

「お願いします。息子を、ディハウザーを助けてください」

「必ず」

 

泣きながら、そう懇願する父親に、智宏はそう応えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で?思いっきりカッコつけたけど、どうするわけ?」

「いやー。どうしようかなぁ」

 

二人を帰した後、常磐にそう問われて智宏はアハハと笑いながらそう答える。

 

そして何も考えてないんかい!っと常磐からツッコミを受けていると、詩桜が、

 

「まぁその辺の探索であれば、そちらも方が得意なのでは?」

 

と戦兎達を見ながら言う。しかし、

 

「アイツ神出鬼没だから、俺等もどう探せばいいのか」

 

と答えるしかない。すると、

 

「ん?」

 

智宏の懐が光り、そこに手を入れて取り出すと、手にあったのは智宏達が変身で使うクラウンを、一回り大きくした物だ。

 

「それは?」

 

戦兎が聞くと智宏は、

 

「ブライトネスクラウン。俺の変身アイテムなんですけど、多分妃愛と共鳴してるのかな」

 

ほう?とそれに反応したのはアザゼルだ。

 

「ならそれを使えばもしかしたら行けるかもな」

 

え?と全員の視線がアザゼルに集まり、

 

「兵藤 一誠の元に飛ぶんじゃなくて、お前さんの妹のところに飛ぶイメージだ。それならもしかしたらいけるかもしれん。それ貸してくれるか?」

 

はい。と智宏は貸すと、アザゼルはニヤリと笑い、

 

「一時間で段取りを整える。行くやつはそれまでに準備済ませておきな」

 

とだけ言って、部屋を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よう」

「あ、お疲れ様です」

 

バルコニーで黄昏れてた智宏の元に、戦兎がやってきた。

 

「お前、結構かっこいいところもあるんだな」

「え?あー。あれはちょっとカッコつけすぎましたね」

 

アハハと照れ臭そうに笑う智宏に、戦兎も釣られて笑う。

 

「結局お前ってどっちが本当のお前なんだ?」

「はい?」

 

そんな中、突然の問い掛けにポカンと口を開けた智宏に、

 

「妹におんぶにだっこするかと思えば、ああやって手を差し伸べる一面もある。お前という人間が分からなくなったよ」

「あぁ、それなら間違いなく前者が俺の本当の姿ですよ」

 

そう智宏は言い切ると、

 

「さっき言ったように、俺と妃愛の小さい頃に両親が死んで、妃愛を守らなきゃって思ったんです。でも俺もガキで、色々やってはみるんですけどうまくいかなくて」

 

両親の葬儀のことも、遺産や色々な法律に絡むことも、子供の智宏に出来ることなどなくて当然だ。本来であれば、両親の庇護下にあって当然なのだから。

 

「それにそもそも、妃愛に俺の力なんて必要なかったんですよね。何せもうあのとき既に子役として、名前が売れていたアイツは、俺なんかよりずっと大人でしたし」

 

誰からも愛され、大切にされる。それがあの妹、和泉 妃愛という人間だった。

 

「よくお前それ妹さんと仲良くしてられるなぁ」

「え?そうですか?」

 

コンプレックスとかなかったのかよ。と戦兎に言われると、智宏は少し考え、

 

「コンプレックスとかは感じたことはないですね。さっき言ったように子役時代から成功して知らぬ人はいないほどでしたけど、それでも両親は妃愛を普通の娘として愛してましたし、父さんからは、お前はたった一人のお兄ちゃんなんだから、大切にしなさいって言われ続けてきましたし」

 

それに何より、と智宏は言い、戦兎は何より?と聞き返した。

 

「両親がなくなってすぐ、親族一同で話し合いが行われました。両親が残した莫大な遺産に大きな一軒家。何より世間から大きな支持を受ける、天才子役の妃愛。どれも皆欲しがる中、じゃあ逆に俺の扱いをどうするかってなりましてね。まぁ可愛げもなかったんでしょうね。両親が亡くなって、お兄ちゃんとして、しっかりしなきゃーって思ってて、涙の一つも見せずにムスってしてる子供と、両親を失って涙を流す可愛げのある子供だったら後者の方を選びますよね」

 

最終的に遺産を多めに俺に分配して誰が引き取るかってなって、結局誰も手を挙げなかった。誰もが家と妃愛の引き取りを望んだ。

 

「まぁ今なら少し気持ちも分かりますけどね。子供引き取るって金銭的な面だけじゃない。社会的にも法的にも簡単なことじゃなくて、手間も責任も掛かる。人一人育てるんですからね。それだったら少しでも楽な方がいい。せめて俺を引き取るなら家くらいはよこせ、いや妃愛も家も渡さない。って親族大荒れ。そしたら妃愛が怒りましてね」

 

私から家もお兄ちゃんも奪う皆なんて大っきらい!そう親族の前で泣きながら叫ぶ妹に、誓ったのだ。この先幾らでも才能あふれる妹に嫉妬することも、惨めに思うこともあるかもしれない。

 

それでも、この妹のお兄ちゃんでいようと。たった一人の家族でいようと。

 

「だからアイツが望む限りは、俺はアイツのお兄ちゃんだってだけです。それで偶々あんなの見て、気づいちゃったら放っておけない。あれから目を背けたら、もう俺は胸を張って妃愛のお兄ちゃんだって言えなくなる。俺は対して何も自慢できるものはないけど、それだけは俺の唯一のアイデンティティだから絶対に捨てるわけにいかない」

 

成程ね。と戦兎は頷きつつ、

 

「だけど妹のヒモになるのはいいのか?」

「人間頑張り過ぎは良くないので」

 

そこはせめて頑張れよ……そう戦兎はため息を吐きつつ、呆れるのだった。

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