ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

154 / 212
前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「それぞれの思いを吐露し合う中、俺達は同じ場所を目指す」
智宏「いやまぁこうしてみると結構恥ずかしいな」
戦兎「意外とお前かっこいいところもあるじゃん」
智宏「意外ととな!?」
戦兎「まぁそんな感じの」
智宏「待て待て!意外とって何!?」
戦兎「いやもうそこは良いでしょうが!」
莉々子「ってな感じの150話スタートですわ!」
戦兎&智宏「あぁっ!」


本質

「う、ん」

 

妃愛が目を覚ますと、体を起こして周りを見る。

 

「あ、目を覚ましました!?」

 

そこの居たのは、自分より年下の女の子。

 

「ずっと寝てたんで心配してたんですよ」

「あ、ありがとうございます。ご心配をお掛けしました。えぇと」

「あ、はじめまして。私は桐生 美空って言います。みーたんって言えばわかりますかね?」

 

そう言われ、あぁ!っと妃愛は声を上げる。

 

「もしかして、桐生 戦兎さんの妹さん!?」

「あ、兄をご存知なんですか?」

 

まぁ助けていただいたので、と返しながら、周りを見ると、見たことのない牢屋のような場所だ。

 

「ここどこなんでしょう」

「私もわからないんですよ。そこの窓から見える景色も見たことないし」

 

妃愛と美空は話をするが、

 

「まぁその内、うちの兄が助けに来てくれるから」

「信頼してるんですね」

 

妃愛の言葉に、美空はそう言いつつ、

 

「うちの兄は薄情だからなぁ」

「そんなことないよ。桐生さん凄く心配してたよ?」

 

ホントかなぁ。と美空はそんな事を言うが、落ち着いてるのを見るに、何だかんだで戦兎が来るのを信じているのだろう。

 

「まぁでもホント、信頼できるお兄さんでいいですね」

「そりゃもううちの兄はかっこよくて優しくて頼り甲斐があるから」

「そんな凄いんですか?」

 

まぁその分家事は私がやるけどね〜っと普段の生活を話すと、美空は眉を顰めて、

 

「お兄さんは何をしてるんですか?」

「ゲームとか……かな?」

 

それはどうなんです?と怪訝な目を向ける美空に、妃愛は少し複雑そうな笑みを浮かべて、

 

「ううん。私が望んだことだから」

 

え?と美空がポカンとすると、

 

「昔ね、私は最低だったんだ」

 

妃愛は、ポツリポツリと語りだした。

 

幼少の頃、声優の前に子役として活躍していた妃愛は、朝の連続ドラマ等にも出演した。容姿もだが、当時から突出した演技力を持ち、大人の世界に身を置き、その結果、全国で知らぬものが居ないほどの有名人になった。

 

しかし、それと同時に、妃愛から見た当時の兄の智宏は、幼く映っていた。子供っぽいというか、まぁ実際子供だったのだから当たり前なのだが、アニメの話とかヒーロー物の話だとかをずっと話してる兄の事を、正直に言えば見下していた。

 

そんな態度が両親から見て、目に余ったのだろう。ある日、両親が妃愛を呼び出し、言ってきた。たった二人だけの兄妹なのだから、仲良くしなさいと。

 

そんな両親の言葉に、妃愛はカッとした。大人たちに囲まれ、周りから褒められて来た彼女には、納得いかないものだった。

 

なんで両親は自分を怒るのだろうと。悪いのは子供っぽい兄の方なのに、と。今思えば、子供だったのは自分だったのは明らかだ。だがその時の自分は最低の言葉を放った。たった二人の兄妹に仲良くして欲しいと願う両親に対して、

 

《お兄ちゃんなんていなくてもいいもん》

 

あの時の両親の顔を、今でも覚えている。あの悲しそうな顔を。そして次の日、両親と会話もせず家を出て、電話が来た。両親が事故で死んだと。

 

駆けつけた病院で、両親の遺体を見つめながら、呆然としていた。きっとこれは罰だと思った。両親に酷い言葉をぶつけた罰なのだと。

 

そしてこのまま一人ぼっちで、この世界に取り残されたような感覚。どこまでも奈落の奥深くに落ちていくような感覚。フワフワと何処かに消えてしまうような気持ち。その時来たのが、兄の智宏だ。

 

智宏は自分を抱きしめ、自分がいると言ってくれた。思わず泣いた事を、智宏は両親の死に悲しんでいると思ったらしいのだが、それはちょっと違う。勿論悲しかったが、それ以上に、一人じゃなかったことに安堵したのだ。自分にはまだ兄がいる。それがあの時の自分にとって、どれほどの救いだったか。

 

だから自分と兄を引き剥がそうと親戚がした時、本気で怒ったし、里を味方にして自分達が両親の残した家で過ごせるようにした。

 

しかし、同時に常に脳裏にチラついていた。自分が両親に投げつけた言葉。そしてまるでそれを罰するように起きた事故。

 

いつかそれが兄に知られたらどうしようか。兄は自分を軽蔑するかもしれない。自分を見下し、両親を殺した自分を。

 

そんなある日、兄が申し訳無さそうに来て言ってきた。

 

《ごめん妃愛》

 

何事かと思えば、洗濯機に入れる洗剤の量を間違えて、泡だらけにしたのだ。兄なりに、家事を手伝って自分を助けようとしてくれたのだが、上手く行かず助けを求めてきた。

 

まぁ大したことじゃない。そもそも両親が生きてた頃は家事なんてやったことがない兄が、いきなりやって上手くやれるはずはない。裏面の洗剤の量の表示で凡その判断をすれば良い。そう教えるだけで良かった。もしくは改めて一緒にやって教えても良かったはずだ。だが自分は発した言葉は、

 

《もうお兄はしょうがないなぁ。無理して家事なんてしなくても大丈夫だからゲームでもしときなよ。家事は私がやるからさ》

 

家事なんてできなくて良い。しっかりしなくて良い。自立しなくて良い。だらけてくれ。何もできないままでいてくれ。堕落してくれ。そんな呪いをかける言葉。

 

その後も、智宏が失敗するたびに同じような言葉をかけ続けた。

 

無理しなくて良い。出来ないままでいい。頑張らなくて良い。

 

人間は失敗から学ぶものだ。失敗から学び、そこから成功させていく。その成功体験が、人間を成長させ、次の挑戦を後押しする。

 

だが妃愛がしたのは、失敗を失敗のまま終わらせる行為。そうしていく中で、智宏は自分は何をしてもだめな人間だと思うようになっていった。当たり前だ。失敗だけして、成功したことがないまま育ったのだから。

 

そうして、元来の面倒見の良さや、優しさは抑えられていった。それを妃愛はだめなことなのくらいはわかっていた。だがどうしても駄目だった。

 

いつかバレて、兄が自分を軽蔑しても、兄の身の回りの世話させてくれれば、一緒にはいられる。兄に嫌われても、一人にはならない。そんな歪んだ想い。それが妃愛の献身の正体だ。

 

「でもお兄ちゃんはね、私のせいにはしないんだ」

 

だが智宏は、周りにどんな目で見られても、笑って俺が何もできないからな〜っと言う。

 

本当は違う。兄の世話を出来ないと、不安になって調子が不安定になってしまう自分に、兄は智宏は合わせて何もしないでいてくれる。だがそれに対して妃愛のためだとかは決して口にしない。

 

自分が悪い。とだけ言って周りからの冷ややかな目を受ける。

 

だが、生徒会長になり、仮面ライダーとして戦う中で、智宏は変わっていった。いや、変わったのではない。本来の智宏が戻ってきたのだ。

 

誰かのために、必死に立ち上がって戦う。不器用で容量なんて全く良くない。泥臭くて情けなくて、それでもいつだって笑って、気づけば世界だって救っちゃう。和泉 智宏の元来の本質。

 

そうしていく中で、皆に認められていく兄に、嬉しく思った。自分のせいで本来の性格を失っていた兄が、それを取り戻していく姿は嬉しかった。だがどこかで、それを嫌がる自分もいた。兄が自立し、自分が離れていく未来。家族とはいえ兄妹なのだから、いつか兄は家を出て、家族を持つだろう。しかしそんな未来を拒絶する自分がいた。

 

「そうだったんですね。なんかごめんなさい。知らないでお兄さんを悪く言って」

「あ、良いの良いの。知らなかったらそう思っちゃうよね」

 

本当に悪いのは自分だ。そう妃愛が言ったとき、

 

「確かに酷い妹だなぁ」

『っ!』

 

牢屋の扉が開かれ、入ってきたのは兵藤 一誠だ。

 

「龍誠?」

 

美空がポカンとする中、

 

「他人の空似だよ」

 

と妃愛が訂正。それを見て一誠は笑うが、

 

「さぁ、着いてきてもらおうか」

「お断りです!」

 

と妃愛が叫んだ瞬間、目の前から一誠は消え、一瞬で背後に回ったかと思えば、妃愛と美空の首を掴み持ち上げた。

 

『あがっ!』

「拒否権はねぇんだよ」

 

そう言って二人を引きずり、牢屋を出たあと連れてこられた部屋に投げ捨てられ、二人は咳き込む。だが同時に、目の前の物体に目を奪われた。

 

「これはビジター。大昔、戦争中だった三大勢力が手を組んで漸く封印するのがやっとだった化け物だ。だがこれの封印が厄介でね。物理的にも魔術的にも特殊で、中々壊れない。俺ですら難しい程だ。しかも解除方法も不明だった。当時の奴らはほぼ全て意図的に記憶を消してたからな。まぁうちには唯一それを回避した悪魔がいたお陰で解除方法はすぐにわかったんだが、その解除方法が特定の音を持つ二人の声が重なった時に生まれる共鳴音だった。んで世界中探したんだが見つからねぇ。その中やっと見つけたのがまずは美空。お前だった。しかしもう一人が見つからなくてな。だが他の世界も探し、そして見つけたのが妃愛。お前さ。やっとこいつの封印を解けるってもんだ」

『……』

 

それを聞き、二人は口を噤む。その次の瞬間、

 

『っ!』

 

全身に電流が流れ、二人は目を見開く。

 

「げほ……」

 

美空は咳き込み、その場に崩れ落ちる。妃愛は、それに耐え、声を発さなかった。

 

「おいおい。同時に声を出してもらわないと困るんだが?」

『……』

 

声を出すものか、二人は無言で一誠を睨みつける。

 

「まぁ良いさ。時間はまだある」

 

一誠はそう言って、手を二人に向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いてて」

「ふぅ」

 

少し時間を巻き戻し、智宏と戦兎は、運良く目立つ建物のすぐ近くに降りていた。

 

「ここ、なんか怪しいですよね」

「あぁ。他に目立つ建物もないし、多分皆もここを目印に来るんじゃないか?」

 

なんて話していると、二人の前に現れたのは、

 

「ディハウザーさん」

 

智宏が呟くが、相手から返事はない。そのまま黙って見つめてくる。

 

「正解引いたっぽいですね」

「あぁ」

 

智宏に戦兎は肯いていると、

 

《キングドライバー!》

 

智宏はベルトを装着し、戦兎を見る。

 

「中にもしかしたら妃愛がいるかもしれません」

「美空もな」

 

だからお願いします。と智宏が言うと、戦兎はわかったと言い、ビルドドライバーを装着。

 

《ブレイブクラウン!》

《ラビット!タンク!ベストマッチ!Are you ready?》

『変身!』

 

二人は同時に変身し、智宏はディハウザーに飛び掛かると、その横を戦兎は走り抜けていく。

 

「邪魔をするなっ!」

「悪いけど通さねぇよ!」

 

智宏はディハウザーを掴み、そのまま引っ張って投げ飛ばすと、剣を取り出し斬りかかる。

 

それをディハウザーも肉体を変化させ応戦。

 

「もう少しだ。もう少しで取り戻せる!」

「悪いけど約束したんだ」

 

なに?とディハウザーが怪訝な声を出す中、智宏は拳を握って殴り飛ばす。

 

「あんたは連れて帰る。連れて帰って、ちゃんと話してもらうぞ!」

 

剣を肩に担ぎ、智宏はそう叫ぶのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。