戦「再開した幼馴染であるイリナに何故ここへ来たのかを聞いた俺たちだったが……」
龍「しかし時が経つのって嫌だよなぁ…昔は仲良く遊んでても今じゃなぁ……」
戦「まあ仕方ないだろ。いつまでも子供の頃のようにとはいかないだろうさ」
龍「でも俺もうちょっとイリナが理解あるやつだと思ったんだけどなぁ」
戦「いや昔から結構思い込みが激しいやつだったよと言うわけで物語は加速する16話スタート!」
「で?何で俺はここに呼ばれたんだ?」
祐斗が飛び出してから次の日、結局あの後祐斗は行方不明になった。
そして目の前には匙がいる。突如学校近くの公園に呼び出され困惑しながらもノコノコ……もとい、素直に来る辺り彼の優しさと言うかお人好しさが分かる。
「ああ。これは極秘事項だ。特にグレモリー眷属の皆には秘密にしてほしい」
「うんうん」
そう言う戦兎に続く龍誠。それを見た匙は眉を寄せて、
「なんか嫌な予感がするんだが?」
「なぁに、ちょっと手伝ってもらいたいだけだよ」
手伝い?と匙は更に眉を寄せるが、戦兎はそれを見ながら、
「聖剣をぶっ壊すの協力してくれ」
「さぁて、今日は会長からの仕事が……」
「龍誠逃がすな!」
戦兎の指示に龍誠は素早く立ち上がって走り出す。やめろおぉおおお!離せぇええええ!と叫ぶ匙がいるが龍誠の馬鹿力に勝てるわけもなく強制連行されてきた。
「バカだなぁ。この話を聞いた時点でお前に与えられた選択肢はハイかイエスかウィなんだぜ?」
「全部肯定の返事じゃねぇか!勝手に話しといて拒否権なしって悪魔か!」
「お前も知っての通り悪魔だよ」
戦兎は返しつつスマホを開く。これで匙からも快く了承して貰えたし後は祐斗だ。そう思いメールを打つ。内容は、聖剣について話があるからうちに来いとでも言えば来るだろう。
普通に考えたらぶん殴った相手の家に訪ねるなんて酷なことだけど今の祐斗なら聖剣についてなんて言われたら従うしかない。例え真実かわからない眉唾な話でもな。
「と言うわけで所変わって我が家に」
「なに言ってんだお前」
戦兎の言葉に龍誠が突っ込むが目の前の祐斗の表情は暗いままだ。
「それで?聖剣についての話ってなにかな?」
「なぁに、聖剣の破壊を手伝ってやるって話だよ」
祐斗に何を言っているんだ?みたいな目で見られる中、そう言いながら戦兎がスマホの画面を見せると、それにはマップが写っており、良く見ると赤く点滅している部分がある。
「これは?」
「この間イリナとゼノヴィア?ってやつがうちに来たことあってよ。その時イリナのローブに発信着付けといた。まあ3、4日位しか持たないんだけど教会の関係者がいきなり来たんだしなんかの役に立つかなって思ってな。そんであいつらは今聖剣を探してるんだろ?だったらこれであいつら追いかけて尾行すれば見つかるだろ?」
それ犯罪じゃね?と頬をヒクヒクさせる匙をスルーして、戦兎は言うと祐斗が、
「君に利があるとは思えないんだけど?」
「はぁ?」
君をぶん殴った相手に何故こんなこと?しかも下手すれば教会の領分に入ることになって君達にも責任が及ぶんだよ?そう言う祐斗に戦兎は腕を組み、
「仲間助けるのに理由いるのか?」
「……は?」
は?と言うのは今度は祐斗の番だ。そんな彼の反応に戦兎も首をかしげる。
「何か可笑しいか?」
「いや、戦兎君って基本的にそう言うキャラだったかなって」
祐斗の言葉に戦兎は眉を寄せながら、
「いや俺も結構オカルト研究部での毎日は気に入ってるんだぜ?姫島先輩のお茶は上手いし塔城のお菓子横からかっさらってみたり……」
それをやってこの間塔城に旧校舎中を追いかけ回されたのは良い思い出?だ。
「そんな日常を結構楽しんでるんでね。お前にも無事部活に復帰してもらわないと俺が困るんだよ」
「要約すると、戦兎はなんだかんだでお人好しだからお前の事をほっとけな「サンダーボルトV2!」ほぎゃあああああああああああ!」
余計なことを言おうとするバカを黙らせ、戦兎は祐斗を見る。生きてるよな?と龍誠をつつく匙を尻目に、
「俺はまあ過去を忘れて復讐なんて辞めろっては言えない。前までだったら言ったかもしれないけど」
そう言いながら戦兎の脳裏を過るのは龍誠が死んだときの光景だ。復讐がなにも生まないとかそれは他人だから言えること。そう思うと強く言えない。勿論人を恨みのままに手に掛けるとするなら考えるが見た所剣を壊すことが目的だ。なら使用者にはそこまで興味はないだろう。
ならそれくらい手伝ってやてもバチは当たるまい。教会側が困ろうと知ったこっちゃねぇし。
「よし、つうわけで白昼堂々聖剣を取り返しにはいかないだろうから決行は今夜な。皆ゆっくりしててくれ。コーヒーくらいだすから」
そう言って戦兎が立ち上がると、
「ちょっと待てぇ!」
ん?と声の主を見るとそれは匙。どうしたんだ?と戦兎が首をかしげると、
「そもそもなんで木場は聖剣を壊したいんだ?」
「あぁ……」
理由を戦兎は言おうかと思ったがそれを祐斗が止める。自分で言うから戦兎君はお茶持ってきてくれる?と言う言葉をありがたく受け取り地下室に置いてある冷蔵庫からアイスコーヒーをだして持ってくると、
「木場ぁ!お前も大変だったんだなぁ!」
そう言ってオイオイ泣く匙に祐斗も困った表情だ。
「俺お前はいつも女子にチヤホヤされてる嫌みなやつ程度にしか思ってなかったけど違うんだな!」
「そう言う風に見えてたんだ……」
思わぬ自分の評価にショックを受けてる祐斗を横に匙は燃える。
「こうなりゃ教会の人間だろうが天使だろうが堕天使だろうが何でも来やがれ!俺が相手になってやるぜ!」
シュシュシュ!とシャドーボクシングまでやりだした匙に、戦兎は苦笑いを浮かべてしまった。これは想像以上に単純……もとい、素直なやつだ。
まあいい、夜まで時間があるしその間に研究を進めて、そう戦兎が思ったその時、
「成程。そう言うわけでしたか」
『え?』
突然声が聞こえ、地下の研究室と一階を繋ぐ階段を見るとそこにいたのは何と、
「と、塔城!?」
「どうも戦兎先輩。そして皆さん」
何でここに!?と戦兎が言うと小猫は、
「いえ、何か戦兎先輩がたくらんでる顔をしてたので家まで来てみたら丁度祐斗先輩も来てて、戦兎先輩の家に入っていくので少し時間をおいてから普通に玄関から入りました」
「因みにどこから聞いてたんだ?」
「なぁに、聖剣の破壊を手伝ってやるよ、ってところからですね」
ほぼ最初からじゃねぇか!戦兎はそう叫び、まあお前まで巻き込むわけにはいかないから帰りなよ、と言うが小猫は、
「分かりました。ではこのまま部室に戻って部長に……」
「OK塔城!美味しいお茶菓子があるんだが食べるか!?」
バビュン!と土煙をあげて、これまた研究室に常備してあるお菓子を小猫に渡す戦兎。それを見た匙は、
「仲良いというか尻に敷かれてるような……」
「割りとあの二人絡み多いよな」
「兎と猫だからかな?」
龍誠と祐斗も若干苦笑いが入った顔を浮かべて目の前の光景をみていた。
するとそれに気づいたのか二人は三人を見て、
「どうした?」
「いや、何か奥さんに頭上がらない旦那みたいだなって」
匙の言葉に戦兎と小猫はナイナイと手を振りながら先に戦兎が、
「俺もっと大人っぽい女が好みぐぇ!」
「小さくて悪かったですね」
余計な言葉を付けてレバーブロウを喰らった戦兎は膝をつき、それを見下ろしながら小猫が、
「私ももっと優しくて気遣いの出来る人が良いですし少なくともこの科学バカ……失礼、科学オタクは嫌ですね」
誰が科学バカじゃと戦兎は立ち上がりながら小猫を睨み、小猫も負けじと睨み返す。二人の背後には巨大な兎と猫が火花を散らす映像が見えるがきっとこれは幻想だと思われる。
「上等だ!だったらお前に彼氏ができた暁には片手逆立ちしながらミレニアム懸賞問題解いてやるよ!」
「私だって戦兎先輩に彼女ができたら一週間断食してやりますよ!」
ぐぎぎぎと火花を散らし合う二人、それを見つめる三人はコーヒーを啜って、
「喧嘩始めたぞ」
「喧嘩するほど仲が良いって言うしさ」
そう言って談笑する匙と祐斗だったが龍誠は、
「何か妬けるな」
『は?』