戦兎「助言を受け、吹っ切れた俺達だったが」
龍誠「いやぁしかし皆悩みが多くて大変だなぁ」
戦兎「確かにどっかの単細胞くんには悩みはなさそうでいいなぁ」
龍誠「誰が単細胞だ!」
戦兎「ま、それでも救われるやつがいるんだからいいだろ?」
龍誠「た、確かに?」
戦兎「そんな感じの157話スタート!」
「えぇと、まずは……」
カンペを見ながら、ブツブツと呟いているのはアーシア。
今日は生徒会選挙前の、全校生徒前で行う最後の演説がある。その際には、立候補者達が推薦した人間による、応援演説もある。今回ゼノヴィアの応援演説をするのがアーシアで、最初はイリナという話もあったが、アーシアは現在来年からオカルト研究部の部長予定である。
なので、現在の部員でもあるゼノヴィアの応援演説はアーシアに任せようという話になり、ここ最近ずっとウンウン唸りながら書いていた。
ゼノヴィアも少し緊張した面持ちだが、自信が満ち溢れている。
しかしそこに、
「皆!」
リアスが飛び込んできて、
「再び天界での反乱が起きたそうよ!」
「こんなときに!?」
先程まで自信で満ち溢れていたゼノヴィアも、顔色を変えて立ち上がる。だが、
「お前は演説を済ませてこい!」
龍誠がゼノヴィアの肩を掴み制止するが、
「だが!」
「だけどもなにもないだろ」
反論するゼノヴィアを止めたのは、戦兎で、
「安心しろよ。お前が来るまでもたせるどころか、勝っちまうかもだからさ」
そう言い、リアスたちにも目配せすると、戦兎達は走り出す。
「匙も演説が終わってから来るように」
「え?あ、はい!」
ソーナも匙にそう指示をし、こちらに続いた。
「全くタイミング悪いな」
「仕方ないだろ」
互いにそんなことを愚痴りながら、ベルトを装着し、
『変身!』
魔法陣に飛び込みながら、変身するのだった。
「良いのですな?」
「あぁ」
ストラーダとテオドロは並んで立ち、背後に仲間たちを連れて歩く。そこに、
「来たか」
ストラーダが呟くと同時に、眼の前に戦兎達が魔法陣から現れ、テオドロは憎々しげに睨みつけてくる。
「いいな皆」
「あぁ!」
戦兎はそう言って右手を前に出すと、テオドロの背後にスマホの画面が現れ、戦兎がそこから出現し、テオドロを引き剥がす。
「させん!」
しかしストラーダはその不意打ちにも反応し、拳を向けてきた。だが、
「そっちこそだよ!」
相谷龍誠が割って入り、ガードを破られながらも、戦兎がテオドロを引き剥がす一瞬の隙を作り出した。
「やってくれるな」
「まぁな」
背後の仲間達もテオドロを助けようと動くが、リアスやソーナ達の攻撃で阻まれる。
「さぁ、実験を始めようか!」
「よし行くぞ!」
「うん!」
匙に演説が終わり、応援演説を引き受けた匙の仲間は二人で体育館から飛び出す。
その間にアーシアはゼノヴィアの応援演説を行い、ゼノヴィアの番になる。
息を吸い、ゆっくりと吐き出しながら、壇上に上がると、
「こんにちわ」
まずは当たり障りのない言葉を紡ぎながら、周りを見舞わす。見知った顔や、関わったことのない顔。そして、体育館の隅っこにいるのは、シスターグリゼルダがいた。
彼女には今日、ここに来て話を聞いてほしいと願い、来てもらった。彼女にも、反乱の話は来ているはずだが、それよりこちらを優先してくれたことに、感謝しかない。
そして、
「私は孤児だった」
突然の身の上話に、会場がザワつく。
「昔から一つのことだけに撃ち込んできた。それ以外の道は関係ないと思っていたし、興味もなかった」
流石に教会の戦士として戦っていた事は言えないので、そこは誤魔化しつつ話し、
「だがこの学園で様々な経験を得た。学び舎で友人達と学び、食事を共にし、遊ぶという経験。それは新たな私を作り出した。一つの道以外にも、沢山経験し、そしてこれからもまだ見ぬ経験をしていきたい。そして私が得た分、皆にも経験してほしい。まだ見ぬ世界を知ってほしい。だから私は、誰かのまだ見ぬ世界を見せる手伝いをしたい。そして私自身がもっと沢山の世界を見たい」
そう言って、ゼノヴィアは体育館を見回し、
「それが私が……ゼノヴィア・クァルタが目指す生徒会だ!」
そう宣言し、ゼノヴィアは壇上を後にする。
「行くぞアーシア!」
「もういいんですか?」
「あぁ、全部伝えた!」
ゼノヴィアは制服を脱ぎ捨て戦闘服に着替え、アーシアと共に魔法陣に飛び込む。
そして会場がザワつく中、グリゼルダはそっとその場を後にし、
「全く。勝手に言いたいことを言って好き勝手にどこか行ってしまうのは相変わらずね」
ずっとゼノヴィアを目にかけてきた。将来有望というのもあるが、それ以上にほっておけない危なさがあった。そんな彼女が、今日こうして宣言し、走り出した。
「あなたの旅立ちの祝いと言うには少々安いかもしれないけど、欲しければあげるしかないわね」
ゼノヴィア・クァルタ。いい名前じゃない。そう呟き、グリゼルダは笑う。
「今更
「くっ!」
無数に迫る触手を次々避け、戦兎は隙を伺う。
(どうにか隙があれば渾身のジーニアスフィニッシュを打ち込めるのに……)
悪態を吐きつつ、戦兎は更に速度を上げるが、
「オォオオオ!」
「ん?」
空から何やら声が聞こえ、上を見るとエクスデュランダルを構えたゼノヴィアが落ちてくる。
「はぁああああ!」
「マジかあいつぅうううう!」
全身を虹色に発光させ、最高速度で戦兎はその場を離れると、爆発と轟音と共に、触手が吹き飛び、
「今だ!」
「サンキュー!」
《ワンサイド!逆サイド!オールサイド!》
戦兎は砂塵の中に突っ込み、レバーを回すと、背中から虹色の羽のようなものが現れ、それで砂塵を吹き飛ばすと、テオドロにライダーキックを叩き込む。
「がっ!」
地面をガリガリと削りながら押していき、そのまま蹴った反動で吹き飛ばすと、テオドロの魔獣部分が消失した。
「く、くそ!」
テオドロは魔獣部分が消えても、天使の力はあるため、それを使って反撃しようとしたが、
「は?」
ポカンと思わずしてしまう。それもそのはず、戦兎とゼノヴィアは、テオドロに背を向け走り出していたからだ。
「ま、待て!」
驚きながらもそれを止めようとしたが、
「後は頼んだぜ!」
『あぁ!』
それと入れ替わるように龍誠が変身を解除しながら走ってくると、拳を握って、
「おらぁ!」
「ぶっ!」
何とそのまま殴りつけたのだ。
「立てクソガキ!お前の相手は俺だ!」
「ぐっ……悪魔風情が!」
そして、
「急に逃げ出すからなにかと思ったが、まさか入れ替わるとは」
「ストラーダ殿……いや、ストラーダ!」
エクスデュランダルの切っ先をゼノヴィアは向け、
「貴方の凶行、私が……いや」
ゼノヴィアは戦兎を見ると戦兎も頷き、エクスデュランダルを取り出す。
『(俺)(私)達が止める!』