戦「聖剣を破壊するため、快く引き受けてくれた匙を迎えることになった俺たちだが……」
匙「いやまて!俺は快くじゃなくて半ば恐喝だったぞ!」
戦「なあにいってんの。俺の華麗な話術によってでしょうが」
匙「くそぉ……」
龍「という訳でそんな感じの17話スタート~」
戦「だからそれ俺の台詞でしょうが!」
龍「ここくらいしか俺が出るスペースがないんだよ!」
「ひもじいな……」
「そうね……」
グゥとお腹を鳴らしながらゼノヴィアとイリナが夜道を歩く。
ふらふらと覚束無い足取りで歩く二人だが、日本に来てから戦兎宅で飲んだお茶と公園の水以外口にしていない。
理由は路銀がないのだ。いや勿論それなりのお金は持たされたのだが、それを何とイリナが道端で売ってたペドロだかパウロだかの謎の絵を買ってしまったのだ。しか高額だったため路銀を全てつぎ込んで……
流石のゼノヴィアも切れて返却しに行ったが既に売っていた人は居らず、イリナの背中にはまだ謎の絵が背負われている。
「はぁ、久し振りに本場で日本食食べたかったなぁ」
「そうだな。どこぞの誰かがバカ高いへんてこな絵を買わなければな」
へんてことは何よ!とイリナが言うがすぐに腹が鳴り黙ってしまった。 騒ぐ元気も残っていない。
「とにかく聖剣をさっさと奪取するぞ。そうでなくては帰れもしない」
「でもあても無いわよぉ」
聖剣を持った私たちが歩いていれば向こうからやって来るはずだ。とゼノヴィアはズカズカ歩いている。元気なんだからとため息を吐きつつイリナもそれを追うと、
「聖剣みーつけたっと!」
『っ!』
突如頭上から跳んで来た影にゼノヴィアとイリナは横に跳んで回避する。
「あれは
距離を取りながら自分のエクスカリバーをゼノヴィアは構えた。
「そしてお前は……顔を前に書類で見たことがあるぞ。フリード・セルゼン!」
「おやおや、自己紹介する手間が省けて何よりだぜぇ!」
そう言ってフリードはエクスカリバーを振り下ろすが、それをイリナもエクスカリバーを抜いて対抗する。しかし、
「あん?」
グゥとまた腹が鳴った。こんなときにと思うが空腹なので力がでない。
フリードも若干困惑した表情を浮かべるがそのまま押し込んでくる。
「イリナ!」
そこにゼノヴィアがエクスカリバーを振り下ろすがフリードは素早く距離を取る。
「厄介な能力だな……」
そう言いつつゼノヴィアはエクスカリバーを構えるがグゥと言うお腹からの音にエクスカリバーの切っ先を下ろしてしまう。
「く、空腹でなければ……」
「良くわかんねぇが……チャンスって事だな!」
フリードはエクスカリバーを構え直すとゼノヴィアに襲いかかった。次の瞬間!
「んなっ!」
突然の銃撃にフリードはギリギリ回避したが床に転がる。
「お前らは!」
ゼノヴィアが驚く視線の先には、戦兎がドリルクラッシャーをガンモードにして構えていた。更に、
「あれ?フリードじゃね?」
「知り合いか?」
「前にちょっとね」
「確か捕まったはずなのに……」
龍誠、匙、祐斗、小猫も登場しフリードは眉を寄せる。
「オイオイ。何時から教会は悪魔と手を組むことにしたんだよ」
『手なんか組んでない!』
フリードの言葉にゼノヴィアとイリナが叫ぶ中、祐斗は前に出る。
「安心して良い。僕たちはただ聖剣を壊しに来ただけだからね」
祐斗は魔剣を作り出しながら言うと、一気にフリードとの間合いを詰めて斬撃を繰り出した。
「おい。祐斗のやつ一人でいったぞ」
「俺たちもいくぞ!」
戦兎は龍誠に言いながら、ビルドドライバーを出すと装着する。すると、
「あぁ、忘れてた」
そう言って戦兎がもう一個ビルドドライバーを取り出し龍誠に渡した。
「お前の分だ。壊すなよ」
「お!サンキュー戦兎!」
龍誠も礼を言いながらビルドドライバーを装着し、二人はそれぞれフルボトルを出して振る。
それと同時に数式が空中に浮かび、匙やゼノヴィア達はなんだこれはと見てる中、
「さぁ、実験を始めようか」
「来い!クローズドラゴン!」
《ラビット!タンク!ベストマッチ!》
《ウェイクアップ!クローズドラゴン!》
戦兎はベルトにフルボトルを挿し、龍誠はクローズドラゴンにドラゴンフルボトルを挿してからベルトに挿した。
そしてレバーを回して周りにフレームが形成されると構えて、
『変身!』
《鋼のムーンサルト!ラビット!タンク!イエーイ!》
《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!》
「なんじゃありゃあ!?」
背後で匙が 驚いているが今は祐斗の援護が先だと無視して戦兎はドリルクラッシャーを、龍誠はビートクローザーを手に走り出す。
「うっそお!?」
「
驚くイリナとゼノヴィアも通りすぎて戦兎と龍誠は一旦フリードと距離を取った祐斗の後ろから飛び出すとフリードに飛び掛かる。だが、
「速い!?」
一瞬で背後に回られた。戦兎は驚愕するが同時に防御が間に合わず切られる。
「ぐあ……」
「戦兎!」
前によろめきながら振り返ったときにはもういない。何て言う速さだと龍誠に駆け寄られながら戦兎は呟く。
純粋な速さならナイトの祐斗に匹敵する。だがアイツは普通の人間だったはずだ。これがエクスカリバーの力と言うやつなのだろうか……
「しっかしかてえなぁ……普通の悪魔なら聖剣で一発チョンパなのにそのアーマー。火花散らすだけで切り傷がつかねぇ」
「科学なめんなファンタジー」
そう言いながら戦兎は作動するかと思案する。だがフリードは、
「まあ良い。ドンドン行くぜぇ!」
すると今度はフリードは姿が突然見えなくなり、戦兎達に襲い掛かる。
「なんだ!?」
「姿を消す力か!」
祐斗はそう叫びながら咄嗟に魔剣で背後の殺気に反応しガードした。だがすぐにその殺気は遠ざかり、戦兎や龍誠に襲い掛かる。
「ぐぁ!」
「いで!」
二人は武器を振り回すが出鱈目に振って当たるわけがない。
「二人とも!殺気を探るんだ!」
『そんなの分かるか!』
祐斗の助言も役に立ちそうにない。等と思っていたところに今度は小猫が飛び出し二人から見たら虚空を殴ると激しい音と共に姿が見えるようになったフリードが吹っ飛んだ。
「あっぶね!エクスカリバーでガードしてなかったら死んでるっつうの!」
そうギャーギャー騒ぐフリードを尻目に戦兎は小猫に話しかける。
「何でわかったんだ?」
「匂いです」
こいつそんなに鼻良いのかよと戦兎は溜め息を吐く。そこに匙が来て、
「あいつの足を鈍らせることが出来るんだけど」
「マジか!?」
ああ、と龍誠に匙は頷く。だがそれには相手の姿が見えることと一瞬で良いから相手が止まってくれないと厳しいらしい。
一見厳しい条件だが、戦兎には妙案がある。と言ってボトルを出すとベルトのと交換する。
《オクトパス!ライト!ベストマッチ!》
『あ!ベストマッチ!』
「へ?」
匙を除き驚く中、戦兎は仮面の下で笑みを浮かべた。
「新ベストマッチきたー!」
ヒャッホイ!と戦兎はレバーを回して、
《Are you ready?》
「ビルドアップ!」
《稲妻テクニシャン!オクトパス!ライト!イエーイ!》
桃色のタコをイメージさせる半身と、薄黄色の電球をイメージさせる姿に変わった戦兎は小猫に指示を出す。
「塔城!来たら教えてくれ!」
「はい!」
小猫が返事をすると同時にフリードが走りだし、また姿を見えなくしてきた。
「確かにそのチビさんの鼻は厄介だなぁ!だがこれに速さを加えれば!」
そう言って姿が見えないので音で判別するしかないが、確かに速度もあげてきたらしい。しかし小猫は、冷静に呼吸を整える。チビと言われたのは腹が立ったが今は自分の嗅覚だけが便りなのだ。
自分の仕事をきっちりこなす。その信念を忘れず小猫は、敢えて眼を閉じて意識を嗅覚に集中させる。音も無視する。この速さでは音による判別も枷になりかねない。
そうして全神経を嗅覚に集中させ、小猫はカッと眼を開いた!
「右です!」
「全員眼を瞑れ!」
小猫の声に戦兎は新たな指示を出しつつライトフルボトルによる半身の肩にある電球を発光させる。
「ぐぁ!眼がぁ!」
突然の強い発光はフリードを怯ませ、動きを止めた。更に、
「あらよっと!」
「ぶべっ!なんじゃこりぁあ!」
戦兎は今度はタコの方の腕から墨を撒き散らす。すると墨を掛けられフリードはペッぺと口に入った墨を吐き出す。
「ほら匙。今だ」
「成程な!」
眼を眩ましたとはいえ、フリードはまだ透明のままの筈だ。だが匙は相手に左手を向けると、
「
それと同時に手甲のようなものが現れ、そこから一本の紐が射出されるとフリードの足に巻き付いた。
「な、何で俺の場所が……」
「自分の体を見てみろよ」
俺の体?とフリードは自分の体を見ると驚愕する。それはそうだろう。なにせ自分の体には墨がベットリ着いており透明化してるのにしっかり自分の姿は分かってしまうのだ。
「はぁ!」
そこに祐斗が斬りかかる。それをフリードは弾きつつ匙の
「くそっ!厄介だな!」
とにかく離れねえと、とフリードは逃げようとするが匙がラインを引っ張って足止めをする。
「いくぞおらぁ!」
《Ready Go!》
動きが止まった今が好機と龍誠はレバーを回し、エネルギーを右手に集めながら走り出した。そして!
「おらぁ!」
《ドラゴニックフィニッシュ!》
「ぐぁああああ!」
龍誠の渾身の蒼炎を纏った右ストレートはフリードを吹き飛ばし壁に叩きつける。
「どうだ!」
龍誠は吹っ飛ばしたフリードを見ながら言う。すると、
「この……くそ悪魔風情がぁ!」
殺気を撒き散らし、龍誠のアレを咄嗟に聖剣で受けていたが喰らっても立ち上がる姿は本当に人間か疑いたくなるが人間なんだろう。多分。
「上等だ!くそがくそがくそがぁ!」
エクスカリバーをガンガン地面に叩き付けながらこちらに来るフリードに皆は構える。
だが突然、そこに初めて聞く男の声が響いた。
「フリード。随分苦戦しているじゃないか」
『っ!』
突然の声に全員がその方を見る。そこにいたのは初老の男性だ。服装的に教会の人間か?
「誰だ!」
「私か?私はバルパー・ガリレイと言う者だが」
その名を聞いた瞬間。祐斗はカッと眼を見開き殺気を溢れさせる。
「そうかお前が……聖剣計画の責任者だった男か!」
「ふむ。懐かしい名前を出してきたがお前何者だ?」
「僕は聖剣計画の生き残りだ!」
バルパーはキョトンとした後祐斗の顔を見て突然笑いだした。
「はははははは!そうか!お前はあの時逃した小僧か!まさか生きていたとはなぁ!」
「何がおかしい!」
そう言って祐斗は魔剣を構え直すが、バルパーは涼しい顔で、
「ふむ。残念だがまだ死ぬわけにはいかんな。帰るぞフリード」
「帰るぞって言われてもこの紐が邪魔なんだけどオッサン!」
「聖剣の因子の力を込めてみろ。それで斬れる筈だ」
え?そうなの?とフリードは何か力を込める動作をすると聖剣を振り下ろした。
するとさっきまで斬れなかったラインをあっさり切ってしまった。
「うっそだろ……」
斬られた匙も驚く中、フリードは懐から缶を取り出すと、
「ほんじゃまバイビー!」
『待て!』
全員で取り押さえようと動くが、その前にフリードは缶を頬り投げるとそれが光を発して今度はこっちが眼を眩まされてしまった。
「くそ!」
「あ!待て木場!」
眩んだ眼が戻ると同時に祐斗は走り出して行ってしまう。既にフリード達の姿はないが、それでもこのまま と言うわけにはいかなかったのだろう。
「そしていつの間にかイリナ達も居ないと」
変身を解除しながら戦兎が言うように既にイリナ達はいない。混乱の間に逃げたか……いや、彼女達のことだ。フリード達を追ったのだろう。死なれると目覚めが悪いので死ななきゃ良いが……
「さてこれからどうしようかねぇ」
「ホントどうしてくれようかしらねぇ」
『……え?』
龍誠の何気ない呟きに返される言葉。だがその声は知っているがこの場にはいない筈の声で……
『げぇっ!部長!?』
「と会長!?」
嫌な予感をビンビンに感じながら振り替えるとそこにはにっこり笑いながら怒りオーラを微塵も隠すつもりがないリアスとソーナが仁王立ちしていた。
「貴方達。何で私が怒ってるか何て言うまでもないわね?」
「匙。尻叩き千回です」
サァーと匙の顔色がミルミル悪くなっていく。だが匙は逃げることはせず大人しく背を向けた。既に戦意を削がれている。
「そうね。説教は後にしてこっちも同じにいきましょうか」
「全員逃げろ!」
戦兎の言葉に龍誠と小猫も走り出す。三人の心はまだ折れていない。まだ走れる!と思ったのだが、
「
「うわ!」
「うぉ!」
「きゃ!」
匙は
「何すんだ匙!」
「お前らだけ逃がすかぁ!地獄に落ちるなら道連れじゃい!」
ふっざけんな!と龍誠が叫ぶ隣で戦兎と小猫も叫ぶ。
「戦兎先輩!どこ触ってんですか!」
「アホか!スリーサイズ全部一緒のボン!キュ!ボン!ならぬキュ!キュ!キュ!ボディじゃ触る物もねぇだろうがいでぇ!」
「ありますから!ちゃんとありますから!」
「何
ギャイギャイ騒ぐ3人にリアスはコメカミをビクンビクン躍動させながら目の前に立つ。
「余裕そうね。これなら一人二千回にしとこうかしら」
『いぃ!』
手に魔力を集め、振りかぶるリアスの姿が最後の記憶だ。正直、この後のことは思い出したくない。いい歳して美少女に尻叩かれるとか自己嫌悪物だし、思い出すと尻が痛くなるから……
因みに匙も千から二千に増やされたのは、まぁどうでも良い余談だ。
「全く。無茶するんだから」
『ごめんなさい』
尻叩き地獄から解放された後、匙はソーナに連行されていったので、戦兎の地下研究室には匙の代わりにリアスを加えた四人に、龍誠を探して戦兎宅に来ていたアーシアを入れた総勢五人でいた。
「私も声を掛けていただければ……」
「わ、悪かったって」
頬を膨らませるアーシアにしどろもどろしながら言い訳する龍誠を尻目に、戦兎ははんだ付けを行う。
「それで戦兎は何してるの?」
「ビルドの強化アイテム作りです。もう大体の基礎はできてて後は組み立てるだけなんですけどね」
そう言いながらリアスに新しい強化アイテムの簡単な完成図を見せた。
「かなり大きいわね。ボトルって言うより缶って感じじゃない」
「えぇ、最初はこれ単体で作ろうとしたんですけど、どうしても上手くいかなくて次にベストマッチ成分を組み合わせてみたらラビットタンクなら拒絶反応がありませんでした」
見つけたの俺だけどな?という龍誠は無視して、
「しかもラビットタンクの成分と魔力を組み合わせていたら成分が活性化しましてね。この活性化した成分を用いて今までにないビルドを作ることができるはずです。このビルドなら今まで出来なかった変身中に
「え?変身中に
「アレが可笑しいんですよ」
あんだと!?と龍誠が怒っているがまた無視だ無視。
「ただ魔力で成分を活性化させる都合上変身中もある程度高い魔力を維持しなきゃいけないんでこれ使うときは実質ビジョップ一択何ですけどね」
そう言いながら試験管の中でパチパチと炭酸のように弾けていた成分に管を差し込みもう一方を組み立てた缶に繋ぐと、
「これで完了。後は成分の抽出さえ終われば……っ!」
『っ!』
ガタッ!と五人は勢い良く立ち上がり、上を見た。
「この悪寒は聖剣の?」
「とにかく外に出ましょう!」
リアスの言葉に全員が頷き大急ぎで外に出る。するとそこに立っていたのは、
「フリード!」
「さっきぶり~」
てめぇ性懲りもなく!と龍誠と戦兎はベルトを出すが、それ以上の何かを感じて空を見る。
皆の直感は正しかった。そこには一人の男がいた。漆黒の翼は堕天使の証。だが翼の数が多い。レイナーレは左右一本ずつだったのだがこいつは三本ずつだ。だが聞いたことがある。これは悪魔や天使にも見られるらしいのだが、上位になると翼の数が増えるらしい。つまりあれはレイナーレ以上の存在だということか。
「ふふ。まずはこれを返そう」
「なっ!」
そう言って男が放り投げてきたのを龍誠がキャッチすると、それはイリナだ。かなり手酷くやられたらしく、息も荒いためアーシアに託して治療させる。
それから空中の男を見て、
「てめぇ!なにもんだ!あと他の二人はどうした!」
「そう言えば名乗ってなかったか。俺の名前はコカビエル。そいつの他にも確かに二人いたが逃げられてな。まぁ良い。俺の計画には差し支えないからな」
計画ですって?と龍誠に続いてリアスが問う。
「何が目的なの?」
「なぁに。簡単な目的だよ。俺はまた闘争を起こしたいのさ!」
闘争を?どういうことだ?と戦兎達は首をかしげる。その反応にコカビエルは言葉を続ける。
「お前達も先の大戦は知っているだろう?あの頃はよかったよ。毎日のように戦いが起こり、血が舞う素晴らしい日々だった。だが戦いは終わり、退屈な日々に変わった。それでもいつかまたあの楽しい日々が戻ってくると信じていたがアザゼルの奴はもう戦いはないといった上に
まさかこいつはまた戦いたいからという理由で大戦を起こしたいのか?だとしたら迷惑すぎることこの上ない。だがリアスはあくまでも冷静に言葉を発した。
「なら何故この地で暗躍しているのかしら?」
「なに、魔王・サーゼクスの妹である貴様を殺せば腰の重いアイツも俺に激情を向けるだろう?」
『っ!』
コカビエルの言葉に、考えるより先に戦兎達は体が動きが盾になるように前に立つ。それを見たコカビエルは笑みを浮かべる。
「良い眷属だ。だが安心しろ。ここでやっても面白くない。ゲームをしよう。会場はお前達が守っている駒王学園でな」
「ゲームですって?」
そうだ。とコカビエルはリアスに返した。
「ルールは簡単。俺は駒王学園に細工をする。あそこは地脈の中心でな。彼処に手を加えるとこの街一帯を消し飛ばせる。お前達はそれを阻止するだけだ。簡単だろう?」
「なっ!待ちなさい!」
では待ってるぞ。コカビエルはそういうと、こちらを見ることはなく飛び去ってしまう。その間にフリードも立ち去っており、この場にはリアス達しか居ない。
「すぐに全員を集めるわ!」
『っ!』
リアスの言葉に全員が頷く。何がなんでもコカビエルを止めなくてはならない。それは誰もが思った決定事項だ。だが、
「部長」
「どうしたの戦兎」
俺ちょっと遅れて合流して良いですか?と戦兎が言うとリアスはすぐに、強化アイテムの完成に思い至った。
「間に合いそうなの?」
「間に合わせて見せます」
分かったわ。そうリアスは言って戦兎以外に指示を出す。
「他のメンバーを駒王学園前に集合させ、コカビエルと戦う。後ソーナにも連絡を取っておきましょう」
その言葉に全員が頷く。今までとは比べ物にならない戦いが目の前に迫っていた。