龍誠「戦兎のお父さんが明かした真実。そしてその死。それは確実に戦兎の中に傷をつけた。だが俺は信じてるぜ!必ずあいつは立ち上がるってな!さぁて皆誘ってお菓子持ってくかぁー!おっと、そんな感じの、167話スタートだ!」
忍の死から一週間後。戦兎は研究室でボーッとしていた。
先日父の葬式が終わり、やることもない。
あの後一誠は、太平洋に巨大なアジトを作り出し、そこで時期が来るまで待つつもりらしい。
だが今の戦兎は、その話を聞いても呆然としていた。父の背負っていたもの。たった一人で戦っていたこと。知った情報の多さに、戦兎は思考を放棄していた。
すると、
「やっほ。戦兎」
「黒歌?」
フラリとやってきた彼女に、戦兎は視線だけ向けた。
「いつまでも落ち込んでるんじゃないの」
「うるせぇな」
戦兎が悪態を吐くと、黒歌は前に回り込んでくると、
「えい」
「むぎゅ」
胸で包み込むような抱きしめ方に、戦兎は驚いたが、黒歌はそのまま戦兎の頭を撫でた。
「あなた。葬式の時も泣いてなかったでしょ。今なら私以外誰もいないからさ。ね?」
「……うぅ」
戦兎は声を殺して泣いた。
「おれは……さいていだ。父さんにひどいことを言った」
「うん」
「おれ……おれ……」
言葉も支離滅裂で、会話になるような話し方ではない。だが黒歌は頷いてくれる。
「大丈夫。あなたのお父さん。あなたのこと恨んでなんかいない。寧ろ誇らしげだった。かっこよかったじゃない」
「あ、あ、ぁ……」
嗚咽を飲み込み、泣き続けた。そして落ち着くと、
「すまん」
「良いのよ」
戦兎の涙と鼻水で汚れたシャツを拭きつつ、黒歌はUSBを渡してきた。
「さっきアザゼルから預かったの。戦兎のお父さんの研究部屋に隠されてたんだってさ。それで見てみたんだけど、中身はなんてことのない日記だった。でもそれにしては隠し方がイヤに厳重だったんだって。だからアンタなら」
「……わかった」
戦兎はそれを受け取り、パソコンに接続。確かに中身はなんてことのない日記だ。
「隠しファイルか?」
検索で、ビルドとか仮面ライダーとかそれらしい言葉を打つが、ヒットはない。
「解析には時間がかかりそうだ」
時間は一ヶ月もない。急がなければ。そう思っていると、
「おーい」
「ん?」
研究室の扉から皆が顔を覗かせていた。
「何してんだ?皆」
「いや何してんのかなって」
そう言って仲間達がぞろぞろ入ってくると、その手にはお菓子やジュースが握られている。
「まぁひとまず、これで騒ごうぜ」
「あのな。俺はいま忙し」
と言おうとしたところで、祐人とゼノヴィアに捕まり、強制連行である。
「全く」
こいつらがいると作業もできねぇ。と言いながら戦兎は笑う。
父には俺を超えた。とか言われたが、今はそうなのかわからない。でも父にあって、自分にないもの。それはこの仲間たちだ。
自分はひとりじゃない。それだけでも、十分何じゃないだろうか。そう思った時、
「そう言えば何でここに黒歌いるんだ?」
と龍誠が余計なことをいう。いやまさか泣いてたとは言えねぇよなぁ。と思い、頼むから誤魔化してくれと目配せすると、
「ちょっと戦兎にベトベトに汚されちゃった」
『……』
ビキィっと空気が凍りついた。いや間違ってないけどね?間違ってないけどその言い方は語弊を招くというか……と思った時、背後に般若の気配を感じた。
恐る恐る振り返ると、そこには小猫が立っており、
「どういう、ことですか?」
「いやあのその」
「もう白音そんな顔しちゃって。駄目よ。戦兎にだって言えないことあるんだから」
だから何でそういう事言うかなぁっと戦兎は内心慟哭を上げたが、
「へぇ?」
「あばばばばばば」
益々小猫のさっきが強まり、戦兎はガタガタ震える。
「詳しく聞きましょうか」
「か、勘弁!」
殺される!と確信し、戦兎は逃げだし小猫が追いかける。
「やれやれー!」
そして皆はそれを肴にジュースとお菓子を食べ始めた。
「ふ、ふざけんなぁああああ!」
戦兎は叫ぶが、どこか楽しそうに、小猫から逃げ回るのだった。
物語はもうちょっとだけ続くんじゃよ