戦兎「小猫達の父親との戦いから暫く経ち、俺達は兵藤一誠への総攻撃を開始する!」
龍誠「何度もしてやられたけどよ、今度という今度は勝つぜ!」
戦兎「という感じの168話スタートだ!」
託す者
2月最後の日、戦兎達は集まっていた。
「間に合わなかったな……」
「何が?」
「あいや。なんでもない」
龍誠の問い掛けに答えながら、戦兎はビルドドライバーを装着し、
「終わらせよう」
「あぁ!」
変身しながら走り出すのだった。
全勢力を集結させ、兵藤 一誠を叩く。そう伝えられたのは、小猫達の父親との戦いの後だった。
世界中の神話体系も一同に集結し、一誠を倒すために動くそうで、その前線に戦兎達はいた。
だが、
「敵襲!」
そこに襲い掛かってきたのは、天を覆い尽くす程の魔獣達で、悪魔の羽が生えている。
聞いていた人造悪魔というやつだろう。
「一体一体の魔力が殆ど最上級クラスだなんて」
リアスは気後れしそうになるが、喝を入れて前を見る。
「目指すは兵藤 一誠よ!一点突破!」
『はい!』
強引に突破しながら、戦兎たちが進むと、
「来たぞ!」
そこに降ってきたのは、ヘルクローズ、グリスブレイク、イービルローグの3人が魔獣を引き連れて現れた。
「俺達に任せろ!」
しかしそれを、ヘルクローズには匙達シトリーチーム、グリスブレイクにはヴァーリチーム、イービルローグにはサイラオーグチームがぶつかる。
「頼んだ!」
戦兎達は、その横を抜け、更に進むと、
「っ!」
海上に巨大な魔獣が出現し、戦兎達に食種が襲い掛かるが、
「はぁ!」
アザゼル達堕天使が光の槍を降り注がせ、
「いけ!」
「あぁ!」
足止めしてくれている間に、更に進む。
その時空から光線が降り注ぎ、
「今度は何だ!?」
《宇宙から光線を撃っている魔獣がいるようです!》
通信で連絡が入り、宇宙ではすぐに対処出来ないとなったリアスが戦兎をみて、
「この際光線は無視するしかないわ!」
「わかりました!」
全員で避けながら更に進む。道中邪魔する魔獣は他の人達が対処し、そして!
「兵藤一誠!」
「んー?」
遂に一誠の眼の前に来ると、戦兎はフルボトルバスターを振り上げ斬りかかる。だが、
「なに?」
刃を押し当て、回転させているのに切れない。というか、火花すら散らない。
「どけ戦兎!」
「私達がいきます!」
龍誠と小猫が戦兎と入れ替わり何度も殴るが、ダメージはない。
「なら僕たちが!」
そこに祐人とゼノヴィアとイリナが斬りかかるが、同じく効果がない。
「皆どいて!」
それを見たリアスが、朱乃とロスヴァイセとギャスパーと同時砲撃。だが土煙を上げるだけで、効果はなかった。
「俺の新たな力。
そう言って一誠が腕をふると、その衝撃波で全員が吹き飛ぶ。
「がはっ!」
近くの岩に叩きつけられ、血を吐くリアスの元に、一誠はやってくると、
「まずはお前だ」
「部長!」
そこに戦兎が割れて入り、一誠の拳を受け止めるが、衝撃で仮面が割れてしまった。
「この!」
《Ready Go!ジーニアスフィニッシュ!》
戦兎はそれでも構わずジーニアスフィニッシュを発動し、拳にのエネルギーを集めて殴る。だが一誠には効果がなく、一誠は戦兎を殴り飛ばす。ただそれだけなのに、戦兎は海面を跳ね、変身が解除されてそのまま沈みそうになる。
「戦兎先輩!」
それをギャスパーが回収し、黒い霧でリアスも撤退させる。
「ハハハ。コイツは最高だ。俺はまさしく最強になったってことだなぁ!」
そう言ってゲラゲラ笑う一誠だったが、そこに降り立つ人影を見て、
「サーゼクス」
「兵藤 一誠。久しいね」
マントを脱ぎ捨て、一誠を見つめるサーゼクス。すると、二人を中心に結界が貼られた。
「ん?結界か?」
一誠は興味なさげに見ていると、
「お兄様!」
リアスが叫ぶ。しかしサーゼクスは笑みを浮かべ、
「大丈夫だ。少し危ないから結界を張っただけだ」
と言った次の瞬間、サーゼクスの全身を滅びの魔力が包み、肉体が変化していく。
「成程。そう言えばお前には真の姿があったか」
生まれついての異能であり異常者。存在してはならない怪物。それが超越者サーゼクスであり、その真の姿は滅びの魔力が人の形となった姿。
「行くぞ」
サーゼクスは滅びの魔力発射。しかしそれは一誠に届く前に消えてしまう。
「ならば!」
サーゼクスは直接殴りかかるが、サーゼクスの拳が触れる瞬間に、逆に腕のほうが消えてしまった。
「なっ!」
「残念だったなぁサーゼクス。アンタも力でも俺には敵わない。寧ろ、相性最悪さぁ!」
《Ready Go!ロンギヌスブレイク!》
一誠はゆっくりとレバーを回し、サーゼクスに蹴りを放つと、サーゼクスは吹き飛び、結界もその衝撃で破壊される。
「あなた!」
そこにグレイフィアが降り立ち、近づくと、ボロボロの普段の姿に戻ったサーゼクスが転がっている。
「アハハ!最高だ!サーゼクス相手にもこれならなぁ」
一誠はレバー再び回すと、今度はエネルギーを頭上に集め、巨大なエネルギーボールを作り出す。
「さぁ、全員消し飛べぇ!」
そしてそれが地面に落ち、爆発が起きる瞬間。
「おぉ!」
「っ!」
サーゼクスは最後の力を振り絞り、その衝撃からグレイフィアを守った。
「あなた!」
「そこから動くな!」
前方に滅びの魔力を展開し、衝撃を止めるがそれも突き抜けてくるのは肉体で防ぐ。
「おぉおおおおおおお!」
「ごほっ!」
爆発で吹き飛んだ龍誠は、近場の島に転がり、変身が強制解除されながらも立ち上がる。
口の中は血の味と砂でジャリジャリ言うのを耐え、周りを見回す。
一誠の攻撃で、敵味方関係なく吹き飛び、遠くで戦いが続いている状態だ。すると、
「よう龍誠」
「兵藤 一誠!」
龍誠は身構えようとするが、全身に走る痛みに膝をついてしまう。
「これで分かっただろ?俺にはお前たちは勝てない。今日はこれで終わりにしてやるよ。俺は優しいからな。ちゃーんと卒業式の日まで待っててやるよ。それじゃあチャオ〜」
そう言って、一誠は笑いながら姿を消す。
それと同時に、遠くで起きていた戦闘も急に静かになっていく。恐らく一誠と共に撤退していったのだ。
「クソ!」
地面に拳を叩きつけ、龍誠は歯を噛みしめる。だがいつまでもこうしてはいられない。
「皆の安否を確認しないと」
龍誠は重い足取りで歩き始める。そしてそこにいたのは、
「お兄様!」
リアスとグレイフィアに寄り添われながら、アーシアの治療を受けるサーゼクスの姿だ。
「サーゼクス様!」
龍誠も駆け寄ると、既に治療が行われたらしい戦兎が待てと止めた。
これはもう……とは言いたくなかった。だが明らかにもう手遅れだ。
「そんな……」
誰か嘘だと言ってくれ。そんな思いが胸に去来する間に、他の面々も集まってきた。全員かなりの重症を負っている。だがサーゼクスよりマシだろう。
「やぁ、皆集まってきたみたいだね」
そんな中、サーゼクスは優しげな声音で話し、
「悪いがアーシア君。治療だけは続けてほしい」
サーゼクスはそう言いながら、グレイフィアを見る。
「怪我はないかい?」
「はい」
「それは良かった」
グレイフィアはボロボロと泣き、サーゼクスは困ったような顔をした。
「そんな悲しそうな顔をするな。愛する女性を守れたんだ。後悔はない。ミリキャスのこと、頼んだよ」
そう言って、リアスを見る。
「リアス。あまりわがままを言って、皆を困らせてはいけないよ」
「お兄様……」
そして今度は、戦兎と龍誠を見て、
「戦兎君。龍誠君。覚えてるかな?魔王の心構えの話」
「は、はい」
確か、まだ悪魔になってすぐの頃に、サーゼクスが遊びに来たときに聞いた話だ。だが確か、あのときは秘密だと言われた気がする。と思っていると、
「僕が思う魔王の心構え。もしくは上に立つ者の心構えと言い換えても良い」
それはね?とサーゼクスは続けると、
「誰かに自分の夢を託せる者だ。上に立つ者は、夢を持たなければいけない。何故ならその夢を共に見たいと思うから、民はついてくる。だが時には夢半ばで倒れることもある。その時に託せる者を育てなければならない。託せる者を見つけ、育て、そして時が来たら託す。そうして意思は受け継がれていくものだ。だから戦兎君。龍誠君。君達に僕の夢を……冥界の未来を託したい。誰もが平等に笑える未来を、皆が幸せに暮らす未来を……」
そう言って伸ばす手を、戦兎と龍誠は掴み、
「任せてください」
戦兎の言葉に、サーゼクスは嬉しそうにほほえみ、天を見上げる。
「これで、安心だ」
サーゼクスの瞳はゆっくり閉じられ、力が抜けていき、その生涯の幕は閉じられるのだった。