戦「戦いの快楽に溺れるコカビエルを倒すため、皆のヒーロー桐生戦兎は新たなビルドに変身して戦闘を開始する」
龍「しかしお前絶妙なタイミングでやって来たよなぁ……実は近くで待機してたりしてな」
戦「……さぁと言うわけでやっていきましょう19話!」
龍「今の間はなんだよ!」
「せぇ……の!」
戦兎は腰を落とすと、足に炭酸のような泡を発生させ、それ破裂させるとその反動を利用してコカビエルとの距離を一瞬で詰める。
「速い!?」
「まだまだこんなもんじゃないぜ?」
後ろからの祐斗の声に律儀に反応しながら、腕から伸びる棘を用いてコカビエルを斬り、突き刺し、そして殴る蹴る!その際に泡のようなエフェクトが起きた。
「ぐっ!」
コカビエルは急所は剃らしつつ下がり、
「面白い……俺を楽しませろよぉ!」
そう叫びながらコカビエルは光の槍を両手に作ると戦兎に襲い掛かる。それを見た戦兎は素早くドリルクラッシャーと四コマ忍法刀を取り出し光の槍を弾く。
「おいおい。忍者フルボトル使ってないのに四コマ忍法刀使えるのか!?」
この姿ならビルドの装備全部使えるよと龍誠に言いながら、戦兎は四コマ忍法刀のスイッチを四回押す。
《隠れ身の術!ドロン!》
「むっ!」
突然の煙幕にコカビエルが一瞬怯むが、腕を払って煙幕を払った。だが、
《10!20!30!40!50!60!70!80!90!100!フルバレット!》
《Ready Go!ボルテックブレイク!》
ドリルクラッシャーをガンモードに変えてハリネズミフルボトルを挿してからホークガトリンガーを構えて発射!無数の弾丸とハリネズミの針のような弾丸をそれぞれ炭酸の泡を纏わせて飛ばしまくる。
「しゃらくさい!」
それをコカビエルは後ろに跳びながら光の槍を何十本以上作り出し、当てて防ぐ。
《各駅電車!急行電車!快速電車!海賊電車!》
「はぁ!」
しかし、戦兎はその攻撃のぶつかり合いで出た土煙の中でもコカビエルを見失わずカイゾクハッシャーを構えてチャージし、先程と同じように炭酸の泡と共に発射。土煙と共にコカビエルを吹き飛ばした。
「がは……いいぞ。そうだ!やはり戦いはこうでなくてはな!」
コカビエルはケタケタ笑いながら戦兎に突進し光の槍で狙う。それを戦兎は両腕の棘で止めて弾くと泡のエフェクトを出しながらコカビエルにパンチを叩き込み、足の泡を破裂させて高速移動。
素早く後ろに回り込んでパンチとキック!コカビエルが振り替えると、再度高速移動して上から一撃を叩き込みながら後ろに回ってキックと、コカビエルを翻弄していく。
「ぐぉ!」
「おらおらぁ!」
コカビエルが怯むが戦兎は手を緩めない。コカビエルはさっきから攻撃を入れているのに止まる気配がない。まあ言動や行動を考えて全うな神経のやつではない。
動けなくするまで油断はできないだろう。
「ぐっ!」
流石にキツくなったのか、コカビエルは強引に空を飛んで距離を取った。しかし、
「逃がすかよ!」
《Ready Go!》
戦兎はバラの模様が入ったローズフルボトルをドリルクラッシャーに挿して、ガンモードの銃口をコカビエルに向けると発射。
バラの黒い茨のようなものが銃口から伸び、コカビエルに巻き付く。
「ぐぁああ!」
勿論それには鋭い棘が体に喰い込み、コカビエルは苦悶の表情を浮かべながら地面に引きずり下ろされた。
そして戦兎はドリルクラッシャーを捨てると、
「勝利の法則は決まった!」
決め台詞共にレバーを回し、エネルギーを高める。それと同時にベルトに挿した缶に描かれてるビルドの顔の眼の部分が発光し、戦兎は大きく飛び上がった。
《Ready Go!》
そして、空中に飛び上がると右足に無数の泡を纏わせて一気に急降下する。
《スパークリングフィニッシュ!》
「上等だぁ!」
しかしコカビエルは光の槍を今までのものとは比べ物にならない大きさにして作り出すと、急降下してきた戦兎に放つ。
だが戦兎は避けないどころか、寧ろ更に勢いを着けて光の槍を迎え撃った。
「おぉおおお!」
バチバチ火花を散らし、拮抗する。しかし戦兎は更に泡の量を増やし、光の槍を弾くとそのままコカビエルに向かって蹴りを放つ。
「ぐぁああああああ!」
まず大量の泡がコカビエルを襲い、それが破裂しコカビエルの体を痛め付け、そこに本命の蹴りが刺さると、
「これで終わりだぁあああああ!」
「ああああああああ!」
戦兎の必殺の一撃は、コカビエルを後方の体育館の壁まで吹き飛ばし、そのまま壁を突き破り、反対側の壁に激突して漸く止まり、コカビエルは意識を失ったのだった。
「いっちょあがりっと」
「お前めっちゃすげェな!」
戦兎は手をパンパン叩いて埃を払うと、龍誠がやってくる。
「だろ?マジでヤバいでしょ?凄いでしょ?最高でしょ!?」
イエーイ!とハイタッチを一つして、他のメンバーとも合流した。
「折角
「いやいや、話を聞いてただけだけど皆凄かったよ」
「あぁ!そうだよ戦兎!いつの間に俺のベルトに細工を!」
祐斗の苦笑いに戦兎が答えて龍誠が騒ぐ。それを戦兎は、なにも聞こえませんね~っと聞く耳を持たない。
そんな様子に皆は笑い、
「ほら、コカビエルを捕縛して帰りましょう。取り敢えず落ち着ける場所でアーシアを起こした方がいいでしょう」
そう言い、背中にアーシアを背負いながらリアスはゼノヴィアを見る。
「貴女はどうするの?」
「取り敢えず聖剣を回収する……」
ゼノヴィアはフラフラしながら砕けたエクスカリバーを回収し、じゃあこっちはコカビエルを……と皆で体育館に向かおうとした瞬間!
「まさかコカビエルを倒すとはな。予想外だったよ」
『っ!?』
突然目の前にシュタっと着地した存在に、皆は身構える。
白と言うか銀髪の髪にスラリとした長身のイケメン。だがこの場に平然としているだけでも、ただ者じゃないことが分かった。
「誰だ、お前……」
戦兎は拳を構えるが、相手は待て待てとストップを掛ける。
「俺はお前らと事を構える訳じゃない。俺はコカビエルを回収しに来ただけだ」
「ヴァーリ……」
事情を説明する中、コカビエルが出てくると相手の男をヴァーリと呼ぶ。それを聞いたヴァーリはタフな奴だ、と呆れたような声をした。
「アザゼルからか……」
「分かってるなら話しは早い。俺に叩きのめされてから戻されるか、自分の意思で帰るか選べ」
「舐めるな!」
コカビエルはヴァーリに向けて突進。だがヴァーリは表情を変えずに、袖から何と、フルボトルを取り出して素早く振るとコカビエルを殴り飛ばす!
「あれはフルボトル!?」
「何であいつが持ってるんだよ!?」
戦兎と龍誠が驚愕の声を漏らす。だが驚いたのは他の皆も同じだ。それに、
「あれはロボットフルボトルか?でも……」
戦兎の手元にもロボットフルボトルはある。つまり落としたとか盗まれたわけではない。だが驚くのはそれだけではなく。
「力ずくがお好みのようだな」
ヴァーリはそういうと懐から、水色を基調とし、レンチのようなレバーが付いた物を出す。
「なんだあれ?」
龍誠が首を傾げる中、ヴァーリはそれを腰に着けるとバンドが伸び腰に装着され、更にヴァーリは、栄養補給ゼリーを小さくしたような物を出した。あれに描かれてるのはロボットか?
《ロボットゼリー!》
「変身」
ヴァーリはそれを放り投げ、逆の手でキャッチするとベルトに挿し、音声が流れるとレンチ型のレバーを下ろす。
それと共に巨大なビーカーが現れ、ヴァーリを薬品のような液体が満たし、
《潰れる! 流れる! 溢れ出る!》
更に音声と共にビーカーが消えると同時に頭からゲル状の潤滑油が吹き出しヴァーリの体に纏わり着くと、金と黒で彩られた見たことのない仮面ライダーが生まれた。
《ロボットイングリス!ブラァ!》
「仮面ライダーグリス……お前に見せるのは初めてだったな。コカビエル」
「そんな隠し球を!」
コカビエルはそう言いながら光の槍を作るが、
《ツインブレイカー!アタックモード!》
「ふん!」
飛んできた光の槍を左手に出現したパイルバンカーのような物が付いた武器で弾くと、素早く変形させる。
《ビームモード!》
「はぁ!」
変形させ、砲身のような物を作り出したツインブレイカーでコカビエルを撃つ。
「ぐぁ!」
「さっさと終わらせるぞ。こっちは用事が控えてるんだからな」
そう言ったヴァーリはロボットフルボトルを出すとツインブレイカーに挿す。
《シングル!》
それからツインブレイカーの横にあるスイッチを押し、
《シングルフィニッシュ!》
「はぁああああ!」
ヴァーリは一度腰を落としエネルギーを溜めるような動きをした後、ツインブレイカーの砲身から黄色いエネルギーの塊を発射した。
「がぁああああ!」
それはコカビエルの全身を打ちのめし、後ろにゆっくり倒れながら、今度こそ動かなくなる。
「おい」
「あ?」
すると突然ヴァーリはこちらに話しかけてきた。なにかと思えば、
「今何時だ?」
「は?」
「今何時だ!」
7時45分だけど……と余りに鬼気迫る聞き方に龍誠が答えると、ヴァーリは舌打ちして、ギリギリだな……と慌てた様子でコカビエルを持ち上げる。それに慌ててこっちが待てというと、
「こっちは用事があるし放っておきたいところだったんだがな。そうもいかん。悪いが連れていかせて貰うぞ」
そう言うとヴァーリは一瞬足に力を込め疾走。気づけば皆の背後に転がっているフリードまで持ち上げ、
「じゃあな。まあ遠くないうちに会うことになるだろう」
「あれは消しゴムフルボトル!?」
《ディスチャージボトル!》
ヴァーリは戦兎が驚く中、ベルトに挿していた物を消しゴムフルボトルと交換しレバーを下ろす。
《ツブレナーイ!ディスチャージクラッシュ!》
そんな音声と共にヴァーリが腕を上げると、何とまるで消しゴムで消したかのように彼らの姿が消えてしまった。
「ちょ!待て!」
龍誠が捕まえようとするが既にヴァーリ達の姿はなく、龍誠のタックルは空を切り地面にスッ転ぶようになってしまう。
「あいつはいったい……」
「そもそも彼も仮面ライダーを名乗ってましたし……戦兎君はご存知?」
いえ、と戦兎は朱乃の問いに首を横に振る。あれはフルボトルを持っていたがあんな仮面ライダーは知らない。
仮面ライダーグリス……フルボトルを持った未知のライダーか。そう思いながら戦兎は変身を解除する。
(少し父さんの研究データを洗ってみるか)
何てしていると同じく変身を解いた龍誠も戻ってきた。
「何か納得いかねぇな……」
「確かに。折角ビルドの強化アイテムで華麗にコカビエルを倒したのに、あいつの所為で俺の主人公感が減ったしな」
そこじゃねぇだろ。と龍誠は呆れるが、それ以上は言わない。戦兎もわざとおどけているのを知っているからだ。その時、
「あ!」
『ん?』
突然のリアスの叫びに皆は首を傾げるが、リアスはアーシアを龍誠に預けると、
「忘れて帰るところだったわ。祐斗、お仕置きよ」
『あ……』
リアスの言葉に、祐斗は思わず後ずさった。だが、
「まあ待てよ」
「逃げちゃダメです」
そう言って祐斗を拘束したのは戦兎と小猫。その二人に祐斗はある意味、先程の騒動より絶望した表情を浮かべていたが気にせず、
「さぁ部長!」
「お願いします……」
「えぇ、行くわよ祐斗!」
ま、まだ心の準備が!と祐斗の言葉も虚しく祐斗への
こうして、聖剣騒動は幕を閉じた。だが新たなライダー。そしてボトル。未知の敵も現れたし結局面倒事はまだ終わりそうにない。
だが今はいい。今は無事皆で乗りきれたことを祝いたい。
尻を叩かれて悶絶する祐斗を見て笑いながら、戦兎はそんな風に思ったのだった。