しかし、そこに伸びる暗躍する魔の手。戦兎達の新たな戦いが幕を開ける!
匙「いやいや待て待て!主役はオレオレ!」
ソーナの前に現れた男。そして再び動き出す、
匙は愛する主を守るため、再び仮面ライダーになる。
匙「行くぜ。変身!」
《最凶不滅のドラゴンヤロー!仮面ライダーデーゴン!コエー!ムッチャコエー!》
Vシネ、仮面ライダーデーゴン編。ここに開幕!
初恋の人
「ふぅ」
大学の講義を終え、ソーナは帰路についていた。
先日の戦兎の演説を経て、兵藤一誠との戦いは一度区切りとなった。だが、考えることが多い。
先日の最後の戦いで、多くの有力な悪魔が死んだ。
これからは、転生悪魔の時代が来るだろう。更に、血筋には囚われない悪魔の登用。
つまり、ソーナが目指す、別け隔てのない教育機関が、必要になってくるのだ。
あの時は
これは、先の戦いでユーグリッドを撃破し、仮面ライダーとして多くの功績を残した匙の影響もある。
今度匙には何か礼をせねばなるまい。ケーキでも作ってあげようか。なんてことを考えていたら、
「ソーナ殿」
「え?」
声を掛けられ、振り返ると、そこに立っていたのは、
「ゴーマ・アロケル殿?」
「フッフフーン」
ある日の匙。今日は生徒会の買い出しに向かっていた。
ゼノヴィアが生徒会長となったが、副生徒会長として匙は現在も活動している。
新入生が自分が買い出しにと言ってくれたが、手が空いているのは自分だけだったので、自分が動くしかない。
と思って来たのだが、
「ん?あれは」
街の一角のカフェに、見知った女性がいた。ソーナだ。
「かいちょ……じゃない。ソーナせんぱ……い?」
未だに会長と呼びそうになり、注意されるのでソーナ先輩と呼ぶ努力をしている真っ最中なのだが……
「ソーナ殿はすっかり大きくなりましたね」
「そうでしょうか?確かに背は伸びたと思いますが……」
「いや、すっかり大人っぽくなって美しくなった」
「そ、そんな」
自分が見たことのないソーナの女性としての顔。それが相手の男に向けられたものなのは明らかだった。
「ん?」
ソーナは振り返るが、そこには誰もいない。
「ソーナ殿?」
「いえ、何か知り合いの声が聞こえたような……?」
「で、ソーナが知らない男とお茶をしてて匙くんはこうなってると」
龍誠達の家にて、リアスはやれやれと肩を竦める。
現在匙は机に突っ伏し、干物みたいになっていた。
「さっきまで泣いて騒いでそのまま乾物になりました」
「面白い体してるわね彼」
戦兎が状況を説明し、リアスは匙が隠し撮りした写真を撮る。
「これがソーナの彼氏ね」
「はい。みてください会長の顔。この幸せそうな顔。いや良いんです。俺は会長が幸せならそれで……」
どんよりと匙の周りだけ重力が十倍になってそうなくらい空気が重い。すると、
「あら?この人ゴーマ・アロケル殿じゃない」
「アロケルって言うと……確か断絶した家の?」
「そう。教養を司る悪魔で、ソーナの家庭教師をしていた人よ。中学生の辺りまでだったかしら」
「家庭教師!?」
匙はその言葉を聞き、飛び上がった。
「つつつつつまり、会長の恋人では!?」
「え、えぇ。ソーナはそもそも恋人はいないわよ?私が知る限りでは」
拳を天に掲げ、勝利のポーズをする匙。しかし、
「でもそれならこんな顔しなくないですか?」
と聞いてくる戦兎に、リアスはそっと耳打ちをして、
「ソーナの初恋の人なの」
『えぇ!?ソーナ会長の初恋の人!?』
思わず戦兎と龍誠が叫び、慌てて周りで口を塞ぐがもう遅い。しっかりそれを聞いた匙は、
「ごふぅ!」
血を吐きながら床に膝をついて崩れ落ちた。
「で、でも別に初恋ってだけなんだし今はただの憧れの可能性もあるだろ!?」
流石に悪いことをしたと思ったのか、戦兎がフォローすると、
「そうだよな!?」
と復活する匙。しかし、
「まぁ逆に再会してから盛り上がる恋もあるけどな」
「がはぁ!」
ヴァーリの言葉に再び吐血して匙は倒れた。
「さじいいいいいい!」
再び動かなくなった匙の体を戦兎は揺らすが、
「い、息をしていない!?」
死んでいた。
「サンダーボルト!」
「あばばばばばば!」
なので速攻電流を流して復活させると、
「と、とにかく!まだ希望があるはず!多分!きっと……」
語尾に行くにつれて弱々しくなっていく匙に、どんなやつなのかリアスに聞くと、
「さっきも言ったようにソーナの家庭教師をしてた人でね。才能溢れる素晴らしい人だったわね。あ……」
ずぅん、と匙が落ち込み、部屋の隅に体育座り。すると、
「うぅむ。没落したとは言え、家柄はよくイケメンで家庭教師が出来るほど頭も良く、初恋の人になるほど信頼もされている。匙が勝てるとこねぇじゃねぇか」
「がぼぁああああ!」
皆がちょっと思ったが言わなかったことをヴァーリがいい、匙は血反吐を吐いて倒れた。
「まぁ諦めろ匙。人の夢と書いて儚いだぞ」
「お前なんか今日酷くないか!?」
「うるせぇ!こちとらみーたんの周年記念ライブチケット抽選に落選して傷心なんだ!てめぇも一緒に苦しめぇええええ!」
「八つ当たりじゃねぇかぁ!」
遂にポカスカと泣きながら殴り合いを始めた二人を見て、ため息をつく戦兎達。
「全く。喧嘩するなよな」
「ってか戦兎!結局俺の強化アイテムってどうなったんだよ」
そんな中、匙にそう問われ、戦兎は少しポカンとすると、
「え?いる?」
「いるに決まってんだろうがぁああああああ!」
「いやぁ、兵藤一誠との闘いも終わったし、そんな次々強化アイテム制作もいらないかなって」
「なんでだよぉ!俺にもくれよぉ!皆持ってるのに俺だけないんだぜぇ!?」
「フウもないぞ?」
「あれはもう最初から強化アイテムみたいなもんだろうがぁ!」
と泣きながら縋り付いてきた。
「そんで強化フォームを最初に試すのはゴーマ・アロケルだぁああああ」
「私怨たっぷりじゃねぇか!」
オイオイ泣く匙を宥めつつ、戦兎は深々と、更にため息を吐くのだった。