ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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正体

「ヴァーリのやつ好き勝手に言いやがって」

 

匙はドスドスと夜道を歩く。だが、

 

「確かに勝てるとこ一個もねぇよなぁ」

 

思わずその場にしゃがみ込んでしまう。

 

仮面ライダーとして、禍の団(カオス・ブリゲード)との戦いを乗り越えたが、あの時ユーグリッドに勝てたのは、最後の最後まで自分に対して油断していたのが大きいのは理解している。

 

最初から本気だったらきっと……そんな事を思っていると、

 

「ん?」

 

匙の視線の先に、ゴーマ・アロケルの背中が見え、思わず柱の影に隠れてしまった。

 

(いやなんで隠れてるんだ俺は)

 

そんな事を思いつついると、路地裏に入って行く。

 

(あの先はなにもないはず……)

 

匙は気配を殺し後を追うと、裏口からビルの中に入っていった。

 

(ここは確かもうテナントも入ってない廃ビルのはずなんだけどな)

 

匙は益々不審そうな顔をし、こっそり扉を開けた。その時、

 

「これは」

 

扉を開けた先は、別の空間に繫がっており、見たことのない建物の内部に繋がっていた。

 

「なるほどね」

 

改めて見てみると、結界が張ってある。これは人が無意識に近寄らなかったり、そもそもこの扉の存在に気づかないようにする結界だ。ただ匙は悪魔なのと、ゴーマを追ってきたという条件が重なり、この扉を認識できたのだろう。

 

「益々怪しくなってきたじゃねぇか」

 

そう呟きながら、建物の奥を目指して歩き出す。

 

似たような装飾が続く内部に、道を間違えているような気持ちになってしまうが、多分大丈夫なはずだ。

 

自分にそう言い聞かせ、歩いていくと、広場のようになった空間に出た。そこにはゴーマと、何百人単位の人々が居た。

 

「集まったな。同志達よ」

 

ゴーマがそう口を開く。

 

「兵藤一誠様が悪しき者たちに、討ち滅ぼされ、禍の団(カオス・ブリゲード)は散り散りになった。その後も、我らの正しき思想を理解できぬ愚か者達の手によって、生き残った同志達も次々討ち取られていった。だがそれもここまでだ。今こそ、我ら禍の団(カオス・ブリゲード)は、再び動き出す!まずは有象無象を育てようとする学園機関を作ろうという思想を駆逐する!」

「っ!」

 

ゴーマの言葉に、思わず匙は絶句する。その言葉の意味は勿論、

 

「君の主も当然だよ。匙君」

 

バレてたか、匙はため息を吐くと、姿を現した。

 

「今の言葉……本気か?」

「あぁ、久し振りに会ってね。話をして思わず殺してしまおうかと思ったよ」

 

ゴーマは、怒りに顔を歪めながら、口を開く。

 

「学園機関など存在してはならない。正しき悪魔のみが育ち、その正しき悪魔が有象無象を引き連れる。有象無象は正しき悪魔が死ねと言えば死に、手足となってその生涯を全うする。それが正しい姿だ。だが今の悪魔は弱体化し、それを為す事ができない!」

「だからこそ変わる必要があるんじゃないか!」

「それが間違っているのだよ」

 

ゴーマの言葉に、匙は益々意味がわからないと言う顔をすると、

 

「正しく居られぬなら、存在する価値はない。ならば私は悪魔を滅ぼす。一人残らず駆逐し、悪魔という種を根絶する。そうすれば、もう間違った道に進むことはない。変わる必要なんてない」

「お前正気か?」

 

何を言ってるのか分からず、匙はポカンとしてしまう。

 

「転生悪魔に頼る必要などない。私は悪魔という種を愛している。だからこそ、私は悪魔を滅ぼす」

「ふざけるな!」

《ドラゴンゼリー!》

 

匙はベルトを装着し、スクラッシュドラゴンゼリーを装填。

 

「てめぇの勝手な思想で、会長の夢も命も奪われてたまるか!」

 

匙はそう言って、レバーを下ろす。

 

「変身!」

《潰れる!流れる!溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブラァ!》

 

変身を完了した匙が走り出すと、禍の団(カオス・ブリゲード)の残党たちが阻むが、

 

「おらぁ!」

 

次々と蹴散らしていく。襲ってくる奴は蹴り、殴り、

 

《シングル!》

 

ツインブレイカーにガトリングフルボトルを装填し、

 

《シングルフィニッシュ!》

 

ツインブレイカーのビームモードを乱射。数の差を物ともせず、匙は倒していく。

 

すると、

 

「それ以上はやめてもらおうか」

 

そこにゴーマが割って入り、匙は咄嗟に殴り返そうとするが、それ片手で止めてしまった。

 

「ちっ!」

「我が同志達に手は出させん!」

 

ゴーマは魔力を纏わせた拳で匙と殴り合う。

 

(強い。けど!)

 

かなり強い。パワーもスピードもテクニックもある。だが、数々の激戦をくぐり抜けた匙の敵ではなかった。

 

「おらっ!」

 

蹴り飛ばし、距離を取る匙。するとゴーマは、

 

「成程。やはりその仮面ライダーの力。あってはならない物のようだ」

「仮面ライダーがなんだって?」

「仮面ライダー。それこそが間違った悪魔が蔓延った根幹にあるもの。そんな物があるから、世界は間違った方向に行こうとしているのだ。だが、それを受け入れなければ正せぬなら、致し方ない」

 

ゴーマは、そう言って取り出したのは、

 

「ビルドドライバー!?」

「転生悪魔でも作れるものだ。複製することは容易い。幸い、設計図自体は残っていたからな」

 

そういいながら、ゴーマはベルトを装着し、フルフルラビットタンクボトルのような形状のフルボトルを取り出す。

 

「悪魔を滅ぼすならば、あってはならない力をも使おう!」

《ガオ!ガオ!ガオ!》

 

フルボトルを折りたたみ、開く動作を繰り返す。それはまるで、ドラゴンの横顔のようだ。そして、折りたたんだままビルドドライバーの装填。

 

《ネオクローズチャージ!》

 

レバーを回し、ゴーマは匙を見ると、

 

「変身」

《万物滅殺!ネオクローズチャージ!ガオガオガオガオガオォオオオオオオン!》

 

腰巻きを翻し、姿を現したのは全身が真っ黒なクローズチャージ。

 

「何だよそれ……」

「桐生忍は、クローズチャージ、グリス、ローグのライダーシステムに発展型を作ろうとしていた」

 

それは匙も知っている。それがグリスブリザードであり、プライムローグだったはずだ。

 

「勿論、完成データは桐生戦兎の手に渡ったが、これは残っていた研究施設に行き、削除された研究データから私が作ったものだ。勿論削除されていたから、データの復元には時間が掛かったし、復元データも完全じゃないから穴だらけで大変だったがな。だが無事完成した。更にこれはオマケだが」

 

ゴーマが1回レバーを回すと、

 

《Ready Go!ネオスクラップブレイク!》

 

ゴーマの全員から宿主のようにドラゴンが伸び、次々と禍の団(カオス・ブリゲード)の残党たちを食っていく。

 

「何を!」

 

匙が驚くが、残党たちは動かず、寧ろ食われることに喜んでいた。

 

「これは他者を食い尽くし、自分の力にする」

 

ゴーマのオーラが、先程とは比べ物にならないほど強くなる。

 

「さぁ、こい」

 

地面が真っ赤になり、一人残らず食い尽くしたゴーマが、匙の元に来る。

 

「ふざけやがって!」

 

匙が飛び掛かるが、殴ってもびくともしない。

 

「クソ!」

《スクラップブレイク!》

 

匙は必殺技を発動し、蹴り飛ばすが効く様子はない。

 

「無駄だ。お前では俺には勝てない」

「同士とか言っておいて、利用したやつが何を!」

「同士だからだよ。同士だからこそ、彼等は私に喜んで命を捧げたのだ。言っておくが、この場にいる全ての者が、こうなることを望んできているのだよ」

 

ゴーマの拳が、匙を殴るとそのまま吹き飛ぶ

 

「がはっ!」

「同士達の命を使い、私は正義を実行する。それが私の覚悟だ!」

 

そう叫びながら、ゴーマは2回レバーを回し、

 

《Ready Go!ネオドラゴニックフィニッシュ!》

 

右足に全エネルギーを集め、飛び上がると、匙に向かって蹴りを放つ。

 

《スクラップブレイク!》

 

匙も咄嗟に必殺技を発動し、拳で迎え撃つが、

 

「ぐ、ぐぎ」

 

拮抗することもできず押し込まれ、

 

「ぐぁあああああああ!」

 

そのままキックを決められ爆発。

 

「安心しろ。すぐに皆そちらに行く」

 

全身がバラバラになり、物言わぬ肉塊へと変わった匙に、ゴーマは声を掛けると、その場を後にするのだった。




仮面ライダーネオクローズチャージ

パンチ力97t
キック力95t
ジャンプ力80.2m(ひと跳び)
走力2秒(100m)

ゴーマ・アロケルが変身したクローズ系ライダーの最終形態。

元々は忍が完成させた研究データから作っており、戦兎がもし最終決戦に制作が間に合っていれば、匙が変身したであろう姿。

だがゴーマに手によって改造されており、元々のスペックよりも大幅に上昇している。

更にオマケと称して、他者を喰らい、自らに力とすることが可能。

匙のクローズチャージでは手も足も出ず、完全敗北を喫した。

ゴーマ自身は、研究者ではなかったものの、忍のデータ込とは言え復元した未完成データから作り出すなど、間違いなく彼も天才である。

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