ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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勃発

「一体どこに行ってしまったの」

 

街中を走るソーナは不安そうに周りを見回す。

 

匙が突然消息を絶ってから既に3日。ソーナを筆頭にシトリーチームの面々は元より、戦兎達も捜索していたが、未だに消息がつかめない。

 

「どこに行ったの。匙」

「ソーナ殿」

 

突然掛けられた声に、ソーナは振り返ると、そこに立っていたのはゴーマだ。

 

「ゴーマ殿。すいません。匙を見なかったか……って匙を知りませんでしたね。彼は私の眷属で」

「えぇ、知ってますよ」

 

そうか。映像で見たことくらいあるか。ソーナがそう理解した時、ゴーマがスマホを取り出し、彼女に見せる。

 

「え?」

 

そこには、バラバラになり、地面を血で濡らす匙の写真があった。

 

「ご、ゴーマ殿。今はそういう冗談は」

 

理解が出来ない写真に、ソーナはゴーマを見るが、

 

「冗談ではありません。彼は私が殺しました」

「っ!」

 

全身の血の気が引き、一瞬体温が下がったような感覚になるが、直ぐ様ソーナはゴーマに至近距離で魔力をぶつけた。しかし、

 

《万物滅殺!ネオクローズチャージ!ガオガオガオガオガオォオオオオオオン!》

 

爆発したものの、中から変身しつつ歩いてきたゴーマに、ソーナ驚愕する。

 

「仮面ライダー?」

「えぇ、貴方の眷属を葬った力ですよ」

「なぜ!」

 

ソーナは再び魔力を放ち、水を集めるとゴーマにぶつける。だがゴーマは意に返さず、

 

「彼は私に襲い掛かってきました。その為に返り討ちにしました。悪いのは彼ですよ」

「理由もなく匙が襲うありませんわけがありません」

「襲われる理由はないはずなんですがね。ただまぁ、私の理想が理解できなかったのでしょう」

「理想?」

「そう。悪魔という種の根絶です」

「は?」

 

意味が分からず、ソーナは攻撃の手を止める。

 

「悪魔は滅ぶべきだ。どうせもう長くはない」

「そんな事はありません!その為に転生悪魔も」

「それがいらないって言ってんだよぉ!」

 

間合いを詰め、ソーナをゴーマは殴り飛ばす。

 

「転生悪魔に頼らなくちゃ生き残れないなら、もう悪魔なんて言う種がいる必要はない。速やかに滅ぶべきだ」

「くっ」

 

ソーナは反撃するが、ゴーマは腕を払って消し飛ばす。

 

「転生悪魔何ていう物があるからいけないんだ。転生悪魔はこの世界の異物であり害物!それを赦し、生み出す今の悪魔社会は間違っている。ならば私はその間違いを正し、悪魔を滅ぼす。まず第一歩は貴女だ。ソーナ・シトリー。お前の作る学校。アレも良くない。才能も家柄も無い者に教えるだと?それは間違っている!才能も家柄もあり、それが悪魔社会の秩序とルールを作る。それ以外は黙って従う。それが正しき姿。そこから這い上がる必要も、這い上がろうと上を見る必要もない。大人しく這いつくばって泥水をすすってれば良いんだよ!」

 

ソーナを踏みつけ、叫ぶゴーマ。するとソーナは、

 

「貴方は、そんな人じゃなかった。私の夢も、応援してくれていた!」

「目が覚めた人ですよ。真実にね」

 

ゴーマの冷ややかな声音に、ソーナの表情は歪み、

 

「やはりあの事件ですか?」

「っ!」

 

ソーナの問いに、ゴーマは僅かに動揺する。だがすぐに冷静になり、

 

「関係ありませんよ」

 

追撃の一発を決め、ソーナの意識を奪い、

 

「さぁ、最終段階だ」

 

ソーナを抱え上げながら、ゴーマはそう言うと姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ソーナ会長までどこ行っちまったんだ」

 

龍誠がそうボヤくと、他の面々も頷く。匙に続いて、ソーナまで行方知れずになってしまった。

 

勿論、そのせいで妹を探すと暴れるセラフォルーの話も聞いている。

 

すると、

 

「おいお前ら。これを見ろ」

 

アザゼルが来て、テレビを付けると、冥界の映像が流れ、そこには、

 

「ソーナ!」

 

リアスが驚きながら画面に近づくと、そこにはソーナが囚われた状態の映像が流れる。

 

そしてゴーマが映ると、

 

「私はゴーマ・アロケル。既に断絶した家の者だ。私は現冥界のあり方に疑問を感じ、考え抜いた末に、悪魔という種の根絶を行うことにした。例外はない。まずはこの者、学校を作り、別け隔てなく教育を行うという愚行を行おうとした罪を、ここに断罪する!」

 

その次の瞬間、天を覆うほどの氷が、ゴーマに襲いかかる。

 

「ソーちゃんを離せぇええええ!」

 

乱入したセラフォルーだが、ゴーマも変身し、対抗する。

 

「あれは仮面ライダー?」

 

困惑するリアス達だったが、だがこうしてはいられない。

 

「私達も行くわよ!」

『はい!』

 

リアス達も、魔法陣の準備。その間に、戦兎はリアスに問う。

 

「ゴーマ・アロケルって、ソーナ会長の家庭教師だったんですよね?その割に……」

「多分。あの事件が原因でしょうね」

「あの事件?」

 

リアスは、少し息を吐くと、

 

「アロケル家は、元々は別け隔てなく知識を与える家だったのよ。それこそ、下級悪魔も含め、様々な地位の悪魔に教育を施していた」

「今とは違いますね」

 

そうね。とリアスは目を伏せ、

 

「だけどね。そんなある日、アロケル家に強盗が押し入って、財産の殆どを奪われた。犯人はその後判明するけど、アロケル家に勉強の為に出入りしていた悪魔だったらしいわ」

「そんな」

「元々裕福な家ではなかった。でもそれが引き金となり、アロケル家は没落。それでも、これまで通り別け隔てのない教育を辞めることはなかった。その中で、ソーナを教える機会もあったのだけどね。だけど数年前、元々は転生悪魔だったのだけど、その後はぐれとなった悪魔が、ゴーマ殿の奥様と子供を襲い、命を奪った」

「まさかそれが……」

「えぇ、尽力した者たちに裏切られ、そして転生悪魔に愛する妻と子供を奪われた。それが今のゴーマ殿を生み出したのかもしれないわね」

 

だがだからといって、ゴーマ殿の行いを許すわけにはいかない。そういいながら。魔法陣を見ると、

 

「行くわよ!皆!」

『はい!』


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