「み、みーちゃん!」
体を起こし、ヴァーリは周りを見ると、
「目が覚めたか」
ベットの隣に居たのは、戦兎だ。
「何日寝てた」
「4日だな」
クソ、とヴァーリは悪態をつきつつ立ち上がると、
「待てよ。先日、ルシファーの正統後継者を名乗る奴が、宣戦布告しやがった。何者なんだ?」
「アイツは……」
ヴァーリは戦兎に事情を説明すると、
「とにかく、俺は急いでアイツの居城に向かう。行かせてくれ」
「今のお前じゃ、返り討ちが関の山だ」
「次は負けねぇ!」
そういうヴァーリだが、
「今のお前の体、どうなってるのか分からねぇのか?」
「なに?」
ヴァーリは、自分の体を見る。すると戦兎は、
「さっきあアザゼルが検査結果を持ってきた。今のお前、悪魔の力を殆ど失ってるらしいじゃないか。ただの人間と変わらないらしいぞ」
「っ!」
ラヴィの言葉を思い出し、ヴァーリは奥歯を噛む。
「だがそれでも、俺は行く!」
「はぁ」
すると戦兎は、ビルドドライバーと、フルボトルとクローズドラゴン型の装置を渡す。
「止めても無駄だと思ってたからな。作っといたぞ。お前の最強アイテム」
「いつの間に」
それを確認しながら、ヴァーリは戦兎を見ると、
「それには魔王たちの力が込められてる」
「魔王って……アジュカ達か!?」
そういうことだ。と戦兎は頷き、
「元々グリスの強化案は考えてたんだけどな。グリスブリザードは、いうなればお前個人の完成形。だがこのグリスサタンは、お前と言うよりは、悪魔の力の集大成だ。お前のルシファーだけじゃない。悪魔の頂点に立つ力だ。当然、使いこなせなければ」
「死ぬ……だろ?」
戦兎は、静かに頷く。
「魔王様達から力を借りること自体は、実は結構前からできてたんだ。でも、そもそも安全性がどうしても確保できなかった」
だけど、と戦兎は続けると、
「力を奪われた今のお前なら、寧ろ安全かもしれないと思ってな」
「成程。余計なものが抜けてる俺なら……な」
そう言いながら、ヴァーリはベルト達を持ち歩き出す。
「手伝うぞ」
「いや、良い」
ヴァーリは一度止まり、
「これは古い悪魔の因縁だ。なら、俺はその頂点のルシファーとして、この因縁を終わらせる義務がある。これは俺がつけなきゃいけないんだ。だから俺だけに行かせてくれ。すまん戦兎」
それを聞いて、戦兎はため息をつく。
「一応、俺妹誘拐されてる立場なんだが」
「それもすまん。俺が必ず助ける」
すると戦兎はヴァーリの肩を掴むと、
「美空を……妹を、頼んだぞ」
「あぁ、心火を燃やして助けて見せる」
そしてジャケットを羽織り、ヴァーリは外に飛び出し、魔法陣を展開してその中に飛び込むのだった。
ラヴィが指定してきた場所は、すぐに分かった。
幼少の頃過ごした、因縁のある屋敷。ルシファー邸だ。
もう二度とここに来ることはないと思っていた。ここで母を失い、暴走した力で父を殺した。
だが、ラヴィはそこをあえて指定してきている。何とも嫌らしい奴だと、苦虫を噛む気持ちで歩いていると、屋敷の前には多数の悪魔がいた。成程、旧悪魔派の奴らはまだ残っていたということか。
殆どの旧悪魔派は、初代バアルの手引で手打ちをしている。だがそれでも、まだ反発するやつがいるということだ。
「きっちり終わらせてやるよ」
ヴァーリはビルドドライバーを装着し、クローズドラゴン状のアイテムに、フルボトルをセット。
《カモン!デモンズミックス!》
そのま2まアイテムをセットし、レバーを回す。そして腰を落とし、構えると、
「変身!」
《マオウズマーチ!グリスサターン!ドカドカドカドカドカァアアアアアン!》
ヴァーリの周りを、氷や数式、結界が包み込み、中から弾け飛ぶと、全身が禍々しい暗黒の姿となったグリスが誕生する。
「絶滅!虐殺!全員纏めて消えやがれぇえええええ!」
新たな姿、グリスサタンとなったヴァーリは、悪魔たちに飛びかかるのだった。