「はぁ、はぁ」
路地裏にて、シャルバは息を整える。
キックを受ける直前、未来のシャルバは現代の自身を切り離し、逃がしていた。
例え負けたとしても、現代の自分が生きていれば、必ずやり直せる。
再び同じタイミングで黒兎を襲えば、歴史を繰り返せる。そして今度こそ、目的を完遂するのだと、未来の自分と話していた。だから逃げねば。まずは逃げて再起を図るのだと、そう言い聞かせていた時、
「ま、待ってよ!ホッパー1!」
「ホッパー!」
「っ!」
そこに走ってきたのは少年。戦兎とそんなに変わらないだろう。そしてバッタ?だろうか。
「やっと捕まえた。だめじゃないかホッパー1。急に知らないところに来て勝手に行ったら」
「ホッパー……」
すると少年はこちらを見て、
「って大丈夫ですか!?凄い怪我ですけど」
少年は心配そうにこちらを見て近づいてくる。
「……れ」
「え?」
「黙れぇ!俺をそんな目で見るなぁ!」
叫んだシャルバは、そのまま少年に向けて魔力の弾丸を放つ。
そのまま少年に向かっていくが、
「スチーム!」
壁を突き破り、なんと機関車が突っ込んできたのだ。そしてそのまま機関車は少年の前で止まり、守ってくれる。
「ありがとう!スチームライナー!」
「スチーム!」
少年は機関車にお礼を言いながらいると、
「良くわからないけど、敵だってことは分かった!」
少年はそう言ってバックルを取り出し、腰に合わせてベルトを装着。
《ガッチャードライバー!》
「行くよ!ホッパー1!スチームライナー!」
「ホッパー!」
「スチーム!」
するとバッタと機関車の体が光り、カードになると少年の手に収まる。そしてバックルにカードを装填すると、
《ホッパー1!スチームライナー!》
少年の周りをオーラ状のバッタと機関車が回り、少年は手で三角形を作って構えた。そして、
「変身!」
バックルのサイドを操作し、少年の姿が変わる。メタリックカラーな水色をした姿。
《スチームホッパー!》
「なっ!お前も仮面ライダーなのか!?」
シャルバの驚きを他所に、少年は首を傾げながら、
「お前もってもしかして他にもいるの?まぁ良いや。俺は仮面ライダーガッチャード!皆のガッチャを守る仮面ライダーだ!学校じゃ劣等生だけどね」
「劣等生だと?」
「そう。魔法科高校の劣等生だ」
そういうと同時に、ガッチャードは飛び上がってシャルバとの間合いを詰めると、殴り飛ばした。
「ぐ!」
転がりながらも、シャルバは魔力を撃つ。だがガッチャードはそれを驚異的な跳躍と速度で避けていきながら、銃を取り出す。
《ガッチャージガン!》
飛んでくる魔力弾を撃ち落とし、更に腕についているスロットからカードを一枚取り出すと、
「力貸してね!」
そう言って銃でカードをスキャン。
《カマンティス!》
スキャンしたカードを銃に入れ、他にもカードを出すと全て銃の中に、
《ガッチャージバスター!》
連続発射された弾丸が次々飛んでくる魔力弾を撃ち落とし、そのままシャルバに襲い掛かる。
「がはっ!」
吹っ飛んで転がるシャルバに、ガッチャードは銃をしまうと、
「それじゃ、これで終わらせちゃおうか!」
そう言って走りながらバックルを操作し、飛び上がると、
《スチームホッパー!》
キックの体勢に入り、
《フィーバー!》
シャルバにキックが炸裂し、爆発した。
「これで良しっと」
ガッチャードは着地して立ち上がると、
「それにしてもここどこだろ?」
キョロキョロ周りを見回し、首をかしげたものの、
「ま、取り敢えず歩けばどっかには着くか!」
そう言って歩きだすと、まるで蜃気楼のように消えていくのだった。
「もう帰るのか!?」
さて、一方未来の面々は、足早に帰宅しようとしていた。
「過去に長時間滞在すると未来にどんな影響が出るか分からないから」
「そっか」
黒兎に言われ、たしかにと思っていると、黒兎は無地のフルボトルを取り出す。
「それと皆の記憶も消させてもらう」
「それはまぁ……そうか」
当然といえば当然だ。コレも未来に影響を与えかねない。そう納得していたのだが黒兎が、
「一応言っとくけど、俺たちの時代の心配じゃないぞ」
「え?そうなの?」
「例えこっちでシャルバを倒しても、アンタが死んだ未来は変わらない。電車の線路の分岐が増えるだけみたいな感じだ。ようはシャルバに殺されることはない未来が新しくできただけさ。ただそれでも、未来を知ってる状態だとその未来で何があるかわからないからな。安全対策だ」
「成程な」
戦兎は頷くと、
「なぁ……」
「ん?」
どうせ忘れちまうんだけどさ。と黒兎は言いながら、
「いいか?俺は正直科学実験とか良く分からん薬の反応見てもなーんも面白くねぇ。そう言うのは戦音のほうが好きだ。俺はどっちかって言うとキャッチボールとかのほうが好きだしな」
「あ、あぁ」
「あと、せめて俺達が知らない所で子供作んな。京都に異母妹とか聞いてねぇよ吸血鬼の妹だけだと思ってたよ」
「黒兎の初恋は敢え無くそれで散ったからねいったぁ!」
スパコーンっと戦音を黒兎は、ぶっ叩き、戦兎を見る。
「あと、ごめん」
「あぁ、達者でな」
戦兎は黒兎と戦音の頭をなででやり、二人は嬉しそうに目を細め、
「じゃあな」
「おう」
黒兎がフルボトルを振ると、戦兎達から記憶を奪っていき、そのまま意識を失う。
「あれ?」
次に最初に目を覚ましたのは戦兎。何か体が疲れているが、何かあったのだろうか?なんか思い出せないが、長い夢を見ていた気がする。
「ってあれ?なんか一日経ってる!?」
「何だよ戦兎うっせぇなぁ」
「いやなんか気づいたら一日過ぎてたんだって」
「んなアホなってマジかぁ!?」
起きた龍誠も驚愕し、皆で顔を見合わせる。何か大切なものを忘れてるような……でも誰も思い出せない。
「とにかく、ご飯にしましょうか」
「そうですね」
リアスの提案に、皆は頷く。そして食卓の方に向かいながら、
「キャッチボールか」
何でその言葉が出たのかわからないが、戦兎はもし息子が生まれたら、キャッチボールをしよう。そう思うのだった。
「終わったな」
黒兎は自分の時代に戻る最中にそう言い、戦音も頷く。
「これからどうしよっか」
「シャルバを倒しても、シャルバの残した傷跡はあるだろ」
そう言いながら戻った時、
『え?』
黒兎だけじゃない。全員がぽかんとした。眼前に広がるのは、平和な街並みそのものだ。
「なんで……」
過去を変えても、黒兎達の未来そのものが変わってないはず。そう考えていた。なのに何で、と皆で困惑している。その時だ。
「あれ?皆ここで何してんだ?」
その声に、皆固まった。そんなはずはない。だがそれでも、期待を持ちつつ振り返るとそこにいたのは、
「父さん……?」
「なんだよ黒兎。お前優佳父親の顔忘れたのか?いやまぁたしかに最近忙しかったけどさ。久々に暇になったんだ。なのに帰ったら誰もいないしよ。ってどうした?」
戦兎が困った顔をすると、黒兎と戦音。そして黒歌と小猫にギャスパーが飛びついてきた。
「ど、どうしたお前ら」
戦兎が困惑していると、リアスは笑みを浮かべ、
「説明は後でしてあげるから、今はそうさせたげて。色々あったのよ。色々ね」
その言葉に戦兎は益々困惑するが、他の皆も涙を浮かべる者もいる。
こうして、長い長い戦いは、終わりを告げるのだった。
【ちょっとだけ補足】
今回謎の仮面ライダー。仮面ライダーガッチャードに倒された現代のシャルバですが、本来はあの後生き延び、そして後に戦兎を殺します。
実は未来のシャルバも、同じく未来から来た自分とともに戦い、戦兎達に負け、生き延びて未来で事件を起こしています。
こうして、何度も何度も繰り返すことで、少しずつ自分の望む未来に近づいていっていました。しかし、その結果、仮面ライダーガッチャードを呼び寄せてしまった。と言うのが今回の結末でした。
自分が望む未来を創るため、何度も挑戦し諦めなかったシャルバですが、その結果が自分を滅ぼす存在を呼び寄せるというもの。ですが、一応あの時少年はシャルバを心配していたので、何もせず立ち去れば良かったのに、攻撃してしまったから倒されたので、まぁ自業自得なのかもしれません。ってかそもそもそんだけやり直しをしても戦兎達に負けてるのは、結局シャルバは未来を変える器ではなかったということなのかもしれませんね。
因みにガッチャードは、次回作のお話です。映画で次回作のライダーが出てくるのはお約束ですからね!
そして黒兎達の未来が変わった理由ですが、まぁこれはなんとなくでした。黒兎入っていたように、現代が変わっても黒兎の未来には影響がありません。ただ、それでも変わったのは、まぁ頑張った黒兎達へのご褒美的な?そんな感じです。
それと京都にいる異母妹ですが、あの子との子です。誰とは言いませんが、あの子です。初めて会った黒兎の初恋であり、その直後に真実を知って崩れ落ちたのは言うまでもありません。
さて、次回がほんとに最終話です。宜しくお願いします。