ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦「突如襲来したヴァーリに敗北した俺たちだが、それだけに囚われているわけにもいかない。なにせ学校生活は続くんだからな!」
龍「と言いつつ結構悔しがってる戦兎でしたっと」
戦「うるさいわ!と言う感じの24話スタート!」


魔王少女と引きこもり

ガヤガヤと、スーツ等の正装を身に付けた大人が校舎の中を歩く。いつもは学校を見る機会がない為か、興味深そうに見て回っていた。

 

そんな大人達の間を通り抜けるのは、戦兎と龍誠にアーシアの三人だ。

 

先程まで行われていた授業参観は、何故か英語の時間に紙粘土と言うものが起きたものの無事終了し、現在戦兎の母は、担任の教師と話しているので三人はリアス達と待ち合わせている校舎の外にあるベンチに向けて歩いていた。すると、

 

「何か騒がしくね?」

「そうだな」

 

勿論今日みたいな日は騒がしい。それは当然だ。だが、それにしたって歓声や、指笛と言うのは可笑しい。そう思いその方向に向かうと、

 

「アレってまさか……」

「魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブのコスプレか?」

 

目の前にあった光景に龍誠は呟き、戦兎は答える。アーシアはポカーンとしたまま固まっていた。

 

それはそうだろう。なにせ今日みたいな日に何故か見た事のない女性(多分誰かの家族だ)が、魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブと言う作品に登場する、魔法少女のコスプレをして躍り、それをうちの男子生徒が見に集まって騒ぐと言う絵図は、余り宜しい姿じゃない。

 

因みに何故戦兎が、魔法少女ミルキーを知ってるのかと言うと、この間それが実写化したのだが、その際の魔法少女ミルキー役をやったのが美空だったからだ。なので何となく知っていたのだが、何故あの女性はその格好を?

 

と固まっていたところに、

 

「一体これはなんの騒ぎかしら?」

「部長?」

 

戦兎が振り替えると、肩を竦めながらリアスが朱乃を連れてやって来た。今来たばかりの彼女は、この状況が飲み込めず困惑しているようだ。なので戦兎が事情を説明していると今度は、

 

「おうおう!何してやがんだお前ら!こんな日に騒ぎなんか起こすんじゃねぇ!」

 

シッシと集まっていた連中を追い払うのは、何故か全身に包帯を巻き、絆創膏まであっちこっちに張り付けた匙だ。

 

「あいつどうしたんだ?」

「さぁ?」

 

あいつも悪魔だし色々巻き込まれているんだろうか?何て思ってるうちに匙に集まっていた連中を追い払い、今度はその騒動の中心となっていた女性を見た。

 

「あのですね?服装は自由とはいえもう少しTPOを考えていただかないと」

「えぇ~?これが私の正装だもん」

 

いやどんな正装だと、戦兎と龍誠が突っ込みをいれる中、リアスが突然あぁ!と声をあげる。

 

どうしたのかと顔を見ると、またまた今度はソーナがやって来た。

 

「何を騒いでいるのですか?匙。こう言った自体にはすぐに対処しなさいと……」

「ソーたんみーっけ!」

『え?』

 

ゴゴゴと怒りの炎を上がらせるソーナだったが、その彼女にコスプレ少女は抱きつき、頬擦りまでし始めた。

 

なんだこの人……戦兎と龍誠が、ポカーンとしているとリアスが、

 

「セラフォルー様よ」

「セラフォルー?」

 

龍誠が何処かで聞いたようなと首を捻ると、戦兎は思い出した。

 

「確か四大魔王の……」

「えぇ、レヴィアタンの名を継いだお方よ」

 

じゃああの人も魔王なんですか!?と龍誠が驚くと、その声にセラフォルーは気付き、こちらを見るとにこやかに笑いながら手を振る。

 

「リアスちゃんヤッホー!」

「知り合いなんですか?」

 

まあ兄も魔王なのだから顔見知りで可笑しくはないが、随分親しげだ。そう思いながら戦兎が聞くと、

 

「お兄様とは昔から交流があって、その関係で私とソーナも付き合いがあったのよ」

「更にサーゼクスちゃんのお母様と私のお母様も古くからのお友達なの」

 

つまり一族代々の付き合いらしい。確かにそれならこの親しげな感じも当然かと思いつつ、セラフォルーを戦兎は見てみる。

 

こうして見ても、余り似てない。サーゼクスとリアスは何処となく持ってる雰囲気が似てるのだが、こっちは全然だ。

 

そう思っていると、朱乃はクスクス笑いつつ、

 

「魔王様と言うのは皆さんプライベートでは凄く自由な方達なんですよ。そしてそのご兄弟達は皆さんしっかりものと言われてますわ」

 

そりゃサーゼクス様を見ててもそうなるわな。そう戦兎と龍誠はリアスに若干同情めいた目を向け、彼女は遠い目をした。

 

そんな時、

 

「おや?リアス達にセラフォルーまで何してるんだい?」

「お兄様!?それにお父様まで!?」

 

突如現れたサーゼクスと、彼やリアスと同じ深紅の髪の男性。リアスが父と呼ぶことを考えると、やはりそう言うことなのだろう。という訳で龍誠はソッと戦兎の背後に隠れた。

 

何せ娘の結婚式をぶっ壊した張本人だ。会えば何を言われるか……そう思っていたのだが、リアスの父は龍誠を見てもにこやかな笑みを浮かべて来る。

 

余り怒ってない?そう思っていると、

 

「もうこんな辱しめ耐えられません!」

「あ!待ってソーたん!」

「あ!会長!?」

 

ソーナは走り出し、セラフォルーはその後を追う。ずっとポカーンと見ていた匙も、慌てて追い掛けていった。途中で、いでっ!っと傷が痛んだのか飛び上がりつつ……

 

「なんと言うか、色々と理解が追い付かないんだが」

「俺もだ」

 

戦兎と龍誠はソッとソーナにを送ると、サーゼクスがリアスに話し掛けてきた。

 

「そうだリアス。丁度君に話しておきたいことがあったんだ」

「話ですか?」

 

ここではなんだし少し場所を移そうか。そう言われてリアスは朱乃と共にサーゼクスについていくことになり、

 

「俺達も行くか」

「だな」

 

戦兎も龍誠とアーシアを連れて別の場所に向かって歩き出したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うことがあった次の日である。戦兎は龍誠とアーシアと共に部室に行くとリアスから、

 

「これからもう一人のビジョップのところに行くわよ」

 

と言われ、どう言うことかと聞く。すると彼女曰く、グレモリー眷属には、アーシアの他にもう一人ビジョップの眷属がいたらしい。だが余りにも力が強すぎた為、暴走の危険性を孕んでおり、今まで封印されていた。と言っても別に動けなくされてたとかではなく、一室に入れられていただけで、夜には外に出ることもできたらしい。封印と言うよりは、他者に危険を及ぼさないように、生徒達に会わせないようにしていた、と言う感じだろう。

 

しかし、最近のリアス達の活躍を加味して、今の彼女達なら万が一暴走しても対処出来るだろうと判断され、この度そのビジョップの子を解放することになったらしいのだが、何故かリアスや前からのグレモリー眷属の皆は苦い顔をしていた。どうしたのかと戦兎は首を傾げながら言うと祐斗が、

 

「その子は引きこもりでね。出ても良いと言われて素直に出てくれるかが……」

「ヘタレですので」

 

ヘタレねぇ……しかも引きこもりか。いやまあ引きこもりの方が、昼間は封印されてても困らないかと戦兎は思う。

 

これでアグレッシブなやつだったら悲惨だったに違いない。そんなことを思いながら、リアスに連れられてきたのは、部室がある旧校舎の一角。テープで厳重に閉ざされている一室があったのは知っていたが、ここにいたようだ。

 

そしてリアスは、テープを掴んで引っ張るとテープは霧散。そのまま彼女は扉を開けると、

 

「だ、誰ですかぁあああああああ!」

 

空気が震えるほどの大声に、皆は思わず耳を塞ぐ。

 

「すげぇ声だな」

「耳いてぇ」

 

戦兎と龍誠は口々に言いながら部屋を覗き込むと、そこにいたのは小柄な金髪ブロンドの少女が、腰を抜かしていた。

 

「また随分可愛い子が出たぞ……」

「確かに」

 

戦兎にしては珍しく相手の容姿を褒め、それに対して龍誠は頷く。そんな時、

 

「まあ男の子なんだけどね」

『……はい?』

 

リアスが発した言葉に、戦兎と龍誠だけじゃない、アーシアとゼノヴィアまで固まり、

 

「この子はギャスパー・ウラディ。駒王学園の男子生徒よ?」

『えぇえええええええ!?』

「ひぃいいいい!ごめんなさあああああい!」

 

戦兎と龍誠の絶叫に、ギャスパーは涙目で謝罪。だが戦兎はガックシと膝をつき、

 

「俺帰ったらタイムマシンの研究して、完成したら可愛いと言おうとする自分を殴って止める」

 

なんて意味不明な事まで言い出して、前からいるグレモリー眷属の皆は苦笑いを浮かべた。

 

「つうか何で女装してんだよ……」

「だってこっちの方が可愛いんだもん」

 

だもんだとかいうなぁ……と戦兎は更に落ち込む。いつもは見られない光景に他の皆が首を傾げていると龍誠がソッと、

 

「過去にも数える回数だけですが女子の容姿を褒めることがあったんですよ。んで大体皆ギャスパーの容姿に近いんです」

 

成程、ギャスパーの容姿は戦兎的には、結構好みの容姿だったらしい。それが男と言われれば落ち込むのも無理はないか。何て空気が流れている中、小猫は戦兎の肩をポンっと叩くと、

 

「人の夢と書いて、儚いです」

「ぐはぁ!」

 

普段の小猫を弄って遊んでいる戦兎に、天誅が加えられたところで、リアスがギャスパーにもうここから出て良いと言う旨を伝えた。だが、

 

「ぼ、僕はここが好きなので別に出なくて良いです。と言うかお外怖いですし……」

 

何て言い出し、皆がため息を吐く。成程中々重症だと見える。なので龍誠は、

 

「とにかく文句は外出てからだ。行くぞ」

 

と腕を取り、強引に連れ出そうとした次の瞬間、

 

「あれ?」

 

スカッと龍誠の手は空を切り、目の前にいたはずのギャスパーは、何故か部屋の隅っこに頭を隠して尻隠さずの状態でガクブルと震えていた。

 

「え?え?え?」

 

今のは早いとかどうとかの領域ではない。音もなく、そして動いた気配もなく突如全く違うところに現れたギャスパーに、

 

「どう言うことだよ……」

 

龍誠は思わずそう呟くのだった。


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