戦「遂にヴァーリとのリベンジマッチが始まった俺だが!やはりヴァーリの強さに押されてしまう!」
龍「だがそこに駆けつけるのはやっぱり俺!万丈龍誠だ!」
戦「さぁ、今こそ逆襲のときだ!そんな感じの27話スタートだ!」
『はぁ!』
「ぐっ!」
戦兎と龍誠が同時に放った蹴りは、ヴァーリを後ずらせる。そこに、
「いっけぇ!」
《各駅電車!急行電車!快速電車!海賊電車!》
「更にもういっちょ!」
戦兎はカイゾクハッシャーをMAXまでチャージし、それに合わせて龍誠が蒼炎の龍、クローズドラゴン・ブレイズを作り出すと、二人は発射。だがヴァーリも、
《シングル!ツイン!》
「オラァ!」
《ツインフィニッシュ!》
素早くロボットフルボトルと、消しゴムフルボトルをツインブレイカーに刺してスイッチを押す。
ツインブレイカーから発射された光弾は、戦兎と龍誠の一撃とぶつかり合い爆発。煙が辺りを包むが、その中をヴァーリは走り抜け、ツインブレイカーで戦兎を狙う。しかし、
「させるか!」
それをビートクローザーで龍誠が止める。更にその後ろから戦兎が炭酸の泡を発生させ、高速移動して一気にヴァーリのところまで回り込むと腕のトゲでヴァーリを斬る。
「ぐっ!」
「まだまだ!」
《ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!メガヒット!》
更に蒼炎を纏った刀身を、龍誠は振るいヴァーリを吹っ飛ばした。
(なんだこいつら……前戦った時と違う!?)
『オラオラオラァ!』
そんな二人が攻める様子を、アザゼルは興味深そうに見ている。
「へぇ、こいつは良い意味で予想外だ」
「どういうこと?」
アザゼルの言葉に、リアスが首を傾げると、やって来たサーゼクスが答えてくれた。
「稀に一人の時より二人の方が高い力を発揮するという場合がある。勿論数が多いと言うのはあるが、それだけでは説明がつかない。例えばあれだって明らかに個人の実力も上がっている。これを【共鳴】なんて呼ぶんだ」
「ま、あいつのベルト風に言うなら……ベストマッチなやつらってことさ」
そういうアザゼルの視線の先には、戦兎と龍誠がヴァーリに、更にダメージを与えていく。
だがヴァーリも負けてはいない。二人の攻撃を止め、
「どこからここまでの力を……」
「簡単だよ。理由は二つ!まずはビルドドライバーにあって、スクラッシュドライバーにはない能力がある!」
ツインブレイカーと、スパークリングの腕の棘をギリギリと押し合わせる。
「なに?」
「スクラッシュドライバーは変身者の脳に作用してアドレナリン等の脳内麻薬を過剰分泌させる!その結果戦闘意欲を向上させて、ハザードレベルを急上昇させる!だがビルドドライバーは違う!ビルドドライバーは変身者の覚悟や思いによってその機能を上げることが出来、変身すればするほど思いに答え、ハザードレベルを上げてくれる!」
「つまり!愛と平和のために戦う俺達は……スクラッシュドライバーにも負けはしねぇ!」
ガン!っと二人はヴァーリを押し返すと、戦兎はドリルクラッシャーをガンモードにし、ホークガトリンガーも取り出す。龍誠もビートクローザーを構え、
《10!20!30!40!50!60!70!80!90!ワンハンドレット!フルバレット!》
戦兎はホークガトリンガーのシリンダー部分を回すと、ドリルクラッシャーにタンクフルボトルを、龍誠もビートクローザーにロックフルボトルを挿す。
《スペシャルチューン!ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!》
《Ready Go!》
『ハァアアアアアアアアア……』
二人は武器を相手に向けると、同時に全てを発射する。
《メガスラッシュ!》
《ボルテックブレイク!》
『ハァ!』
まず龍誠がビートクローザーを振るい、錠の形をしたエネルギーの塊を出した。更にそこに、戦兎はホークガトリンガーを乱射しながらドリルクラッシャーの引き金を引くと、戦車の砲身のようなものが現れ、龍誠の錠ごと砲弾を撃ち、そのままヴァーリにぶつけた。
「がはっ!」
咄嗟に腕を交差させてガードしたが、後ろに吹っ飛ばされたヴァーリは、倒れつつも気迫で立ち上がる。しかし、戦兎は今度はドリルクラッシャーをブレードモードにし、四コマ忍法刀を取り出す。そしてドリルクラッシャーにラビットフルボトルを、龍誠もクローズドラゴンからドラゴンフルボトルを抜くと、ビートクローザーにロックフルボトルと入れ換えるように挿す。
《スペシャルチューン!ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!メガスラッシュ!!!》
《火遁の術!火炎斬り!!!》
《Ready Go!ボルテックブレイク!!!》
『勝利の法則は……決まった!!!』
そう言って二人は走り出すと、まずは戦兎は前に出て、炭酸の泡を足から放出し、破裂させてヴァーリに接近し、すれ違い様に斬る。
「がっ!」
「おらぁああああ!」
少し遅れて龍誠が蒼炎を纏わせた刀身で斬りまくる。戦兎もすれ違ってヴァーリの後ろを取った後振り返り、武器を何度も振るう。
「がぁあああ!!!」
『ハァ!』
最後に、二人は互いに位置を入れ換えるようにヴァーリの前後を移動し、更に斬って背中を向けたまま武器を捨てるとレバーを回し、
『そして二つ目!俺と龍誠(戦兎)はな!』
《Ready Go!》
二人は同時に飛び上がると、右足にエネルギーを集め、振り返りながら飛び回し蹴りの要領で蹴りを放つ。
「最強で!」
《ドラゴニック!》
「さいっこうの!」
《スパークリング!》
こいつとならどこまでも行ける。どこまでもやれる。何故ならこいつは最強で最高の……
『コンビなんだよ!!!』
《フィニッシュ!!!》
二人の蹴りに挟まれたヴァーリを中心に凄まじいエネルギーの爆発が起こる。それは離れて見ていた他の皆も踏ん張らなければ後ろに吹っ飛びそうなほどだ。
「ぐぁああああああ!」
だがヴァーリは違う。それをまともに喰らっているのだ。そのダメージは計り知れず、しかも両側から挟まれるように蹴られたことで、蹴りの衝撃を逃がすこともできなかった。そして爆発の衝撃で自分達まで吹っ飛んだ戦兎と龍誠が転がる中、ヴァーリは変身も強制解除されて崩れ落ちる。
『はぁ、はぁ……ぜぃ』
だが戦兎と龍誠も息が覚束無い。それを見たアザゼルが、
「あの状態は戦ってる間は良いんだよ。ただそれが終わるともうダメだ。テンションを上げまくって、後先考えずに全力疾走し続けるようなものだからな。疲労が凄いことになる」
だがそれでも戦兎は立ち上がると、ヴァーリの元に向かう。とにかくまずはスクラッシュドライバーの回収を……そう思ったとき、
「なんだっ!?」
ヴァーリの元に音もなく着地した人影に戦兎は構える。見てみれば中華風の服に身を包み、一本の赤い棒を持った男だ。
「おいおいヴァーリ。随分ボロボロじゃねぇか」
「美猴……か」
ヴァーリの知り合いらしい男に、ヴァーリは答えながら立ち上がり、前に出ようとして止められる。
「おい、それ以上は無茶だ。止めろヴァーリ」
「離せ……」
そう呟いたヴァーリの体からボロボロとは思えないほどの魔力が漏れ出していく。その魔力の圧は地面にヒビを入れ、離れていた戦兎や龍誠は本能的に危機を感じ取った。
「まさか……魔力だけなら魔王クラスに匹敵するというのか?」
サーゼクスが呟くように、今ヴァーリの体から再現なく溢れだす魔力は、常軌を逸した量なのは魔力が少ない戦兎や龍誠も分かる。だが、
「終わりだな」
アザゼルが静かに呟いた。次の瞬間、
「ガハッ!」
ビチャ!っと、ヴァーリは血の塊を吐き出し倒れてしまう。それを見た美猴も、言わんこっちゃないと肩を竦めている。
どう言うことだ?戦兎達が困惑していると、
「アイツはな。本気を出せないんだ」
出さないじゃない。出せないんだというアザゼルは、更に言葉を続けた。
「アイツは悪魔の血を引き継いでる。だが、半分は人間だ。そこが問題なのさ。なにせあのルシファーの魔力だ。それが突然変異のレベルでアイツの体には眠ってる。だがそれに耐える器が無いのさ。半分人間だからな。だからアイツは加減しながら魔力を放出しなければならん。それをボロボロの体で魔王クラスに匹敵しかねんほどの量を出したらああなるさ」
そう言うこった、と言いながら美猴はヴァーリを担ぎ上げる。
「つうかてめぇ!一体なにもんだよ!孫悟空みたいな格好しやがって!」
「みたいっつうか一応末裔何だけどねぇ~」
え?そうなの?と言う顔で龍誠は戦兎を見る。正直こちらを見られても知らんのだが……
「ま、取り敢えずこの場の全員に襲われたら勝てねぇし、さっさと退散させて貰うぜっと」
「逃がすかよ!」
戦兎は慌ててドリルクラッシャーをぶん投げて止めようとするが、美猴はそれを棒で弾くと飛び上がって消えてしまう。
「くそっ!」
戦兎は悪態をつきながら、変身を解除する。それに続くように龍誠も変身を解除すると、
「疲れたぁ!」
「そうだな……」
二人はその場に座り込むと、皆もそこにやって来た。
「二人とも大丈夫?」
大丈夫……と力無い感じに答える二人に、聞いた祐斗は苦笑いを浮かべる。
「それにしても
「でしょうね。今回襲ってきた魔女達は三大勢力には属していない。恐らく三大勢力以外のでしょうね」
サーゼクスの言葉に、ミカエルは同意して答える。それを聞いていたアザゼルは、
「ならこっちのレベルアップも必要だろ。特にあの二人……ありゃ鍛えればすげえ悪魔になんぞ」
と、邪悪な笑みを浮かべている。これは良くないことを考えているな、と分かるがミカエルも、
「ですね。あれはこれからの戦いにきっと必要になる」
「当然だ。妹が選んだ自慢の男と、その親友なのだからな」
フフっとサーゼクスは笑い、龍誠と戦兎を見る。
「こちらとしても精一杯のフォローはするさ。魔王という立場もあるがな」
「ならこんな話はどうだ?」
なんて三大勢力のトップが話す中、
「しかし疲れたぁ……」
「もう動きたくねぇ~」
そんな風に疲れきった戦兎と龍誠を見たアーシアは、
「でもお二人が無事でよかったです。主よ、感謝しあいた!」
『ぐっ!』
ピキーン!と戦兎達の頭に痛みが走る。アーシア……悪魔になってそこそこ経つのだが、未だに良いことがあると主に感謝をやってしまうのだ。因みにゼノヴィアもだが。
まあ幼少時からの癖というのは、早々抜けるものじゃない。しかし、龍誠は思っていた。どうにならないものかと。何せいつもこうやってダメージを喰らっている姿というのはあまり楽しい光景じゃない。その時、眼に入ったのはミカエルの姿だ。
そこでピンと来たので、
「あのミカエルさん。お願いがあるんですけど」
「なんでしょうか?私で出来ることならなんでも」
じゃあアーシアとゼノヴィアが祈ってもダメージ入らないようにしてください。龍誠は突然そんなことを言い出し戦兎達はズルッとずっこけそうになった。
「おい龍誠!突然何を言い出すのかと思えばなに言ってんだよ」
「いやぁ、前から思ってたんだよ。あいつら祈る度にダメージ入ってるじゃん?だからせめてそれくらい無くなればなと」
無理に決まってるだろ……と戦兎が頭を掻いていると、
「良いですよ」
「だってさ。諦めて……え!?良いんですか!?」
驚愕したのは戦兎だけじゃない。他の面々もだ。それに対してニコニコしながらミカエルは、
「えぇ、せっかくの歴史的な和平です。二人くらい神に祈りを捧げる悪魔というのも悪くないでしょう。それに……」
ミカエルはそう言ってアーシアとゼノヴィアを見る。
「現在神のシステムは我らセラフが管理していますがやはり難しいのが現状です。そのため神の加護等を筆頭としたものが弱まっています。そのため神への信仰に影響を与えるものを話す必要がありました。悪魔をも癒す
それがアーシアやゼノヴィアを異端認定した理由と言ったところだろう。そう戦兎が思っていると、ミカエルは続ける。
「これで許されるとは思っていませんが……せめてもの謝罪の一つとして受け取っていただけますか?」
「そんな、私はそもそも恨んでいませんし……」
私もだ。とアーシアの言葉にゼノヴィアは続ける。
「異端として認定されたときはもう終わったと思いましたが、今は今まで見たことや感じたことのなかった事を知ることができた。嫌みとかではなく、寧ろ感謝してるんです」
そう締め括ったゼノヴィアにアーシアも、頷いて同意した。それに対してミカエルは礼を良い、
「帰還次第すぐに調整しましょう。終わり次第連絡差し上げます」
『はい!』
そんな光景を見ながら、言ってみるもんだなと戦兎は龍誠に言い、空を見る。
ヴァーリには勝った。だが今回のは運も味方してくれた感じがある。やはりもっと強くならなければならないだろう。
ベストマッチを見つけ……後はルークやナイト、クイーンを用いたビルドの強化アイテム。とは言え強化アイテムは正直全然進んでないのだが……まあこれからなんとかなるだろう。
(取り敢えず飯食って寝てぇ……)
戦兎はそんなことを思いながら、大きなあくびをするのだった。